真・恋姫†無双 〜長江の華〜 第六話 |
<登場人物紹介>
姓名 字 真名 簡単な説明
北郷一刀 なし なし そういえば、主人公。ついに、ただのお荷物から少しランクアップ!自称『天の御遣い』
甘寧 興覇 思春 錦帆賊の頭領。前回デレそうになったがまだ頑張れる。
丁奉 承淵 冬灯 錦帆賊の将。喜怒哀楽のニヤニヤ?を使いこなす。一刀への呼び方は『兄(あん)ちゃん』ですよ。
魯粛 子敬 琴鳴 錦帆賊の客将という立場で落ち着いたあらあらまあまあなセクシー系お姉さん。
3頭の馬に揺られながら3人+お荷物は、仲間達の待つ廬江近くの港へ向かっていた。
位置的には、甘寧―冬灯(丁奉)+お荷物(俺)―琴鳴(魯粛)となっている。
「あらあら、一刀ちゃんは課題が一杯ね」
「そうだよなー」
溜め息息混じりの琴鳴(魯粛)の言葉に俺はひたすらに同意していた。
いつの間にか一刀さんから一刀ちゃんに格下げになった俺は、行きと同じく冬灯の後ろにいる。
そう、教えてもらいたいことはたくさんある。
馬術はもちろんのこと、文字の読み書き、そして自分の武への自信を完全に失った俺に必要なもの。
『兵法』。
酒家で聞いた錦帆賊と魯家の私兵との戦の話を聞いた時から考えていたことである。
でも俺は、決して自らの鍛錬を怠る気はさらさらないけどね。
「精進あるのみだぜ、兄ちゃん。じゃないといつまで経っても錦帆賊のお荷物だぜ」
「面目ない」
確かに冬灯(丁奉)の通りだ。
せめて自分の食い扶持だけでも稼ぎたいしな。
そんなことを考えていると、後ろから琴鳴が疑問をぶつけてきた。
「でも、思春も冬灯ちゃんいつまでも江賊なんて名乗っているの?
やっていることはほとんど義勇軍なのに。
いつ『江東の虎』に喰い殺されるかもしれないと思うと、お姉ちゃん心配で心配で」
「『江東の虎』っていったら…確か孫堅のことだよね。でも、どうして?」
冬灯の後ろで、一緒に馬の背に揺られながら聞く。
うん情けないね俺って。
「孫堅は我ら江賊を狩って名を上げている。何が『我が孫呉の礎となれ!』だ!クソッ…」
珍しく…でもないが、甘寧は嫌悪感を露わにした顔で吐き捨てる。
「あっ、だからかこの前、呉のことを話したら怒ったのって」
あの時も首に刃を当てられたんだよな。
でも、そんな甘寧が史実では、孫家に仕えるんだよな。
そんなことを考えていると、
「……」
ああ、睨んでる。
甘寧さまが黙ってこっち見て睨んでるよ。
『甘寧様が見てる』
…駄目だ。
と、とりあえず笑って誤魔化す。
それが現代っ子なんだ。
―ニコッ
そんな俺の(少し引きつったかもしれない)笑顔を見た甘寧は何を思ったのか顔を逸らす。
ふう、助かった…のか?
