Nursery White 〜 天使に触れる方法 5章 2節 |
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どうして美少女ゲームでデートというと、ゲームセンターに行って、クレーンゲームをするのでしょう?
私は思います。断言できます。あんなもの、ゲームじゃありませんよ。ただのお店側の貯金箱です。後、知ってます?クレーンゲームの景品でめちゃくちゃ高価なものを置くのはダメなんですよ。たまにゲーム機とかありますけど、あの辺りは警察にめっ、されてしまう訳です。今度見つけたら、通報してみたいですね。ええ、別に私が過去、爆死したことがあるから言ってるのではありません。本当ですよ?
「と言う訳で常葉さん!バスケ対決と洒落込みましょう!!」
「なんで!?」
私たちは今、ボイスドラマの完成記念に遊びに来ています。
やって来ましたは、ゲームセンターやボウリング場、スポーツコートなどが一緒になった総合アミューズメント施設。今はちょっと早い時期ですが、プールもありますよ。今度、機会があれば常葉さんを連れ込みたいですね。そのロリ巨乳っぷりを堪能させていただきましょう。グヘヘ。
そして今、私たちは華麗にゲーセンをスルーして、コートにやってきました。一対一でできるスポーツと言えば、バスケ。一人が攻めて、一人が守る。ボールを取るかゴールを決めたら攻守交代。シンプルでいいですね。
「一度、常葉さんと一緒に体を動かしてみたくって。スポーツはダメダメな私ですが、かつてしていたバスケとバレーなら、人並み程度にはできますからね」
ここで、人より得意と言えればよかったのですけどね。スポーツ音痴の悲しいところです。
「まっ、いいわ。わかってると思うけど、あたしはスポーツ得意な方よ。一方的な展開になっても文句言わないでね」
「こちらも無策で来ている訳ではありませんからね。いいですよ、まずはこちらの先攻でいかせてもらいます」
「どうぞ。軽くカットしてあげるわ」
確かに私は元バスケ部とはいえ、そう上手くはありません。元々のセンスも不足しています。ただ、小ずるさなら誰にも負けません。汚いは褒め言葉というものです。
久しぶりにバスケボールを手に持ち、軽くその場で突いてみると、思っていた以上に手に吸い付いてきてくれます。バレーにドリブルなんてありませんからね。この手との一体感を楽しめるのはバスケならではです。少し慣らして感覚を思い出すと、私は一気に走り出しました。当然、常葉さんが止めに来ます。そこで、思い切って私はラグビーのごとき動きで突進。当然、タックルなんて許されるはずもありませんから、その勢いのまま常葉さんを避けて飛びます。――ドリブルやパスは苦手でしたが、シュートにだけはそれなりに自信があるんですよ、これが。
「ありゃ、ちょっと狙いが甘かったですね」
私の中では完璧に入るラインだったのですが、残念ながらボールは弾かれていました。学校とはゴールの高さが微妙に違いますね……こっちにも慣れておくべきでした。
「意外と油断ならないわね……にしてもそれ、実際の試合でやったらファウルギリギリじゃないの?キャラに似合わないラフプレーね……」
「真っ正直に戦っても勝てないとわかっていますから。卑怯でも荒くても、退場させられないならそれでいいのです」
気分は卑怯な手を使って主人公をはめようとするタイプの悪役です。少年漫画ならやられ役でも、私の人生の主人公は私ですから、主人公補正かかってますよ。
「まっ、いいわ。ならあたしが、正攻法で打ち破ってみせるから」
常葉さんは、自信満々な様子でボールを手にします。……中々どうして、様になっています。授業でやったことがある程度なのに、センスがある人はかっこよくてずるいです。
「さ、行くわよ!!」
