真・恋姫†無双 異伝「絡繰外史の騒動記」第二十九話
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「ごめんなさい、一刀…私がもっと強く拒否していればこんな事にはならなかったはずなの

 

 ですが…」

 

 月様から襄陽攻めの命令が発せられた翌日、俺は劉協殿下の下を訪れていた(名目上は農

 

 機具の点検であるが)。

 

「いえ、殿下のせいではございません。むしろ、殿下のおかげでさらにこちらは日を稼ぐ事

 

 に成功したのですから」

 

 実は、昨日あの後で劉協殿下より『私がもう一度だけ劉表を説得するからもう少しだけ戦

 

 は待って欲しい』とのお言葉があり、しかもそれを記した書状には陛下の御璽まで押され

 

 ていたので、さすがの月様も無視は出来ず『ならばもう一月だけ待ちます』との返答をさ

 

 れたので、最初の分と合わせて何とか三ヶ月の猶予を勝ち取っていたのであった。

 

「しかし、そのせいで一刀は三ヶ月以内に城を破壊する為の絡繰を必ず造りだせねばならな

 

 くなってしまいました。一刀の技術力はこういう事の為に使うべきものではないのは月だ

 

 って分かっていたはずなのに…」

 

「いえ、何とか戦を回避さえ出来ればそれも無くなりますれば…さすがにその辺りの事まで

 

 は私にはどうする事も出来ませんので、何卒…」

 

「分かっています。それは皇族たる私の役目ですから。とりあえずは何とか劉表が洛陽まで

 

 来てもらう事さえ出来れば…『おそらくそれは難しいかと』…風鈴?それはどういう事な

 

 のです?」

 

 劉協殿下の言葉を遮るかのようにその場に現れた盧植様のその言葉に、殿下は怪訝な表情

 

 で問いかける。

 

「荊州にいる知人に色々調べてもらった所、既に劉表様は病篤く起き上がるどころか意識さ

 

 え保つのも難しい状態のようです」

 

 

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「そんな…では月はそれを知らずに『そんなはずはございませんでしょう』…で、あろうな」

 

「あの…ならば劉表様の跡継ぎの御方とかが名代で来るとかはないのですか?」

 

「跡継ぎである劉g殿も病弱な上に、今は易々と動けないようです」

 

 …病弱なのを置いとくとしても、易々と動けないってどういう状況なんだろう?

 

「今、襄陽の軍事においては腹心の蔡瑁が大半を取り仕切っている状況です。蔡瑁は北郷殿

 

 も会った事があったかと」

 

 …ああ、連合との戦が終わった直後にお詫びの使者とかで来たあの人の事か。あれ?でも

 

 蔡瑁って…まさか?

 

「その顔は言うまでもなく既に理解しているものと判断しますが…蔡瑁は劉g殿を追い落と

 

 して自分の姪でもある妹の劉j殿を跡継ぎにしようと画策しているのです。おそらく今回

 

 の状況をその好機と捉えているのではないかと」

 

「でも、仮にこのまま襄陽を攻め取ったら劉表様の御一族に跡を継がせるなんて事を月様が

 

 させるとは思えませんが?」

 

「その前に自分と劉j殿が降伏して、劉g殿に全ての責を押し付けてしまえば問題無いと思

 

 っているのでしょう」

 

 …無理だな。月様が…特に今の月様がそんな甘い裁定など下すはずはない。仮に命は助け

 

 たとしても、何処かの片田舎にでも一生押し込められて終わりだろうな。

 

「なので、我らとしてはまずこの三ヶ月の間に何としてでも蔡瑁を排除して、劉g殿を洛陽

 

 に来てもらう事を第一とします」

 

 確かにそれが実現すれば現状では一番丸く事が収まるのだろうけど…しかし一体どうやっ

 

 てそれを?

