ポケモンDPt 時空神風伝 20
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トバリジムのスモモ

 

今日クウヤは、トバリジムに挑む。

相手は昨日知り合ったばかりの格闘ポケモン使いの少女スモモだ。

 

「・・・うしっ!」

 

スモモの実力は、昨日の遭遇で一部ながらもわかっている。

あのポケモン・・・ルカリオは複数の相手にも一切怯まず勇敢に戦い、そして技の強さを見せつけ、そしてギンガ団を倒した。

あれだけでも、スモモがジムリーダーとして十分な実力を持っていることがすぐにわかる。

自分と同じか、年の近い少女でポケモンバトルが強いトレーナーというのはこれまで何度もあってきているのでそこは慣れているから、クウヤはこのバトルに怯える様子など微塵も見せないし、恐れすら感じていない。

むしろその顔に浮かんでいるのは、楽しみ・・・それだけだ。

 

「みんな、いくぜ」

 

拳を握り、クウヤはモンスターボールの中にいる自分のポケモン達にそう呼びかけ、格闘道場の形をしたポケモンジムの前に立って、強く大声を出す。

 

「たのもぉぉぉぉぉっ!!」

 

クウヤのその声に答えるようにポケモンジムの扉が重々しい音をたてながら開き、彼に中のバトルフィールドを見せる。

バトルフィールドの奥に待ちかまえていたのは、男性の格闘家二人と、一人の少女。

 

「待っていましたよ」

 

少女・・・もとい、ジムリーダーのスモモはクウヤの顔をまっすぐ見た。

 

「やはり、今日ここにきたんですね」

「あったりまえだぜ!」

「クウヤさん・・・貴方の実力を見せてください、そしてここのコボルバッジを持つに相応しいかどうか、あたしに見極めさせてください!」

「おう、おれとおれのポケモンの力、ちゃーんとみろよスモモ!」

「ではこれより、ジムリーダーのスモモと、挑戦者のクウヤによる、バッジを賭けた公式戦を行います!

使用ポケモンは3体、ポケモンの交代はチャレンジャーのみ認められます!」

 

二人は同時にモンスターボールを構える。

 

「それでは・・・試合開始!」

 

そして審判のその言葉と同時に、モンスターボールをバトルフィールドめがけて投げた。

 

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「アサナン、お願いします!」

「いっけ、トーム!」

 

スモモが出したのはアサナン、対するクウヤはトームだ。

相性でいえばトームの方が有利だ。

 

「トーム、でんげきは!」

 

トームが先制してでんき技で攻撃してきたが、アサナンはみきりという技を使ってそれを回避した。

 

「続けてシャドーボール!」

「ねんりきです!」

 

次に繰り出したシャドーボールも、ねんりきで方向を変えられ逆にトームに攻撃がヒットしてしまう。

もう一度シャドーボールを指示して攻撃したがまたもやみきりで回避され、めざめるパワーの攻撃を受けてしまう。

 

「もう一度、シャドーボール!」

「ねんりきです!」

「まだまだ、かげぶんしん!」

 

トームは多くに分身し、アサナンを攪乱する。

アサナンはねんりきで操るシャドーボールで次々に分身を消していくが、クウヤは慌てずに技の指示を出した。

 

「あやしいかぜだ!」

「えっ!」

 

どこからか飛んできたあやしいかぜがアサナンを攻撃した。

一度は驚いたスモモだが、分身に攻撃の目が向いていたアサナンの隙をついて、分身の中に紛れ込んでいたロトムの本体が攻撃を繰り出したのだろうという答えを出しアサナンにめざめるパワーを指示して攻撃にでる。

 

「めざめるパワー!」

「でんげきは!」

 

でんげきはとめざめるパワーが衝突し、相殺される。

その直後、黒い塊がとんできてアサナンを直撃した。

 

「アサナンッ!」

「もう一発、シャドーボール!」

 

休みなく、クウヤはトームにシャドーボールを指示しアサナンを追撃、そのまま戦闘不能に持ち込んだ。

 

「アサナン戦闘不能、ロトムの勝ち!」

「よーっしゃ、いいぞ!」

 

最初の一本はクウヤがとった。

 

「・・・ありがとうございました、アサナン・・・。

さぁ戻ってゆっくり休んでください」

 

スモモはアサナンをボールに戻すと、すぐに別のポケモンをその場に出す。

 

「ゴーリキー、お願いします!」

「トーム、続けて頼むぜ!」

 

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「トーム、でんげきは!」

 

先手をとったのは、クウヤにでんげきはを指示され技を放ったトームだった。

でんげきははゴーリキーに命中し、いきなりダメージを与えることに成功する。

 

「決まったぜ!」

「甘いですよクウヤさん!」

「・・・!」

 

ゴーリキーは確かにでんげきはを受けた、それは間違いない。

だがゴーリキーはあの攻撃を受けても耐えきったのだ。

 

「びっくりしました?」

「っへん、簡単には倒れないことぐらい、わぁってるっての!

