本編補足
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C1 部屋

C2 壺

C3 異変

C4 物語付き

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C1 部屋

 

シーン皇国。オウト府。コクリュウ藩大名屋敷。機器の音が鳴り、資材を運ぶ多数の力弐式作業用人型機構。屋敷の庭の石畳を歩く建設会社マルタ組の作業員のセタと作業員A。

 

セタ『しかし、まあ。これだけ広い屋敷を持ってもとり潰されてはひとたまりもないのう。』

作業員A『世継ぎがなければしかたあるまいて。今度の殿様はシザキと…。』

セタ『シザキかぁ。あの人斬りだしよった…。外国逃げて未だ捕まっとらんそうやないか。』

 

周りを見回す作業員A。

 

作業員A『まあ、そういうな。シザキ家の役人からはこの屋敷のものを何でももっていっていいと言われとるんだから。』

 

笑うセタ。

 

セタ『まあな。』

 

屋敷を見回すセタ。

 

セタ『色々面白いもんありそうだしの。』

 

作業員Bの声『なんやこれ!』

 

顔を見合わせるセタと作業員A。駆けて行く彼ら。

 

 

解体されたコクリュウ藩の屋敷に掘られた穴から見える封魔岩で囲まれた部屋

 

セタ『…なんかあったんか?』

 

セタの方を向く作業員C。

 

作業員C『いや、穴をほってたら見つけたんですわ。この岩…。』

 

身をかがめ、岩を触る作業員A。

 

作業員A『こいつは封魔岩だな。しかも随分といいものを使ってやがる。』

セタ『ほぅ…。』

作業員C『そうなんですよ。これ、なんかいわくつきのものじゃないですか?』

 

立ち上がる作業員A。

 

作業員A『うむ…。』

作業員C『…とりあえずシザキ家に…。』

 

部屋に降りていくセタ。

 

作業員A『おい、セタ。何やってる!』

 

セタは作業員達の方を向く。

 

セタ『おいおい。そんなことやってたらお宝はシザキ家に奪われてしまうで。』

 

顔を見合わせる作業員達。

 

セタ『シザキ家の役人はこの屋敷のものなんでも貰っていいと言っとるんや。』

 

セタの方を向く作業員達。セタは魔封岩で囲まれた部屋を指さす。

 

セタ『これだけ大層な魔封岩で閉じ込めとるということは相当な宝物があるんやろ。』

 

喉を鳴らす作業員達。彼らはセタと共に下に降りていく。

 

C1 部屋 END

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C2 壺

 

コクリュウ家屋敷。石室内へと降りていくセタと作業員達。

 

作業員D『…これはお決まりの罠とかあるんじゃないですかね…。』

セタ『あるかもな…。』

 

石室の扉の前に立つ一同。喉を鳴らす作業員F。作業員達の方を向くセタ。

 

セタ『この先に…お宝があるかもしれん。』

 

セタは彼らに背を向け、石室の扉を開ける。

 

セタ『やっぱり暗いの…。』

 

セタは懐中電灯のスイッチを入れる。咳き込む一同。懐中電灯が封魔岩で囲まれた広い部屋の中央にある布で封がされた壺を映し出す。中に入り、懐中電灯で周りを照らした後、中央の壺に光を当てるセタ。

 

セタ『…なんや。お宝はこれだけか。』

作業員E『おい。セタ。その壺…なんだか気味が悪いぜ。コクリュウに伝わる化け猫のミイラでも入ってるんじゃねえか。』

 

作業員Eの方を向くセタ。

 

セタ『そうか?この中に大判小判がざっくざくかもしれんで。』

 

眉を顰める幾人かの作業員達。セタは壺に近づき、封を開ける。

 

作業員E『お、おい!セタ!!』

 

壺の中を覗き込むセタ。彼は暫くしてため息をついた後、一同の方を向く。

 

セタ『…なんもあらせん。』

 

壺の方を向くセタ。

 

セタ『中身は無いとはいえ、なかなか良さそうな壺じゃ。ちょうどインテレアで家内が欲しがっとったわ。』

 

笑うセタ。

 

作業員A『おいおい。セタ、そんな薄気味悪いもん本当に貰うのか?』

 

作業員Aの方を向くセタ。

 

セタ『んっ、ああ。』

 

セタは壺を懐中電灯で照らす。

 

