ポケモンDPt 時空神風伝 26 |
霧の道
旅の途中、クウヤはミクリに頼まれごとをされ、カンナギタウンへむかうことになり、もっとも近い道で車から降ろされる。
「では、頼みごと、果たしてくれよ」
「ああ!」
「今後も、おまえの旅の無事を私は祈っているよ」
「うん、ありがとな、兄ちゃん!」
そういってミクリはクウヤとわかれ、ズイタウンへ向かった。
彼の今の目的は、コンテスト会場のあるヨスガシティへ向かいそこでコンテストの道を指導する後継者を探すことだった。
「・・・兄ちゃん、行っちゃったか」
義理の兄が見えなくなり、クウヤは少しだけ寂しさを感じつつも、それをこらえる。
すべては彼の頼みを果たすため、彼の期待に答えて強くなるため、そして、本来の自分の目的のためにも、ここで落ち込んだり寂しがったりしているわけにはいかない。
「じゃあ行こうぜ、ヒーコ、ズーバ、イーブ、トーム。
そして・・・」
気持ちを引き締めるため、自分のポケモンを一度そこに出すクウヤ。
やがて彼は腰のベルトに付いている、もう一個のモンスターボールにも手を伸ばしそれを投げ、新しい仲間の名前を呼ぶ。
「キーリ!」
リッシ湖で助け助けられ、さらになつかれたことで一緒に行くことにしたあのキリンリキだった。
「キリリッ」
「みんな、今日からおれ達と一緒に旅をするキーリだ、よろしくな!」
クウヤがそういうと、ポケモン達は笑ってキリンリキのキーリを受け入れる。
「とくに、イーブもキーリも女の子だしな。
仲良くできるな」
「キリッ?」
「ブッブブーイ!」
女の子といわれ、キーリはイーブをみた。
イーブはクウヤの言ったことに対しもちろんできるよ、と言うようにうなずくが、キーリはイーブをじっとみているだけだった。
「ブイ!」
「キリリィ」
「ブイ・・・?」
イーブは仲良くしようとしているのか駆け寄るが、キーリはぷい、とそっぽをむいた。
「あれ、キーリ、まだ仲間にとけ込めてないのか?」
「・・・ゴルバッ・・・」
「モォウ」
「トートット」
キーリの心境が分からず首を傾げるクウヤにたいし、ヒーコにズーバにトームは心境をわかっているのか、ため息をついていた。
「?」
男の子3匹がためいきをついた理由もわからず、クウヤはきょとんとする。
そんなやりとりがありつつもキーリという新しい仲間の紹介も済んだことで、クウヤは霧がかかった道を進んでいく。
「兄ちゃんから話は聞いていたけど、この辺ってこんなに霧が深いんだな・・・っと、そうだそうだ」
クウヤはボールからズーバを出した。
「ズーバ、今朝兄ちゃんに教わった技を試すぜ」
「ゴルバッ」
「よし、きりばらいだ!」
ズーバは翼を大きくはためかせ、自分たちの周りの霧を打ち払った。
それにより視界ははっきりと開かれ、先へ進みやすくなった。
「やったな!
また霧がかかったらそのときはよろしくな」
「ゴルバ・・・バッ!?」
「どうしたんだ、ズーバ?」
ズーバが気づいたのは、自分達に近寄ってくる男女。
「ねぇ、あんたポケモントレーナー?」
「え、ああ・・・そうだけど」
「よければキミ、急ぐ用がないならボク達とバトルしないか?
今腕試しでたくさんのトレーナーと勝負し続けている途中なんだ」
「バトル、いいぜいいぜ、やろうぜ!