 

「ご安心を、北郷殿。既に手筈は整えていますから」

 

 

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 心配だとでも俺の顔に浮かんでいたのか、盧植様がそう声をかけてくる。まあ、盧植様が

 

 そう言うのであれば、そこは任せてとりあえず俺は月様の眼を誤魔化す為にも兵器造りに

 

 取りかかっておこう…正直、あれだけは造るまいと思っていたのだけど。火薬がある以上

 

 あれを造るしかない。ネジ止めの技術を秘密にするのも限界に近いしな。

 

 ・・・・・・・

 

 〜一ヶ月後、襄陽にて〜

 

「何故だ、何故私が命を狙われなければならないのだ!」

 

 自分の部屋でそう喚いていたのは、蔡瑁であった。

 

「劉gの首を差し出せば、相国より襄陽の太守を劉j様に継がせるとの話だったから、私は

 

 そうなるように劉gの手紙を握りつぶし、軍の連中にも私の命令無しに動かぬように指示

 

 を出したのに…何故それが私が裏切り者になって、襄陽を救うには私の首を差し出さねば

 

 ならないという風に変わるのだ!相国め、最初からそういう腹づもりだったのか!?なら

 

 ば私にも考えがある!」

 

 喚いていたように、蔡瑁が劉gを売るような暴挙に走ったのは、彼の下に董卓からの使者

 

 を名乗る者が現れ、襄陽太守の跡目相続の件を伝えてきたからに他ならなかったのであっ

 

 たが…それが何時の間にか襄陽に蔡瑁が劉家を売って自らが襄陽太守になるつもりで劉g

 

 に罪を被せたという風に噂が広まり、蔡瑁の首を差し出せば戦にはならないという話にま

 

 でなってしまっており、彼は城の外に不用意に出られなくなったしまっていたのであった。

 

(城内や兵士の方は何とかまだ抑えている状態ではあるが、それも時間の問題となりつつあ

 

 る状況でもあった)

 

 業を煮やした蔡瑁はそう喚くと机の上にあった手紙を持って部屋を出る。そして…。

 

「これを劉焉様の所へ…襄陽と益州の境の辺りに展開している向こうの軍の指揮官にこれを

 

 渡せば分かるはずだ」

 

 近くに控えていた兵にそれを渡す。そして苛立った様子で再び部屋へと戻っていたのであ

 

 ったが…そのせいか、そこにいた兵が何時もの兵と違う長い黒髪の少女であった事にまっ

 

 たく気付いていなかったのであった。

 

 

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 そして一刻後。

 

「何事だ!此処が蔡瑁の屋敷と知っての所業か!」

 

 突然なだれ込んで来た兵達に蔡瑁はそう怒鳴り散らす。しかし…。

 

「ええ、私が命じたのですから」

 

 そこに現れたのは他ならぬ劉g本人であった。しかもその後ろには劉jも立っていたので

 

 ある。

 

「なっ…劉g様、これは一体どのような事で?御用とあらば仰せになっていただければこち

 

 らから参上いたしますものを」

 

「ほぅ…何時、お前が私の命を聞いたというのです?なら、私が相国閣下へ出した手紙の返

 

 事がまだ来ていないのは何故です?何故兵達の多くは私の命に耳を貸さないのですか?」

 

「えっ…いや、その…それは劉g様のお身体の具合がよろしくない事がおありなので、それ

 

 が原因で軍の統制が利かぬ事があってはと思い、もしもの場合は私が代わってすぐに軍を

 

 掌握出来るようにしていただけで…もしかしたら、兵達の中でそれを曲解して劉g様の命

 

 を拒否する者が出たのかもしれませんが…それに劉g様からの相国様へのお手紙は間違い

 

 なく出しております。向こうから返事が来ない事については私には何とも…」

 

「極めつけはこれです。これに覚えが無いとは言わせません」

 

 何とか言い訳をしようとする蔡瑁に劉gが一通の手紙を突き付けた途端、蔡瑁の顔色が変

 

