ポケモンDPt 時空神風伝 41 |
二つの神
シロナと共にテンガン山の洞窟を突き進むクウヤ。
「ヒーコ、マッハパンチ!」
「スップ!」
「うぐぁ!」
道をふさぐギンガ団に勝負を挑まれたが、クウヤは難なく返り討ちにした。
洞窟を抜けると広い場所にでた二人を待っていたのは、ギンガ団幹部のマーズとジュピターだった。
クウヤの存在に気づいたジュピターははっとなる。
「この前のぼうや!」
「やい、アカギの野郎はどこだ!」
クウヤの言葉に対しマーズはむっとして彼に対し怒鳴る。
「ちょっと、アカギ様よア・カ・ギ・さ・ま!
野郎なんて変な呼び方やめてくれる!」
「うっせぇ黙れ!
なんであんな野郎に様なんてつけなきゃいけねぇんだよ、そんなことする理由はおれにはねーよ!」
「理由は大ありよ!」
「じゃあ140字くらいでいってみろよ!!」
「足りないわね、というかその数字はどっからでたのよ!」
「思いつきに決まってるだろ!!」
低レベルな口喧嘩をはじめたマーズとクウヤをみて、呆れてためいきをついていたジュピターだったが、彼の近くにシロナがいないことに気付き探す。
「ちょっとあんた、あんたのとこの子がうちの小娘と喧嘩しはじめたんだけど止めないの!?
というより普通にアカギ様に近寄ってるんじゃないわよ!!」
「いいのよ、彼は目的を忘れてないから」
「そういう問題なの!?」
軽くジュピターにそう返すとシロナはカツカツとヒールをならしてアカギに歩み寄る。
ガブリアスも彼女を後ろから追いかける。
「・・・」
シロナの気配に気づいたアカギは、振り返る。
アカギと目があったシロナはくすっと笑った。
「初めましてかしら・・・ギンガ団のボス、アカギ?」
「・・・シンオウ地方のチャンピオンのシロナか・・・」
「あなたやはり、ここにきていたのね・・・やりのはしらに」
「えっ!?」
やりのはしら、と聞いてクウヤはマーズとの口喧嘩をやめシロナの元に向かった。
「ここがそうだったのか、やりのはしらなのか!?」
「そうよ」
クウヤは改めて周囲の景色をみる。
あちこちヒビが入っていて崩れている箇所もあるが神話のような柱が規律よく並んでいて、美しさも残っていた。
「・・・」
本当に神様のいそうな場所。
それがやりのはしらをみたクウヤの印象だった。
シロナと一緒にクウヤの姿も発見し、アカギは淡々と語る。
「お前がその子と共にここにきたということは・・・私の計画を邪魔しにきたということか?」
「ええ、まったくもって、その通りよ。
あなたの事は国際警察の手を借りて調べたわ・・・目的もこれまでの経緯もすべて、ね」
「シロナさん、あのおっちゃんと知り合いだったんだ・・・」
ハンサムのことを思いだし思わず苦笑すクウヤ。
「その名前も実力も、私も十分すぎるほどに知っている。
チャンピオン兼考古学者となればシンオウでその名を知らぬものはいない・・・私も部下も十分に警戒はしていた。
だがここからはさすがのチャンピオンも止められんだろう」
そういいアカギは鉄製の頑丈なアタッシュケースをあけると、そこからジャラリと何かを取り出した。
「鎖・・・?」
そういえばアカギはユクシー、エムリット、アグノムの3匹からなにか鎖を作り出したといっていた。
確か彼はそれを「赤い鎖」と呼んでいた。
だが今アカギの手にある鎖は黒く、2本あるように見えた。
「・・・!?」
アカギがそれを両手に持ち掲げた瞬間、その鎖は赤い光を放ちながら浮き上がり、円を描くようにして広がった。
「うっ!?」
「クウヤくん!」
そのときに発生したエレルギーの衝撃波にとばされそうになるが、ヒーコに支えられたおかげで無事に踏みとどまることができた。
赤い鎖は2本とも宙にあがって円のようにつながると水平に回転した。
「空が・・・」
