マイ「艦これ」「みほ3ん」EX回:第30話(改2)<お花畑> |
司令たちの乗った二式大挺は、ブルネイの海を離水した。盛大な見送りと共に……。
「うわぁ、お花畑っぽいー!」
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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)
EX回:第30話(改2)<お花畑>
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内火挺で改めて隣の技術参謀に聞いた。
「なぜ白衣を着て居られるんですか?」
彼女は含みのある笑みを浮かべた。
「ふっふっふ、ベタだろう? こういうの。マッドサイエンチスト定番の衣装。そうだな、これは一種のロマンといえるな」
「はあ?」
いつの時代の文化だよ、それは理解に苦しむ。技術者には変人が多いというのは本当なんだな。
「お前、私を馬鹿にしているだろう」
技術参謀は凄んできた。
「いえ、決してそのようなことは」
思わず座席の上で逃げ腰になる。
ところが彼女は、にじり寄って来ると周りを気にしながら小声で言った。
「本当はナ、これは目眩ましだ。いくら私の方が階級が上でも違う時代だ」
「はぁ」
イマイチ良く分からない。
彼女は続ける。
「しかもここで、あの筋肉マンの提督に疑われたら『永遠のデータ』が水の泡だ。私が不満そうな表情をしているのも、すべて演技なのだ」
「はあ……それは凄過ぎますね参謀閣下」
私は半分呆れている。
だが彼女はニタリとして続ける。
「青葉と夕張だがな。あいつらの本体内に記憶エリアがあるのは知っているだろう?」
「はい」
私たちは青葉さんと夕張さんを見た。
「Sラムで容量は小さいし、本来は戦闘のGPSや残弾とか燃料消費ログ用なんだが……そこに今回のマル秘画像や文書データを突っ込んでいる」
「はぁ」
「もちろん私のエリアにも多少入れてあるんだが、こっちには、わざとダミー、つまり囮が入ってる」
私は頭を抱えた。
「む、難しいんですけど、それは要するに自分に目をひきつけて、いざとなったら嘘データで誤魔化すと」
「そうだ、だいぶお前も学習したな」
笑う技術参謀……これって褒められているのかな?
やがて内火挺は二式大挺に横付けされた。機内からは副操縦士が扉を開けて敬礼をする。私たちは次々と乗り込んだ。
技術参謀に続いて日向が船内の最終チェックをして私に報告。
「異常ありません」
「うむ」
彼女に続いて私が最後に乗り込む際ブルネイの吹雪が敬礼をして言った。
「道中のご無事を祈っています!」
「ありがとう」
私は敬礼を返して大挺に乗り込んだ。
扉を閉めると機長が全員に確認をした。
「皆さんベルトは、よろしいですか?」
日向が確認して報告する。
「司令、大丈夫だ」
「あぁ」
それを受けて私は機長を見た。彼は頷くと「出します」と言い副操縦士と最終確認後、操縦悍を操作した。
腹に響く発動機の回転音と共に機体は、ゆっくり動き出した。その間に私は着席してベルトを締める。
数分、港湾内を水上走行した後に窓の外に水平線が見えてきた。
「外洋か」
海軍に身を置く者として、やはり海は良い。特に水平線が見えると気分が高揚してくる。それは水上艇に乗っていても同じなのだな。
ブルネイの管制班と交信をしていた副長が言う。
「では、出発いたします!」
主の発動機に点火され二式大挺独特な始動音が鳴り響く。
「もう終わりって、あっけないっぽい」
「ホントね」
夕立と夕張は率直な会話をしている。
彼女たちの言う通り、この数日間は慌ただしかった。
ブルネイに到着してからも緊張する場面も多々あった。
それも気が付けば、もう終わり。確かに、あっと言う間に過ぎ去ったな。
それは時間を飛び越えたから感じるのか?
それとも、ここがブルネイだから?
「そんなこと誰にも分からないよな」
苦笑した私は腕を組んで窓の外を見た
やがて大挺は滑らかに水面を滑り出した。すると急に埠頭の方から大きな歓声が聞こえた。
(見送りかな?)
そのときは特に気にも留めなかった。
次第に機体は加速して離水。心地良い発動機の音が響く。
間もなくブルネイの海を下に望む高度になった。
「ひと回り、しましょうか」
機長が気を利かせ機体を大きく鎮守府の上空で旋回させる。
窓の外の赤い太陽が、ぐるりと廻り橙(だいだい)色に染まる地上が窓から、よく見えた。
「ねえ、見てみてぇ」
夕立の声に皆が窓から下を見る。大勢の艦娘たちが鎮守府の至るところから帽子や手を盛んに振っていた。
朝日を浴びた色とりどりの艦娘たち。その揺れる様は、まるで……
「うわぁ、お花畑っぽい!」
まさにそれはブルネイの地に咲いた可憐な、お花畑だった。
「艦娘たちの一途な気持ちの結晶だな」
私が思わず呟くと
「うまいこと言うな」
……と、技術参謀。
(あれ? 聞こえました?)
ちょっと恥ずかしかった。
機体はブルネイ上空を大きく旋回している。ここから見える海や町並みが綺麗だった。
「もうちょっと町とか出たかったです」
「Yes!」
金剛姉妹の意見も、確かに言えてるな。
やがて外洋に一番近い埠頭の外側に、ひときわ目立つ青い髪の艦娘が見えてきた。
「……あれは五月雨だな」
彼女もまた必死に手を降っていた。あの可愛らしい声が聞こえてきそうだ!
私も思わず返したくなったが……無理か。ここは、機内だもんな。
(まぁ気持ちだけ)
私は、小さく手を振っていた。
「五月雨ちゃあん、有難ぉお」
大声で叫ぶ夕立。こんなときはストレートな彼女の性格が羨ましく思える。
機長からベルトを外して良いという指示が出た。直ぐに誰かが近づいてくる気配がした。
「司令ぇ」
慌てて振り返った。
「なんだ青葉さんか。変な声出すなよ」
私の言葉に彼女はニタニタしている。
「何だ? その目つき……もう写真は良いのか?」
青葉さんは口を開いた。
「あの娘、密かに連れて来ちゃったら、良かったんじゃないですか?」
「なっ!」
絶句した。
「……何を言うか? そんなこと出来る訳が無いだろう!」
「まーた、またぁー」
「こら! 上官を小突くなっ! お前の肘、痛いぞ!」
すると夕張さんも加勢してくる。
「そうですよ、千歳一隅のチャンスを逃しちゃいましたねえぇ、あんな良い子」
「お前ら、調子に乗りやがって」
私の言葉にはビクともしない二人。
そこで私は奥の手を出した。
「あんまり、しつこいと、二人が武藏様の前でビクついていたことを戻ってから皆にバラすぞ」
『あー!』
「それだけは堪忍してください」
急に、仰け反って態度を変えた二人。
(そうか、あれが切り札に使えるのか)
「What? いったい何事ネ」
金剛が聞いてくる。
「なんでもない」
適当に誤魔化した。
ただ、もう一人の当事者……技術参謀も微笑(ほほえ)んでいた。
(相変わらず寛代は無表情だが)
(その笑顔に救われるな)
それで、すべて良しとしようか。
私は、透き通る海を眺めながら思った。加速する機体の振動が心地よかった。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中〜(^_^;)
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。
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