ビーストテイマー・ナタ23
[全1ページ]

アラヴェスタの街の中で一番、大きなお屋敷の前まで来ました。ピーターは柵の間を通って侵入します。ナタも柵の間を通ろうとしました。

 

「お胸がつっかえて通れない!」

 

「ナターシャちゃん、こっちから入れそうよ」

 

フラウは街路樹をよじ登り、ジャンプして柵を乗り越えました。音も立てずに静かに着地します。ナタも真似をしたけれど、ドサっと尻餅をついてしまいました。

 

「痛ーい!子供の身体の方が動きやすいよー」

 

物音に気付いたのか、番犬の吠える声が聞こえて来ます。二人は茂みの中に身を潜めました。

 

「こんなお金持ちのお家の人がなんで泥棒さんなの?」

 

「ここは王宮に仕える一級魔術師オズワルド様のお屋敷よ」

 

「一級魔術師?だったらナタの宝石箱、開けられちゃうかも!魔力の波動を合わせられる一級魔術師なら、多分…」

 

「グルルルルー」

 

鋭い牙を持った大きな番犬が現れました。フラウは長い爪を出して、番犬に戦いを挑みます。

 

「ジョルジュ!お姉さん、攻撃しちゃダメ!」

 

「落ち着いて、ナターシャちゃん。ジョルジュじゃないケルベロスかもしれないわ」

 

「あの顔はジョルジュだよ!他のケルベロスと全然、顔違うもん。見間違えるわけないよ?」

 

「じゃあやっぱり、宝石箱は開けられてしまったのね…。ゲイザー様の身が心配だわ!」

 

二人はお屋敷に向かって全力疾走します。ジョルジュが猛スピードで追いかけて来ました。

 

「ジョルジュ…。ナタの事わからないの!大人の身体でも匂いは同じでしょ?」

 

ジョルジュが遠吠えすると、空から大きな翼を持った魔物が現れて、大きな岩を上から落として来ます。フラウはナタに飛びかかって、降ってくる岩の軌道から間一髪、逃れました。

 

「ルーシー!ナタだよ?どうしてこんな事するの」

 

「ナターシャちゃん、ルーシーはもう悪い魔物になっちゃったの。戦うしかないわ」

 

「嫌だよ!ナタ、ジョルジュやルーシーと戦いたくない…」

 

「冷たいように聞こえるかもしれないけど、今は心を鬼にして戦いましょう!」

 

フラウはジョルジュに飛びかかり、鋭い爪で切り裂きました。地面に倒れたジョルジュにナタは駆け寄ります。

 

「しっかりして!ジョルジュ…」

 

ナタはヒーリングの魔法でジョルジュを回復しました。起き上がったジョルジュはナタに噛み付こうとします。フラウはジョルジュに攻撃を繰り返し、注意を自分に向けましたが、ルーシーがナタの身体を鷲掴みにして、空高く舞い上がって、上空で鉤爪を離してナタを地面に墜落させようとしたのです。

 

…つづく

説明
昔、書いていた小説の第23話です。
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
112 111 0
タグ

リュートさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com