Kiss Trick2〜優×春香〜
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Kiss Trick2〜優×春香〜

 

【春香】

 

 大学へ通うようになってからは優ちゃんと会える回数は確実に減ってしまった。

寂しいと思うことはあるけれどそれ以上に新しい環境に慣れなきゃいけない必死さが

あるために会うまでの時間があっという間に過ぎるように感じていた。

 

「優ちゃ〜ん」

「いらっしゃい、春香」

 

 白い息を吐きながら扉の前で待っていると急いでくるような足音が聞こえてから

私を笑顔で迎えてくれた。

 

「どんどん寒くなってくね〜」

「そりゃ冬だからね」

 

 お互い別の道を進んでどっちも一人暮らしを選んだから親を挟まない分、気楽に

どっちの家へも行き来するようになっていた。今日は優ちゃんのおうち。

入ると暖かさと優ちゃんの香りに包まれた部屋に天に昇ってしまいそうな

気持ちでちょっと大きめなソファーに向かって倒れるような勢いで横になって

傍にあったクッションを抱きしめる。

 

「ちょっと春香〜」

「優ちゃんの匂い〜」

 

「本人の前でそれやめてくれないかな〜…」

 

 顔を赤くしてムッとした表情を浮かべながら私の隣に座る優ちゃん。

 

「もちろん優ちゃん自体が一番だよ!」

 

 隣にいる愛する人に抱きつきながら優ちゃんの胸元に甘えるように頭を押し付ける。

 

「わぁっ、今日はずいぶん甘えてくるね。…大学大変?」

「そりゃそうだよ!もー、聞いてよ!優ちゃん!!」

 

 1週間ぶりに会った優ちゃんにこれまでのことを勢いに任せて話した。

嫌なわけじゃないけど慣れないストレスだってそれなりに溜まっているから

優ちゃんに受け止めてほしいってだけのつもりで話していた。

 

「はいはい、お疲れ様だね」

「優ちゃんは?」

 

「すっごい充実してる」

「ずるーい!」

 

 必死な私に対して優ちゃんは余裕そうな笑みを浮かべる。

私の反応に楽しそうに笑ってからキスをしてきた。

 

 チュッ

 

「でも春香のことが恋しいのはまた別だから」

「えっ…」

 

「春香に会いたかった…すごく…」

 

 息がかかりそうなほど近い距離でつぶやいて声に少し色気が加わる。

熱っぽい眼差しにドキドキしながら私は優ちゃんの体を引き寄せてもう一度キスをした。

前からしていたことなのに恋人という肩書になってからはまた違った感覚がして、

するたびに新鮮な気持ちでいられる。

 

「私も…したかったよ…優ちゃん」

 

 チュッ… チュッ…。

 

 優ちゃんが力強くしてくるから少しずつ押されて被さるような形になって

力を抜いて優ちゃんに任せようと思った瞬間。

 

「ぷっ…」

 

 急に優ちゃんが私の顔を見て笑い始めたではないか。

 

「なになに?私、変な顔してた?」

「ううん…。卒業の頃の春香を思い出してた。号泣してた時の…」

 

「もー、優ちゃーん!?」

 

 思い出した私は顔がすごく熱くなって、優ちゃんに向かって怒ると

ちょっと困ったような表情を浮かべつつも笑みはそのままで謝る姿に

私はぷりぷりしてると今度は行動で私の機嫌をよくしようとした。

 

 チュッ…。

 

「ん…。…キスすれば機嫌直るとか思ってない?」

「ううん、私がしたかっただけ。だってあの時の春香も今の春香もすごく好きだから。

可愛かったから」

 

「もう…。私も同じくらい好きだし可愛いと思ってるよ!」

 

 優ちゃんにばかり言わせて私も優ちゃんに言いたかったから

やや強引に割り込んで優ちゃんに愛の言葉を投げてキスをした。

しばらく二人で抱擁しながらキスを交わしてからテレビを見て思い出した。

 

