ポケモンDPt 時空神風伝 31
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第31話 ジンダイあらわる!

 

クウヤがゲンの指導を受けてから、3日がすぎていた。

僅かな期間でぐんぐんレベルアップしているクウヤの飲み込みの早さにゲンはただ感心するばかりだった。

今日も修行が終わり、ポケモンたちにねぎらいの言葉をかける。

 

「クウヤくん、最初の時よりだいぶポケモンに指示を出すタイミングがよくなってきたな。

ポケモンたちも、動きがよくなっている」

「へっへっへ・・・ゲンさんとそのポケモン達のおかげだよ」

 

最初の頃にくらべ、ヒーコはルカリオと互角に戦えるようになっていた。

他のポケモンたちも数に頼らずとも、アブソルやボーマンダと全力で戦いうまく渡り合えるようになった。

そんな中、ゲンが目を付けたのはクウヤのイーブだ。

 

「さてと、私が気になるのはこのイーブイだ」

「え?」

「君もイーブイを持っているなら知っているだろう、このポケモンにはいくつもの進化の可能性があることを。

そろそろそのイーブイも進化させてもいい頃だと思うが・・・」

「進化かー」

 

その話は以前ミクリから聞いたことがある。

そういえば、このイーブもいつかは何かに進化させなければならないことを今になって思い出し、クウヤはイーブをみた。

イーブはそんなクウヤに対し、首を傾げるだけだ。

 

「この鋼鉄島には、そのイーブイを進化させることができる3つの石が眠っている。

それを探してもいいし、まだ他の可能性を考えてみてもいいだろう。」

「うーん・・・どうしようか?」

 

イーブの進化のことは、考えたことがなかったクウヤは考え込んだ。

いったいなにに進化させるのがベストなんだろう・・・と、クウヤが頭を抱えていると、ゲンのルカリオとアブソルが何かに気づきほえた。

 

「わわ、どうしたんだ!?」

「何かを察知したらしい」

「へっ?」

 

ゲンは2匹の前にたちその顔色をうかがう。

 

「ルカリオもアブソルも、危険を察知するのが得意だからね・・・きっと、ここによからぬものが近づいているのかもしれない」

「よからぬ、もの?」

「そのよからぬものがいるところへ案内してくれるらしい、いってみよう」

「ああ」

 

クウヤとゲンはアブソルとルカリオの案内で鋼鉄島の岩肌を上っていく。

先頭を進んでいた2匹は再び何かに気づき、岩に隠れて立ち止まる。

それをみた二人はその2匹のいる岩の間からのぞき込み、2匹が感じ取った異変の正体を確かめる。

 

「ギンガ団・・・!」

「知っているのか、クウヤくん」

「ああ!

人やポケモンをおそったり犯罪起こしたり、爆弾持ってきたりと・・・そりゃあもうとんでもなくハタ迷惑な連中だぜ!」

 

アブソルとルカリオが感じ取った異変の正体が彼らであることにすぐに気づいたクウヤは、敵意のこもった目でギンガ団をにらむ。

彼らの中心には立方体の鉄製のものがいくつもあり、クウヤはそれに似たものを過去にみたことがあるため、すぐに相手の目的に気づいた。

 

「まさか、この島で爆発でも起こすんじゃねーだろうなあいつら・・・?」

「よし、様子を見て少しずつ接近しよう」

「わかった」

 

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ゲンのいうとおりに、彼の後をついて行くクウヤ。

 

「静かにだ・・・」

「んっ」

 

ここまでは成功する。

奴らにもっとも接近できるまで、後少し・・・。

 

「ぶいっ!?」

 

だが、そこでクウヤについていっていたイーブが足を滑らせ、岩から落ちていってしまった。

地面に着地したイーブは、なんとか無傷だったが、ギンガ団のドーミラーやスカンプー、ゴルバットに囲まれてしまった。

 

「イーブ!」

「クウヤくんっ!」

 

イーブを救うためクウヤも岩をすべりおり、ドーミラーたちの攻撃があたるまえにイーブを抱えて走り、救出に成功する。

だが、それによりギンガ団がクウヤたちの存在に気づいてしまう。

下っ端達の先頭で現れたのは、ギンガ団幹部のサターンだった。

 

「・・・お前は、いつもいつも我々の邪魔をしてきた生意気な小僧か」

「お前、あのときの変な頭の!」

「変な頭で覚えるな、しかもこれはワタシの個性だバカにするな!」

 

そういいサターンはポケモン軍団に攻撃を指示し、クウヤとイーブをねらう。

だがそこに、ゲン達が割って入り青いバリアーのようなものでその攻撃をふせいだ。

 

「一人に対し大勢でとは・・・一人だけで彼を相手にする自信がないのか?」

「ゲンさん・・・!?」

「・・・まさか、波導使い!?」

 

波導使い・・・。

人の中に眠る波導の力を操ることができる、修練者のことだ。

その修行を積み使いこなすことができる人間は非常に少ない・・・ここで会うとは思わなかった一同は驚く。

 