テンガン山のやりのはしらを中心に、空が色を変えた。
美しかった白と青の空は今は濁った紫と灰の空に変わり、太陽も雲に隠れて日がシンオウに降り注がなくなった。
「・・・心を生み出した伝説のポケモン達の力で生み出したこの赤い鎖。
この力と2匹の神を呼び出し、その力を手中に納めることにすることににより・・・私は新たな世界を生み出す・・・。
私は神に従うのではない、私が神となるのだ・・・!」
赤い鎖の中心にブラックホールのようなものが現れ、そこから宝石のような何かが現れ、やりのはしらの祭壇にゆっくり降りていく。
するとそれぞれの宝石は形を変えていった。
「いでよ・・・空間と時をつかさどりし神々よ・・・!」
真珠のようなものからはその両肩にそれをつけた存在に、金剛石のようなものはその石を心臓部分につけた存在にそれぞれ姿を変えていく。
その姿を見たクウヤは言葉を失いシロナはその存在の名をいう。
「あれが・・・ディアルガにパルキア・・・!」
「え、あれが!?」
初めて見る、神と伝えられるポケモン。
だが2匹のその深紅の瞳には光がなく、どこか虚ろな様子だった。
まるでそこに、自分達の意識が存在しないかのように。
「なんか様子がおかしい・・・」
「あの赤い鎖に操られているのね・・・」
「・・・操られて・・・そんなのダメだ!」
赤い鎖を止めてあの2匹を助けなければ。
そう思いアカギのいるところへ走りだすクウヤ。
だがクウヤの前にマーズのブニャットとジュピターのスカタンクがあらわれる。
「くっ・・・」
クウヤ自身はシロナに助けられたので無傷だが、アカギと自分を妨げる存在に対し舌打ちをする。
そんなクウヤとシロナの前にマーズとジュピターは再び姿を現し、彼らをアカギのところへ行かせまいと立ちはだかる。
「邪魔はさせないわよ!」
「アカギ様の神聖な儀式は、私達が守るわ」
「儀式・・・?
あれのどこが儀式だよ、クソッ!」
こんな二人に足止めさせられっぱなしでいるわけには行かない、だがここで戦って完全に二人を止めないと、また邪魔をされる。
そう思ってクウヤは今でているアーチ以外にもイーブを出そうとした。
だがその動作を、シロナは制止した。
「え、シロナさんっ!?」
「クウヤくん、アカギのところにいきなさい。
この二人の相手は、私がやるわ」
「シロナさん・・・」
彼女がここを引き受ける、と知ったクウヤがここを彼女に任せ先へ進もうとした。
シロナもガブリアス以外にももう一匹だそうとボールを構えた。
そのときだった。
「ちょっとまったー!」
「え!?」
突然声が聞こえてその場に何者かがあわただしく乱入してきた。
予想していなかった事態にぽかんとしていたクウヤ達だったが、乱入してきた少年少女に見覚えがあり、彼らの名前をいった。
「コウキ、ヒカリ、ジュン!?」
「ぜぇぜぇぜぇぜぇ・・・なぁーんとか到着したぜ!」
「コウキが最短ルートで進もうなんていうからよ・・・!」
「まぁ無事に間に合って滑り込めたんだし、そこは大目に見てよ」
そう会話をした3人はクウヤとシロナを発見すると立ち上がり、二人をみた。
「ボク達・・・ギンガ団と戦うためにここにきたんです!
ここまでに下っ端も蹴散らしてきました!」
「!」
「・・・クウヤくん、あの言葉を私たちにくれて、ありがとう!
私たち、後悔しないために立ち上がって動くことができたわ・・・!
どこまでできるかわからないけど、だけど、やってみる!」
「もうあんな悔しい思いはゴメンだからな!
今度こそはオレはこんな連中には負けねぇ・・・ポケモンバトルも、なによりも自分にも!」
クウヤの裏表ない素直な気持ちと考えからきたあの言葉が、今はここにいる3人に影響を与えた。
「この幹部の相手はボク達が引き受ける!
だから、クウヤもシロナさんも、あいつのところに行ってください!
