マイ「艦これ」「みほ3ん」EX回:第29話<旅立ちの朝>
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「また飯が食いたくなったら、遊びにくりゃいい」

 

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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)

 EX回:第28話(改2.1)<旅立ちの朝>

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「こちらが食堂です」

 五月雨に案内されて私たちはブルネイの早朝の食堂に入った。まだ朝早いから食堂は、がらんとしていた。

 

開口一番、感想を言う青葉さん。

「やっぱり広いですねえ」

 

「規模が大きいンだから当たり前よ」

夕張さんが呼応する。

 

五月雨が言う。

「済みません、早朝で配膳する者が居ませんので皆さんセルフでお願いします」

 

「あぁ」

私は答える。

 

そこにはパレットに山のように積んであるパンや紙パックの牛乳があった。

 

「アハァ、この雰囲気は何処も変わらないっぽい」

夕立が妙に感心している。

 

「では各自で自分の食べる量を取って下さい」

秘書艦の指示で美保の艦娘たちは近くの配膳テーブルに向かう。

 

 私は自分でパンと牛乳を取ると祥高さんと同じテーブルについた。

ほどなくして「相席するぞ」と言いつつ作戦参謀と寛代が来た。

 

「普通なら我々にはルームサービスとか、あるんだろうけどな」

参謀は言った。

 

「この方が気楽で良いですよ」

私は応えた。

 

ふと私は祥高さんが妹なのか改めて聞こうと思ったが参謀が特に何も言い出さないので黙っていた。祥高さん本人にも聞き難い。

 

 やがて朝食を終えた私たちは五月雨の案内で鎮守府の港湾部へと出た。

埠頭には南国の心地よい風が吹いている。

 

早朝の鎮守府全体は静まり返っている。賑やかだった昨日の秋祭りがウソのようだ。

 

寛代が何かをブツブツと呟き、それを技術参謀が聞いている。

「二式大挺は少し沖合で暖機運転をしているようだ」

 

「機体の担当も早朝から大変ですね」

さすが参謀付きの機体は違うな。

 

「当然だ……操縦士の報告では、すべて問題ないそうだ」

 

 私たちが、そんなやり取りをしていると向うから大柄な指揮官がやってくる。

 

早朝だからと丁重にお断りしたのだが大将が、わざわざ見送りに出てきてくれたのだ。恐縮だな。

 

 彼は私たちの近くまで来ると朝日を浴びながら敬礼して言った。

「こんな朝早くなモンでな。本来なら鎮守府総出で見送るべきなんだろうが……」

 

「いえいえ、そんな事されたら逆に気を遣いますから。このくらいがちょうどいいです」

私は応えた。

 

 彼の後ろを見ると大淀さんと昨日の演習メンバーが居る。それに若干、眠そうな川内だった。

 

(そういえば昨夜は、いろいろあったからな)

私は申し訳ないと思った。

 

 直ぐにキャッキャという声がして今回の演習メンバー同士……双方の金剛と比叡が4つ巴(どもえ)で艦娘の友情を暖めている。

「何やっても賑やかで、ややこしい連中だな」

 

私が言うと秘書艦も苦笑した。

 

 日向や赤城さん、それに龍田さんは、お互いに静かに会話している。

ブルネイの夕立は改2だから明らかに格上だ。美保の夕立は頭を撫でられて複雑な表情をしている。妙な構図だな。

 

 一方の青葉さん同士は、なぜかあまり交流してないな。先方の青葉さんは妙に膨れてるし。こちらの青葉さんは撮影で忙しい……。

 

 実はさっき先方の川内から未使用のフィルムが青葉さんに返却されたのだ。それは良かったのだが「記者同士」は競争意識が働くのだろう。あまり馴れ馴れしく、しないようだ。

 

 改めて同じ顔ぶれが双方に居る図式は不思議だ。違和感があるが、こちらの時代になれば当たり前なのだろう。

 

