恋姫†夢想×三極姫 〜選ばれし英雄達〜 |
洛陽。
董卓は李儒から受け取った書状を読み終えると、近くにあった灯火で燃やした。
「袁紹から最終通告がきた。従わない場合は袁紹を含めた連合軍約数十万の兵が襲うと書いてある」
無論、董卓は従うつもりはなどない。
さっき、返答とばかりに使者を切り殺したばかりだ。
「それで、どうなさいますか董卓様?」
董卓の軍師、李儒は薄気味悪い顔で董卓に問う。
「皇帝と共に『私は』長安へ行く。ここには影を置き、門には呂布と華雄で守らせる」
「はっ・・・。では細かい段取りは私がしておきます」
李儒は一礼し、その場を下がろうとした。
「・・・待て、まだある」
「はっ?」
董卓は灯火を持ち上げて、それを李儒に見せつけてこういった。
「貴様には奴らがここへ来たときには、この洛陽に火をつける役目を言いつける」
「・・・なんと」
洛陽を燃やす。
それはそこに住む民も関係なしに、皆殺ししてしまうというリスクを知った上での発言だろうかと李儒は耳を疑った。
「よろしいので・・・?」
動揺は隠しつつ再度確認をする李儒。
「良い。奴らに残すものなど何もない」
董卓は平然と答え、連合軍が侵入した際には洛陽を燃やすことに命令を下した。
「洛陽を燃やし、長安へ逃げるか・・・」
曹操はつぶやく。
銀河は董卓が洛陽を炎上する可能性やその後の行動予測を曹操に進言した。
もちろんそれは一刀の歴史で知りえたこと。
だが、曹操にはそれは伏せ、上手く洛陽に入場した時にその時に董卓がどうするのかという推測という結論を導き出した演出する。
「正直な話、俺は連合軍なんかアテにはしてない。きっと諸侯達のにらみ合いで何も上手くいかないと思うんだ」
「それは同意だ、銀河」
袁紹が号令した反董卓連合。
各諸侯が結束して董卓を討伐をするという頼もしい限りの話だが、実際は後に起こるであろう小競り合いでの顔見せとその勢力の品定めといったところだ。
そして、最終的には隙あらば自身が董卓を討ち、褒美を貰って皇帝の傍へという企みも含まれているはず。
それは曹操や袁紹も例外ではない。
「俺は連合軍を囮に、奇襲部隊でもしも長安へ逃げる場合の時に討つための部隊作戦を提案するよ」
「・・・出来るのか?」
「奇襲に関していえば、俺はそれで今まで強い奴らとは勝ってきた」
全ては予想しているからこその行動。
そして、ここから先は予想しつつもそれを打ち破れるかどうかの歴史破りだ。
「だが、我が軍には奇襲を出来るほどの兵は少ない」
今回の遠征は曹操の全財産で兵を募った。しかも急な遠征準備だったため、満足な兵士数も少ない。
だが、銀河はそんな曹操の不安を他所に言う。
「安心しろ曹操、足りないなら借りればいい連合軍に」
「・・・ほう、借りられる部隊があると?」
「ああ、『必ず』この奇襲部隊は編制されるさ」
銀河は自身満々に答えた。
「・・・」
曹操は確信する。
銀河は何か『答え』を知っている部分があり、それを元に動いていると。
それは今日に至るまでに何度かあった。あの友人暗殺未遂も彼が止めなければ暗殺していた。
今もまるで連合軍が洛陽までは勝利するといった筋書きの作戦を発案してくる。
「(・・・未来か、それとも勘が良いのか)」
どちらにしても彼は危険な人物だと確信する。
この戦いが終われば彼を殺さなければいけないかもしれない、と曹操はそう判断するのだった。
反董卓連合編 六話 『反董卓連合軍の袁紹』
連合軍本拠地。
そこは各諸侯達が袁紹の呼びかけに応じて、董卓討伐に集結した部隊が数多くいる陣営地。
その連合軍をまとめるのは呼びかけをした袁紹だ。
ちなみに袁紹が総大将という理由はいくつかあるが、諸侯達とっては勝てば良い話なので省略する。
「あの、曹操さん。私に各諸侯達を交えての軍議を始める前に謁見をした理由を聞きたいんですが・・・」
袁紹の陣営天幕。
その天幕へと足を踏み入れた曹操は、軍議の前にあるお願いにきたのだ。
「お前に宣言して欲しいだ、此度の遠征での策は私が決めて袁紹殿が責任を取るという宣言を」
「・・・えっ」
確かに総大将がそんな宣言をすれば、この連合軍での戦いは全て曹操の判断に任せることになる。
それは袁紹が曹操を信頼しているという現れでもあるし、各諸侯にとっても交互するいざこざの軍議で停滞する時間などを短縮することも出来る。
そして、袁紹がそれを支持する以上は他の諸侯も従うほかない。
「無論ながら、従わない場合は軍法により『誰で』であっても処罰するというのも忘れずに言って欲しい」
袁紹は少し無言で曹操を見つめていたが、やがてこう答えた。
「それは無理ですよ曹操さん・・・いくら昔からの友人とはいえ、そんな大それたことをすれば各諸侯は黙っていませんよ」
もっともな理由だ。
それに影での思想は知らずとも一応は、袁紹に慕って集まった軍隊。つまり責任は元より、作戦もこちらで考えて提供し戦うべき。
それが礼儀と責任いうもの。
「では、勝手に袁紹の指示なく動いた部隊は・・・?」
「軍法にて処罰し、連合軍への見せしめにしなけばいけません」
「・・・そうか」
今回の出来事で、袁紹は諸侯達に念入りに自粛行動を促すだろう。
部隊も袁紹の指示なしでは誰も動かない。
「ならば、表向きは袁紹殿が策を講じたという形で、裏で私が考案するというのは?」
「え、えーと・・・」
袁紹は鬼気迫る曹操にたじたじになりながら、返答に困っていた。
「・・・っ」
曹操は一瞬だけ、歯がゆい顔をしつつも笑顔でこう言った。
「貴方はドンと構えておけばいい。私が全てやるから好きな紅茶で安息を得て待って欲しい」
すると袁紹はぱぁと表情が明るくなる。
「本当ですか? では、曹操さんお願いします!」
安息に紅茶が飲める・・・この有事の自体において安穏とする行動取引に袁紹は承諾した。
もちろん傍に控えていた袁紹の女性軍師である田豊の動揺は隠せない。
「え、その・・・そんな」
だが、田豊の意見など言う暇もなく曹操はさっさと退出。
傍で聞いていた銀河も始終なくやりとりを聞いて溜息をつきながら退出した。
「(確かにあんな彼女では、歴史通りに曹操に国を滅ぼされてしまうな)」
未来を知る銀河は彼女の死を安易に予想出来る。
しかし、袁紹に仕える武将や軍師は有能な人達が多いことに気づいた銀河。
ただ、それが袁紹の性格によって封じられているだけであり、万が一袁紹が覚醒などすれば脅威になりかねない。
「(出来れば全員味方にしたい・・・な)」
特に歴史に名を残した者達はぜひに。
銀河は考える。
どうすれば全員を仲間にすることが出来るのかを。
彼の中では、すでに袁紹討伐戦まで思考を巡りよせているのだった。
説明 | ||
袁紹役は三人の中で、一番書きやすいのは彼女。 | ||
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