ビーストテイマー・ナタ60 |
国王と目が合うと、ナタはドアを閉めて寝室から出て来ました。
「国王様がお呼びよ?行ってらっしゃい」
「えーっ、やだー!だってあのお爺さん、邪悪な波動がすごいんだもん…」
「あなたが侍女としてここで働く事になった時に、あなたの親はお金をたくさんもらってるはずよ?あなたが言う事を聞かなかったら、そのお金は返さなきゃダメなの」
「ナタ、親いないよー」
「孤児だったのね。だとしたら教会の神父様がお金をたくさんもらってると思うわ。孤児も侍女として雇ってるから。あなたが言う事を聞かないと、きっと神父様がお困りになるわね?」
「あの神父様は悪い人なの?別に邪悪な波動は感じなかったけどなぁ」
「おそらく神父様はご存知ないのでしょうね。美味しいご飯が食べられる良い仕事だと聞いて来たと、孤児たちは口を揃えて言いますもの」
「神父様はおじさんほどじゃないけど、人を救える波動が出てたよー。でもおじさんはもっとすごいのー。世界を救える波動だからー」
「何を訳のわからない事を言ってるの?早く国王様のところへ行ってらっしゃい!」
「ナタ、あのお爺さん嫌い!行きたくない…」
「もし国王様に逆らったら神父様は拷問を受ける事になるんですよ!あなたも殺されます。それでも良いんですか?」
「神父様が拷問されるのも、ナタが殺されるのも嫌だー。どうしたら良いの?」
「国王様のベッドで横になって、目をつぶってじっとしてなさい。最初は少し痛いかもしれませんが、すぐに終わります。ちゃんと我慢出来たら、美味しいご飯を食べさせてあげますよ」
「うーん、わかった…」
ナタはおそるおそるドアを開けて中に入りました。
「ほほう、今まで雇ったメイドたちとは全く違うな…。お前のようなあどけない顔の女も悪くない。ギルバートが連れて来た女だろうか?」
「ギルバート?ナタ、そんな人知らないよー」
「そなたは名前をナタと申すのか?」
「ナターシャだよー?ナタって呼んでー」
「ナタよ。余はそなたが気に入った!ささ、こっちへ参れ。余が可愛がってやろうぞ?」
ナタは言われた通りベッドに寝そべりました。この城のメイド服は肩が見えていて、胸元が広く開いているデザインです。国王はナタの胸元をグイッと引っ張って、胸の谷間に挟んであった剣士のカードが、ポロッとシーツの上に落ちました。
「何じゃこれは?剣士の絵のカード…こんな物が巷では流行っておるのか」
「それはダメ!ナタの大事な物なの」
「こんな物がお前の大事な物だと言うのか?よし、いくらでも買ってやろう!」
「いらないよー。売ってるビーストカードのモンスターは弱いし、言う事ちっとも聞かない子もいるもん」
「ビーストカード?変わった物が庶民の間では流行っておるのだな…」
「ナタの持ってるのはウルトラレアカードばっかりだよー」
「よしよし、そのウルトラレアカードとやらを買ってやるぞ?」
「だから、売ってるのはスーパーレアカードばっかりなんだってば…」
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第60話です。 | ||
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