おれはクウヤっていうんだ!」
自己紹介をした3人は、少し広い場所にでて向かい合う。
「ルールは2対2のダブルバトルよ、いいわね!」
「ダブルバトルだな、受けて立つぜ!」
「ゴルバ、ッバ!」
「おっと、ズーバは休んでてくれ。
おれ、こいつらでやってみたいんだ!」
そう言ってクウヤは笑うと、2個のモンスターボールを手にとってそれを投げて中にいたポケモンを出した。
「キーリ、イーブ!」
「ゴルバーッ!?」
クウヤが出した2匹に驚くズーバ。
そんなズーバのリアクションが気になり、クウヤはズーバに問う。
「なんだよ、おれがこの2匹で勝負しちゃいけねーか?」
「ゴ、ゴルバ・・・」
「心配すんなって。
おれ、早くキーリにはみんなになじんでほしいし、やっぱ性別一緒のポケモンが一緒の方がやりやすいだろ?」
「・・・」
やはりなにも気づいていない、超ド級レベルの天然からでるよけいなお節介だと思ったズーバは、クウヤにたいしてなにもいえなくなった。
「あたしはこの子よ、いって、ヨルノズク!」
「ボクはこの子だよ、ゆけっ、ミノマダム!」
女性はヨルノズク、男性はミノマダムを出す。
ミノマダムは、むしとくさタイプの姿のミノマダムだった。
「イーブ、でんこうせっか!」
「ミノマダム、まもる!」
先に動いたのはイーブだが、それはまもるにより防がれる。
その後ヨルノズクがはがねのつばさでつっこんできたが、イーブはそれをアイアンテールで受け止めた。
「ミノマダム、エナジーボール!」
「キーリ、サイケこうせんでむかえうて!」
ミノマダムのとばしてきた草タイプの技を、キーリはエスパータイプの技で相殺し、さらにクウヤはキーリにねんりきを指示してミノマダムを攻撃させる。
「ヨルノズク、キリンリキにとっしん攻撃!」
「しねんのずつきでむかえうて!」
キーリとヨルノズクがぶつかりあう。
その攻撃は互いに相殺しあい、どちらもダメージを受けることはなかったが、ミノマダムがはっぱカッターで攻撃にでる。
「キリッ!?」
「イーブ、めざめるパワー!」
はっぱカッターは、めざめるパワーによって相殺され、さらにイーブはでんこうせっかでミノマダムに攻撃した。
「とっしんよ!」
「ひみつのちから!」
つっこんできたヨルノズクにもイーブはぶつかっていき、エアスラッシュもシャドーボールでむかえうつ。
「キィリッ」
そんなイーブの姿を見て自分も負けるわけにはいかないという勢いでキーリは敵をにらみつける。
そのとき、ミノマダムがキーリを狙ってエナジーボールを放ってきた。
「キーリ、ひかりのかべ!」
エナジーボールをひかりのかべが防ぐ。
さらにねんりきでヨルノズクを攻撃するが耐えられ、エアスラッシュを放ってきた。
ダメージはひかりのかべで半減されたが、ミノマダムのむしくい攻撃を受けて大きく体力を削られるキーリ。
そこにイーブがシャドーボールで攻撃し、ミノマダムにダメージを与える。
「よし、スピードスターだ!」
クウヤはイーブに指示を出し、スピードスターを放つ。
その攻撃は2匹同時にヒットした。
「キーリ、ミノマダムにしねんのずつき!」
「キリリッ」
そこでクウヤから指示が入り、キーリははりきってしねんのずつきを放つ体制に入りつつミノマダムにつっこんでいく。
「ミノマダムに攻撃はさせないわ!
ヨルノズク、キリンリキを捕まえて!」
そこにヨルノズクがつっこんできて、キーリを捕まえようと爪をむけてくる。
そのヨルノズクの行動に驚くキーリ。
「キーリあぶねぇ!」
「ブイッ!」
ヨルノズクとキーリの間に割って入り、キーリのかわりにイーブがヨルノズクの爪に捕まってしまった。
「イーブッ!」
ヨルノズクの爪に捕まれ慌てるイーブだが、それを見ているキーリはいっさい動こうとしなかった。
その顔には自分をかばったイーブの行動にたいする戸惑いがでている。
それが原因で、たまっていたしねんのずつきのエネルギーが徐々に消えかけていた。
「キーリ、技の中断をしようとするな!」
「キリリッ!?」
そこにクウヤの一喝が入ってきて、キーリは驚く。
「まだ出会って間もないから実感ねーかもしれねぇけど、みんなれっきとしたお前の仲間だ!
誰もお前に意地悪しないし、嫌うこともしねぇよ!」
だから、イーブのためにも動け!