 私は頭を下げつつ大将に言った。

「今回は突然の来訪で申し訳なかったです」

「いや、いいさ。俺としても貴重な体験だったしな」

 

そう言いながら私たちはガッチリと握手を交わした。青葉さんは盛んにシャッターを切っている。

 

大将は続けた。

「それに、また飯が食いたくなったら、遊びにくりゃいい」

 

それを聞いて私は一瞬、考えから笑いが込み上げてきた。

「アハハ……かなり遠いと思いますけど」

 

(空間だけではない。時間も越えたんだ)

 

 日が昇るにつれて気温が上がり、風が出てきた。

 

パタパタという衣擦れの音に振り向くと技術参謀は、いつの間にか白衣を着ていた。

「何ですか? それは」

「私の普段着みたいな物だ……というよりは、私なりの礼服だな」

 

「はぁ」

この人の精神構造はやっぱり分からない。

 

その横には長い髪を風になびかせた寛代だ。相変わらず静かにしていたが受電したのか参謀に何か話しかけている。

 

頷いた参謀は全体に言う。

「そろそろ、出るぞ」

 

 埠頭からはブルネイの駆逐艦たちが敬礼をして内火挺への案内をする。こちらも準備OKのようだ。

「今日は……五月雨ではないようだな」

 

つい呟くと参謀は突っ込みを入れてくる。

「何か言ったか?」

「いえ」

 

「では全員、乗船だ」

「総員、乗船!」

秘書艦の祥高さんが指示を出し、日向が復唱する。

 

「ハッ、乗船開始!」

艦娘たちは一斉に内火挺に乗り込んでいく。私は大将に軽く会釈をして桟橋から船内へ。

 

「あれ?」

操舵手を見て、ちょっとビックリ。

 

「君は吹雪か」

「はっ、よろしくお願いします!」

吹雪は、どこへ行っても吹雪だな。

 

「頼むよ、吹雪」

私は少し微笑んで言った。

 

「は、はい!」

私は技術参謀と並んで提督席に座った。

 

「出します!」

埠頭のロープを外し内火挺のエンジン音が高まった瞬間だった。

 

「総員、敬礼!」

「あれ?」

 さっきの金剛だろうか? ……誰かの号令と共に埠頭に面した鎮守府の宿舎の扉が全て開け放たれる。そして中に居た200名を越えると思われる艦娘達がどーっと、駆け出して来た。

 

「見て見てぇ」

「わぁ、凄いっぽい」

船内の艦娘たちも振り返る。

 

ブルネイの艦娘たちは各自、宿舎の前や通路、それに岸壁にズラッと整列すると一斉に敬礼をした。大将を含めて鎮守府総員か?

 

「これは圧巻だ」

思わず感嘆の声が出る。

 

 私と技術参謀以下、挺内の美保の艦娘たちもそれに応えて一斉に敬礼をした。ブルネイの埠頭で朝日を浴びる艦娘たち。

 

「青葉さん良い写真を撮ってね」

「任せてください!」

龍田さんに言われた青葉さんは、そう言いつつ盛んにシャッターを切る。うん、それでこそ青葉さんだな。

 

整列する双方の艦娘たちが勢ぞろいだ。連合艦隊の歴史に残り得る名場面だ。

 

「あれ?」

ざっと見た感じでは武蔵様が見えない。

 

なぜか隣の参謀が口を開く。

「彼女は敢えて、こういう場に出て来なくても許される雰囲気はあるな」

 

「そうですね」

私は同意した。

 

「今日は良い天気ネ!」

金剛の声を受けた港湾部の水面が朝日を反射してキラキラと輝いていた。

 

 

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中〜(^_^;)

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PS:「みほ3ん」とは

「美保鎮守府:第三部」の略称です。

 

説明
司令たちはブルネイの鎮守府を出発する。早朝で寂しい見送りかと思っていたが、そこでは意外な事が起きるのだった。
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