セタ『わしはこの壺を気に入ってしまったわ。』

 

C2 壺 END

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C3 異変

 

シーン皇国。オウト府。ニシキ街の長屋。引き戸を開けるセタ。長しで野菜を切るセタの妻。彼女はセタの方を向く。

 

セタの妻『あらおかえんなさい。』

 

周りを見回すセタ。

 

セタ『…坊は?』

 

部屋の方を向くセタの妻。

 

セタの妻『あれ、さっきまでそこにいたんやけど…。』

 

坊の声『キャッ!キャッ!』

 

背伸びして部屋を見回すセタ。

 

坊の声『キャッ!』

 

壺の方を向くセタ。

 

セタ『おい。坊。そんなところにおったんか。』

 

セタは壺の中を見つめる。セタを見上げて両手を上げ、微笑む坊。セタは坊を抱き上げる。

 

セタ『しょうがないやっちゃな。』

坊『キャッ!キャッ!。』

セタ『ほ〜れ、ベロベロベロバー!』

坊『キャッ!キャッ!。』

セタ『ベロベロベロバー!』

 

坊を抱くセタを見るセタの妻。

 

 

深夜。ニシキ街の長屋。布団で眠るセタとセタの妻。

 

坊の声『キャッ!キャッ!』

セタ『う〜ん。』

 

セタは眼を人差し指でこすり、状態を起こす。

 

セタ『何や坊。まだ起きとるのか。子どもは寝る時間やで。』

 

坊の声『エヘヘヘヘヘ、キャハ。』

 

周りを見回すセタ。

 

セタ『んっ、坊?坊…どこにおるん。』

坊の声『キャッ、キャッ。』

 

セタ『なんや、また壺に入って遊ん…。』

 

壺から坊の上半身が出る。首を傾け、白目をむき、泡を吹きながら痙攣しながら笑う坊。

 

坊『キャ…キャ…キャシャ…。』

 

セタは身を震わせる。

 

セタ『お、おい。起きろ!お前!起きろ!!』

セタの妻『何だいこんな夜更けに、ご近所さんに。』

 

壺に入った坊を見、飛び上がるセタの妻。

坊の入った壺がセタとセタの妻めがけて飛ぶ。

 

坊『キャシャー!キャシャーーーーーァアアアアアアア!アアアアアアアアアァアアア!!』

セタ『うわあああああああああ!』

セタの妻『きゃあああああああああああ!!』

 

引き戸が蹴破られ、現れる八咫烏庁の構成員Aとオンディシアン教国暗部職員A。八咫烏庁の構成員Aは坊に札を投げる。札が坊の額に張り付き、その場に倒れる坊。転がる壺。顔を見合わせるセタとセタの妻。セタは八咫烏庁の構成員Aの方を向く。

 

セタ『あんたは?』

八咫烏庁の構成員A『わたしは八咫烏庁のものです。』

セタ『やた…。』

 

オンディシアン教国暗部職員Aの方を向くセタ。

 

セタ『あの洋装のやつも八咫烏かいな?』

八咫烏庁の構成員A『あれはオンディシアン教国の暗部の方。セタさん。あなたコクリュウ家から壺を持ち出しましたね。』

 

八咫烏庁の構成員Aを睨むセタ。

 

セタ『な、何か罪に問われるのか!シザキ家の役人との取り決めや。』

八咫烏庁の構成員A『いえ、その壺はたいへん危険なものなので回収に来ただけです。』

セタ『危険…。』

 

坊に駆け寄るセタの妻。

 

セタの妻『坊!坊!』

 

オンディシアン教国暗部職員Aは坊の傍らによる。オンディシアン教国暗部職員Aの方を向くセタの妻。

 

セタの妻『坊は!坊は?』

 

坊を見つめるオンディシアン教国暗部職員A。

 

オンディシアン教国暗部職員A『…幸い症状は浅い。手遅れにならないうちに手を施さなければなりません。』

 

オンディシアン教国暗部職員Aの方を向くセタ。

 

セタ『た、頼めるのか?』

 

頷くオンディシアン教国暗部職員A。

 

オンディシアン教国暗部職員A『ただ、ここでは。』

八咫烏庁の構成員A『庁に運ばなければなりませんね。』

 

八咫烏庁の構成員Aとオンディシアン教国暗部職員Aを見つめるセタとセタの妻。

 

