真・恋姫†無双〜黒の御使いと鬼子の少女〜 60
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「……平和だな」

「そうですね……」

 

 城を出て数十分、当たり障りのない会話しか出来ていなかった。

 

(ま、まずい、何を話せばいいのかまったくもってわからん!)

 

 くそっ、こんなことになるなら一回くらい遊郭に行くべきだったっか!? と心底悩んでいるところへ愛紗から話しかけられる。

 

「その、玄輝殿の師はどういった方だったのですか?」

「師? ああ、師匠の事か」

「ええ。玄輝殿の腕を見ればかなりの達人と思うのですが……」

「う〜ん、まぁ、達人って言えば達人なんだろうけどなぁ……」

「? どうされたのですか?」

「いやぁ、今思い出しても教え方が下手糞だったなぁって」

「…………はい?」

 

 愛紗が“何をおっしゃってるので?”みたいな表情になるが、事実なので仕方がない。

 

「いや、だってさ前の日に教えたことをやったら“そんなことやるんじゃねぇ!”ってぶん殴ってくるんだぜ? で、殴られた日に教えられたことをやったら“やる気あるのか?”って殺気を放たれるんだよ」

 

 正直、こいつ頭大丈夫か? って何度思ったことか……

 

「……よく剣を身に付けられましたね」

「俺もそう思う。まぁ、ただ」

「ただ?」

「……俺の事はちゃんと“弟子”って思って接してくれていたのは間違いないと思う。だから身に付けられたんだろうな」

 

 どんなにバカにしても、どんなに叩きのめしても、決して見捨てることだけはしなかったからな、あの師匠。

 

「……いいお方だったのですね」

「本気で言ってるのか?」

「ええ」

 

 互いに冗談交じりの返答をして小さく笑った。

 

「そういや、愛紗の師匠ってどんな人だったんだ?」

「……そうですね。私の師は兄でした」

「あっ」

 

 しまった、つい話の流れで……

 

「……気になさらないでください。兄は確かに亡くなりましたが、教えてくれた武や魂はここにありますから」

 

 そう言って偃月刀を軽く掲げる。

 

「……それ、お兄さんのだったのか」

「ええ。なんでも先祖代々伝えられた物だとか」

 

 ただ、そこで彼女は何かを思い出したようにして小さく笑った。

 

「ん? なんか変なことでもあったのか?」

「いえ、そんな昔から存在するわけがないのにと今思いまして」

「そうなのか?」

 

 正直、武器の成り立ちってのはあんまり詳しくないんだよな……

 

「多分、兄の“武器を大切にしろ”という教えだったのでしょう。武器とは己の半身、体の一部のように使えてこそ一人前ということを伝えたかったのではないかと」

「なるほどね」

 

 先祖代々伝わっている物、なんて言われれば誰でも大切にする。そこから手入れやら何やらを学ばせようとしていたのか。

 

「その兄から基礎を学んで後はほぼ独力で」

「それだけでそこまでの力を?」

「……後がなかったのですよ。私が一人で生きていくには武を手にするしかなかった」

「……そうか」

 

 なんというか……

 

「……どこか似ていますね、私たちは」

「……そうだな」

 

 と、そこで気になることが。

 

「そういえば、鈴々や桃香とはどんな経緯で出会ったんだ?」

 

 俺の質問に愛紗は空を一度だけ見上げてから質問に答えてくれた。

 

「そうですね。鈴々と出会ったのはとある街道での事でした」

 

………………………

 

……………

 

……

 

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 私はこの世を憂い、旅をしながらただ憤りに身を任せて武を振るっていました。その旅の途中、小さな山賊団に襲われたのです。

 

「にゃー! ここを通りたかったら食べ物を置いていくのだ! あ、できればお金も欲しいのだ!」

「食べ物よこせー!」

「お菓子も欲しい!」

「……はぁ」

 

 最初は子供のごっこ遊びかと思ったのですが、その頭領が持っていた武器を見て考えを改めたのです。

 

「何故、こんなところで山賊をしている? 父上や母上はどうしたのだ?」

「……そ、そんなの関係ないのだ!」

「ないのだー!」

「……お母さん、ぐすっ」

「な、泣くなよ! みんなも泣き出しちゃうだろ!」

「にゃー! みんなを惑わせるななのだ!」

「なっ! 惑わせてはいないだろう!?」

「卑怯者〜っ! 覚悟なのだぁ!」

「だ、誰が卑怯も、ぐっ!」

 