 わる。それは先程劉焉に出したはずの手紙であったからだ。

 

「今、襄陽に劉焉殿の軍を入れればどうなるかという事位あなたにも分かるはずです。にも

 

 かかわらずこのような物を出すという事自体、お前がどう考えているか示す事に他ならな

 

 い証です!」

 

 

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「…黙れ、小娘!こちらが下手に出ておれば良い気になりおって!!この襄陽を守ってきた

 

 のはこの私だ!そもそも人が好いだけでそれ以上大した取柄も無い劉表に、病弱で碌に表

 

 に出てこれなかったお主が今更さかしらに口を挿む権利など無い!!この襄陽は私の領土

 

 …私の物だ!!それを好きにして何が悪い!!どうやら、私の首を取れば相国が許すとい

 

 う噂はやはりお前が流したのだな!!劉jまで連れて来て私に味方は一人もいないと言い

 

 たいのであろうが、此処は我が屋敷だ!!お前の首を刎ねる位たやすい事、出合え、出合

 

 え〜っ!!この小娘共の首を今此処で取ってしまえ!!」

 

 蔡瑁は大声でそう命じるのだが…それに応える者は誰一人いなかったのであった。

 

「なっ…これはどういう事だ!?」

 

「まさか、私が何の手立ても無しに此処に乗り込んできたとでも思っていたのですか?」

 

「何っ!?」

 

 蔡瑁がそう呻くように声を出すと同時に一人の人物が現れる。

 

「初めまして…ではないですね、蔡瑁殿?」

 

「………ま、まさか、ろ、ろ、ろ、盧植将軍!?」

 

「はい、覚えていていただいたようで何よりです。とりあえずこの屋敷の者達は全てこちら

 

 で拘束済ですので」

 

 盧植はにこやかな顔でそう言うが、その眼はまったく笑っていなかった。

 

「さて、蔡瑁殿…いえ、蔡瑁!今の言葉しかと我が耳で聞きました!襄陽が何時あなたの物

 

 となったというのです!?そも漢の国土は全て恐れ多くも皇帝陛下の物、各諸侯は陛下へ

 

 の忠節の証として領土を与えられているに過ぎません!!あなたの言葉は劉表殿や劉g殿

 

 に対してだけでなく陛下に対する不敬に相当する物です!!誰かある、蔡瑁の首を即刻刎

 

 ねよ!!」

 

 

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 盧植の命に応じて兵達は蔡瑁を拘束し、処刑場へと引っ立てていく。蔡瑁はなにやら喚き

 

 散らしていたが、もはやそれに耳を貸す者は誰一人いなかったのであった。

 

「ありがとうございました、盧植様。私が不甲斐ないばかりに御迷惑を…」

 

「いえ、漢の平穏の為には今、襄陽で戦を起こさせるわけにはまいりません。その為の労苦

 

 ならば何一つ厭いません」

 

 劉gからの謝罪に盧植はにこやかな顔でそう答えていた。

 

 ・・・・・・・

 

 〜襄陽の城にて〜

 

「どうやらうまくいったようですね。好々です」

 

「これもあなたが色々と手回ししてくれたお陰です。私だけでは此処までうまくはいかなか

 

 ったでしょう。ありがとうございました、司馬徽殿」

 

 盧植がそう言って深々と頭を下げた相手は水鏡先生であった。

 

「いえいえ、逆に言わせていただければ私だけでも此処までうまくいかなかったと思います

 

 わ。劉g様の客分として劉備さんがいて、その劉備さんにあなたが繋ぎを取ったからこそ

 

 此処までうまくいったようなものですから」

 

「それもあの娘が劉g様の所にいると司馬徽殿が教えてくださったからこそ出来た事です」

 

「ふふ、ならこれは私と盧植様の合わせ技での勝利…という事でしょうか?」

 

「ええ、間違いなく」

 