指示を無視してもいいから、仲間を助けるために動け!
助け合って当然なのが、本当の仲間なんだからさ!」
「・・・」
「大丈夫、おれはちゃんと見てるから!」
クウヤの言葉に後押しされ、キーリはうなずくとジャンプしてしねんのずつきをヨルノズクに向かってぶつけ、イーブを解放する。
「大丈夫か、イーブ!」
「ブイッ!」
「キリリッ」
「イッブ!」
キーリとイーブは互いに笑いあう。
それでお互いを仲間として認め合った2匹の姿を見て、なじんだのかと笑うとクウヤはもう一度、2匹に対し指示を送る。
「よし、イーブはミノマダムにめざめるパワー!
キーリはヨルノズクにサイケこうせん!」
イーブのめざめるパワーはミノマダムのまもるに防がれてしまったが、キーリがヨルノズクにサイケこうせんをヒットさせ、さらにミノマダムまでまきこんだ。
そこでさらにクウヤはもう一度めざめるパワーを指示してミノマダムを攻撃させる。
はっぱカッターとエアスラッシュが飛んできたが、キーリがひかりのかべの上にリフレクターをはって防御した。
「そこだ、2匹同時にアイアンテール!」
鋼鉄の尾の一撃はそれぞれにヒットし、ヨルノズクとミノマダムは敗れ倒れる。
「ヨルノズク!」
「ミノマダム!」
この勝負は、クウヤ達の勝ちだ。
「へぇ、あんたジムを巡って旅をしていたの。」
「ああ、そうだぜ」
ダブルバトルを終え、お互いの実力を認め合った彼らは、自分達のことの話で盛り上がっていた。
「それで、キミのバッジはいくつなんだい?」
「今は5個!」
「5個・・・結構集めているわね。
でもあんたが目指しているカンナギタウンにはジムはないわよ?
勉強にはなるけど」
「うーん、おれがカンナギタウンを目指してるのはジムとか勉強が目的じゃねーんだ。
ちょっと用事があって寄っていくだけなんだよ」
「へぇ、そうだったんだ」
「二人は、どうしてこの辺で腕試しで勝負していたんだ?」
クウヤの質問に対し、二人は笑顔を浮かべながら語り始めた。
「夢のためだよ」
「夢?」
「最高のカップルトレーナーになるのが、あたし達の夢よ」
「かっぷるとれーなー?」
クウヤはぽかんとしつつ、自分なりの結論を出す。
「それって、ダブルバトルのコンビネーションがうまくできる二人組のつぇートレーナーになるってこと?」
「え、えーと・・・」
「ま、まぁそういうことかな?」
この少年は今一つその辺に疎い。
それがわかりやすい少年に脱力し、適当に返すしかないカップルだった。
「この黄土色の道をまっすぐいけばカンナギタウンよ」
「それじゃあ、今後も旅を楽しんで、がんばって強くなってね」
「おう、またな!」
そんなカップルに道を教えてもらい、彼らとはそこで別の道を行く。
先へ進むと、再び霧に襲われた。
「ぶっ!」
「イーブ!」
「キリリリ!」
ガラン、と地面が崩れそれにより足を滑らせて落ち掛けたイーブを、キーリはねんりきでとめる。
「イーブ、大丈夫か?」
「ブイ」
「キーリ、イーブを助けてくれてありがとうな」
そうクウヤがいうと、キーリとイーブはお互いの姿を見て笑う。
その様子にクウヤもズーバも安心すると、ズーバは翼を大きくはためかせる。
「よし、きりばらいだ!」
「ゴルバ!」
クウヤの声にあわせて、ゴルバットは霧を一気に払い、視界を開かせる。
「あ、見えた!」
霧が晴れたことで、クウヤの視界に町が入ってきた。
近くにある看板で、この町の名前を知ったクウヤは、ぽつっとつぶやく。
「ここが、カンナギタウン・・・」
歴史の面影を残し、歴史を後世に伝える町、カンナギタウン。
クウヤはその不思議な雰囲気に、少しひかれたのだった。
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ウルトラサンムンが本当に楽しみになってきた。 | ||
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