こんとん物語 14 |
「このお菓子、おいしい。」
おかしな調子でこんとんがお菓子とお茶を平らげる。
クリスが
「あと、三十分で出掛けますよ。」
とこんとんに声を掛ける。
「わかりました。」
とこんとんが返事をする。
その五十分後、クリスとこんとんは電車内に居た。
二人は二人とも文章を書いていた。
クリスが仕事の案件、こんとんが趣味的である。
「クリス、今日は誰の取材ですか?」
こんとんがクリスに気安く話し掛ける。
”そういえば、こんとんに取材対象の名前を伝えて無かった。”
「((想音|おもね))ですね。」
「・・・((想音|おもね))、ですか。」
軽く、クリスもこんとんも返す。
目的の駅に着くと、次の目的地に二人の意識が向かう。
’想音の家’だ。
駅前の地図を見ながら、
「ここが、想音の家ですから・・・こう行きましょう。」
「そうですか?行きましょう。」
会話の後、’想音の家’へと向かう。橋を渡り、峠を越えて’想音の家’に至る。
インターフォンを押すこんとん。
”昨日の取材で分かったのだが、私よりもこんとんの方が取材に向いているらしい。”
とクリスの断片の思念の挿入をはさむ。
「イザベルなら、私ほど知っている人は他にはいないな。」
想音が言う。会うなりである。
出て来た想音は二人を家に上げる事無く、箱庭とも言うべき庭の丸机と丸イスへ案内する。
「どんなところでしょうか?」
「黒いところも白いところも全部。・・・ただ、黒いところは一つしか話せない。」
「どんなことでしょうか?」
「強敵。探偵さん達の強敵、”とも”と言うべきか。」
’白いところ’というのを一通り聞いては見たが、こんとんの脳裏に浮かんだのは、”収穫なし”という一言だった。
「さよなら、探偵さん達。」
想音は門越しに二人を見送る。左手には名刺、会うなり渡したものである。
また道なりに駅へと向かう。峠を越え、橋を渡り、駅に入る。
駅前の地図が二人を見送る。
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