恋姫夢想 白き才姫に仕えし道化 |
北郷一刀視点
「お待たせしました公孫?様。」
「おぉ!待っていたぞ!」
そう言うと公孫?様は俺の持ってきた料理に飛びつきながら食べ始めた。
「んむっ!あむっ!ごくっ!うまい!」
「・・・はぁ、白蓮様もっと落ち着いてお食べください。他のものに示しがつきません。」
「んぐっ!そう言ってもな雪音、一度北郷の料理を知ってしまうともう我慢が出来ぬのだ!」
「それは分かります!ですがそれでもですね!」
「まぁまあ雪音さん。公孫?様もそうおっしゃってますしそれに自分も嬉しいですから。」
「・・・一刀殿がそう仰るのでしたら。」
「ごくっ!ん!?雪音お前北郷に真名を渡したのか!?」
「うっ!・・・はい。」
「ははぁ?ん、なるほどな?。」
「も、もう!早く食べ終えてください!」
「ははは!照れるな照れるな!」
「はは・・」
俺はその光景を見ながら、あの一騎打ちからの事を思い返していた。
あの一騎打ちのすぐ後に王門が城を出て行ったようだ。まぁ出ていかなければ強制的に出ていかせたが手間が省けた。そしてその後有耶無耶になっていた料理試験を実施し、公孫?様に料理をお出ししたのだが、どうやら公孫?様がえらく俺の料理を気に入ってくれたようで専属の料理人になった。とはいえ元々厨房が足りなくてとった人員なので定期的に手伝いに行くことになった。(公孫?様は反対していたが雪音さんが睨みつけて通していたのは記憶に新しい。)ということがあり今に至る。
「ふむ、何かと来てみればこういう事ですか。一刀、私にもいただけますかな?」
「あ、星来たのか。いいよちょっと待ってて。」
星も俺と同様にここに残っているが立場は大きく違い今は将軍を務めている。やっぱり名前が売れていると色々と得なようだ。
「はいお待たせ!」
「いただきましょう。・・・ふむ、やはり美味しいですな。」
「ありがと。そう言えば公孫?様、あの方はいらっしゃらないのですか?」
「ん?ああ、あいつなら」
公孫?様がそう言ったその時
「お姉様!おはようございます!」
ばんっ!扉が勢いよく開け放たれた。
「公孫越様おはようございます。」
「あら、いたのね。全く料理が上手いから許しているけれど、私とお姉様の時間を邪魔しないでね。」
「陽!何だその言い方は!」
「公孫?様、私は気にしておりませんのでどうかお納めを。」
「・・・北郷がそう言うのなら。陽、早く座って食べなさい。」
「はい!お姉さま!」
そう言うと公孫?様の横に座った。彼女は公孫?様の妹の公孫越様だ。見ての通り姉である公孫?様が大が付くほど溺愛している。その為公孫?様との時間を邪魔しそうな俺を嫌っているが、今は俺の料理を気に入ってもらえているようなので何とか近くにいることができていると言う事だ。ちなみに見た目は公孫?様と同じ髪型で顔はちょっと公孫?様を幼くしたような顔だ。
「で、今日の朝食はなんですの?」
俺がそんな事を考えていると公孫越様がそう言ってきた。
「はい、本日の朝食は焼売に生春巻き、軽く塩で味付けしたおじや、そして油条を使いました野菜炒めとなっております。」
「ふん、まぁそこそこですわね。」
「陽!」
「まぁまぁ公孫?様、・・・それでは公孫越様お召し上がりなさいませ。」
「いただくわ。 はむっ・・・ふん!まぁ合格ですね!」
「ありがとうございます。」
「はぁ?・・・すまんな北郷、お前の料理を気に入っているのは本当なんだが。」
「はは、喜んでいただけるようで何よりです。」
「おっほっほ!私に食べてもらえていることに感謝するのですね!」
「よ?うっ!」
「ひっ!じょ、冗談ですわお姉さま!」
そう言うとすごい速度で食事をし始めた。
「まったくっ!あむっ!北郷お代わりを!」
「はいただいま。」
こうして主人と家臣たちの食事は進んでいった。星は公孫越様に嫌われていないようで、一緒に食事をしていた。俺もいつか仲良くなれればいいな。
それから時間が経ち食べ終えたので食器を片付け始めた。そして片付け終えると公孫?様に呼び出された。その時の公孫越様の視線については・・・言わなくても分かるだろう。
そんな事を考えて歩いていると公孫?様の執務室についた。
「失礼します公孫?様。」
がちゃ、そう言うと俺は扉を開けた。
「すまないな北郷、いきなり呼び出したりして。」
「構いません。で、要件とは?」
「ああ、・・・北郷お前はこのまま料理人で終わるつもりか。」
「・・やはりその事でしたか。」
公孫?様に呼ばれた時にこの事を聞かれると薄々勘付いてはいた。
「ああ、お前の実力はこの前の一騎打ちで分かった。だが、いやだからこそそんなお前を遊ばせておくなど出来ない。しかし本人の意思も尊重したいと私は考えている。・・・一刀これからお前はどうするつもりだ?」
「・・・実は一つ星と考えていた事があるんです。ですがそれは公孫?様、貴方の協力が必要不可欠となるものなのです。」
「私が協力出来るなら出来る限り協力しよう雪音の礼もあるしな。それでその内容とは?」
「ありがとうございます。その為にはまずある人物を登用していただきたいのです。」
雪音視点
「整列!!」
ばっ!私の掛け声とともに兵士達が列を作った。これは私が受け持っている特殊百人隊の兵士達だ。構成兵士が全員女性である為、隊長が女の方がいいだろうとの理由で公孫?様が私を隊長にしたのだ。その隊が今中庭に整列しているそれもこの隊のみだ。公孫?様から急ぎ集まるようにとの事だったが一体何が始まるのだ?