セタ『わ、わしらも行く。』

 

セタとセタの妻を見つめるオンディシアン教国暗部職員A。

 

オンディシアン教国暗部職員A『ならば、その壺と共に来て頂きましょう。』

 

顔を見合わせ、頷くセタとセタの妻。

 

C3 異変 END

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C4 物語付き

 

シーン皇国。オウト府。八咫烏庁の一室で向かいあうセタと八咫烏庁の構成員Aと千年大陸連邦の学者にオンディシアン教国暗部の職員A。セタとセタの妻は彼らを見つめる。

 

セタの妻『坊は!!』

セタ『坊は無事なんか?』

 

頷くオンディシアン教国の職員A。

 

オンディシアン教国の職員A『ええ。幸い初期症状だったので対処はできました。』

 

胸をなでおろすセタの妻。セタは横に置かれる壺の方を向く。

 

セタ『こいつのせいなんか?こいつはいったい何や?』

 

壺を見る千年大陸連邦の学者。

 

千年大陸連邦の学者『ええ、これは何の変哲もないただの相当古いだけの壺です。』

 

千年大陸連邦の学者を見るセタ。

 

セタ『は、だったらなんで坊は…。』

 

セタの顔を見つめる八咫烏庁の構成員A。

 

八咫烏庁の構成員A『問題は塗料です。』

セタ『塗料…。』

八咫烏庁の構成員A『ええ。壺の内側に塗ってある塗料が問題なのです。』

 

セタの方を向く千年大陸の学者。

 

千年大陸連邦の学者『ユクロニの民ははご存知でしょうか。』

 

顎に手を当て天井を向くセタ。

 

セタ『歴史の事は詳しくないからのう。』

 

セタはセタの妻の方を向く。

 

セタ『お前、知っとるか?』

 

首を横に振るセタの妻。

 

セタの妻『いいえ。』

 

セタは千年大陸連邦の学者の方を向く。

 

セタ『それでそのユニなんたらの民っちゅーのが関係しとるのか。一体何もんや。そいつら。』

 

セタを見つめる千年大陸連邦の学者。

 

千年大陸連邦の学者『ユランシアに住んでいた陶芸の民です。彼らの特徴として魔脈を使用した塗料を陶器に使用していたと。』

セタ『ほほう。そいつらが絡んどるっちゅーわけか。』

 

首を横に振る千年大陸連邦の学者。

 

千年大陸連邦の学者『いえ、ユクロニの民はとうの昔に滅んでおりますよ。遺跡の暦は、塗料に今までで一番良い魔脈を発見した試しの品は良いものばかりだという文脈の文字の後には一切何も記されておらず、古文旅記にもユクロニの民は忽然と姿を消したとあります。』

セタ『んな。じゃあ…。あの壺はいったいなんなんや。』

 

セタを見つめるオンディシアン教国の暗部職員A。

 

オンディシアン教国の暗部職員A『それは、ユクロニの民が作った試めしの品、つまりアビス層で作られた塗料を使った陶器の生き残りですね。』

八咫烏庁の構成員A『骨董趣味を持っていたコクリュウ家の何代目か前の当主が手に入れたのでしょう。』

 

眼を見開いてオンディシアン教国の暗部職員Aを見つめるセタ。

 

セタ『アビス…アビスちゅうと、前に海外ニュースでやっとったが画家がえらい騒ぎをおこしたっちゅうあれか。』

 

頷くオンディシアン教国の暗部職員A。腕組をするセタ。

 

セタ『そういえば化け猫騒動の昔話があったわ…。』

 

顔を上げ一同を見回すセタ。

 

セタ『あれ、もしかすると…。』

 

セタを見つめる一同。

 

セタ『えらいものをもろてしまたわ。』

 

地面に頭を付けるセタ。

 

セタ『こんなしょうもないもんよりももっといいもんもろとけばよかった!』

 

セタを見た後顔を見合わせる一同。

 

C4 物語付き END

 

END

説明
・必要事項のみ記載。
・グロテスクな描写がございますので18歳未満の方、もしくはそういったものが苦手な方は絶対に読まないで下さい。
・心理的嫌悪感を現す描写が多々含まれておりますのでそれういったものが苦手な方は絶対に読まないで下さい。
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R-18グロテスク 悪魔騎兵伝(仮) 

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