真 ・恋姫無双呉ルート(無印関羽エンド後)第六章 |
冥琳が兵糧の確認にいって俺と愛紗の二人きりになった。
「なあ、愛紗」
俺は愛紗に話しかけた。
「は、何か」
と愛紗が返す。
「俺さ、ずっと考えていたんだけどさ
やっぱり呉にとどまろうとおもうんだ」
俺は愛紗にこの世界に来てからずっと考えていたことを告げた。
「それは、何ゆえに?」
「なぜって言ってもな・・・・・。
しいて言うなら、雪蓮たちの力になりたいから、かな?」
「力に・・・ですか?」
「ああ、俺達ってさ、雪蓮たちからしたら、赤の他人だろ?
そんな俺達にさ雪蓮たちはまるで家族みたいに接してくれてるからさ、
その、恩返しみたいな感じで俺にできることがあったら
手助けしたいんだよ」
「なるほど」
「それに・・・」
「?」
「・・この世界に劉備が居るなら
こっちの愛紗たちに俺は必要ないだろうから・・・」
「!!」
愛紗が驚いたような顔で俺を見ている。
そう、もしこの世界に劉備が存在するのなら
こっちの愛紗たちに俺は必要ない。
もっとも居たらの話だが・・・・。
黄蓋や程普がいるのだから劉備もおそらく居るだろう。
「それで愛紗はどうする?
この世界の鈴々たちでも探しにいく?」
俺は愛紗に尋ねた。
「・・・前に言ったはずです、
私はいつまでもご主人様のお側にいると・・・。
それに、この世界に劉備がいるのなら、
きっとこの世界の私もいましょう。
三国志に、関雲長は二人もいらないでしょう?」
「・・・ああ、そっか」
たしかにこの世界が三国志どおりなら、
きっと関羽もいるだろう。
ならば、たとえ愛紗が劉備のところに行ってもしかたがないだろう。
「分かっていただけましたか?
もしこの世界にも私が居るのなら
いまさら行っても無用の長物です。
それに、私も呉の皆に世話になっていますからね。
恩は多少なりとも返したいですから」
そう愛紗は笑いながら言った。
「そっか・・・」
愛紗の言葉に俺はそうつぶやいた。
俺は嬉しかった。
愛紗が俺のそばに居ると言ってくれたことが。
彼女がそばに居てくれるのなら、どんな困難も乗り越えられる気がする。
いつも気丈で、勇ましい、時々寂しがりやな俺の大好きな愛紗が居てくれるなら・・・。
「しかしこの世界にも愛紗がいるなら
ひょっとしたら関羽対関羽の対決が見れるかもしれないな〜。」
「できればそういうことになりたくありませんね。
それから、今の私は天の御使いに仕える天将、関平です。
関雲長ではありませんのであしからず」
「おおっ、そういやそうだったな忘れてた」
「全く・・・。」
俺が笑っているのを見て、愛紗はあきれたような顔をしていた。
そして出陣の日
俺たちは黄巾党の陣を目指して進軍していた。
軍資金に関しては、袁術はあっさり承諾して、
この戦の費用全部を代わりに払ってくれたらしい。
さすがは三国一の名家、四代三公を輩出した袁家、といったところか。
もっとも途中で没落するんだけどね・・・。
と、軍が停止した。
どうやら目的地に着いたらしい。
そして俺と愛紗は雪蓮に呼ばれて、軍議に参加することになった。
「さて、今回の戦の課題は、我等の倍の兵にどう勝つか、ですが・・」
冥琳が切り出した。
「それについての策はもうできているのでしょう、冥琳」
「はい六花様、
敵がいかに烏合の衆とはいえ、後の独立の為にも出来るだけ被害が少なく、
風評に残るような勝利をせねばなりません。
そこで今回の戦では火を使うというのでどうでしょうか」
と、冥琳が皆に聞いた。
「いいわね〜、真っ赤な炎って、私好きよ」
「こちらの被害が少なくなるというのでは賛成じゃ」
「それになかなか痛快な勝ち方ですしね、いい戦術ですわ、冥琳」
「では、決定ですね」
雪蓮、祭さん、六花さんが賛成したので作戦は火攻めになった。
火攻め、ねえ・・・。
勝つためとはいえ、さすがに人を焼き殺すのは抵抗があるな・・・。
まあ、仕方ないといえば仕方ないんだけどね・・・。
「?どうかしたの?一刀」
雪蓮が俺に話しかけてくる。
どうやら考えていたことが顔に出たらしい。
「・・・いや、ちょっと緊張しちゃってな・・・」
「そっ、あまり無理はしないほうがいいわよ」
と雪蓮は俺に言った。
「それでは配置は伯符と黄蓋殿と程普様が先鋒、私と穏は時期を見て火矢を放ちます。
それでは全員配置についてください」
「はいはい、わかったわよ・・・ああそうそう関平」
いきなり雪蓮は愛紗を呼んだ。
「はい、何か」
「あなたには今回先陣をつとめてもらうけど、いい?」
「は?なにゆえ私に?」
愛紗は疑問に思っているようだ。
ま、俺たちは新参者なんだしそれもしかたないけど・・・・。
「だってあなた私に勝ったでしょ?