常葉さんは、想像以上の俊敏さで前に突き進みます。私も必死に張り付きますが、もうなんだか、私の目では追えないほどのボールさばきであっという間に抜かれ、気がつけば私の後ろで常葉さんがシュートを決めていました。高く跳躍して放ったシュートは、ばっちりゴールに収まります。
「ふふん、どうよ?」
跳ね返ってきたボールをキャッチして、常葉さんは得意気に胸を張ります。ちなみに私たち、私服のままですからね。体操服の用意なんてありません。
「ぐぬぬ……やりますね。ですが、常葉さん。ひとつだけいいですか?」
「何?反則なんてなかったでしょ?」
「あっ、いえ、何もありませんでした。次こそ入れますよ」
「シュートすらさせないわ。もうあんたの動きのクセは見切ったもの」
ふっ、この私が素人に読まれる程度の動きだとでも思いますか?……事実そうですが。
ですが、二回目は私も本気です。文字通りの体当たりで挑み、ボールを盗られそうになったところで、渾身の一撃を放ちます。
「常葉さん、ブラずれてますよ」
「えっ!?」
「そこだぁ!!!」
一瞬の動揺の隙に常葉さんを抜け、もう身の丈に合わないロングシュートなんてしないで、安全にシュートします。……さすがに、落ち着いていれば無難に決められます。一応、元バスケ部員ですから。
「未来……あんたねぇ」
「でも、実際にブラずれてましたよね。実はさっき何か言いかけたじゃないですか。あの時に気づいていまして。私は揺れるほどないので関係ないですが、さすがに普通の服で激しい運動するとずれるものなんですねぇ。いやはや、私としては大変眼福で……あの、常葉さん?」
「こんの、エロガッパ!!あんた、案外スケベよね、このバカ、アホ、ボケー!!」
「暴力はっ、暴力はノーサンキューです!そういうマゾじゃないので……!」
常葉さんは顔を真っ赤にして、ぽかぽかお殴りになられます。全然痛くないですけど、もしも力を込めて殴られていれば、脂肪という防壁のない私はさぞや大ダメージを負ったことでしょう。今はむしろ幸せ指数が限界突破しそうでヤバイですが。
「……まさかとは思うけどあんた、初めっからこれを狙ってバスケに誘ったの?」
「ち、違いますよ!私にとっては嬉しいエロハプニングです!」
「本気で殴っていい!?顔面を!」
「まあまあ、落ち着いてください。そうじゃなくて、ですね」
私はボールを抱き上げました。一応、ガード目的でもあります。
「最近は常葉さんに厳しめに指導をしてしまいました。それはもちろん、常葉さんのためを思ってこそのことではありましたが、ストレスも溜まっていますよね。なので、体を動かすことで発散できれば、と。私が勝負して勝てるはずもないので、無茶言っちゃた私に不満をぶつけることもできると思いますし」
「……そんなこと、気にしなくていいわよ。あたしはそんな小さい人間じゃないんだから」
「で、ですよね。立派なものをお持ちです」
「殴るわね!?グーでその薄い胸を泣くまで殴るわね!!?」
「一発で泣くので、どうかお許しを!だって今日の常葉さん、めっちゃ薄着じゃないですか!それで意識するなって方が無茶ですよ!」
「今日は暑くなるって言うから、仕方ないでしょ。あたし、割りと発汗いいし」
「……ほほう。透けブラを期待していい、と?」
「埋めるわ」
「殴るより悪化してません!?」
「……それはいいけど。あんたはあたしの先生なんだし、その……恋人、なんだし。それに、年下でしょ。先生が生徒に対して、そんなに気を遣うもの?恋人って、互いに遠慮し合うような関係なの?……むしろ気遣っていくのは年上のあたしの方でしょ。たった二年の差だし、普通の社会であんまり生きてないから、あたしの人生経験なんてしれてるけど。……でも、年上面ぐらいさせなさいよ。あんたばっかり大人ぶってて、あたしはいつまでも子どもみたい」
「まあ、常葉さんは実際、子どもっぽいところありますし」
「……だけどっ!でも、あんたが無理し過ぎなのは見ててわかるわ。その歳で大人から仕事受けてるんだし、学校外でも気が休まることってないんでしょ?あたしも大人たちから仕事を与えられてる側だったから、気持ちはわかる。……無理し過ぎて潰れた子なんて、いくらでもいたわよ」