そう思っていると公孫?様が姿を現した。
「皆ご苦労!楽にしていいぞ!」
その言葉ともに少し緊張感が薄まった。どうやら何か自分達が失態を犯したようではないようだ。しかしなら何故集まったのだ?
「いきなりだったが集まり感謝している。今日ここにお前達のみ読んだ理由はお前達の隊に副隊長を入れることとなったからだ。」
ざわっ!一瞬にして兵達が騒がしくなった。
「静かに!」
私が声を張り上げそう言うと兵士たちは落ち着いたが顔には疑問が浮かんでいる。私もだ。そんな話は今のところ聞いていない。誰だ?
「慌てるのも無理もない、これは私の独断で決めた事なのだから皆には伝えていなかったからな。・・・では紹介しよう、こちらにこい。」
そう言うとその人物が出てきた。その者は黒い仮面をつけ見たこともない服を着ていた。・・・待てよあの服は!
「こいつが今日からお前達の隊の副隊長を務める南壁だ。実力については私が認めるので皆南壁と共に精進すること。私からは以上だ。解散!」
そう言うと公孫?様は去っていった。南壁と言っただろうか、しかしあの服は一刀殿の服、一体どういうことだ?
そう思っていると男が話し始めた。
「・・・南壁だ、よろしく頼む。」
我々に聞き取れる程の声でそう言った。声自体は一刀殿よりも低く、重みのある声だ。・・・やはり別人か?
「今日の所は私からは以上だ。・・・後は隊長の指示に従ってくれ。そして隊長は話しがあるからきてくれ。」
そういうと男は立ち去ろうとした。
「お待ちを南壁副隊長!」
すると1人の兵士が呼び止めた。彼女は確か張瀾だったか。
「・・・なんだ。」
「我々はまだ納得が出来ておりません。今まで関靖隊長のみでもやっていけていました。そこに全く知らない貴方が何故副隊長についたのですか?」
「・・・ふむ、要はなんの実績もない私が副隊長についたのが気に入らないということだな?」
「そこまで言っているわけでは・・・」
「隠す必要はない。私も隊員ならそう思っただほうからな。」
そう言うと南壁殿は中庭に降り、地面に円を書き、その円の中に入った。一体何を?
「・・・よし。この円の中に私が入りお前がどんな方法でも構わない。この円から私を出してみろ。」
「なっ!」
南壁殿に意見した張瀾が驚いていた。無理もない円の大きさは人1人が立てる程度しかないからだ。
「・・・なめてますか私を?」
張瀾は顔に怒気を浮かべながらそう言った。
「なめてはいない。純然たる力量の差だ。」
「っ!」
南壁殿がそう言うと張瀾は南壁殿に向かっていった。
「はぁ!」
張瀾は相手の顎を狙った鋭い一撃を繰り出してきた。これは当たる、そう思ったが
ばしっ!南壁殿はその拳を軽く止めた。
「くっ!」
張瀾は受け止められたことを察するとすぐさま蹴りを放った。が、
ばしっ!それも止められた。
「・・・いい反応だが拳が抑えられてる時に蹴りは駄目だなっ!」
ばっ!張瀾は投げ飛ばされた。
ばんっ「ぐっ!」
「・・・自らの力を誇るのは構わない。それは武人として大切な事だからな。だが怒りに任せ相手の実力も分からぬまま攻撃するのは愚策も愚策だ。出直してこい。」
「くっ!・・・」
張瀾は何も言えなくなってしまった。無理もない南壁殿の言う通りだからだ。
「・・・他に意見のある者はいるか?・・・いないようだななら今日は解散だ。隊長は少し来てくれ。今後について話したいことがある。」
そう言うと南壁殿は歩き始めた。私も急ぎ後を追った。
しばらく歩くと南壁殿が止まった。
「それで南壁殿、今後についてとは一体?」
「ま、色々込みで話すので少し長くなりますがね。」
「っ!・・・その声はやはり一刀殿!?」
「よかった、ばれなかったみたいですね。」
そう言うと南壁殿、いや一刀殿は仮面を取った。
一刀視点
「一刀殿これは一体どう言う事なのですか!?何故正体を隠して部隊に!?」
雪音さんが強い口調でそう言ってきた。まぁいきなりこんな事になったらそうなるか。
「すみません、俺が無理言って公孫?様に急遽やってもらったので。」
「何故いきなり?」
「・・・時間がないんです。」
「何のですか?」
「最近、民による暴動が多くなってきていると言う話を知っていますか?」
「はい確か黄色い布をつけている者たちが起こしていると聞いています。しかしそれは他の国の事で今回の軍議の話題にも上がっておりません。それを何故一刀殿がご存知なのですか?確か一刀殿は従者扱いで軍議などには入れぬはずですが?」