自分で言うのも何だけど
私に勝てる武将なんてそうはいないわ。
私はあなたのその腕を買っているのよ」
「ふむ・・・どうしましょうご主人様」
愛紗が俺に聞いてくる。ま、愛紗なら先陣でも大丈夫だろう。
「ん、いいんじゃない?引き受けても」
「わかりました、雪蓮殿、その話、お引き受けしましょう」
「そ、ありがと♪助かるわ♪」
と雪蓮はうれしそうにいって、そのまま兵の指揮に向かった。
「愛紗、よかったのか?」
と俺は愛紗に聞いた。
「大丈夫ですよ、ご主人様。
黄巾党ごときに私が討たれるとでもお思いですか?
一度体を実戦に慣らしたいと思っていたところでしたので
ちょうどいい」
「そっか、ま、愛紗はかの関雲長だからな
大丈夫か」
「今は関平ですよ、ご主人様」
「おお!悪い悪い、また間違えた」
「まったくもう・・・」
しばらくの間、俺たちは笑いあった。
して全軍が配置につき、愛紗も自軍の前方に向かった。
「それじゃあ雪蓮、全軍に号令を」
「ええ、分かってるわよ」
冥琳に促され、雪蓮が前に出る。
「勇敢なる呉の兵士たちよ!
いよいよ我等の戦いが始まるときが来た!
新しい呉のために! 亡き先代孫文台と孫栄が悲願を叶えるために!
天に向かって高らかに謳い上げよ!我等が武と勇を!
敵は無法を尽くす黄巾賊!天の使いと天将に護られし我等の敵にあらず!
全軍抜刀せよ!今こそ天に変わりて獣じみた賊どもを狩りつくせ!」
号令とともにすさまじい歓声があがる。
これが、江東の小覇王孫伯符・・・。
なんて迫力だよ、まったく・・・。
思わず体に震えが走った・・・。
むこうの世界で生きていたら、孫呉に勝てたかどうか分かんないな・・・。
まあ、いまは関係ないか・・・。
「全軍、突撃せよ!!!」
雪蓮の号令の下、孫呉の軍勢が黄巾党に突撃を開始した。
こうして、俺と愛紗のこの世界での初陣が、幕を切って落とされた・・・。
さて、ようやく黄巾党との戦が始まりました。
でも戦闘シーン苦手なんだよな・・・。
まあとにかく頑張って更新していきますのでこれからもよろしくお願いします
追伸
雪蓮の号令に出てきた孫栄という人は、孫堅の夫で
雪蓮、蓮華、小蓮の父親という設定です。
孫堅の代の呉の財政や内政に携わっており、孫堅とともに呉の基礎を築いた人物、という設定にしました。
すでに亡くなっており、墓は孫堅の墓の隣に作られた、というオリジナル設定があります。
ちなみに元の名前は呉栄。
説明 | ||
新章投稿しました! ようやく黄巾党との戦いの始まりです! あと、名前だけオリキャラが登場します。 |
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コメント | ||
楽しみ^^(オシリス) 愛紗の初戦、大活躍を期待します。(ブックマン) 無駄に細かく区切りすぎですね。かなり読者に対して不親切だと思います。(tontoro) 続きを期待して待ってます!!(キラ・リョウ) 愛紗がんばれ!作者様がんばれ!(flowen) |
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