「さてと・・・ギンガ団、この爆弾でなにをするつもりだ」

「簡単なことだ、この爆弾で鋼鉄島全体を破壊し、そこに眠るいくつもの珠や貴重な石などを掘り起こし、ギンガ団の活動資金にするためだ」

「やめろ、そんなことをすれば、この鋼鉄島で生活するポケモン達のすみかを破壊される・・・」

「それがどうした」

 

深い青の瞳を鋭くさせてサターンをにらむゲン。

 

「・・・貴様達に、言葉や心は理解できないようだな・・・だから非情を非情といわない・・・恐ろしく、哀れな存在だ。

クウヤくん、彼らに慈悲はいらない、全力でたたけ」

「おう、いわれなくてもそうするぜ!」

 

クウヤはイーブ以外のポケモンをすべてそこに出し、ドーミラーやスカンプー達を的確に倒していく。

ゲンも、うまくアブソルにルカリオ、さらにボーマンダにも指示を配りポケモン達を倒していく。

そのときだった、サターンはドクロッグをだしクウヤにそれを差し向ける。

 

「ドクロッグ、どくづきだ!」

 

ドクロッグがサターンの指示通りに動いた瞬間、ドクロッグの動きを封じるように3体のポケモンが現れ、彼らの間に割ってはいった。

 

「な、なんだこいつら!?」

 

みたことのない3体のポケモンに戸惑いを隠せないクウヤ。

 

「あれって・・・」

「そいつらはホウエンに眠っていた伝説のポケモン・・・レジロック、レジアイス、レジスチルだ。」

「え?」

 

彼らの前に現れたのは、40代くらいの、探検家風の男。

ゲンはその男にあったことがあるらしい、すぐに反応した。

 

「ジンダイさん!」

「ジンダイ・・・さん・・・?」

 

クウヤはその名前を聞いて、もう一度その男をみる。

ジンダイと呼ばれた男はゲンの方を向いた。

 

「久しいな、ゲンよ・・・ここで会うとは奇遇なことだな。

それで、そこの少年は?」

「ああ、おれ、クウヤっていうんだ!」

「・・・クウヤ・・・?」

 

クウヤ、という名前にピクリと反応するジンダイ。

そんなジンダイの反応が気になったのと、何者なのかわからないクウヤは彼に質問をしようとした。

 

「アゲハント、ぎんいろのかぜ!」

「アブソル、かわしてつばめがえし!」

 

だがそこに、ギンガ団の追撃が入る。

 

「話はあるが、まずはこの事態をなんとかすることを最優先にしようか!」

「はい、キミも手を貸してくれ、クウヤくん!」

「もちろん!」

 

クウヤも当然、ギンガ団の好きにさせるわけにはいかない。

そう思いポケモンたちに指示をして、相手のポケモンと戦う。

 

「ヒーコ、ほのおのうず!

トームはそこでほうでん、ズーバはクロスポイズン!」

 

キーリがかべで防御している間に、ほかのポケモンたちが攻撃する。

その攻撃にはイーブのてだすけが入っており、威力が上がって確実に相手を追いはらう。

そこに気づいた下っ端の一人は、クウヤがほかのポケモンに指示した瞬間をついてドクケイルでイーブを攻撃した。

 

「ドクケイル、たいあたり!」

「ぶぃぃぃ!」

「イーブッ!」

 

ドクロッグに弾き飛ばされ、泉に落ちたイーブ。

助けようとしたクウヤを、ドーミラーの大群が阻止しようと立ちはだかる。

すぐにヒーコがそのドーミラーの大群を攻撃していき、クウヤを守りきるが、真上からゴルバットが急降下してクウヤをねらう。

 

「わっ!」

 

そのときだった。

突然、泉が大きく渦巻き、そこの中心で何かが光り輝いていた。

そこからシャドーボールがとんでゴルバットを攻撃、そして、水の中から別のポケモンが姿を見せた。

 

「シャアワア」

「シャワーズ!」

 

それはイーブイの進化系の一つ、水タイプのあわはきポケモン、シャワーズだった。

その姿を見て、クウヤはこのシャワーズが何かに気づいた。

 

「イーブ、イーブだよな!」

「キミのイーブイが進化したんだ。

この鋼鉄島に偶然紛れていた水の石に、触れたんだよ。」

「・・・イーブ・・・!」

 

図鑑を開いて、シャワーズのデータを確認すると、イーブは水タイプになったことで新たなる技を会得していた。

 

「よし、いくぜイーブ!

