こんとん物語 3 |
”文章力の成長速度は、一年書けばなんとなく、分かって来る。”
電車内で、文章を打ちながら探偵こんとんは座席で((揺|ゆ))れに揺られていた。
隣には情報屋のクリス、助手をしてくれるそうで、彼女のゆえに今ある所に向かっているところだ。
揺れる電車の中でクリスがこんとんに耳打ちする。
クリスティーン「次ですよ」
と。
次の駅で、停止させたスマートフォンを片手に降りるこんとん。それに続くクリス。
こんとん「同じ情報屋ですか?」
とクリスに問うと、
ク「違いますよ。専門家です。」
とこんとんに返事が飛ぶ。
スマートフォンをしまいながらの出来事だが、その数分後。
高層ビルの目の前にこんとんはいた。
こ「このビルで本当にいいんですか?」
とこんとんは戸惑いながら問うが、
ク「大丈夫ですよ。」
とクリスは答える。
透明な自動ドアからエレベーターへ。
目的地は43階だが、情報屋はその情報を直前まで明かそうとしない。
エレベーターガールのいるエレベーターに若干揺られて数十秒。到着を知らせる音が鳴る。
ク「彼女の名前はガブリエラ。遠慮なさらずギャビーと呼んでください。」
と、クリスは目的地にいる人物の名前を明かす。
こ「は、はい。」
と若干、緊張した面持ちでこんとんは答える。
クリスは、軽くそのドアにノックをする。
どうやら、その部屋の主が目的の人物のようだ。
ガブリエラ「どうぞ。」
と、やや低い女性の声がする。
ク「失礼します。ギャビー。」
と情報屋クリスがドアを開く。
こ「・・失礼します。」
と探偵こんとんも後に続いて部屋へと入る。
ギャビーと呼ばれた女性は部屋の中央にいた。部屋は七畳程度であった。
こ「こんにちは、ギャビー。」
とこんとんは軽いお辞儀をして、あいさつをする。
こんとんは昔から他人とのしゃべりは上手い方だ。
ガ「こんにちわ、こんとん。話は聞いているわ。」
とギャビーは同じような調子で、あいさつを返す。
ガ「カーチス夫婦の((失踪|しっそう))について、苦労しているようね。」
とギャビーは続けてキーワードを出す。
カーチス夫婦は依頼人コンスタンスを含む夫婦の事だ。
ガ「来てもらって悪いけど、この書類を渡すだけなの。」
ギャビーは書類をさも名残惜しそうに、こんとんに手渡す。
こ「それでも、今日はありがとうございます。お金は必要ですか?」
とこんとんは礼を述べる。
ガ「お金は必要ないわ。さ、早く。」
一瞬の出来事に思えたその受け渡しは、ビルを出てから頭の中で繰り返し繰り返し、再生された。
ク「この書類は警察との情報共有を行うためのものですよ?」
とぼーっとしているこんとんを見て、クリスは説明する。
こ「あの方はどういう方なのですか?」
とのこんとんの問いに、
ク「私の上司にあたります。」
とクリスが返す。
こ「え?」
とこんとんが呆けるところを腕を引っ張って、
ク「さ、次の目的地に行きましょう。」
ということで、電車に乗り込む二人だった。
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