仮面ライダーサカビト その八 《終演編》
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「うおおおりゃぁあああああ!」

 紫色のライダーの一撃が、ドラスの頭部を叩き割った。

 

 

 彼の名前は、仮面ライダーシズマ。

 シグマの文字のエンブレムを持つ天のサイガや地のオーガに続く第三の帝王のライダー。

 携帯電話型ユニットで変形することから、デジカメ型や懐中電灯型の追加装備を持つのがスマートブレイン社のベルトが持つ特徴。

 シズマもまたカメラの撮影三脚型のロッドを変形させたギアにミッションメモリーを装填し、キックと連続して放つ。

 かつてレプリディケイドに変身していた犬神青年だが、その戦闘力は帝王のベルトというには物足りないが、模造品のレプリファイズよりも体になじむ感覚から活躍できていた。

「お見事です。怪人カードから生み出された模造品とはいえ、ガドルとシャドームーンだけでなく、ドラスを倒すとは」

 笑顔で云い放ったエイジャに対し、仮面ライダーシズマは口を開かない。

 エイジャと名乗った男は、平然とカードをリードする。

 

 【((KAIZIN|カイジン)) ((RIDE|ライドゥッ))! ((GROUN SAIRUS|グランザイラス))!】

 【((KAIZIN|カイジン)) ((RIDE|ライドゥッ))! ((GROUN BOTHERMEE |グランバザーミー))!】

 

 

「こちらも最強の怪人ですよ。頑張ってください」

 ゲイザーとアクエリアスのふたりも辛うじて立ち上がる。ふたりも既にシャドームーンとガドルを倒しながらも満身創痍となり、サカビト=悠貴を助けに来た犬神=シズマの援軍によって三体目であるドラスを撃破していた。

 どれもコピーではあるもののスペックそのものはオリジナルと同等であり、いかにゲイザーやアクエリアスといえど楽な相手ではなかった。

「……助っ人くん、助かったけど、まだ、イケる?」

「どうだろうな。ベルトの性能も使い切れてないが……あの二体もザコじゃないし」

「ああ。ヤバイな。あのエイジャとか云うヤツ。明らかに……更に強ぇ」

 アクエリアス、シズマ、ゲイザー。全員がその目を既に意識を失ったサカビトへと視線を向けた。ただの改造人間がひとり加わったところで変わらない。

 しかし、意識を失っている悠貴が、仮面ライダーならば。助け合う仮面ライダーは、人数が足し算ではなく掛け算で、いやそれ以上に駆け上がっていく。

 

 

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 ここはどこだ

  どこだと思う?

 俺は戻る

  不思議だな。お前はここがどこかわかってないくせに

 士樹たちはそばに居るのか

  そう。だが、伝えたいことが有ってね

 知るか。俺は戻る。カズキのヤツが助けに来たのはわかる。俺は戦わなきゃいけない

  敵と?

 気に入らないヤツを倒す。あのエイジャとかいうヤツはヤベぇ

  エイジャは敵かもしれないが、君の敵じゃない。この世界には新たなライダーが誕生した。

 カズキのこと云ってるのか?

  ああ仮面ライダーシグマ。この時空を守る本来のライダーだ。

 知るか。俺はヤツのダチだ。だから助けに行く。

  必要ないと思うがねぇ。

 

 

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 【((FINAL|ファイナル)) ((ATTACK|アタック)) ((RIDE|ライドゥッ))! ((A・Q・U・A・R・I・U・S|アクエリアスッ))ッ!】

 

 【((FINAL|ファイナル)) ((ATTACK|アタック)) ((RIDE|ライドゥッ))! ((G・A・T・H・E・R|ゲイザー))ッ!】

 

 アクエリアスとゲイザー、それぞれに本来の力を解放していた。

 光る翼を翻すゼロフォーム、鋼の翼のエピオンフォーム。一瞬にして二体のグランの名を冠する最強怪人を撃滅していた。

 「はは、なるほど! それでは! 次の怪人を……」

 エイジャがカードをリードする直前。

 【((EXCEED|エクシード)) ((CHARGE|チャージ)) ッッ】

 ミッションメモリーを三脚に移し変えたシズマの一撃が、エイジャのカードリーダーを捉えていた。

 

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  これで……元の歴史に戻った

 なんだと?

  本来の歴史では、ここはシズマの世界。そこに入ってきたアクエリアスとゲイザーとの出会いにより、戦う決意をするのだが……君……サカビトの介入で話がずれ込んだ

 俺たちは、お前の作った何かのコマじゃない。予定通りに動くわけねえだろ

  違う。君たちだけじゃない。全ての存在は……一点を目指して始まっている

 ああ?

  ある世界では、あれのことを幻魔大王と呼んだが、それは既に滅ぼされつつある。

 何の話をしてるのかわからねえよ。

  不思議に思わないか? なぜショッカーたちは改造人間という方法に拘り続けたのか。

  暗黒星雲から地球に向かってきた彼らは……なぜ地球を襲撃する必要が有ったのか。仮面ライダーを作り出す技術力がある彼らが、なぜ?

  フォッグは地球になぜ来た? グロンギたちはなんのために牙を磨いた? エルや創生王の力はなんのためにあそこまでの力が必要だった?

  クライシス帝国は何との戦いを想定してあれほどの力が必要なんだ? そして無数の大本のエネルギーを取り込む仮面ライダーたち、その力は……

 

 

 

 

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 遥か彼方。

 地球からの光など届かない果てしない暗黒星雲。戻るべき大地や星を失った戦士たちが集う。

 ワームたちの乗り込んだ岩石大首領と同じ姿をした巨人たち。

 その巨人はネオショッカー首領と同じような龍の翼を生やし、キングダークの鎧を纏う。軍団は連携して闇に立ち向かう。

 フォッグマザーと同型の残骸が無数に舞う中空を、プレゼンターと呼ばれる知性体の用いるコズミックエナジーと同じものが宇宙中を駆け巡る。

 その闇は、かつてエルやモノリスたち……((統率者|モノリス))、や((グレート・アイ|モノリス)) と呼ばれる地球支配者の根源を生み出した暗黒であり、光があったしても、それは闇の反射そのものであり命を持たない((鏡像|ミラーモンスター))をにすぎない。

 かつてここから生み出された技術は、地球においてはグロンギや魔化魍とされることとなるが、それは闇と生命を合成する技術だった。

 未来すら破壊する存在そのものの特異点、その奔流。

 

 

 人の進化に賭けるしかなかった。

 壮大な力を持つものたちが、それでもなお、届かなかった力。幻魔大帝。

 月面に髑髏の貌が、笑うまでの僅かな時間しか、人類には残されていない。

 

 

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  私はサンジェルマン。暗黒星雲からやってきた。ゲイザーとアクエリアス、あのふたりはエイジャの持っていた装置のパーツを使って元の世界に戻れるだろう。

 俺に何をしろっていうんだ?

  幻魔大帝は仮面ライダーシズマと、他のライダーたちが時がくれば立ち向かえる。君には……もうひとつの脅威に立ち向かって欲しい。

 

 

 

 

 

『ゼ・ガ』

 

 

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【あとがき】

 

 というわけで、ずっと放置し続けてきた仮面ライダーサカビト、一応の完結です。

 理由としては、俺自身の仮面ライダー熱の減退、ですね。

 旧シリーズ(これを書き出したオーズ頃まで)は、かなりモチベを維持できていたのですが、公式で繰り返されるキャラ崩壊気味なレジェンドライダーの登場だったり、公式クロスオーバーが解釈不可能な次元にまで追い込まれ。

 当初の目的である『全ライダーの世界観を統合して強大な敵に戦いを挑む』というのが、不可能になってしまったことに由来します。全ては俺の妄想力の限界ですね。

 というわけで、仮面ライダー同士の戦い……幻魔大帝を撃破するのはシズマたちに任せ、サカビトはゼ・ガとの戦いに参戦していただきます。

 

 作者の別作品郡、小説家になろう、にて。

https://mypage.syosetu.com/90594/

https://ncode.syosetu.com/s4107d/

 

 

説明
 第一話はこちら。
http://www.tinami.com/view/392034

 全仮面ライダー映像作品を同じ世界観として扱い、サカビトを中心に各々の謎を独自に解釈していく。

 サカビト=代々木悠貴は改造人間であるが、仮面ライダーではない。
 仮面ライダーを倒すために悪の科学者によって拉致・改造され、子供を庇った仮面ライダーを殺害してしまった一般人だ。
 人々から英雄を奪った罪を贖い、子供たちの笑顔を守るため、サカビトは今日も戦うのだ。
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タグ
昭和&平成 三次創作 二次創作 仮面ライダー 

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