真・恋姫外史 がんばれ一刀お笑い道中〜僕が外史に降りた理由〜 第十四話
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「直属部隊が欲しい」

 

雪蓮と冥琳の前で、一刀は堂々と言った。

 

「唐突だな。何故だ?」

 

「色々と思うところがあって」

 

「いいんじゃない?遅かれ早かれ持つことになるんだし」

 

「ううむ・・・・・・」

 

賛成する雪蓮に対し、冥琳は渋い顔をしている。

 

「何か問題が?」

 

「そうだな。少なくとも今はやめておいたほうがいいかもしれん」

 

「?」

 

首を傾げる一刀に、ため息をついて言う冥琳。

 

「この前の模擬戦以降、お前に対する兵士の評価がだだ下がりなんだ。あんな戦い方を実際の戦場でやらされたらたまったものでは無いとな」

 

「・・・・・・ああ」

 

納得する雪蓮。

 

しかし、

 

「知ってる。だから今、軍内から募集してほしいんだけど」

 

一刀はなお、主張を曲げなかった。

 

「何か考えがあるのか?」

 

首を縦に振る一刀。

 

「まあ、募集するくらいならいいんじゃない?」

 

「・・・・・・そうだな。誰も来なければ時期尚早だったで済む話だからな」

 

「頼む」

 

 

 

こうして急遽、一刀直属部隊の志願者募集が行われる事となった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

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「とりあえず、五十人ほど志願してきたぞ」

 

「おお!」

 

「これが志願してきた者達の経歴だ」

 

「どれどれ・・・・・・」

 

喜びの表情と共に冥琳から渡された志願者のリストに目を通していく一刀。

 

そんな一刀とは対照的に、浮かない顔をしている冥琳。

 

それもそのはず、何故かは分からないが、志願者はそのことごとくが前線に出ることも無くなった老兵たちだったのだ。

 

「一刀。残念だが今回は・・・・・・」

 

時期尚早だったと言おうとした冥琳だったが、それを遮るように一刀は言葉を被せた。

 

「よし!さっそく志願者全員と個人面談だ!」

 

「・・・・・・は?」

 

一刀の予想外のリアクションに、一瞬呆気に取られる冥琳。

 

「ん?どうかした?そんな滅多に見せないような呆けた顔して」

 

「いや、まさかとは思うが・・・・・・採用する気か?」

 

「面談の結果次第では」

 

「そんなに急ぐ必要もないだろう。文武共に修練を積んで、周りに自分の力を認めさせればもっと力のある者達がおのずと集まってくると思うが」

 

「いや、この人たちがいいんだ」

 

「?」

 

「まあ、まずは個人面談しよう。話はそれからだ」

 

 

 

こうして一刀は志願者全員と面談を行い

 

 

 

結局全員採用してしまったのであった・・・・・・

 

 

 

 

 

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この一刀の決断について、雪蓮、冥琳、祭、穏は話していた。

 

「そう。全員採用しちゃったんだ」

 

「うむ」

 

「何でかしらね。穏分かる?」

 

「そうですねぇ・・・・・・」

 

考え込む穏。

 

「経験豊かな方達を周りに置いて、自分の経験不足を補うつもりではないでしょうか?」

 

「ありえない話ではないな」

 

「そうね。祭はどう思う?」

 

「彼らが呉において最強の兵士達だから・・・・・・でしょうな」

 

「は?」

 

祭の言葉に目をぱちくりさせる一同。

 

珍しく真面目な顔をして、祭は語りだした・・・・・・

 

 

 

 

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一刀が志願者全員を採用した後、親衛隊隊長に抜擢された老兵と、祭は酒を酌み交わしていた。

 

彼は祭とは旧知の間柄であり、孫呉の栄枯盛衰を知る生き字引であった。

 

「まさかこのような大役をおおせつかる事になるとは。長生きはするものですな」

 

「しかしおぬし、どうして志願したのじゃ?」

 

「分かりませぬか?」

 

「・・・・・・」

 

無言で酒を煽る祭。

 

祭は男の表情を見て、全てを察した。

 

「死に場所が欲しかったからか」

 

「ご名答」

 

男は笑みを浮かべた。

 

「長い間戦場に身を置いてきた者なら分かるでしょう。このまま老いさらばえてただの老人として死んで行くよりは、戦人として死にたい。わし以外の志願者も同じ理由でしょう」

 

「北郷はそれを知った上で、お主らを採用した訳か」

 

首を縦に振る男。

 

「実を言うと、直接話すまでは少し不安でした。模擬戦の話は聞いておりましたからな。戦場で死ぬのは構いませぬが、無駄死にしたい訳ではありませんから」

 

「そうじゃろうな」

 

「しかし、あの方はこうおっしゃられました。貴方達はどんな状況だろうと死を恐れない最強の兵士達だ。無駄死にさせるつもりは毛頭ない。どうせ死ぬなら笑って死ぬ。そんな場を用意させてもらう・・・・・・とね」

 

「・・・・・・」

 

「あの方の目に嘘は無かった。わし等を必要とし、わし等の願いを叶えてくれる。この命を捧げるにふさわしい御方だと、他の者達も思ったでしょうな」

 

「なるほどのう」

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

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「ようするに、一刀は死兵が欲しかったってことね」

 

「確かにそれは、最強の兵士の条件だからな」

 

「あの模擬戦も、兵士を篩に掛ける一環だったのかも知れませんねえ」

 

祭に親衛隊長との会話を聞かされて、雪蓮たちはそれぞれ納得がいったようだった。

 

「そういう事なら、この問題に私達がこれ以上口を出すのは野暮ってものね。解散しましょうか」

 

「そうだな」

 

「ですな」

 

「お疲れ様でした〜〜」

 

散っていく四人。

 

そんな中、祭は雪蓮たちに言わなかった親衛隊長の言葉を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

「ただ、わし等が必要とされる時はおそらく・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

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予告

 

 

時の流れは戦いを呼ぶ

 

最善を尽くしても報われぬ少女がいる

 

外史の中の当たり前の一幕

 

それに風穴を開けるのは、一刀と言う名の一発の銃弾か

 

次回「連合」

 

銃弾は火薬庫へ撃ち込まれ、火薬庫は炎に包まれる

 

 

 

 

 

・・・・・・ボトムズみたいな予告が作りたい

 

 

 

 

 

説明
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コメント
mokiti1976-2010さん:ご期待に添えるよう頑張ります(アキナス)
未奈兎さん:あとは一刀くんがどこで投入するかですね(アキナス)
はこざき(仮)さん:重要な場面とだけ言っておきます(アキナス)
死を恐れず、さりとてそう簡単に死なないであろう老いたる戦人達を一刀はどの場面でどのように使うのか…続きを楽しみにしております。(mokiti1976-2010)
おおう、しっかりとした理由があっての死兵か・・・これは敵には恐ろしいな、最高の場面で死なせてくれる兵とか恐ろしい以外の何物でもない。(未奈兎)
このベテラン兵士さんをどの戦で使うのかが鍵になりそうですな…連合か、それともアレか…(どれw)(はこざき(仮))
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