ビーストテイマー・ナタ22
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ナタは教会のある小高い丘の上に走りました。教会はもう閉まっていて、中に入る事は出来ませんでした。

 

「お姉さんはどこにいるんだろう?」

 

ピーターがクンクンと地面の匂いを嗅いで、ナタの方を見ます。

 

「そっちにいるんだね!」

 

教会の裏の崖の上で月を見ている獣人がいました。ナタにはそれがフラウだとすぐにわかります。

 

「お姉さん!助けて…。ナタの宝石箱が盗まれちゃったの」

 

「あなた…ひょっとしてナターシャちゃん?」

 

「うん、ナタだよー。大人の女の人に変身したの」

 

「とっても可愛らしいわ。私なんかよりずっと魅力的よ?」

 

「でもおじさんはお姉さんにはいつもデレデレしてる癖に、ナタが大人の女の人になっても、ちっとも喜ばなかったよ?」

 

「ゲイザー様が私に?それは何かの間違いよ。私の事なんて全く興味がなさそうだったもの」

 

「ううん、ナタは使い魔の考えてる事は大体、わかるの。意思疎通の能力だよ。おじさんはお姉さんのおっきなお胸の事ばっかり考えてた」

 

「えっ!ナターシャちゃん、それ本当?」

 

「大人の男の人はみんなそうだけど、おじさんもお姉さんに会ってから、ずっとそうなの…」

 

「嬉しい…。ゲイザー様が私の事をそんな風に思ってくださってたなんて」

 

「えっ…、嬉しいの?お姉さんは嫌がると思ってた!」

 

「他の人だったら嫌だけど、ゲイザー様は特別なの。愛情しか感じないわ」

 

「だからね、ナタもお胸がおっきな大人の女の人になれば、おじさんが喜ぶかと思ったの。でもすごい怒ってた。どうしてなの?」

 

「それは…なんて説明したら良いかわからないわ」

 

フラウがどう答えようか悩んでいると、ナタは思い出したように、こう言いました。

 

「それより大変なの!ナタの宝石箱が泥棒さんに盗まれて、おじさんとジョルジュとルーシーが連れて行かれちゃった…」

 

「ゲイザー様が?どう言う事?」

 

「おじさんは満月の夜はビーストカードに封印してるの。もし宝石箱を開けられたら…」

 

「ゲイザー様が拐われてしまったなんて、早くお救いしなくては!」

 

宿屋に戻るとピーターは散らかった荷物の匂いをクンクン嗅ぎました。ナタの方をチラッと見てからダッシュします。

 

「泥棒さんはあっちに行ったみたい!お姉さんも一緒に来て!」

 

「ええ、もちろん!」

 

フラウは獣人だとわからないように、ヴェールとマスクを付けています。ナタと一緒にピーターの跡を追いかけました。

 

…つづく

説明
昔、書いていたオリジナル小説の第22話です。
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