私には声を 君には恋を。
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「あんた、いつも思うけど声でかいわよね」

 

夏。

蝉の鳴き声は、締め切った教室にすら零れてきていた。

そんな中で私は、机に突っ伏しているそいつに話しかけた。

 

「んぁ?何だよ急に、何、喧嘩売ってる?」

「いや。売ってないわよ。ただちょっといつも煩いなぁって思ってるだけ」

「売ってるだろ。それ絶対売ってるだろ。買うぜ?喧嘩売ってるなら買うぜ?」

「ほら、声大きくて煩い。ちなみに売ってないって言ってるでしょう。何で金にならないもの売らなきゃならないのよ」

「その態度が売ってるようにしか見えねえぞっ!」

「しつこいなぁ。そんなに売ってもらいたいならコンビニにでも売ってもらえば?」

「うがああ!!」

 

暑い中、さらに暑そうな声でそいつは叫んだ。

一方で私は涼しい表情をしつつ、緑色の透けている下敷きで自分を仰いでいた。

…涼しいなあ。

 

「はーいそこのお二人さん、お話は良いからちゃんと授業聞きなさいねー?」

 

そういうとチョークを持った町子ちゃんがこっちに向かって言ってきた。

 

「あーあ、どっかの誰かさんの声がでかいからバレちゃった」

「お前が言いだしたんだろ!」

「ほらほら!言ったそばから喧嘩しないの!ちゃんと聞きなさい」

「「はあーい」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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気付けば貴方の声ばかり、聞いていました。
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