トーム、あやしいかぜ!」

 

クウヤはにっと笑い、トームに技を指示した。

 

「ゴーリキー、みやぶるです」

 

スモモは冷静に、ゴーリキーにみやぶるという技を指示し、さらにかくとうタイプの技であるドレインパンチを指示した。

 

「ドレインパンチ!」

「そんなのきかねぇっての・・・って!?」

 

突然かくとう技を指示したスモモを挑発しようとしたクウヤだったが、ゴーリキーのドレインパンチはトームを捕らえていた。

攻撃がヒットしたトームはダメージでよろける。

 

「うっそ!」

「みやぶるの効果です、これによってそのロトムには本来通じない、ノーマルやかくとうの技が命中するようになったんですよ!」

「くっ・・・トーム、シャドーボールッ!」

 

勝ちを譲るわけにはいかないと、クウヤはトームにシャドーボールを指示して攻撃し、さらにかげぶんしんまで指示した。

だがドレインパンチでトームの体力を奪って回復してたゴーリキーはシャドーボールを正面から受けても耐え抜いて、かげぶんしんもみやぶるでみきりもう一発ドレインパンチをかました。

 

「今ですゴーリキー、クロスチョップ!」

 

そこにかくとうの大技が飛んできて、トームを一気に戦闘不能にした。

 

「ロトム戦闘不能、ゴーリキーの勝ち!」

「・・・さんきゅーなトーム、戻って休んでくれ!

次はおまえだ、頼むぜズーバ!」

 

クウヤは勝負を止めるわけにはいかないと、すぐにトームをさげて今度はズーバを出す。

試合再開直後に動いたのはゴーリキーで、ひみつのちからでとっしんしてきたがズーバはそれをとんでかわし、はがねのつばさで攻撃した。

 

「ゴーリキー、ドレインパンチ!」

「受け止めろ!」

 

相性の有利さを知っていたクウヤはゴーリキーのドレインパンチを正面から受ける指示をズーバに出した。

それに従いその一撃に耐えたズーバは、立て続けにクウヤの技の指示にも従う。

 

「ギガドレイン!」

「えっ・・・!?」

 

道中で覚えていた、きゅうけつよりも効率のいい技ギガドレイン。

それを使ってズーバはゴーリキーから体力を奪い、さきほどのドレインパンチの攻撃によるダメージをなかったことにする。

 

「ゴーリキー!」

「そこだズーバ、エアスラッシュ!」

 

エアスラッシュを食らわし、ゴーリキーを戦闘不能にした。

 

「ゴーリキー戦闘不能、ゴルバットの勝ち!」

「よっしゃ、いいぜズーバ!」

「ゴルバッ」

 

勝利を喜ぶクウヤとズーバ。

 

「よく頑張ってくれましたね・・・ゴーリキー。

どうぞゆっくり身体をおやすめください」

 

スモモは落ち着いてゴーリキーを戻すと、別のスーパーボールを出した。

そのとき、スモモは口元に笑みを浮かべていた。

 

「なに笑ってんだ?」

 

そんな彼女の様子が気になって、クウヤは顔をきょとんとさせ首を傾げてきく。

 

「いえ、ただ・・・この子がここでくるなんて・・・思ってもみませんでしたから、つい」

「・・・思ってもなかった?」

「ええ、いつもこの子の出番なしで終わってしまいますから。

ときどき最初の一体としてだすこともあるのですが、それでもあっという間に終わってしまうんです。」

 

そう語りつつ、スモモはスーパーボールを前につきだす。

 

「でも、この子は感じています、この勝負は今までとは違う!

あなた達はあたしたちをさらに楽しませ、高みへのぼらせてくれるって!

・・・お願いします、ルカリオ!」

 

そう言ってスモモが繰り出したのは、ルカリオだった。

そのポケモンが必ずくると思っていたクウヤは、ルカリオを見て白い歯を見せつつ笑った。

そのポケモンの強さを、ジム戦の前に見ていたからなおさら、笑みは強くなっていた。

 

「ルカリオ、きやがったな・・・!

