ビーストテイマー・ナタ57
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数ヶ月前、アラヴェスタ王宮。ゲイザーとサラは城内にある庭園でデートしていました。

 

「もうお付き合いを始めてから、何ヶ月も経つのに、キスもしてくださらないのですね」

 

「すみません…。普通はお付き合いして、どのくらいでするものなのでしょうか?」

 

「早い人なら、その日の内ですが、遅くても一ヶ月以内だと思います」

 

「そうですか…。随分、遅くなってしまいましたが、キスしてもよろしいでしょうか?」

 

「わざわざ聞かなくても、いつでもどうぞ?」

 

「相手がお嫌でしたら困りますし、やはり聞いておかないと…」

 

「他の男性なら無理やりキスして来ますよ?」

 

「無理やりキスするのは相手の女性が気の毒ですね…」

 

「ムードがぶち壊しになってしまいますので、聞かずに相手の目を見て、相手が目を閉じたらキスしても良いと言う合図です」

 

「なるほど、わかりやすい解説ありがとうございます」

 

サラが目を閉じたので、ゲイザーは軽く触れるか触れないか程度のキスをしました。

 

「こんな軽いキスは初めてです」

 

「初めてだったので上手く出来なかったかもしれません…」

 

「いいえ、とってもお上手でした。まるで小鳥が餌をついばんでいるようなキスですね」

 

「それは褒め言葉なのでしょうか…」

 

「ネットリとまとわりつくようなキスは、あまり好きではないのです。他の男性はすぐに舌を入れようとして来ますし…」

 

「サラに気に入ってもらえたのなら良かったです」

 

「私もキスだけでこんなにとろけてしまったのは、今までになかったですよ…」

 

「もう一度、キスしても良いですか?さっきのキスでは物足りなかったので…」

 

「ええ、もちろん。良いですよ。出来れば聞かないでキスしてくださいね」

 

サラはまた目を閉じました。今度は先ほどより長めに、何度も何度も軽めのキスを繰り返します。

 

「一度してしまうと、タガが外れたようになりますね。もう理性では抑えきれないかもしれません…」

 

「いくらでもお好きなだけキスしてください。私たちはお付き合いしているのですから」

 

ゲイザーはサラを強く強く抱き締めます。

 

「こんなに強く抱きしめたら、あなたが苦しいかもしれないのに、気持ちが抑えられない…」

 

「大丈夫…。もっと強く抱いてください」

 

…つづく

説明
昔、書いていたオリジナル小説の第57話です。
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