ポケモンDPt 時空神風伝 29 |
ミオシティの港
カンナギタウンでの一件を終えたクウヤは翌日、ズーバとともにコトブキタウンまで飛んでいった。
ゴルバットのときは自分をぶら下げても少し浮くのが限界だったのに、クロバットになった今は彼をしっかり掴んですごいスピードで飛んでいくことができる。
仲間が強く成長したことに対し、クウヤは喜びを感じる。
「すげぇぜズーバ、おれを乗せてコトブキタウンまであっちゅーまなんて!」
「クロバッ!」
そらをとぶで一気にミオシティへいけないのは、自分達がそこに行ったことがなくまともに地形を知らないからである。
それに、そらをとぶで楽に移動しては、旅がつまらないものになってしまうだろう。
冒険が大好きなクウヤとしては、それは我慢ならないこと。
そのために、楽に移動できるそらをとぶという技は本当に必要なときだけにしようと思っていたのだ。
「よし、戻って休んでくれ」
クウヤはボールにズーバを戻すと、船に乗るために港へ向かった。
丁度船がでる少し前だったので、券を買ってすぐにクウヤは船に乗り、ミオシティへと向かう。
船は快調に進み、2時間程度でミオシティの港に到着した。
「お疲れさまでしたー」
「おう、ありがとー」
クウヤは乗組員と軽い言葉を交わして、ミオシティの町の中にでた。
そこは潮風が心地よく、街全体が賑わっている港町だった。
「ここがミオシティかぁ・・・。」
その賑わいについ感心してしまうクウヤだったが、すぐに本来の目的のために行動を開始した。
「そうだそうだ、おれはジム戦のためにここに来たんだよな!
早速ジムを探しだして、挑戦しなくちゃな!」
船の中で聞いた話によれば、ミオシティのジムのジムリーダーは鋼タイプのポケモンの使い手らしい。
ここはヒーコの出番で、サブに誰か出せばいいかなと思いながらジムを探して歩くクウヤは、別の方向から走ってくる人物に気づかず、そのまま衝突してしまった。
結果、クウヤはしりもちをついた。
「いっつつつ・・・」
「いってぇ、なんだってんだよー!」
「それはこっちの台詞だ!」
ぶつかってきた人間が謝ろうとせず文句を漏らしてきたので、クウヤはむっときて立ち上がり怒鳴る。
だが、ぶつかってきたのは友達のポケモントレーナーの少年だった。
「って、お前、ジュン!?」
「・・・あ、クウヤじゃねーか!」
ミオシティで再会したクウヤとジュン。
「ジュン、この町でなにしてて、なんであんな猛スピードでつっこんできたんだよ?」
「んあ、そうだ!
オレ、さっきまでこうてつじまで修行しててさ、そんでポケモンが結構強くなったから、ミオシティのジムに挑もうとしていたんだ!
だけどその前にポケモンセンターでポケモンを回復させようと思ったから、そこを目指していたんだよ!」
「・・・あー、大体わかったぜ」
早口でテンション高くしゃべるジュンの話は普通は聞き取りづらいのだが、クウヤは彼と何度か話をしたりしたことはあるので、普通に聞き取って彼の目的を知ることができた。
「クウヤ、お前ももしかして、ミオジムに挑むつもりなのか?」
「ああ、もちろん!」
ジュンの言葉をそのまま肯定するクウヤ。
彼が自分と同じ目的を持っていると知ったジュンはびし、とクウヤにむかって指を指した。
「よっし、じゃあクウヤ、今からオレとポケモンバトルをしようぜ!」
「え、なんで!?」
突然、ジュンはクウヤに対しポケモンバトルを申し出てきたのでクウヤはすかさずつっこむ。
「オレもお前も、ミオジムに挑むんだろ!
だから、どっちがジムに挑む資格があるのか、今から勝負して決めようぜっていってんだよ!」
「なんでそうなったかはわかんねぇけど・・・売られたバトルはかってやるぜ!
だけど、負けねぇからな!」
「オレだって、負けるかよ!」
クウヤはちょっと呆れながらも彼のバトルの申し出を引き受けることになり、彼らは町外れにあるバトルフィールドに移動した。
「じゃあ使用ポケモンは2匹で、ダブルバトルだ!」
「望むところだ!」
二人は向かい合うと、それぞれモンスターボールを2個手にもった。
「オレのポケモンはこいつらだ!
いけ、エンペルト、ヘルガー!」
「おれはこいつらでいくぜ!