余計なことは考えるもんじゃないな。
「あいつらも袁術の命令で仕方なくやってんだろうが、それにしても手当たり次第だかんなー。
気をつけねぇーとそろそろウチもヤバイだろうなー」
そう言いながらも冬灯は先程の俺と甘寧の様子を見ていたようでニヤニヤしてる。
「だからよ思春。一刀ちゃんという旗印も出来るし、そろそろ名を変えてはどうかしら?」
琴鳴は少し眉根をよせ聞いた。
その顔は、本当に心配をしているようで、甘寧にもそのことがよく分かった。
「…分かっている、だがそれは―」
「もちろん天の御遣いが錦帆賊にいるっていう噂が広まってからね。
でも、良かった。ちゃんと考えているみたいで」
「当たり前だ、私を誰だと思っている」
琴鳴はその言葉を聞き、甘寧に微笑みを返すのであった。
港街に到着し、早速船に戻るとそこには2つの人の群れが睨みあっていた。
「あれ、何やってんだろ?」
片方は錦帆賊の兵たち、そしてもう一方は、黒を基調にした服を着た集団だった。
その様子に気付いたのは俺だけではない。
というより俺が気付いたその時には、甘寧を乗せた馬は走り出していた。
「あー、あいつらか……(琴鳴姉ちゃんより面倒くさいのが来やがったな)」
「あらあら何か言った、冬灯ちゃん?」
本当に小さな声でポツリと漏らした冬灯の言葉に、琴鳴は顔だけをそちらに向ける。
「イエナンデモアリマセンデスハイ」
琴鳴の顔は見えなかったがまた、目が開きかけていたのだろうか…。
開いたら一体どうなるんだか、一度冬灯に聞いてみるか。
「…兄ちゃん、俺達の船の横にある船…分かるか?」
錦帆賊の楼船の横に、何隻もの黒い大きな船が停泊している。
流石に楼船と比べると小さいけどね。
「ああ、あの黒いのか?」
「あらあらまあまあ、ということは『黒頭団』の人達かしら?」
「黒頭団?」
聞いたことのない名前だ。
船があるということは江賊だろうか?
「あいつらは俺らの商売敵っつーやつだ。基本的に護衛関係とかばっかりだけどな。
俺らのとこと同じように江賊とされてんだけどよ。
本人達は義勇軍のつもりなんだろうけどな・・・まあ役人相手に結構派手なこともやってるみたいだし、
しょうがねーっつったらしょうがねぇんだけどな」
頬を掻いている冬灯の顔は、苦笑い混じりのニヤニヤだった。
「あらあら、2人とも思春のことを放っておいて良いの?何か一触即発な雰囲気よ?」
「…行こうか冬灯」
「はぁ…そだな兄ちゃん」
冬灯とお荷物を乗せた馬は先に行った甘寧の下へと走り出した。
錦帆賊の先頭に甘寧が立ち、黒頭団の先頭には2人の少女が立っていた。
「いいかお前たち!手は出すな!今日は争う為に来たようではないみたいだからな」
甘寧は今にも飛び出しそうな兵を抑える。
??「何を騒いでいるのです!本日は顔を見に来ただけと言ったはずです!」
??「…静かにしろ」
2人の少女も同様に自分達の兵を抑えていた。
そんな中、一刀を乗せた馬が近付いた。
ふむ、あれが黒頭団か…でも先頭の2人は女の子、どういうことだ?
一人は長い黒髪で、もう一人は同じく黒髪だがとても短く、ボサボサな髪型をしている。
まだそれ程近くないため、ハッキリとは見えないがとても可愛い気がする。
彼女達は近付いてくる俺達を一瞥すると、
??「あの方が噂の天の御遣いですか…用件は済みました。皆さん、帰還します!」
??「…帰還する」
俺達が着く頃には、兵の中へと消えていた。
「なあ、甘寧。今の2人は?」
「……」
無視ですか?
無視ですか甘寧さん。
俺の言葉は、耳に入りませんか?