「そうだ、今日クリスマスだよ。ねぇ、優ちゃんイルミネーション見にいかない?」

「やだ!」

 

「ええー!?」

 

 即答されてショックなんだけど…。

 

「だって寒いんだもん」

「でも…せっかくのイベントなのに…」

 

「ケーキとか作るからさ〜。暖かいとこで一緒にだらだらしなーい?」

 

 でた、優ちゃんの悪魔の誘惑が…。でも確かに暖かい場所で優ちゃんと一緒にいるのは

夢のようだ…。でもそれだと夢がないよぉ…。

 

「もう…わかったよ。でも来年は行こうね」

「うん」

 

「じゃあ二人で一緒にケーキ作ろうか」

「私一人だと不安だとでも?」

 

 確かに優ちゃんは以前までは食べる専門だったけれど、今は専門学校行ってるし

不安はないけど。

 

「一緒に作りたいだけなの!」

「しょうがないなぁ、春香は」

 

 と言いながらも嬉しそうな表情はそのまま出ているので隠しきれていない。

そして二人で料理を作ってテーブルに並べると優ちゃんがどこから持ってきたのか

綺麗なキャンドルをテーブルに置いて火を点けて部屋の灯りを消した。

 

 すると一気に辺りが暗くなりキャンドルの周りだけが明るくなった。

それだけの演出なのにどこか幻想的で目の前に優ちゃんがいるのがわかるだけで

安心してその雰囲気に浸れる。

 

 二人で作った料理はどれも美味しくてこれはこれでクリスマスを満喫できてる気がした。

暖かい部屋で暖かい飲み物を口につけながら昔の話を交えてまったり過ごす幸せの時間。

時間を確認していなかったからわからなかったけれど、かなりの時間が経過していたの

だろう。

 

 点けていた複数のキャンドルはすっかり小さくなり部屋の灯りを点けると

もうすぐ日付が変わりそうな時間帯だった。

 

「わっ、もうこんな時間なの!?」

「ねぇ、春香…。今日泊まっていくよね?」

 

「もちろん!」

「よかった…」

 

 チュッ

 

 正面から私の隣に移動してきた優ちゃんは私の頬にキスをして嬉しそうに笑みを

浮かべていた。いつも口でしているからか頬にされるのは慣れてないせいか

少し気恥ずかしかった。普通は逆なのかもしれないけど。

 

「ずっと…愛してるよ。春香」

「な〜に、改まって…?。…私もだよ、優ちゃん。ずっと愛してるよ」

 

 最初は二人の関係が変わるのが怖くてたまらなかったけれどこうして離れて過ごしたり

恋人同士になって良かったと思ってる。優ちゃんの言うことは間違いないと思った。

 

「ようし、私も優ちゃんに負けずがんばらなきゃ。

将来に優ちゃんと同棲しても大丈夫なように!」

「同棲って…」

 

「嫌?」

「そんなわけないよ!嬉しいよ。でもその言葉口に出すとちょっと恥ずかしいね…」

 

 想像して真っ赤になった優ちゃんが可愛くて私もお返しで優ちゃんのほっぺに

キスをした。もう今日会ってからどのくらいしたのか数えられないくらいキスをしていた。

 

「楽しみにしてるね。その時を」

「うん、私も楽しみ」

 

 抱擁しながら相手の体温と柔らかさを感じながらしばらく二人で愛し合った。

その後、お風呂に入ったり寝るのもずっと二人で過ごして優ちゃん分を補給できた

私は明日からまた頑張れる気がした。いや、頑張らなくちゃ。

 

 愛する優ちゃんのために。

 

 

お終い。

 

 

説明
ちょっと大人になった二人のお話。
なので普段あまり言わなそうなことを言わせてみたり
甘々な感じにさせてみました♪
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桜trick 園田優 高山春香 百合 キス 

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