そして・・・アカギを止めてください!」
「コウキ・・・ああ!」
「任せたわよ!」
「任せてください!」
シロナとクウヤを先に行かせた3人は
「あら・・・誰かと思ったら、エイチ湖でワタシに負けて泣きべそかいてた坊やじゃない。
またワタシに泣かされにきたのかしら?」
「うっせぇよオバさん!」
「オバッ・・・」
わなわなと怒りにふるえるジュピター。
「あんた、またワタシをオバさんと呼んだわね・・・!」
「ジュピター・・・まさかエイチ湖のときも言われたの?」
そういいつつも、マーズはシンジ湖で自分と戦った少女と向かい合う。
「アタシの相手はアンタかしら?」
「あなたにも、私がリベンジするわ!」
「なによ、あのときアタシに手も足もでなかったくせに!」
マーズとジュピターは最早ルールなんて知ったこっちゃないといわんばかりに自分のポケモンを全員出す。
それをみたコウキはドダイトス、ジュンはエンペルト、ヒカリはパチリスを出す。
「全力でぶつかるぞ!」
「おう!」
「ええ!」
少年少女と幹部の勝負が始まった。
「アカギ!」
クウヤはアカギに向かって叫ぶ。
「こんなこと、今すぐやめるんだアカギ!
そんなことしても誰も幸せにはなれねぇ・・・おまえも例外じゃねーよ!」
クウヤは強すぎる力によって地方が混乱し、その力に手を出したものの結末も知っている。
しかも今回は、そのときよりも取り返しがつかなくなりそうな予感がしていた。
だが、アカギはクウヤの言葉を聞き入れようとはしない。
「君が語っているのは、ホウエンの件のことか。
だがあれはその力に手を出したものが弱かっただけだ・・・私ならばあのもの達の二の舞にはならん。
なにしろ、完全なる存在なのだからな・・・」
「っ・・・」
この分からず屋が・・・!
そういう気持ちで歯ぎしりをたてたクウヤは、そこで真上に3つのヒカリが現れたことに気づいた。
光の色はピンク、黄色、水色であり、彼の前に降りてきてその姿を見せた。
「ユクシー、エムリット、アグノム・・・!?」
「心を意味する、湖に眠っているというポケモンね」
「どうして・・・」
「この子達はきっと、ディアルガとパルキアを縛るあの鎖を壊して解放しようとしているんだわ。
自分たちから生み出されたあの鎖を」
「・・・!」
シロナの言葉があっているらしい、3匹は彼女をみてうなずく。
3匹の存在にきづいたアカギは含み笑いをした。
「クックック・・・・だが無駄なことだ。
一本だけで神のポケモンが1体だけならば、すぐに解放されてしまうところだったが・・・。
今は赤い鎖は2本・・・・神のポケモンは2体。
すでに止める術などない」
アカギが彼らに対しそう告げた、瞬間。
あたりの空気が冷たくなり、徐々にかげりがさしてきた。
「・・・!?」
思わずクウヤがみたのは、足下。
暗くなっているのに、自分の影ははっきりうつっていて、徐々に祭壇の方にのびていく。
太陽も光もないのに影だけ伸びるのは、ゴーストポケモンでないとできないことなのだが、周囲にはゴーストポケモンもいなければ図鑑もそういったポケモンに対する反応はしない。
なによりも気になっているのは、全員や建物の影がディアルガとパルキアの中心に集まっていることだ。
「し、シロナさん・・・」
「ええ・・・貴方も気づいたようね」
どうやらシロナも、このかすかな異変に気付いていたようだ。
側にいる3匹もうろたえはじめることから、これは赤い鎖の仕業でないことがわかる。
やがて2体の間に集まった黒い影の塊から何かが出現してきた。
「影・・・?」
現れたのは、巨大な影の塊。
なにかの生物にも見えるが、全身が暗闇に包まれていて詳しい正体がわからず、またそれが原因なのかポケモン図鑑でもそれがなんなのかはわからなかった。
だがアカギは動じない。
「面白い、影でしか存在しないものがいるとはな・・・」
「あ、ちょ、アカギ待てっ・・・」
クウヤが呼び止めようとしたが、アカギは彼の言葉を無視してそれに近寄る。
「影よ・・・何故ここに現れた。
神の力を手にするこのアカギにさからららららららららららららら」
アカギが近寄った瞬間、影は赤い目のようなものを光らせ翼・・・爪のようにも見える部分を大きく広げて、声のような音をたてた。
すると黒い影は大きく広げた部分でアカギを飲み込みそのままひきずりこむ。
その周囲はすべてを飲み込むほどに空気が荒れ狂った。
「うわぁぁぁぁっ!!」
「クウヤくん!」
それにクウヤも巻き込まれるようにして黒い渦に飲み込まれ、シロナは彼らの後を追い自らそこに飛び込む。
その瞬間は、コウキやマーズ達も目撃していた。
「・・・今のは、誰だ?」
あの瞬間ほぼ同時に、誰かがあの穴に入っていったのを、コウキは目撃していた。
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