 二人はそう言って微笑んでいた。

 

「あの〜、風鈴先生?」

 

「あら、桃香ちゃん。今回はご苦労様でした」

 

「いえ、私はほとんど何も…愛紗ちゃんにお願いしただけですから」

 

 そこに劉備が現れたので、盧植は声をかけると、劉備は恐縮するようにそう答えるだけで

 

 あった。

 

 

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「ところで、何か用事?」

 

「用事という程ではないのですけど…この後、襄陽の太守はどうなるのかなと…」

 

「あら、何の官職も持っていない一民間人のあなたに正式に布告されていない事を教えられ

 

 ると思っているのですか?幾ら今回の事で協力してくれたとはいえ、それは厚かましいに

 

 も程があると思いにならないのかな?」

 

「………そう、ですよね。すみませんでした」

 

 劉備の質問に盧植が真面目な顔で答えると、劉備は申し訳なさそうな顔でそう答える。

 

「…ふふ、今のは半分冗談よ。でも、それによって問答無用で処罰しようとする人もいるか

 

 ら、今後は気を付けるように」

 

「…はい」

 

「とりあえず、これからちょっと独り言を呟くけど…多分、襄陽の太守は劉g殿が継ぐ事に

 

 なると思います。でも、あの身体の弱さに文句をいう人が出るかもしれないから、しばら

 

 くは私が補佐として此処に留まる事になると思いますけど」

 

 その盧植の言葉を聞いた瞬間、劉備の顔に喜色が浮かぶ。

 

「あ、ありがとうございます、風鈴先生!」

 

「何もお礼を言われるような事はしてませんよ。私はただ独り言を呟いただけですから」

 

 劉備の言葉に盧植はそう嘯いていたのであった。

 

 ・・・・・・・

 

 〜さらに一ヶ月後、洛陽にて〜

 

「劉g、面をあげてください」

 

「はっ…」

 

 劉gは水鏡先生と共に洛陽に来て劉協に拝謁していた(盧植は留守を守る為に襄陽に居残

 

 っている)。何故劉協なのかというと、盧植を襄陽に向かうのを許可したのが劉協であっ

 

 たからだ。

 

 

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「この度は劉協殿下の御配慮の賜物にて危地を脱する事が出来た事、感謝の念に堪えません」

 

「いえ、襄陽劉家は我が縁戚、それを守るのも皇族として当然の義務ですから。ところで、

 

 相国の様子は如何でしたか?」

 

「あのような苛烈な命を下した方とは思えない程、穏やかな応対でした…正直、嫌味の一つ

 

 も言われるのかと思ってましたが」

 

「そうですか…」

 

 劉gの言葉に劉協は複雑な表情を浮かべるが、それを振り払うかのように話を変える。

 

「ところで、まだ劉焉の軍勢は州境に滞在したままと聞きましたが…」

 

「…そうなのです。私からも盧植様からも兵を退くようにと文を出したのですが、その軍勢

 

 を率いる魏延と申す者が『文は劉焉様に届けるが、劉焉様の命令無しに退く事は出来ない』

 

 と…文の方はおそらく成都には既に届いているはずですが、劉焉殿からは何も返答は無く、

 

 盧植様も困っておられました」

 

 劉gがため息混じりにそう言うと、劉協も困ったように眉をひそめる。

 

「…分かりました。劉焉の方については私も何か考えてみます。本当であれば陛下のお力を

 

 借りれれば問題無かったのかもしれませんが…」

 

「…私も噂程度でしか知りませんが、やはり陛下は…」

 

「…はい、表に出ようとしないのは前からですが、連合との戦が終わってからはますます後

 

 宮に籠ったまま毎日趙忠の作ったお菓子や料理を食べてばかりで…私や月が何か言おうと

 

 しても『そっちに任せる』というだけで何も…」

 

 劉協の話を聞いた劉gは何とも複雑な表情を浮かべる。

 