 あの時の重みは今でも思い出せます。こんな幼子にこれほどに力があるなんて、と。

 

「にゃにゃにゃにゃにゃ!」

「くぅ、っ!」

「ど、どぉだ! 降参しておとなしく食べ物を出せば通してあげるのだ!」

「生憎、どんなことがあろうと賊には屈せぬと決めているので、なっ!」

「うにゃぁ!?」

「はぁあああああああああああああああ!」

「にゃ、に、にゃぁあ!」

 

 決着は、ふふっ、すみません。今でもたまに鈴々をからかうときに言っているので。なにせ、特大の腹の虫で付いたのですから。

 

「にゃ、にゃぁあぁぁ〜……」

「……はぁ?」

「う、うぅぅ、力が出ないのだぁ……」

「…………お主、何日食べてないのだ?」

「…………四日」

「なっ! ここにいる子供全員か!?」

「にゃあ! 鈴々はこれでも16なのだ!」

「なにぃ!?」

 

 ……玄輝殿、もしや鈴々を12,3とか思っていませんよね? はぁ、それは本人には言わないでやってください。あれでも気にしているところなのですから。

 

「……すまぬ。ではお主とその子たちは四日も食べていないのか?」

「…………そうなのだ」

「……何があったのだ? 私でよければ力になる」

「……本当?」

「ああ。この関雲長、約束をたがえることはない」

 

 その後、鈴々から村が流行り病と飢饉に襲われて皆が苦しんでいること、そのため今動ける子供たちだけで何とかしようとして山賊まがいの事をしていたという話を聴いた後、私は近くの村で保護してもらえないのかと聞いたのですが、近くの村もそれどころじゃない、とのことでした。

 

「隣村は今、山賊の根城になっているのだ……」

「なんだと?」

「鈴々一人だとさすがに戦えなくて、それで……」

「なるほどな。であれば問題はあるまい」

「にゃ?」

「私とお主であれば、そこらの賊など相手にならん」

「……一緒に、戦ってくれるのかぁ?」

「まかせろ」

「……ひぐっ、うぅ〜」

 

 あやつの泣いた姿を見たのは後にも先にもその時だけでした。その後は、まぁ、玄輝殿の予想通りです。

 

 山賊どもを斬り伏せ、村を開放した後で姉妹の契りを交わして二人して旅をすることになったのです。

 

………………………

 

……………

 

……

 

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はいどうもおはこんばんにちわ。作者の風猫です。

 

愛紗と鈴々の出会いを今回書いてみました。

 

そういえば、話がものすごく変わってしまうのですが、最近PUBGモバイルを始めてみたのですが……

 

ド ン 勝 が 遠 い ! (1位になること)

 

いや、TOP10やら20にはかなりの確率で入れるんですけどねぇ……

 

なかなか厳しいものがあります……

 

でも、色々な人がやっている理由は分かりますね。

 

これだけやってドン勝できたらもう最高でしょうね……

 

いつかその感動を味わいたいものです。

 

では、今回はこんなところでまた次回。

 

何かありましたらコメントにお願いいたします。

 

 

説明
白髪の鬼子と黒の御使いの、守るために戦い抜いたお話

オリジナルキャラクターが蜀√に関わる話です。

大筋の話は本編とほぼ同じですが、そういったのがお嫌いな方はブラウザのバックボタンをお願いします。































ちゃんとオリジナルの話もありますよ?(´・ω・)
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コメント
はこざき(仮)さん>>(豚どころか何にも乗ってないなんて言えない……)豚っていうとアニメ版ですかね。書いた後に「あれ、何か似てない?」とは自分でも思ったのですが…… やっぱりどこかしらで引っ張られてしまったのでしょうか……?(風猫)
この時の鈴々は馬じゃなくて豚に乗ってたんやろなぁ…(その目は優しかった) PUBG再びゲームのシェア盛り返して来てる感じですね、自分は動作環境が貧相なのでプレイできませんが実況動画を見て楽しんだりしてますねー 目指せドン勝ち!(はこざき(仮))
タグ
オリジナルキャラクター 鬼子 蜀√ 真・恋姫†無双 

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