常葉さんは、なんだかんだで先輩な訳です。
私は時々、そのことを忘れて、彼女が言うように子どもに接するような、過剰な親切心を働かせてしまうことがあります。……それは、お付き合いを始める前からの悪い癖だと、自分でもわかっていたつもりなのですが。
こんなすれ違いの積み重ねが、仲違いをさせてしまうのかもしれません。……私は、常葉さんのことが大好き。それゆえに、あえて優しさを封印しなければならない時もあるのかもしれませんね。少しムチを振るった後、すぐにアメを与えたくなる私には、中々難しいことです。
「そうですか。常葉さんは本当に、強いですね……」
「顔だけで子役の世界生き抜いてきた訳じゃないもの。少なくともやりたいことをやっている限り、あたしの心が折れるってことはないわ。だからこれからも、手を抜くことなく指導して?」
「はい、わかりました。常葉さんは強く責められたいドマゾさんだと認識しておきます」
「ねぇ、未来。あたしにはどうにも、あんたの方が余計なこと言って殴られたがるマゾに思えるんだけど?」
「いえいえ、そんなことはありません。ただ、私は常葉さんの色々な表情を見たくて、ですね……」
「……怒ってる顔を見たいサドってことね。わかったわ」
好きな人のことはなんでも知っておきたい、乙女心というものなのですけどね。
「ま、そういうことでしたら運動はこれぐらいにしておきましょうか。あんまり汗かいちゃったら、本当に私が望んでいるシチュエーションが……あぶっ!」
「そうね、どっかのスケベ娘にいやらしい目で見られたくないもの」
「おふっ、おぶぅっ……」
思い切り頬を両手で圧迫され、一人にらめっこ状態です。無免許医さんの漫画にいましたよね、こういうことする子。
さて、程よく動いた後は、当然の流れとしてゲーセンに向かいます。
私、コンシューマーゲームは好きですけど、アーケードゲームはいまいちなのですよね……。
先に挙げたクレーンゲームもそうですが、なんといいますか、使い慣れたコントローラーで慣れ親しんだ自室でプレイしたい派であり、そもそもの話ですが、女の子がガチでゲーセンで遊んだりするものでしょうか?
まあ、それこそ彼氏と一緒にやるなら理解できますよ?二次元特有のなぜかほぼ一発で取れるクレーンゲームで、ぬいぐるみでもストラップでも、なんでも取ってもらってください。模造刀とかもいいですよね。私は刀のゲームってやったことないですけども。
ただ、女の子二人でゲーセンって、何をすると?常葉さんも、あんまりゲームが堪能な方じゃないですからね。もうなんというか、場の空気を楽しむためだけに来たところがあります。
「ね、未来ってこういうゲームできるの?」
「どんなゲームですか?」
ただ、思っていた以上に常葉さんは興味津々なのですよね、これが。まあ、幼い頃から仕事をしてましたし、こういうところに来たことがないのでしょうね……仲のいい友達も、真面目な月町先輩ですから。下手をすると、夏祭りか何かで金魚すくいや、当たりもしないくじ引き、ぶっちゃけ一回やれば飽きるスマートボールなども経験してないのかもしれません。
「これ、台を傾けてボールを下まで上手く落とすっていう……」
「お、思った以上にアナクロなゲームですね。なるほど、傾け過ぎるとアウトで、いい感じに傾けてボールを落としていく訳ですね。小さい頃はやったことありますね。飴玉が景品でもらえるのでしたっけ」
……どうしましょう。常葉さんのチョイスが想像以上に可愛くて、飴玉よりも常葉さんを舐め回したくなってきますよ?これ。
「そうそう。ちょっとやってみたいんだけど、負けっぱなしは癪だし、もしもあたしがダメなら未来にやってもらいたくて」
「いいですよ。……ふふっ、常葉さんらしいですね。でも、私が敵討ちするまでもなく、常葉さんが攻略しちゃってくださいよ。微調整が少し難しそうですが、子どももやるようなゲームですからね」