「しかし、州境にいる劉焉殿の軍勢に対しては何かしらの手を打たなければ…襄陽の民達も

 

 何時攻め入ってくるのかと気が気でない様子でして…今は蔡瑁を排除してさらに盧植様の

 

 お声がかりで将兵も動いているので何とか全軍で警戒には当たっていますが…」

 

 

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「…そうですね。とりあえずはあちらの軍勢を何とかしましょう」

 

「何か良い手でも?」

 

「こちらが掴んだ情報通りならば打てる手はあります。そちらはすぐに手配しますので劉g

 

 殿は襄陽に戻っててください。姉や月が何と言おうと私はあなたの味方ですから」

 

 劉協のその言葉を聞いて安堵の笑みを浮かべた劉gは二日後に襄陽へと戻っていったので

 

 あった。

 

 ・・・・・・・

 

 それからさらに二日後。

 

「詠、良いですね?」

 

「…分かりました。でも、あの軍勢は実戦の為の部隊では無いのにそれだけで本当にあの軍

 

 勢を排除出来るのですか?」

 

「正確には排除するのではなく、混乱させる為の一手です。あくまでもこちらの目的は向こ

 

 うの軍勢に退いてもらう事ですから」

 

「…分かりました。月にはボクから言っておきます。今回の戦の準備についてはボクの方に

 

 一任されてますので」

 

 ・・・・・・・

 

 数日後。

 

「まさか俺達だけで襄陽に向かうなんてなぁ…一体何を期待してるっていうんだ、殿下様は」

 

「公達、もうちょっと口は慎め」

 

「ふん、こんな程度で首を刎ねるっていうならこの国ももうおしまいだっつうの」

 

「………一刀の部隊だけでない。恋とねねも一緒」

 

「…ああ、いや、そういう意味で言ったんじゃなかったんだが」

 

 一応、襄陽攻めは回避されそうだと喜んでいた俺達に詠が俺達の部隊が襄陽に向かうよう

 

 にと命じてきた。恋とねねも一緒なのは護衛及び現場での判断を下す為らしいのだが。

 

 とりあえず月様に言われて造っていた物の試作品は持ってきているが…使う事の無い事を

 

 心から祈るばかりである。

 

 

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 〜益州と荊州の州境・劉焉の軍勢の陣にて〜

 

 陣中で魏延が孫策に届いた情報を伝えていた。

 

「相国から襄陽に援軍?」

 

「ええ、旗印は『呂』・『陳』ですから呂布と陳宮なのでしょうが…その軍勢の中に奇妙な

 

 一団が」

 

「奇妙な一団?」

 

「兵数としては百にも満たないようなのですが…軍とは思えないような道具類ばかり持って

 

 いると。遠目に見ただけなのでそれが何かは分からないのですが、戦う為というよりは何

 

 かの仕掛けを造る為の集団のように見えたとの事で…」

 

 魏延のその報告を聞いた孫策の眼が鋭くなる。

 

「まさか…いや、こっちの軍勢を止めるならばあり得る話ね。くくっ、まさか向こうから私

 

 の所にやってくるなんてまさに僥倖…」

 

「孫策殿?」

 

「軍勢は今どの辺り?」

 

「報告をしてきた者はこの辺りで見たと言ってましたから、それからの日数を考えればこの

 

 辺でしょうが…それが何か?」

 

「いえ、ちょっと気になっただけ」

 

 孫策は魏延の疑問にそうはぐらかしていたが…。

 

(此処で七志野権兵衛が出て来るなんて…待ってなさい、お前の首は必ず取る!)

