ブレンド・百合 【麻冬×夏帆】 |
ブレンド・百合 【麻冬×夏帆】
追試が終わった後でも休みの日にちょくちょく麻冬さんとカフェで勉強を
教えてもらっている。追試の時は必死でやっていたから気づかなかったけど…。
「ん…どうしたの?」
「な、なんでもないよ!」
声をかけられてびくっとなった私はつい反射的に持っていたノートで
顔の下半分を隠していた。
そしてブラックコーヒーを一口飲む麻冬さんの顔をジッと見る。
幼い見た目のわりに綺麗な顔立ちと冷静な表情から本当にお姉さんっぽく
見えてくるから不思議だ。いや、実際年齢的にお姉さんなんだけどさ…。
そしてその年齢とは思えない肌のハリツヤ。唇なんてぷるぷるしていて
気持ち良さそう…!触ってみたい。けど変な子だと思われそうだし…。
「さっきから何こっちをジロジロ見てるのよ…」
「え、えぇと…」
「はぁ…まったく。変な子ね」
「ガーン…」
さっそく変な子扱いして軽くショックを受けるがそれ以上にこうして
向かい合って話して相手の表情をじっくり見ていると何だかドキドキしてくる。
何だろう…この気持ち。顔も熱くなってる気がするんだけど…。
「…今日、調子でも悪いの?」
「い、いや…」
「ちょっと貸してね」
「えっ、ちょっ…!」
麻冬さんが身を乗り出すと私の額に手を当ててから、額を合わせてくる。
その瞬間、私の頭の中が真っ白になって何も考えられなくなっていた。
「うーん、ちょっと熱いけれど。大丈夫そうね…。あら、どうしたの?」
「おで…おでこ…」
「あぁ、もしかして触れられるの嫌だった?」
「そ、そんなことないよ!」
むしろ嬉しいくらいだし!でも、この気持ちの状態でそんなことされたら…。
「でも顔赤いわね。今日のところはここまでに…」
ちゅっ…!
顔を近づけたまま話している麻冬さんの唇を見つめたまま自分でもわからない内に
その唇に吸い込まれるようにキスをしていた。
周りに人はいたけれど一瞬の間しか触れてはいなかった。なぜなら気づいた私が
慌てて麻冬さんから離れたから。でも麻冬さんは嫌だったのかその後すぐに
私の頭にチョップを一発入れてきた。
「人前で何をしてるの…」
「ご、ごめんなさぁい…!」
「まったく…。今日は勉強見る気分じゃなくなったわ」
「えぇ…」
「自業自得よ」
そう言ってバッグを持って席を立つと早歩きで出入口に向かう麻冬さんを
慌てて追っていった。幸せな時間は私の行動一つで青ざめてしまいそうな時間に
なってしまった。けど…あの柔らかさはクセになりそうになる…。
触れた暖かさと柔らかさがまだ唇に残っていて怒っている麻冬さんの後ろで
静かに自分の唇に指を当ててあの幸せな瞬間を思い出しながらかみしめていた。
***
【麻冬】
翌日、私は店で着替えをしているとふと昨日のことを思い出して唇に手を当てる。
今でも目の前で起こっているように感じられるほど鮮明に思い出せる。
着替え終わって店長とあいさつを済ませると、店長は珍しいものを見るような顔をして
私を見ていた。
「あれ、麻冬サン。なにかイイコトありましたカ?」
「えっ…」
「何だか嬉しそうに見えたのデ」
「…えぇ、そうね。いいことがあったのかもね」
あの時、私は夏帆に怒ったけれど。本当は嫌じゃなかった。むしろ嬉しかったのかも。
あれは人前ということもあったけれど照れ隠しの意味もあったのかもしれない。
曖昧な言い方になるのはつい自然に手を出してしまったから。
でもあれから冷静になって思い出すたびに今みたいな気持ちになるのだから
嬉しいのでしょうね…。
まぁ、わざわざ私から言うことでもないから。また機会を作ればあの子から
してくるでしょうから…ちょっと待ってみますか。
「今度は何か企んでそうな悪い顔デスネ…」
「一言余計なのよ、店長は」
ガシッ
「イ、イタイですー!!」
店長の足に力を込めた一撃をお見舞いしてフロアに出ると夏帆と目があった。
「あ…」
「ぼーっとしてないで仕事するわよ。あなたには期待してるんだから」
「えっ!?今なんて!」
「…」
しょんぼりしていた夏帆がまるで褒められた犬のように明るい表情に変わり
私に近づいてきてさっきの言葉をねだってくるけど…。
こんな小恥ずかしいこと何度も言えるわけないでしょうと思い、夏帆から距離を取った。
「もう〜、このツンデレお姉ちゃん!」
「ツンデレはあなたの仕事でしょうが…」
まだお客さんがいない時間だから良いものの…、夏帆は私を追いかけてきて
抱きついてきた。悪い気はしないけれどお客さんが来て見られたら
イメージ崩壊するのが必死だから再びチョップをして距離を空けた。
ビシッ
「あいた!」
「今はだめよ。仕事を優先なさい」
「うん…今はってことは…じゃあ後でならいいんだよね」
「…その辺はあなたに任せるわ」
「…!うん、私がんばるね!」
明るい色の花が咲いたように明るく可愛らしく笑顔を振りまく夏帆を見て
私も自然と頬が緩んでいる気がした。同性に対してこんな気持ちを抱いたことは
今までなかったけど悪くはないと思えた。
時間を確認して私は夏帆のお尻を叩いて気合を入れた。
「さぁ、仕事始めるわよ」
ばしっ
「いたぁい!わかったよ、わかりました〜!」
さぁ、いざ開店。扉を開けて入ってくるお客さんに私はいつものキャラを演じて
笑顔を振りまいた。
「いらっしゃい、お兄ちゃん〜!」
お終い
説明 | ||
アニメを見ていたら、まふかほが再燃したので勢いで書いていました。 この二人のやりとりが個人的に唯一の癒し要因ですなぁ(*´▽`*) あくまでカプとしてはですが。一人一人だったらみんないいんですけどねw |
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