とある帝国のロール プロローグ
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【???】

 

【とある始末書】

■■ ■■年■月■■日

私は、■■年〇〇月より■■ヶ■博士の政府非公認である■■兵器開発計画を黙認するどころか出資支援し、結果として軍備施設である■■研究所を半壊させてしまうという事故の発生の助長し、他方に多大なご迷惑をおかけしたこと、心よりお詫び申し上げます。

 

《中略》

 

今後は新たな開発、研究に関することで何か不可解な点が発生した場合は上層部に逐次速やかなる報告を心掛け問題発生を未然に防ぎ、事故防止を徹底して心掛けると同時に己の信頼回復に向けて職務に邁進して参ります。

 

そして今回の件に付きまして発生した■■■■の処理に付きましては_____、

 

*

 

《始発の首都駅から長いこと揺られて幾らほど経ったのであろうか?

我が帝国の列車は発車時間は守れても到着時間を守れたことはあまりない。懐の中の時計を見てみればこの後の予定が先送りになってしまうのは明白であった。》

《このように時間が遅れることにより後々の仕事もまた連動して遅れ、最初の数分が後の数日間分の遅れとなってしまうともなると先が思いやられる。》

 

「___まあ、いいや。」

 

《いろいろを考えてみるが息詰まるためまるっと投げ捨てた儺禍嶌。》

《この列車に乗るのは頻度はそう多くなかれどもとうに慣れている。》

 

「前はちょくちょくは来ていたのだが近頃はあまり足を運ばなくなってしまったのである。それもこれも小生に降りかかる膨大な紙きれの数々ッ、仕事の山ッ、他エトセトラッ。小生の身体はすっかりカフェインとアルギニン漬けの毎日であった……。もう立派なヤク中では??本当にご苦労様でした。」

 

「まあ、まだ仕事残ってんだけども……。」

《考えたくねえなぁ……。》

 

「身から出た錆みたいなものもあるっちゃあるのであるが、それは小生だけが悪いのではないのである。なーんで小生だけがこんな後片付けが多いのだ!てか最初に始めたのはアイツである!小生ではない!小生悪くない!」#身から出た奴はどこいった

 

「おのれ〜、思い出したらまたムカムカしてきたのである。帰ったら嫌がらせしてやるッ!

 

………そして、いつまで小生一人に喋らせる気であるか。貴様は何様のつもりだ?」

 

《儺禍嶌の座るボックス席の向かい側、そこにはもう一人の男が列車の窓の遠くを見ていた。》

 

「…………それは、お前が知っていることだろう。」

 

《声を掛けられたのでその視線を目の前の儺禍嶌へ移す男。》

《長身痩躯の身体、使い古された軍帽、流行らないデザインのトレンチコート。灰色で適当な切り口の髪。年齢は声質から察するに初老に差し掛かりかけといったところであろうか、それにしては肌艶が若々しいが。》

 

「口の利き方を気を付けるがいい。例え貴様がどんな特殊事項に守られていようが、小生の手にかかれば貴様程度の首など簡単にはねることが出来るのであるぞ。」

 

「ほう?その刀を振るよりも筆を走らせてばかりの腱鞘炎気味の腕でか?」

「物理的にではなく処遇的な意味である。ペンは剣より強しという言葉を知らんのかっ。」

 

「まあいい。こんな長々と揺られて続け暇を持て余していると独り言も多くなるというのに……貴様という奴は話し相手にもならんとはな。で、先ほどから上の空で外を見て何を考えていたのであるか?ん?」

 

「ふむ、しいて言うならこれから先のことを考えていた。この男、というかなんだっけ……なんちゃらジマという奴としばらく共に過ごさなければならないとかと。大変だなー、って。」

「儺禍嶌ッ!大変なのはこっちであるッ!」

 

「聞く話によるとお前は相当厄介なやつだと聞いたから、私は無茶ぶり振られたりして苦労するんだろうな……可哀想な私。」

「気が利かないし敬語使えん上に人の名前も覚えやしない奴を当てられた小生の方が可哀想である。」

 

「小生の名はちゃんと漢字で呼ばせておきたいところであるが、まあ最初はカナの字で良しとしてやるのである。」

「お、ありがたい。よろしくな、ナカジ。」

「ぶっ飛ばすぞ!!どこぞの魔法少女と同じ呼び方すんねん!!ナカジ禁止!!

あとちゃんと敬称付けて呼ぶのだっ!

それと、貴様は今回自身に割り振られた名をキチンと把握しているのであろうな?」

 

「ああ、それなら……。」

「気に食わないから無かったことにした。」

「阿呆!勝手に無かったことにするんじゃない!」

 

「私はアレは嫌なのだが。」

「(チッ)、貴様に拒否権はないのである。」

 

「いいや、ここは改名させてもらう。日常でもその名で呼ばれるというのは好かないのでな。先に聞いてきたぞ、通称としてならば別にあだ名でもいいと言われた。」

「おおそうかよ。そんなに嫌であるか。じゃあ勝手にするといいのである。して、なんて名乗るか決めてるのであろうな?」

「えーと、それはね、今から考えるとこ。」

「段取りわりーな貴様!」

 

「私の名、は…………。そうだな、では『山寺』とでも名乗ろうか。では改めましてだ、以後よろしく頼むぞ。ナカジマ殿。」

 

「……ふん、『山寺』か。まあ覚えやすいから良しとしてやるのである。上からの御達しである。以後よろしく頼まれてやろう。山寺よ。」

 

《斯くして、この日から暫くの間、二人がフォリウムの世界へ降り立つこととなった。》

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