 

 心の中はその思いが渦巻いていたのであった。

 

 

                                       続く。

 

 

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 あとがき的なもの

 

 mokiti1976-2010です。

 

 毎度毎度投稿が遅くなって申し訳ございません。

 

 今回は、月の襄陽攻めを何とか回避しようとした劉協達の

 

 奮闘を中心にお送りしました。

 

 そのせいで一刀の出番も少ないし絡繰に至ってはほぼ出ま

 

 せんでした…次辺りからまた色々と出していきたいと思っ

 

 ておりますので、ご容赦の程を。

 

 とりあえず次回は州境に未だ留まる劉焉の軍勢に一刀達が

 

 どう対していくかと雪蓮の動向をお送りする予定です。

 

 

 それでは次回、第三十話でお会いいたしましょう。

 

 

 追伸 次回も劉備の出番はありますので…一刀と会うのか

 

    どうかはお楽しみに。 

 

 

 

 

 

 

説明

 お待たせしました!

 今回は戦を何とか回避もしくは延期させたい人達の

 足掻きなどをお送りします。

 とりあえずはご覧ください。
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コメント
神木ヒカリ様、ありがとうございます。確かにそれはあるかもしれません。霞がいればまだ思い出す可能性もあったかもしれませんが…。(mokiti1976-2010)
たっつー様、ありがとうございます。まあ、その二つが示す兵器を来ればもうね…精々大きいか小さいか位の違いしかありませんね。そしてそれが使われた時には初見の味方、そして馬が凄く混乱しそうではあります。(mokiti1976-2010)
七志野権兵衛か・・・ 名乗った一刀も忘れていそう。(神木ヒカリ)
ken様、ありがとうございます。誤字の指摘ありがとうございました。確かにその通りの間違いでした。修正しましたので。(mokiti1976-2010)
SwordMaster様、ありがとうございます。実は恋が付いて来たのはその放蕩娘対策という噂もちらほら…。そして、確かに劉備については盧植が何処まで話をしているかによりますね。協力を仰いでいるので何も話はしていないという事は無いでしょうが。(mokiti1976-2010)
「その顔は言うまでもなく既に理解しているもの【を】判断しますが… は、 「その顔は言うまでもなく既に理解しているもの【と】判断しますが… の間違いではないですか?(ken)
相変わらず逆恨みしまくりの放蕩娘が・・・ ただ今回は一刀の傍には恋がいるし下手に手を出すとぶちのめされるのは放蕩娘の方になりそうだよなぁ・・・。 劉備に関しては先の連合の真相をちゃんと把握しているか未だにしていないかによって状況は変わりそうですね。 まあ盧植がいる時点で真相は聞かされているとはおもいますけど。(SwordMaster)
(続き)劉備に関してはとりあえず盧植がいる間はそのままでしょうがその後どうなるか、ですね。ちなみに雛里とはまだ再会してません。水鏡先生は雛里の事はまったく話していませんので。そして、もし劉備が一刀と会ったらどうなるのか…私にも予想がつきません。(mokiti1976-2010)
Jack Tlam様、ありがとうございます。おそらく放蕩娘がやらかせば容赦ない裁きが下るのは間違いありません。実は劉協もその人がいるのが分かって一刀を派遣したという可能性も…果たしてその結末や如何に?(mokiti1976-2010)
一方、既に改易という裁きが下っている劉備は、今のところ問題無し。今回の功績もあるし、今後も荊州に置いてもらえるかも。水鏡先生の所に居る筈の雛里とはまだ再会していないのでしょうか。ただ、一刀に会ったらどうなるか。暴走まではいかないにしても、絶対にいい顔はしない。あの戦の最大の功労者が彼だと知らなければ未だしも。(Jack Tlam)
王族の責任も果たさずに恨み言ばかり言ってる放蕩娘がやらかす予感、だがきっと上手くいかない。上手くいったら中央の要人を害したということで孫家に「皇族の」裁きが。今回の件は明らかに蔡瑁の企みだから月も流石に無体な対応はやめたようだけど、次はそうはいかないと思うし……月以上に劉協が激怒しそうなのでね。正ヒロインを怒らせたら物語から退場するしかない。お約束。(Jack Tlam)
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