私は、さっと百円玉を投入しました。……こういう時、自然にお金を出せる人ってかっこいいですよね。
「……気を遣わなくていいって言った後なのに」
「私の気持ちです。二回目以降はどうぞ、常葉さんが支払ってくださいね」
「もうっ……さくっと決めるわよ。これ一発で取れたら、景品はちゃんとあんたにあげるから」
常葉さんは、気合を入れてゲームに向かいます。レバーの押し込み具合で台座の傾きは調整できるようで、やや直感的ではないかもしれませんね。この辺りはビデオゲームにも似ています。
最初の一段目は、考えなしに一番傾けてしまえば穴に落ちます。ただ、二段目からは微調整が必要になり、傾け過ぎれば無慈悲にもボールは飲み込まれ、ゲームオーバーとなります。
「ぐぅっ……こ、こう……?」
しかめっ面で常葉さんは格闘します。意外と傾けは控えめで、ゆっくりと二段目の穴にイン。ただ、三段目からは途中にも奈落に真っ逆さまの穴が空いているため、大きく傾けてそれを通過した上で、落とすべき穴直前でブレーキをかけ、上手くやる必要があります。つまり、傾きが小さいとそこで終わりです。大胆かつ繊細に、というやつですね。
「ここを……こう!!」
思い切って傾け、ボールはするすると斜面を転がり、穴も飛び越します。さて、ここでブレーキ……!当然、ブレーキをかけ過ぎれば、さっき通過した穴に落ちてしまいます。これが難しいところ……勢いだけを殺す程度の傾けを……。
「あっ……」
まあ、こうなることは予想できていました……無残にもボールは奈落へと飲み込まれていきました。脳内で一ミスの音が聞こえました。残機はお金を払い続ける限りは無限。ソシャゲめいていますね、これ。ガシャもまんまそうですし、案外ソシャゲってゲームの原点回帰的なものなのかもしれません。
「常葉さん……」
「今のは練習!!次行くわよ!」
「私の百円、練習用の生贄にされた訳ですか……」
しかし、勝利とは常に犠牲の上にあるもの。斥候は帰還して情報を伝えてから果てなければならないのです。
斥候が帰らなければ、次の斥候を。それを成功するまで積み重ね、ようやく情報を得た時にはもう、攻めるも守るもできないほど状況が悪化している場合もあります。
――常葉さんは、五百円分を奇麗に溶かされました。ぶっちゃけ、三百円もあれば袋入りのいっぱい入った飴玉が買えるじゃん、というツッコミは野暮ですよ。ネット通販で家から一歩も出ずになんでも手に入る時代だからこそ、自らの闘争の果てに成果を得ることを重視するのです。……というのが常葉さんの考えなのでしょう。私は残念ながら、ゲーセン限定景品も、通販で二千円とか出して買っちゃう派です。だからクレーンゲームって嫌いなのですって。
「常葉さん…………」
「未来、やって」
黙って百円玉が投入されました。私が払うつもりでしたが、払っていただいたからには、これ一発で決める必要が出てきましたね。
「任されました。常葉さんの仇討ち、必ずや成し遂げてみせましょう。それが叶わぬ時は、この腹を十字に割いてお詫びする所存です。介錯は不要。……いざ!」
私は往年の時代劇の名俳優の物真似をすると、そのままゲームに立ち向かいました。
序盤は常葉さんのプレイを見ていたので無問題。技術が必要となる三段目から、己の感覚を信じて挑みます。
「……ここに“刻”を見たっ!」
熟考した方がドツボにはまります。半ば勢い任せに。しかし、攻略できるはずのラインを守って、ボールを落としていきます。
そして、最終段。その攻略に全てを懸けます。
「…………常葉さん。これが、これこそが、七百円の飴玉ですっ」
私は恭しくコーラ味の飴玉を常葉さんへと献上しました。怨敵の首級を捧げる気分で。
「あんたが食べて。あたしのおごりよ」
「五百円分のおごりですか……」
「だから、いちいち溶かした金額を言わないでくれる!?七百円で飴玉一個って、どんだけ高価なのよ!?」
