マイ「艦これ」「みほ3ん」EX回:第23話<接待の苦労>
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(何となく寂しそうに見えたんだ)

 

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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)

 EX回:第23話(改2)<接待の苦労>

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 ちょっと悶着はあったけど私たちは数分で鎮守府本館入口前まで戻った。

 

「お待たせしました。直ぐ、ご案内します」

五月雨が中に案内する。

 

「はぁ、やっと着いたって感じだな」

私の言葉に夕張さんが頷いている。

 

「改めて、この泊地の広さを実感しますね」

青葉さんは落ち込みから回復したようだ。

 

(しかし疲れた。遠足の引率の先生の気分だな)

……さっさとベッドに倒れて寝てしまいたい衝動に駆られる。

 

ふと腕時計を見た。

「もう、こんな時間か」

 

技術参謀も口を開く。

「そうだな……先に入った連中は、もう寝ているだろう」

 

私は思わず心の中で(アンタラ等のせいだろう……)と呟いた。

 

それを察したのか参謀は言う。

「済まなかったと思っている。だが……」

 

何かを言い掛けて彼女は途中で止まる。そして頭(かぶり)を振った。

「いや止めよう」

 

それを見て私は(彼女は武人だな)と思った。言いわけは見苦しいと思ったのだろう。

 

「あの……宜しいでしょうか」

五月雨が言う。

 

「人数も少ないですから順番に、ご案内して宜しいでしょうか?」

彼女は不安そうに見上げる。

 

「構わないよ、そうしてくれ」

「はい」

彼女は急に笑顔になった。

 

「では皆さん、こちらへ」

五月雨に続いて私たちは建物に入った。

 

廊下を歩きながら私は青葉さんを振り返る。

「本当に、案内係って大変だよな」

 

彼女は直ぐ反応する。

「そうなんです。特に軍では序列が煩(うるさ)いですからねぇ。案内する順番で揉める事だってあるんですよ」

 

私は苦笑した。

「実感、こもってるな」

 

「あはは」

彼女も困ったような顔をして笑った。

 

「軍人は特に、ね」

背後からボソッと夕張さんが呟く。

 

(君も負けていないな)

私は肩をすくめた。

 

「青葉様たちの、お部屋はこちらです」

五月雨は一階にある一室を示した。

 

「わあ、有り難う」

夕張さんは早速、五月雨の両手を取って、お礼を言った。

 

「オーバーだな!」

呆れたように私が言うと青葉さんが釈明する。

 

「だって尋問だけじゃなくてレアな武蔵様に威圧されて詰められたんですよ?」

「ああ、そうだったな」

応えながら私は逆の圧迫感……彼女から抱擁された感覚を思い出した。

 

「武蔵様は義理堅くて熱い艦娘だぞ」

私が言うと青葉さんはちょっと真面目な顔になった。

 

「まぁ、それは認めますけどね」

私たちのやり取りの間、五月雨は、ずっと待機していた。

 

それに気付いた夕張さんが促すように敬礼した。

「では夕張と青葉、一階にて休息いたします!」

 

それに続いて青葉さんも慌てて敬礼をした。

「では失礼致します!」

 

「ゆっくり休め」

私と参謀も敬礼を返した。

 

『はい』

それを見て軽く頷いた五月雨が案内を続ける。

 

「では、お二人は二階になりますので、こちらへ」

私たちは彼女と共に少し先にあったエレベーターの前へ。

 

「何だ?」

参謀が呟いた先を見るとエレベーターに張り紙がしてあった。それは、たどたどしい字体だった。恐らく艦娘が書いたのだろう。

 

(これはまるで小学生の字みたいだな)

私はそう思いつつ読み上げる。

「なになに、艦娘は使うな! ……か」

 

「あの……お客様をご案内をするときは良いんですけど」

なぜか言い訳のように説明する五月雨。

 

「分かっているよ」

「私は良いんだろう?」

 

ちょっとイジワルな顔で参謀が聞くと五月雨は一瞬、ビクッとした。

「はい……あの、大丈夫だと」

 

それを聞いた参謀は微笑んだ。

「悪かったな。私みたいなのは特例だ」

 

そして私たちはエレベーターに乗り込むと二階に上がった。二階の廊下の中央より手前が参謀親子の部屋だった。

 

「ごゆっくり」

私と参謀は互いに軽く敬礼をする。

 

「久しぶりの親子、水入らずの宿泊だな」

ふっと彼女は、そんなことを言いながら寛代と二人で部屋に入った。

 

 二階廊下の中央付近が私の部屋らしい。そこへ向かう際に五月雨から簡単な説明があった。

「提督のお部屋はゲストルームになっています。その両側には普通警備の者が入りますので今回は戦艦金剛様と比叡様でまず一部屋。その反対側には航空戦艦の日向様と空母赤城様が入られます」

 

「なるほど」

(私の部屋は艦娘がいる二部屋に挟まれる格好だな)

 

アレッと思った私は質問した。

「ちなみに龍田さんと夕立の部屋は?」

 

「お二人は一階になります。お強いですし」

彼女は微笑んだ。

 

「細かいな」

(なるほど、ああいう実戦系は階下になるのか)

 

私自身、提督になってから間が無いし外遊の真似事も初めてだ。こういう待遇には、ただ「へぇ」と感心するしかない。

 

五月雨はカードキーを取り出すとドアのロックを解除した。軽い電子音と共に閂(かんぬき)が外れるような音がした。

「ゲストルームは厳重だな」

 