ズーバ、まだ大丈夫そうか!」

「ゴルバッバババ!」

「うし、じゃあいくぜ!」

 

ズーバがまだまだ元気なのを確認したクウヤはそのまま試合を続行させることにする。

まず最初に動き出したのはスモモのルカリオだった。

 

「メタルクロー!」

「かわせっ!」

 

クウヤの声と同時にズーバは高く飛び上がり、ルカリオのメタルクローをかわした。

 

「いまだ、エアスラッシュ!」

 

エアスラッシュはルカリオに命中した。

だがルカリオは特性のせいしんりょくでひるまず、スモモの指示した技を放ってきた。

 

「ルカリオ、はどうだん!」

 

かくとう技のはどうだん。

こうかはいまひとつだが、その技は必ず相手に当たるものだ。

かわすことができずに受けたズーバだが、相性では有利なのですぐ体制を立て直しはがねのつばさで攻撃に繰り出した。

相性ではルカリオには不利だが、追撃でつばさでうつを繰り出し命中させることには成功させる。

 

「ちょうおんぱだ!」

 

ここでクウヤはバトルのペースを自分の方に持ってくるために変化技をズーバに指示した。

 

「ボーンラッシュでちょうおんぱを防いでください!」

「なにっ!?」

 

ところが、その作戦は失敗に終わった。

ズーバのちょうおんぱを、ルカリオはかき消してしまったのだ。

しかも、本来攻撃として出せばズーバにはいっさい効かない技・・・じめんタイプの技、ボーンラッシュで。

だがそういう戦法は、クウヤもよくやることなので驚いて止まることもなく落ち着いてズーバに攻撃の指示を出す。

 

「ズーバ、つばさでうつ攻撃!」

「でんこうせっかです!」

 

つばさでうつとでんこうせっかが衝突した。

押していくズーバだったが、パワーはルカリオの方が上であったため押し負けてしまった。

 

「今です、メタルクロー!」

 

鋼の爪の一撃を受け、ズーバは地面に落ち倒れた。

 

「ズーバ・・・!」

「ゴルバット戦闘不能、ルカリオの勝ち!」

 

クウヤはズーバによくやったと声をかけつつボールに戻すと、再び視線をルカリオに向けた。

 

「やっぱり・・・ルカリオは、つよい!」

 

ルカリオの強さを、確かに感じながら。

 

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「いっけ、ヒーコ!」

 

クウヤが最後の一匹として出したのはヒーコだ。

相性的にはヒーコが有利だが、油断は禁物。

緊張感があたりに漂っていた。

 

「マッハパンチ!」

「でんこうせっか!」

 

2匹は同時に動き出し、同時に攻撃をヒットさせたがその威力は相殺された。

 

「・・・相打ち・・・!」

「ですね」

「いわくだきだ!」

「ボーンラッシュ!」

 

いわくだきでつっこんできたヒーコにボーンラッシュを連続でヒットさせてダメージを与えるルカリオだったが、反撃のかえんぐるまを食らって後方にさがる。

 

「まだいきます、ルカリオ、はどうだん!」

「ヒーコ、かえんほうしゃ!」

 

はどうだんはかえんほうしゃを打ち破ったが、その瞬間ヒーコはかえんぐるまでルカリオに接近し攻撃、効果抜群のダメージを与えたがルカリオはメタルクローからの近距離はどうだんをかます。

ヒーコはそこからさらにかえんほうしゃをヒットさせ、お互いの体力はほぼ互角になった。

 

「さぁ、ルカリオの実力はここからですよ!」

「おれだって、ヒーコはまだやれるって!」

 

二人のバトルがさらにヒートアップしようとしてきたときだった。

 

ドゴォォォォォン!!!

 

「うわぁ!?」

「きゃあ!?」

 

巨大な爆発音がしてジム全体も大きく揺れる。

 

「・・・だ、大丈夫かみんな!」

「は、はい・・・でも、今の音って・・・!?」

「うわぁぁぁぁ!」

「へっ!?」

 

大声を上げて大慌てでジムに駆け込んできたのは、頭にはほとんど髪の毛も残っておらず小太りで、白いタンクトップに腹巻き、黒いパンツに下駄という、いかにもおやじというような格好をした中年男性だった。

 

「え、誰この変なおっさん」

「・・・一応・・・あたしの、父です」

「え」

 

衝撃の言葉にクウヤは驚いて固まる。

スモモはその父親を好いていないようで、蔑むような目で見ていたことにこの男も気づいていたが、自分が見た街の現状を話し始めた。

 

「ま、街の中で突然、爆発が起こったんだ!

見たことのない格好の連中がなにか実験をしていて、それっ、で、爆発が起きたらしい!」

「見たことのない格好の連中・・・?」

 

爆発の危険がある実験を、人がたくさんいる街の中で行うなどあり得ない・・・。

しかも、見たことのない格好の連中・・・複数の人間が全員同じ格好をしていて、普通の人が見ることのない格好をした連中。

そんなことをしそうなのは、やはり、あいつらしかいない・・・とこのときクウヤとスモモは思った。

彼らの中には、あの連中の姿が浮かんでいる。

 

「クウヤさん・・・」

「ああ!」

 

クウヤとスモモは互いの顔を見て、うなずく。

 

「バトルは中断だ、爆発音のした方へ行こうぜ!」

「はい!」

 

二人はジムをぬけだし、トバリの町中へと向かった。

 

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