ズーバ、トーム!」
ジュンはエンペルトとヘルガー、クウヤはズーバとトームをそれぞれそこにだし、ポケモンバトルを開始する。
「エンペルトはれいとうビーム、ヘルガーはあくのはどう!」
「ズーバはヘルガーにクロスポイズン、トームはエンペルトに10まんボルト!」
ジュンは相性のいい技を指示して確実に攻撃してきたが、クウヤも負けじとポケモンたちに指示を出して攻撃を回避し攻撃にでた。
その攻撃を受けたエンペルトとヘルガーは耐え抜き、ヘルガーはズーバにかみつく攻撃を、エンペルトはトームにバブルこうせんをヒットさせた。
「どうだ!」
「っへ、やられっぱなしはおれ達の性にあわねぇぜ!
ズーバはスピードスター、トームはあやしいかぜだ!」
「れいとうビームとかえんほうしゃで迎え撃て!」
技が激しく弾け飛んだ。
「エンペルト、アクアジェット!」
「はがねのつばさでむかえうて!」
アクアジェットとはがねのつばさは衝突し、ヘルガーはあくのはどうでエンペルトをサポートしようとしたが、トームはそれにむかって10まんボルトを放ち妨害した。
「まだいくぜ、ヘルガー、シャドーボール!」
ヘルガーのシャドーボールはトームをとらえ、相性による大きなダメージを与える。
エンペルトはトームにおいうちとしてバブルこうせんを放つが、ズーバがエアスラッシュでそれを打ち消す。
「くぅーっ!
エンペルト、クロバットにドリルくちばし!」
「クロスポイズンでむかえうて!」
「ばーか、エンペルトに毒の技はきかねぇよ!」
エンペルトにたいし毒タイプの技を指示するクウヤを、ジュンは小馬鹿にして笑う。
だがクウヤはそれにたいしいらつくことも、ミスして焦る様子も見せなかった。
「それくらい、おれだってトレーナーだしわかってるよ!
エンペルトにはクロスポイズンはきかねぇ・・・けど!」
クロスポイズンとドリルくちばしは激しくぶつかり合う。
そして、お互いの技の威力はかき消されあった。
「ドリルくちばしを受け止めてはじきとばすくらいは、できるぜ!」
「・・・!」
エンペルトははがねタイプだが、ドリルくちばしはひこうタイプの技だ。
だからクロスポイズンはエンペルト自身には通じなくとも、ひこう技には通じている・・・クウヤはそれをわかっていて、その技をズーバに指示したのだ。
それでクウヤの実力を知ったジュンは目を丸くしていたが、やがてにやりと笑みを浮かべてクウヤをみた。
「っへ、伊達にシンオウの前にホウエンも旅してて、オレ達より一個年上じゃないってことかよ・・・!」
「ああ、まぁな!」
「ますます、おもしろくなってきたぜ!
エンペルトはバブルこうせん、ヘルガーはかえんほうしゃ!」
「ズーバはエアスラッシュ、トームは10まんボルト!」
4匹は強力な技をお互いの相手に向かってはなった。
その4つの技は中心でぶつかり合い、弾け飛び、4匹を吹っ飛ばす。
「エンペルト、ヘルガー!」
「ズーバ、トーム!」
4匹はなんとか持ちこたえ、バトルフィールドの中でふんばった。
「まだいけるか!?」
「大丈夫か!」
トレーナーの言葉に対し、ポケモン達は自分の主人に向かってうなずく。
ポケモン達の闘争心を受け取った二人は、さらにバトルを続けようと、それぞれ別の技を指示して、さらにぶつけ合おうとする。
「エンペルトはラスターカノン、ヘルガーはあくのはどう!」
「ズーバはヘドロばくだん、トームはシャドーボール!」
4つの技が、相手に向かって放たれた瞬間だった。
「トリィィィデェェ!!!」
「わ!?」
「お!?」
突然、別のポケモンが中央に現れ、4匹の技を正面から受け止め、それを空中に向けて跳ね返した。
あの4匹の一斉攻撃を受けてもびくともしない防御力を持った、顔の大きな四つ足の、体全体がごつごつした感じのポケモンだった。
「な、なんだ!?」
クウヤはあわててポケモン図鑑を取り出し、そのポケモンに向けて生態を確認する。
図鑑に表示された情報によれば、トリデプスという名前のようだ。
「トリデプス?」
図鑑に表示された名前と、そのポケモンを交互にみてクウヤはぽかんとした。
こんなポケモンが突然現れたことが、予想外なのだ。
しかも、図鑑に載っているとおりの防御力を持っていることから、レベルが高いことも予想できる。
「なんだよなんだよ、なんだってんだよー!