「はい」

そして私は五月雨に続いて部屋の中に入ると自動で明かりがついた。まるでホテルだ。

 

ざっと部屋の中まで案内をした後、彼女は一礼をした。

「非常時の連絡は内線電話を上げて頂ければ当直班に通じます。明日は07:00の出発と伺っております。朝食は食堂にて06:00から準備致しておりますので明日改めて、ご案内します。以上……です」

 

五月雨は敬礼をした。よく頑張ったな。

 

「ありがとう。もう良いよ」

私が言うと彼女は少し恥ずかしそうな表情をしてから一礼をして部屋を出た。

 

彼女が入口の少し重たいドアを閉めると自動で施錠される音が響く。あとは静寂。

「やれやれ……」

 

子供っぽいかと思ったが私はフカフカのベッドに勢いよく飛び込んでみた。バフッという音と共に私は布団に沈み込む。

「うん幸せ」

 

バカみたいだが、そんな台詞を言ってみたかった……まさかこの部屋に盗聴器は無いと思うが、あったとしても構わない。

 

ベッドの上で身体を回転させた私は仰向けに天井を見詰める。空調が利いているらしく窓は閉まっているが快適だ。もったいない、分不相応な居心地の悪さを感じる。

 

(なぜ私は、こんな接待をされて提督としてここに居るのか?)

ふと自問してみたが上からの命令だ。考えても仕方が無いだろう。

 

それに、こういう経験は積極的にしておいたほうが今後、美保鎮守府にゲストを迎えたときにも多少は良い接待が出来そうだからな。

 

「この前迎えたのは若い作戦参謀だったから大して気を使わずに済んだよな」

自分を正当化するように私は呟いた。

 

ふと横を見るとツインのベッドだった。私は半身を起こして改めて部屋の中を見た。

(ケッコンして嫁艦がいる提督だったら奥さんと一緒に泊まるんだろうか)

 

しかし私には嫁は居ない。だから今夜は、この部屋に独りだ。ちなみに秘書艦である祥高さんは廊下の反対側に独りで泊まっている。

 

ケッコンしていなくても秘書艦を嫁のように侍らせている提督も居るらしいが、さすがにそこまでの根性も無いし関係もない。

 

普通なら、このまま寝ていただろう。しかし何かが心に引っかかって落ち着かない。

 

(何だろう、これは?)

そう思いつつ私は何気なく入口のドアを再び開けてみた。

 

「あれ?」

廊下の先の窓辺に五月雨がまだ居る。

 

(別に誰かと交信しているわけでもなさそうだが)

そう思ってジッと見ていると彼女は、気配を感じたらしい。

 

「あ」

といって振り返って私と目が合った。

 

「す、済みません。すぐに戻ります」

激しく頭を下げ慌てて、その場を去ろうとする。

 

そんな五月雨を私は思わず呼び止めた。

「あ、いや。ちょっと……」

 

「はい?」

彼女は、なぜか嬉しそうな……いや逆に困惑したかのような複雑な表情を浮かべている。一瞬、時が止まる。

 

私も、なぜ呼び止めてしまったのか?

(廊下で見た彼女の後ろ姿が、何となく寂しそうに見えたんだ)

 

これは言い訳だな。でも何か放って置けない気持ちになったのだ。

 

……ただ艦娘とはいえ今この時間に私の部屋に彼女を呼び入れたら?

それはつまり男性提督と夜の密室に二人っきりということになる。

 

(さすがに、まずい)

これが知れたら激しい誤解を招きかねない。いや、そういうのが発覚しても平気な人は良いが私には無理だ。

 

(うーん、どうしようか)

……と思っていたら急に向こうのドアが開いて日向が顔を出した。

 

「戻ったのか……司令」

ドアから半身、身を出している日向。とてもラフな……パステルカラーで少しフリフリの付いた寝巻きのような格好をしている。新鮮だ。

 

「なんだお前、まだ寝てなかったのか?」

取ってつけたように私は言う。自分でも何を聞いているのか良く分からない。

 

ただ彼女もまた取って付けたように答える。

「す、済まない……司令」

 

妙な会話だな。私は慌てて否定した。

「いや別に、解散後の各自の行動までは規制してないから構わないが」

 

お互い、やり場のない妙な雰囲気。誤魔化すように日向は言う。

「同室の赤城は、さっさと寝てしまってね……」

 

「そりゃ、さっきのご飯を食べすぎだよ」

そう言ってお互いに苦笑する。妙に噛み合わない会話だ。

 

私は廊下の五月雨を気にしながら日向に言った。

「そ、そうだ日向、実は相談だが……」

 

「ハッ」

直ぐに廊下に出て直立不動の姿勢を取りかけた彼女。だが自分が軍服ではなく寝巻姿であることに気付いて、あっと叫ぶ。

 

「司令……す、直ぐに着替えて来る!」

あたふたと自室に引き返していった。

 

(残念! そのままでも良かったのに……)

ダメか。

 

「ちょっと待っててくれ」

私は五月雨に言う。

 

「はい」

彼女は少し嬉しそうに答えるのだった。

つくづく艦娘が男でなくて良かった……私は、そんなことを考えていた。

 

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中〜(^_^;)

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PS:「みほ3ん」とは

「美保鎮守府:第三部」の略称です。

 

 

説明
鎮守府本館の宿所に到着して艦娘たちは五月雨の案内で順次、部屋に入っていく。しかし司令は、なかなか寝疲れなかった。
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艦娘 美保鎮守府 ブルネイ みほちん あ艦これ 五月雨 青葉 夕張 日向 

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