「ふふっ、そんな高級な飴玉なのですから、じっくりと味わう必要がありますね……」
ただ、思った以上に大きな飴玉でした。さっきから“飴玉”という表現を貫いていますが、これは本当、キャンディというよりは“飴玉”といった風情があります。
コーラとミルクが混ざり合った大きな飴玉の味は、甘ったるくもまろやかで、懐かしさを覚えました。……本当、幼い頃に食べていたような味ですね。
でも、常葉さんとこの思い出を共有することはできないのだと思います。
私も近所に駄菓子屋があった訳ではなく、お母さんにスーパーで買ってもらったお菓子を食べていました。でもきっと常葉さんは、もっとしっかりとした“スイーツ”と言った方が正しいようなお菓子、あるいは旬の果物(それもデパートで買うような高級品でしょう)を食べて幼少期を過ごしていたことでしょう。
今、私が感じているこの懐かしさは、常葉さんとは決して共有できない……そう思うと、なんだか寂しく、中々に美味しいはずの飴玉も、ガムのように段々と味が抜けていくような気持ちがしました。
……ですから。
「んちゅぅっ……」
「んぷっ!?んくっ、んぐぅっ……!!?」
私は辺りを見回して、こんなアナクロなゲームの近くには誰もいないことを確認した後、思い切って常葉さんの唇に、自分のそれを重ね合わせました。
それから、小さくなってきた飴玉を舌を使って押し出し、常葉さんの口の中に押し込みます。
しっかりと常葉さんの舌の上に乗るように、自分の舌を彼女の口内に忍び込ませて……。
「んぅっ…………。ぷふぁっ……。ふふっ、常葉さんの遊んでいるのを見て勉強して、取れた飴玉ですからね。半分こしないと不公平でしょ?」
それに、こうして一緒に同じものを食べれば、この思い出、この味を共有することができます。それはすごくドキドキするけれど、素敵なことだと……思いました。
「えへへっ、どうですか、美味しいですか?」
「……あんたの舌、甘ったるかったわ」
「まあ、ついさっきまで舐めていましたから。これから先、同じ飴玉と遭遇することはないかもしれませんが、キスの度に味を思い出せちゃいそうですね」
「…………バカ。本当にあんたって、頭の中お花畑よね。付き合い始めるまで、こんな子だとわからなかったのに」
「私も、ですよ。何も変わっていないはずなのに、今まで以上に常葉さんのことが愛おしくって……ついつい、ちょっかいをかけて怒らせたり、逆にいっぱい甘やかして、可愛い顔を見たりしたくなってしまうのです。……変、でしょうか?」
「そんなこと、そんなこと……ないわよ。あたしもあんたのことが、そのっ……可愛くて、仕方ないし。でもね、未来。これだけは約束してくれる?」
「は、はい……?」
「あんまりこういう、人のいる場所でキスしないでよ。あたしとしてはあんたとのキスって、結構特別なことだと思っているんだから……あんまり軽い気持ちでしてほしくない」
「……常葉さん。同じですよ、私も。でもね、常葉さん……私は特別だからこそ、気分が高まった時は我慢できなくて。だから、常葉さん……また、いいですか?」
「ばかっ……やめろって言った後すぐにっ……んむぅっ…………!」
「はむっ……んちゅぅっ……んんっ…………」
ごめんなさい、常葉さん。
でも、こんなにもあなたが魅力的だからこそ、私はあなたしか見られない、考えられないのです。
恨むなら、あなた自身の可愛らしさを恨んでくださいよね。
――そもそも、私たちの初キスは思いっきり衆目の前だったじゃないですか。
むしろ見られることに満足感を覚えてもらえるぐらいじゃないと……ですよね?
――なんて、ね。
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こんな時代だからこそ、実物的な愛を ※原則として、毎週金曜日の21時以降に更新されます |
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