おいお前、人の勝負を邪魔するなよな!」
「お前等こそ、なにやってんだ!」
バトルを妨害されて怒ったジュンが、トリデプスに向かってそういうと、さらに男性の声が二人の耳にはいる。
「うわぁ、トリデプスが喋った!」
「ちがーう!
私は別の方向から喋ってるんだ!
自分達からみて右上をみてみろ!」
「え?」
ジュンとクウヤが右上をみると、そこにはガタイのいい中年男が立っていた。
「・・・誰だよあのおっさん」
「このトリデプスのトレーナーじゃね?」
男は彼らの前に降りると、二人に向かって怒鳴った。
「馬鹿者がーっ!!」
「うぉぉ!?」
「このバトルフィールドは整備中で、誰も使っちゃいかんのだぞ!
立て札やハードルをちゃんとみていなかったのか!?」
「えぇ!?」
クウヤとジュンは男の指さす先を見て、ようやくここが立ち入り禁止の場所だと知った。
バトルをしたい思いでいっぱいすぎて、気づいていなかったのだ。
彼らは互いに顔を見合わせると、やっちゃったという顔をして、深く反省して男と向かい合うと、頭を深く下げて謝罪した。
「ごめんなさい」
「ごめん!」
「・・・言い訳せず素直に謝ったから、今回は許す。
だが、今後このようなことは2度と起こさないようにしろよ?
ミオシティに限らずな」
「・・・はい!」
男は非常に話の分かる性格らしい、自分達の非を認めて謝罪する彼らをみたら、厳しい顔を消して笑い、二人を許した。
男はトリデプスに歩み寄り、そこを離れると、自分達が止めに入る前までの様子を二人に聞く。
「だが、さっきのはかなり激しい勝負だったな・・・まさか、ミオジムにでも挑戦しにいくつもりだったのか?」
「ああ、そうだよ」
「・・・ふむ、いいかもしれんな」
「え?」
突然、何の話を始めているんだと思い、二人はその男をみると、男はその視線に気づきニッと笑った。
「私が、ミオシティジムのジムリーダー、トウガンだ!
どっちがこようと、私は全力で相手をするぞ!」
「・・・!」
「ではな、少年達よ、ジムで挑戦を待っているぞ!」
大きく笑いながら、トウガンは去っていった。
彼の後ろ姿をみていた二人だったが、クウヤの方から口を開いた。
「・・・ジュン、お前先に挑んでていいぜ」
「はぁ?!」
突然クウヤがそう言い出したので、ジュンはすっとうきょんな声を上げた。
「なんでだよ、お前もミオジムに挑みたいんじゃなかったのか?!」
「そりゃ挑みたいけどさ・・・だけど」
「だけど?」
「お前のことだし、ジム戦に挑みたくてびんぼうゆすりするかあちこち走りまわるんじゃねーのか?
って思ったんだ」
「お前オレのことなんだと思ってるんだよ」
「超せっかち野郎」
「それ絶対コウキの入れ知恵だろっ!」
あのやろーっと叫びながら、ジュンはどこか腹黒さをもった幼なじみの少年に向かって怒りをあらわす。
その様子を見ながらも、クウヤは自分の考えをジュンにそのまま打ち明けた。
「それに、船の中とかお前の話で聞いたけど・・・この町の近くにある鋼鉄島って修行に向いてるんだよな?」
「あ、ああ・・・そりゃあな」
「さっきのあの人のトリデプスの防御の力・・・あれをみたら今のままじゃどうなるかわかんねぇ。
それに、鋼鉄島って場所もなんか気になるんだ。
だからジム戦にいくまえに、ちょっとそこに立ち寄って修行してみたいんだ」
クウヤの気持ちを知ったジュンは一瞬ぽかんとしたが、彼の考えを否定するものはないなと思い、笑ってそれを受け入れる。
「わかったよ、お前がそうしたいならそうすりゃいい。
ただし、オレが先に行かせてもらうからな、あとで文句言うなよ!」
「ああ、わかってる」
「よっしゃ、そうと決まればオレは早速ジムにいくぜ!
じゃあな、修行頑張れよ!」
「お前も、トウガンさんとのジム戦頑張れよ!」
二人は笑いあってがっちり握手を交わすと、一度別れた。
お互いに認め合っている友人でありライバルだからこそ、こういう風にわかりあえるのだ。
「あ、ジムにいくまえにポケモンセンターによって回復させるの、忘れるなよーっ!?」
「わかってるってーの!」
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これ今年中に終わるかなぁ〜(( | ||
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