異能あふれるこの世界で 第二十七話
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【大阪・姫松高校】

 

洋榎「きょーーーーーおこおおおおおおおお!!!」

 

恭子「うっさいわっ! 声も走りも全力すぎる。どんだけ周りに迷惑ふりまいとんねん」

 

洋榎「うちらの一大事や! 大人しゅうなんぞしとれるかいっ! んな細かいことはええから、メールどやった? 全部言うてええとか書いてないか?」

 

恭子「それがなあ……なんちゅうか、色々と予想外でな。さっき読んでんけど、なんやどっと疲れが出る感じの内容やった」

 

洋榎「それだけ言われてもさっぱりわからんわ。監督のメールて、例の事務的な奴やろ? 普段のしゃべりがアレなのに、メールになると必要なことをわかりやすう書いてくれるんは不思議やけど」

 

恭子「そういうんが来ると予想するわな。けど、どうも私的なメールは普段の口調に近なるっぽいわ。しかも打つんどんだけ早いねん、って突っ込みたなるくらいの長文が来てもうて」

 

洋榎「マジで? 返信めっちゃ早かったよな? ちゅうか、あの口調をメールで打つん、けっこう手間かかるんちゃうか?」

 

恭子「普通の関西弁でも変換とか手間かかるからな。あの人のしゃべりやとなおさらやろ」

 

洋榎「相変わらず得体の知れんお方やで……まあええ。いま大事なんは内容や。どうなった? 言うてくれるんかくれんのか、どっちや」

 

恭子「待て。先に部の絡みから済ませとく。監督、部活までには帰れるらしいから、始まりの時に私が部活に行かん理由を説明してくれることになった」

 

洋榎「ちゅうことは、皆にも事情話すんか?」

 

恭子「いや。部の連中には嘘を言うみたいや。私に頼る癖を早う無くしたいから監督命令で止めてる、とかなんとか」

 

洋榎「ほーん。新体制がさっさと自立できるように、ちゅうとこか。なら、うちも止めとかんとおかしいと思うけど……ま、頼る方向性がちゃうから、そのへんを言い訳に誤魔化すんやろな」

 

恭子「……何も言わんとくわ。ほんで、洋榎には私の事情を知った上で、それとなく私が納得しとる風なことを言うて欲しいと」

 

洋榎「んんっ? 事情を知った上、っちゅうたな! ほな、話してくれるんやな? よっしゃ、説明中断してまずはそっちからや」

 

恭子「お前どんだけがっついてんねん。肉に喰らいつく獣か」

 

洋榎「腹ペコやったら聖人でも獣になるやろ。エサが魅力的すぎんねん。ええからはよ話してえな。頼むわ」

 

恭子「何がお前をそうさせるんや……まあ、さっきも言うたように説明はしたるけど、まずは落ち着いて話せる場所を探さんと」

 

洋榎「なんで? って、そうやな。そうやった。誰にも聞かれるわけにはいかんもんな」

 

恭子「まあな。で、どうしよ。ちゃんと話すなら、わりと時間かかるから」

 

洋榎「んー……先に一個だけ聞かせてくれるか?」

 

恭子「なんや」

 

洋榎「麻雀で上に行くつもりになったんか?」

 

恭子「……一応、そのつもりや」

 

洋榎「そういうことなら学校の勉強とかしてる場合ちゃうわ。恭子、サボるで! 話が終わるまでずーっとや!」

 

恭子「やっぱこうなるんか……」

 

洋榎「やっぱもかっぱもあるかい! さ、はよ行くで。付いてきいや」

 

恭子「どっかええとこあるん?」

 

洋榎「あるでー。うちらにとっていっちばんええとこがな」

 

 

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【大阪・姫松高校(麻雀部部室)】

 

洋榎「ここや」

 

恭子「待て待て待て。話聞いてたんか? 部活に出るんは止められてる言うたやろ」

 

洋榎「しゃべりが達者な奴は聞くのも上手いねん。よお聞いとるで。せやからここに連れてきたんや」

 

恭子「流石にまずいやろ。あかんて」

 

洋榎「まあ聞け。鍵かかっとるから部員もおらんし、今は部活やってるわけやないやろ? うちはまだ鍵持ってるから、ここなら落ち着いて話ができんねん。それに、注意するかもしれん監督は県外におる。大丈夫や」

 

恭子「でも、万が一いうこともあるし」

 

洋榎「仮にバレたとしても、部室入っただけで何か言われるか? もし言われても『次から気いつけますー』言うたらええがな。部活に行くなとしか言われてないんやろ? 今は部活ちゃうし。セーフやん」

 

恭子「けどなあ……けど……」

 

洋榎「なんやその顔。かなりおもろいことなってんで」

 

恭子「人の顔をおもろいとか言うなや」

 

洋榎「はいはい。わかった、わかった。なんかあったら、強引なうちが無理矢理連れ込んだんやー言うてええからな。せやから、そんな泣きそうな顔すんな。入ったらええやんけ。うちらの部や。堂々としたったらええねん」

 

恭子「……」

 

洋榎「しゃーないなあ……ほな扉をあけてー、後ろ回ってー、ほれどーん!」

 

恭子「うおっ」

 

洋榎「で、ガラガラ―ぴしゃーん! っと。よーし、鍵もかけたから好きできるで。ほれ、久々の部室はどんな感じや?」

 

恭子「……もう入れんと思うてた」

 

洋榎「そうか」

 

恭子「最速でも四年くらいは来れんはずやった」

 

洋榎「そうやったんか」

 

恭子「そん時はみんなおらんし、うちも高校生やない。もう、ここで落ち着けることはないんやなって思うて……」

 

洋榎「寂しかったな」

 

恭子「ほんま……ほんまにな…………辛かってん…………」

 

洋榎「ええねん。誰もおらんし、防音も完璧や。何言うても何やってもええ」

 

恭子「……恥ずいわあ…………こんなん…………」

 

洋榎「いまさらやろ」

 

恭子「ずるいわ……部長面、して…………」

 

洋榎「そんなん関係あるかい」

 

恭子「…………ちょお、待ってな……ごめんけど……」

 

洋榎「ゆっくりしたらええやんか。うちはこっちで牌いじっとくわ」

 

恭子「うう…………ううううう…………」

 

 

洋榎「……声殺さんでもええ言うてるのに」

 

 

説明
恭子と洋榎の部活と部室
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 麻雀 末原恭子 愛宕洋榎 

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