「意外とそう言う情報は侍女の方や厨房の方等の方が詳しいのですよ。買い出しなどで商人の方に話が聞けるので。」
公孫?様の専属の料理人となってからそう言う人達と話す機会が多かったので様々な情報が入ってくる。
「・・・なるほど、そのような方法があるとは・・・しかし何故その黄色の布をつけた民達の事が気になるのですか?」
「それは・・・」
言うべきか、しかし信じてもらえる可能性は極端に低い。もし疑われれば・・・いや今はそれよりも雪音さん達の身の安全が第一だ。疑われても構わない、それで雪音さん達が安全になる確率が少しでも上がるなら!
「・・・雪音さん実は俺、この時代よりも遥か遠い未来からきたんです。」
「・・・・・・え?」
雪音さんはとても驚いた顔でそう言った。無理もない、だがここでやめるわけにはいかない。
「 正確に言いますと今から約2000年程後の時代からやってきたんです。」
「2000年・・・」
「何故俺がこの時代に来たのか、何故俺なのかは全然わかりません。ですがこの時代が漢王朝、三国志と呼ばれる時代だと言うことは分かります。」
「・・・」
「そしてその時代の始まりと言われているのがその黄色の布をつけた民達の暴動なんです。・・・こんな事いきなり言われて信じろと言う方が難しいですがどうか「信じます」・・・えっ」
雪音さん今なんて・・・
「信じます。確かに最初は驚きましたが一刀殿が、私をあの男から助け出してくれた貴方の言うことを信じない筈ないではありませんか!」
っ!
雪音さんは笑顔でそう言ってきた。・・・そうか、・・・これは・・・うん嬉しいがその、少し気恥ずかしい。
「あ、ありがとうございます。」
少し照れながら言ってしまった。
「・・・」
なでなでなで、
「ゆ、雪音さん!?」
雪音さんがいきなり頭を撫でてきた。何故っ!?
「はっ!す、すみません!つい、・・・おほんっ!は、話が逸れてしまったので本題に戻りましょう。一刀殿は2000年後の未来から来た方と言う事でしたね。」
雪音さんが顔を赤くしながらそう言った。
「は、はいそうです。」
「つまりその民の反乱がまずいと言う事なのですね。・・・しかし今までにも民による反乱はありました。それでまずいと言うはいささか言い過ぎではないかと思うのですが?」
「・・・確かに今までの規模ならそうですが今度の反乱は規模が違うんです。」
「どれ程なのですか?」
「・・・およそ30万超」
「30!?」
「その反乱を俺たちの時代ではこう言います。」
ーーー黄巾の乱と。
時代はその時代のもの達をとり残しながら進んでいくのであった。
皆さんこんにちはこんばんはアリアです!
やっと!やっと!本編始められそうで嬉しいです!
長かった?。
これを励みにこれからも頑張っていくので応援よろしくお願いします!
それでは今回はここまでまた次回会いましょう!それでは再見!
次回は多分妹回です!
説明 | ||
皆さんのおかげで13話目です! 支援、コメント、読んで下さった皆さんに感謝です! 今回は少し短めなのはお許し下さい! |
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コメント | ||
はこざき(仮)さんコメントありがとうございます!そうですね黄巾の乱に入ると士官を募るのが難しくなってくるので各勢力への自己紹介的なものが増えて行くと思います。ただ黄巾の乱は今後の展開で重要になってくるかもしれないのでお楽しみに!(アリア) mokiti1976-2010さんコメントありがとうございます!公孫越には今後重要な役割を担ってもらおうと思っているので一刀には頑張っていただこうと思っています!ちなみにオトさかどうかは・・・お楽しみに!(アリア) 公孫賛サイドで自分の正体を明かしますか、なるほど…まずは勢力拡大の為に士官する人たちを何とか取りまとめたいところですが、黄巾の乱あたりではこれ以上は難しいかもしれませんね…公孫越がいつデレるのか含めて楽しみにしております!(はこざき(仮)) 妹回…白蓮命の公孫越を一刀がオトすという事か?(mokiti1976-2010) |
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