「今のが黒頭団の頭目の2人だぜ。名前は―」
見かねた冬灯があの2人の名前を言おうとした瞬間、それを遮るかのように甘寧は叫ぶ。
「奴等のことはいい。私たちも帰還する!総員持ち場に着け!!」
錦帆賊「「へい!」」
何が気に喰わなかったのか甘寧は独り先に船に上がる。
「…やれやれだぜ」
そう言うと冬灯は甘寧の後を追う。
「とりあえず私達も行きましょう一刀ちゃん」
「ああ、そうだな」
いつの間にやら追いついていた琴鳴に促され俺は2人の後を追った。
「何故、奴等が北郷のことを知っている!!」
船長室に付くや否や、甘寧は苛立つ気持ちが抑えられずにそう叫ぶ。
「あらあらまあまあ、思春は、ご機嫌斜めさんのようね。
でも、あの子達が一刀ちゃんのこと、というより天の御遣いが錦帆賊に保護されたっていう話の出所なら知ってるわよ」
そんな甘寧の様子を見ながら琴鳴は朗らかに笑う。
「どこのどいつだ!!」
今にもその出所となった者を殺しそう、という感じで怒り狂う甘寧を前に、琴鳴は言葉を続ける。
「まあまあ、そんな怖い顔しないの。一刀ちゃんが気絶しちゃうわよ」
「いや、いくらなんでもそこまでは…」
あるかもしれない。
そう言いかけた瞬間、甘寧の睨みが俺の心を弱らせる。
いえ、すみませんないです。
絶対にないです。
この状況を楽しんでいるのは冬灯くらいなもので、彼女は少し離れたところで我関せずとばかりにニヤニヤしてる。
「して、その情報を流したのは、一体何処の誰だ?」
俺を睨みつけて、少し落ち着いてきたのか、甘寧は静かに問う。
「それはもちろん私ですよ」
甘寧&一刀「「はあ!?」」
あっけらかんとした物言いで発せられた言葉に、俺達2人は目を丸くする。
どういうことだ?
琴鳴とは昨日あったばかりなのにいつの間にそんな…。
昨日の内に情報を流したとしても黒頭団が知るには早すぎる。
ああ、でも冬灯は分かっていたという顔でニヤニヤしてる。
「どういうことだ、琴鳴?」
俺の気持ちを代弁してくれたかのように甘寧は尋ねる。
「だって、私が呼ばれた時には天の御遣いの風評を使うと分かっていたんですもの。
それならば早い方が冬灯ちゃん達の為になると思ってね、手の者に命じて、こうちょちょいっとしたの」
穏やかな微笑と共にちょちょいっとを表現するかのように指を振る琴鳴。
なるほど、この人は確かに凄い。
俺の記憶では、呉でその知略を活かし、かなり活躍したはずだ。
自ら作り上げた情報網を駆使し、情報を集め、それを元に判断できる。
こんな人に俺は師事することができるなんて…本当に心が躍るようだ。
「お頭〜、まあ手間が省けたってことで納得するしかないですぜ、これは」
冬灯はニヤニヤしたまま諭すように言う。
「……そうだな」
そう言うと甘寧は黙り込んでしまった。
甘寧にも分かっているのだろう、琴鳴のしたことは、自分達の利に繋がること。
そしてそれは自分達のことを考えてしてくれたことだということを。
そんな甘寧の様子を見て、琴鳴は一刀を手招きする。
「それじゃあ一刀ちゃん、帰りがてら勉強を始めましょうか」
「分かった。それじゃあ宜しく、琴鳴…」
そこで言葉を止めようとしたが、琴鳴の目が一瞬開きそうなのを確認する。
おっと、そうだった。
「先生、だよね」
「よく出来ました。それでは本当に始めましょう。
根城に着くまでの間に簡単な文字の読み書きくらいは出来るようにしてあげるから」
そう言う琴鳴の微笑みの後ろに般若が見えるのは気のせいでしょうか?
おまけ
一刀自室での講義中―
一刀のふとした疑問―
「琴鳴先生、講義のは関係ありませんが質問よろしいでありますか?」
決して今のこの状況を逃げ出したいからの質問ではありませんよ。
疑問がふと浮かんだんですよー。
「あらあらまあまあ、そんな余計なことを考える余裕があったなんて、もう少し厳しくしてもいいみたいね」
その言葉に俺は泣きそうになる。
というか泣いているよ、心が、血の涙を流してるよ。
そんな俺の様子を見た琴鳴は、
「あらあら、泣きそうになってしまって…本当に一刀ちゃんは可愛いわね。いいわ、何かしら聞きたいことって」
微笑みながらもそう言った。
その言葉を聞き、安堵する俺は、すぐさま疑問をぶつけてみた。
「いやさ、冬灯が錦帆賊に入るの反対してたのに、どうやって許したの?」
そう、私兵を出して止めようとするぐらいだったのにどうしてなんだ?