うずしおを巻き起こせ!」

「シャアワァァアッ!!」

 

巨大な渦を巻き、それはギンガ団を飲み込んでいく。

さらにクウヤは、図鑑でチェックして知った、もう一つの水技をとどめの技として指示した。

 

「イーブ、みずのはどう!」

 

イーブの放ったみずのはどうは、ドクロッグを一撃で倒す。

自分の手持ちをすべて倒され、またほかの団員とポケモンも、ゲンとジンダイの前に破れたサターンは怒りを露わにしつつ爆弾の

 

「こうなったら、この爆弾を起爆して、貴様等をいっきにつぶしてやるぅぅぅぅ!」

「させん!」

 

ジンダイは3体のポケモンに指示を出し、それを囲う爆弾を一気に破壊させた。

3匹の硬さで防がれたため、爆弾の破壊力が外に漏れることはなく、被害はいっさいでなくなった。

 

「・・・すげぇ・・・!」

「まだやるつもりなら、俺のこの3体で一気にねじ伏せる!

やる気がないならさっさと去れぃ!」

「・・・やむをえん、今は別の目的が最優先だ!

ここは身を引く!」

 

サターンの指揮の元、ギンガ団はそのまま去っていった。

 

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こうしてギンガ団の奇襲を防いだ彼ら。

爆弾の残骸は、この島の管理者によって回収されていき、彼らはその様子を見ていた。

 

「ジンダイさん、援助ありがとうございました。

おかげでこの鋼鉄島を守ることができました」

「いや、構わん。

俺もこの近くにある遺跡を調べにきた途中だしな・・・なによりも、あのような不届きものはいっさい許さんからな!」

「・・・」

 

ゲンと話を弾ませるジンダイをクウヤはみていた。

その視線に気づいたジンダイは、クウヤのほうをみて名乗る。

 

「改めて、俺の名前はジンダイ・・・バトルフロンティアのフロンティアブレーンの一人だ。」

「フロンティアブレーン?」

 

初めて聞く名前に、クウヤは首を傾げる。

 

「ナナシマという場所にあるバトルフロンティアというバトル施設で、挑戦者を待ち受ける存在のことだ。

まぁ、ジムリーダーのようなものと思ってくれていい」

「へぇ・・・」

「そして、俺はその一人・・・人呼んでピラミッドキング。

バトルピラミッドという施設で挑戦者を相手している」

「相手しているって・・・まさかさっきのポケモンで!?

なんかめっちゃ強そうだったんだけど!」

「そりゃあそうだ、なんたって伝説のポケモンだからな」

「えぇーっ!」

 

非常に優れた力を持つという伝説のポケモンを使いこなすのは

 

「しかし、さっきのバトル見事だったな。

もしや、シンオウリーグに挑戦しているのか?」

「あ、うん!」

「それで、これからミオジムに挑むための特訓がしたいといっていたので、私が修行をつけていたんです」

「そうだったのか・・・」

「あ、そうだクウヤくん」

「うん?」

 

ゲンはクウヤの方を向いてふっと笑って言う。

 

「その実力なら、もう私が教えることはもうないだろう。

トウガンさんともきっといい勝負ができるよ。」

「ありがとう!」

「だが、絶対に自惚れてはいけないよ。

人は自信を重ねすぎた瞬間に一気に弱体化してしまうからね。」

「ポケモンと一緒にがんばることを絶対に忘れてはいけないぞ。

胸にしっかり刻んでおくことだ」

「・・・わかってる、大丈夫だよ!」

 

彼の素直な笑顔とまっすぐな目をみて、ゲンはもう大丈夫だと確信するとクウヤと向かい合って、修行の終わりを告げる。

 

「・・・ではこれにて、私の修行は修了する!

今までお疲れさま、よく頑張ったね、クウヤくん!」

「・・・はい、ありがとうございました!」

 

クウヤはゲンに向かって頭を下げると、にっと笑顔を浮かべて頭を上げる。

 

「よし、明日早起きしてミオシティに戻って、6個目のジムバッジをゲットしてやるぜー!」

 

そう言ってクウヤはポケモン達の中に飛び込み、夕食と風呂をすませるとさっさと寝た。

クウヤが完全に深い眠りについた後で、ゲンとジンダイは二人きりで話をする。

 

「ジンダイさん、なにかあったんですか?」

「・・・ゲンよ・・・俺は11年前に、実の息子と生き別れていることを知っているか」

「え・・・ええ・・・あなたはその11年間、フロンティアブレーンの勤めの僅かな合間を使ってその息子さんを捜しているんですよね」

「そうだ・・・」

 

ゲンは以前あったときに、彼が自分の息子が過去に誘拐されていることを聞き、今もあきらめられず探しているという話を聞いた。

 

「名前はまだ、教えていなかったな」

「ええ・・・それが?」

「・・・実は・・・息子の名前は、クウヤというんだ」

「・・・!?」

 

ジンダイの行方不明の息子の名前と、自分が修行をつけていた少年の名前が同じ・・・。

どういうことだ、とこのときゲンは思った。

 

「これは偶然か、それとも・・・あの少年が、本当にそうなのか・・・。

俺はじっくり見守り、考えていくつもりだ」

 

ジンダイは今は眠る、自分の子どもと同じ名前の少年をみた。

脳天気な寝顔を浮かべる、クウヤの姿を。

 

説明
ここで、本来DPtには登場しないキャラクターが登場します。
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