ビーストテイマー・ナタ54 |
一週間後、フラウはまたスラム街にやって来ました。すると騎士団の者に周りを取り囲まれたのです。
「シスター、国王の命により、あなたを拘束します。手荒な真似はしたくないので、ご同行願えますか?」
「崇高な騎士団の者が、なぜ聖職者の慈善活動を阻むのです?」
「シスターがただの慈善活動をなさっているなら問題はありませんが、邪教への勧誘を目的となさっているなら由々しき事態ですよ?」
「邪教への勧誘?何か思い違いをされておられるのでは…」
「話し合いは無駄のようですね。皆の者、この怪しい邪教徒の女を捕らえよ!」
フラウとナタは騎士団に捕らえられて、後ろ手を縄で縛られ、アラヴェスタ城の地下牢に幽閉されました。
「おい、褐色の肌の女!お前だけ出ろ?」
「はい、私に何かご用でしょうか?」
「国王様がお呼びであらせられる。失礼のないようにな?」
フラウが連れて行かれて、しばらくしてからメイド服を着た女性が食事を運んで来ます。
「縄を解きますので、食事をどうぞ」
「ありがとう!あのね、さっき連れて行かれたお姉さんはどうなっちゃうの?」
「どうなるかはわかりませんが、拷問の準備をしておられました。悪い魔女だから魔女裁判にかけるとか、話しているのを聞きました」
「どうしよう…。そうだ!おじさんに相談してみよっと?」
ナタは胸の谷間に挟んであった剣士のカードを取り出すとゲイザーを召喚しました。
「ゲ、ゲイザー様!お久しぶりです。こんなところでお会いするとは、思いませんでした…」
「サラ…!どうしてサラがここにいるのです?監獄のような場所ですが…」
「このお姉さん、おじさんの知り合いなの?」
メイド服を着た女性はゲイザーの胸に飛び込むと愛おしそうに頬を擦り寄せました。
「別れた後もあなたの事を忘れた日は一日もありませんでした」
「あー、もう!おじさん、またお胸の大きなお姉さんにデレデレしてる…」
ナタはほっぺをプクッと膨らませながら言いました。ゲイザーは慌てて、その場を取り繕います。
「ナターシャ、私はこの人とちょっと話があるから、あっちに行ってなさい?」
「ゲイザー様、私はまだこの指輪を外していなかったの。あなたからもらった大切なプレゼントだから…」
サラの左手の薬指には銀製の安っぽい婚約指輪が嵌められていました。
「すみません、サラ…。私はもう結婚しているのです」
「えっ…誰と結婚されたのですか?」
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第54話です。 | ||
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