「まあまあ、そんなこと?それはね一刀ちゃん、『この船に乗ること』を条件にしたのよ」
この船、つまりは楼船。
「そうか、これだけ大きな船だと命の危険も減るしね」
でもこのご時勢よく、江賊である甘寧がこんな大きな船を手に入れられたな。
そんな考えを知ってか知らずか琴鳴は答えをくれる。
「ええそうよ。元々、冬灯ちゃんが錦帆賊に興味を持ち始めたころに調べたから、
思春が良い子だっていうのは分かってたし。だからこの船を思春にあげたのよ」
「えっ!?」
この馬鹿でかい楼船は琴鳴の家の蔵を一つ潰して錦帆賊に贈ったそうです。
恐るべし魯家の財力…
というより姉バカパワー?
<あとがき>
毎度この駄文を読んでくれている方々には変わらぬ感謝を
初めてっていう人には、最初から宜しくという思いを
隅々まで呼んで誤字脱字の指摘や感想などのコメントをしてくれている方々には変わらぬ妄想を
どうもMuUです。
いやぁー、進まない進まないw
作品内の日にちが進まない。
でも次回からは違いますよ!
たぶん
次回は魯粛に師事し、ちょびっとだけ知力UPの一刀くん・・・・・・だったらいいのにな
そういやなんか出ましたね
『黒頭団』
なんだそれは?
まあ、江賊スタートと決めたときに出てくる予定だった人に+1(オリキャラ)増やした結果、
黒髪の頭目二人が率いてるから黒頭団でいいや♪
という安易な考えから生まれました。
セリフを見れば、分かる人にはバレバレですね。
というか江賊発進なんだからあの人出るでしょって最初から言ってた人がいたような・・・・・・
とりあえず、今後ともごひいきにノシ
2/23ひっそりと改定
でもさ、改定するまでに時間かかりすぎ
というか他の人の二次読みすぎて改定する時間なくなってるというこの駄目さ
3月には新しい話を上げようと思っています。
ノシ
説明 | ||
前回に続いてほぼ進展なし 土台を作ってるのに広げすぎて土台だけしか残らないという風にならないようそろそろ話を進めたいですね けど書きたいこともまだあるので自分の好きなように行きますw 2/23のっそりと改定 だから話の内容は変わってないんだわさ 少し足してるけどw |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
4162 | 3350 | 69 |
コメント | ||
これは一刀をめぐって一波乱ありそうな感じですね。(ブックマン) リョウトウ シュチ テイフ 使えるネタはいくらでもありますもんねぇ(リアルG) バルゴのシャカですね。確かに目を開かせては行けません。(だめぱんだ♪) 完全にこの時点からのスタート切らせたわけだなw次も楽しみだww ちなみにここからスタートさせたんなら話はサクサク進むわけないぜ?進ませたら訳わかめになってしまうだろうwwこのまましっかりと物語をつくってくだしあ(^ω^)(nanashiの人) 本物の魯粛も「気違い」と呼ばれる程に良い性格をしていたみたいです。此処の魯粛さんも少しその傾向が出てますね。(トーヤ) ワぁー琴鳴さん出雲荘の大家のおねーさんみたい・・・般若が見える!(st205gt4) 琴鳴のあらあらってのがいやされるけど、ものっすごくキャラ的に濃いよね(motomaru) |
||
タグ | ||
真・恋姫†無双 二次創作 甘寧 錦帆賊 | ||
MuUさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |