【創作】少年と世界樹 2話
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 樹の苗が言う通り、オアシスの奥を歩き続けると砂漠沿いの大きな塀に城下町が見えた。門をくぐって城下町に入ると町の活気に迎えられる。

 

 林檎を売る商人、フードを被った女性、ラクダの背に乗ってる荷物を降ろす商人、警備をする兵士など少年は初めて見る異文化の光景に目を輝かせた。

 

「凄い賑わいだ―!なんだかお腹すいてきたな!」少年がキョロキョロしながら歩くと「ほんとだね!僕も初めて外の世界見るから、ワクワクするよー!」どうやら樹の苗も自分と同じらしい。

 

すると、さっきまで晴れていたのに急に空が曇りだしてきて、雷の音が鳴り始める。街の人は足早に建物の中に入っていった。少年もどこかに雨宿りしようとウロウロするが、いい場所が見つからない。

 

そして、空がピカッと光ると凄まじい雷の音が鳴り響き、大粒の雨が降ってきた。商人に手招きされると少年はその商人の出店の下で雨宿りすることにした。「兄ちゃん、大丈夫かい?すでにずぶ濡れになっているけど」気前のいい商人にタオルを渡されると少年は「どうも」と言い頭をくしゃくしゃ拭いた。

 

「ねえ、僕は水が欲しいから、店から出して」言い、雨が降っている場所に植え蜂を置いた。「喋る樹の苗とは珍しいね?精霊の一種かい?」商人に聞かれると少年は困ったように「はあ・・・なんでしょうね?自分にも分らないです」と返す。

 

雨は激しく降っていて時々雷も鳴る。「珍しいな。砂漠が近くにあるのにこんなに大雨が降るなんて」少年が見上げて呟くと商人はため息をついて話した「そうなんだよ・・・最近になってこんなに雨が降るようになったのは。砂漠があるから雨なんて滅多に降らないのに・・・まあ、水不足が解消するって事もあるけどね。変な天気だよ」商人の話の聞いていると「た、大変だ―――!!!城に行く為の道が土砂崩れで塞がれてしまった!!みんな、土砂を片付ける為に手伝ってくれ!」と町人が呼びかけると続々と人が城の方に向かって行った。

 

「大変そうだねぇ・・・僕たちも行ってみない?」興味本位に樹の苗が言う少年は断るも樹の苗は頑なに行くと言って騒いでいる。「あーもう、うるさいなあ!分かったよ」少年は渋々、植え蜂を持って豪雨の中向かう「待って、スコップだ!持っていきな」商人がスコップを貸してくれた。少年は礼を言うと小走りに土砂崩れの現場に向かう。

 

すでに町の人や兵士が土砂を退かそうともがいている、しかし土砂の上に人間の力では持ちあがれない程の大きな岩が道を塞いでいた。

 

町人も様々な手段で岩を退かそうとしたが無理だった。少年も方法を考えていると樹の苗が葉を揺らして話しかける「うーん・・・あの岩を退かすんじゃなくて壊せることが出来たらいいのに・・・あ!」樹の苗は閃く。

 

「ねえ、さっきスコップ貰ったでしょ!それを使おう!僕が今から言う提案を町の人にも言って!」樹の苗の提案は、巨大な岩以外の土や小さな岩を退かして、巨大な岩の周りを泥土で固めて岩の下に小さな爆弾を取り付けて岩を爆破させる。という物だった。

 

しかし、こんな豪雨に火はつかないし、雨の勢いは増すばかりこのままでは二次被害も出てしまう。「折角の提案だけど、こんな雨じゃ火は・・・」

 

「確かに火つかないね、でも大丈夫だよ。あと30分ぐらいしたら晴れるよ、空が教えてくれたから!」そう樹の苗は喋ると少年は空を見上げた。

 

確かに西の空が明るい。これなら晴れるかもしれないと思い町の人に爆弾の用意と提案通りに行動した。少し経つと雨は弱まり止んだ。

 

まだ湿気ているが火が付く可能性はある、今がチャンスと知らせると町人が爆弾の紐に火をつけ爆破した。岩には爆破の衝撃でヒビが入り上手くいった。ヒビが入った部分をつるはしで叩くと岩を小さく割る事に成功した。そして、3時間ぐらいかけて岩を除去し、城への道が開いた。

 

 

第3話に続く

説明
創作小説 少年と世界樹の第2話になります。
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