ビーストテイマー・ナタ76 |
ゲイザーはいつまで経っても獣人化が解けなくて悩んでいました。自宅で寛いでいる時にぼやきます。
「いつになったら、私は人間に戻れるのだろうか?このまま一生、戻れない気がしてきた…」
「ナタは獣人のおじさんの方がカッコ良いと思うよー」
「私もゲイザー様はどんなお姿でも素敵だと思います」
「私は元々、人間ですから人間の姿に戻りたいのです」
「人間より獣人の方が絶対似合ってるよー。だっておじさんの眼、ジョルジュとそっくりなんだもん」
「あのような恐ろしいモンスターと、私の眼は似ていると言うのか…」
「えーっ、ジョルジュはイケメンだよー?おじさんの眼も優しそうだしー」
「私の眼を優しそうだと言われたのは初めてだよ」
鏡の前で自分の眼を確認しながら言いました。
「フラウ、フォン様はずっと獣人の姿でおられますが、人間の姿にも戻れるのですか?」
「いいえ、フォン様はあれが元の姿なのです。純血の獣人なので、最初から獣人だったと聞いております」
「他の獣人はフォン様から血の契約を受けて、獣人になった者ばかりなのですか?」
「フォン様から直接血を受けたのは私の他に数名、幹部の者たちがいます。純血に近いほど獣人の能力が高い為です」
「私はフォン様から二親等離れているから、直系のフラウより、獣人の能力が低いと言う事でしょうか?」
「そうなりますね…。でも私よりゲイザー様の方が優れた才能をお持ちだと思いますよ」
「私は元々、芸術が好きな子供で本当は宮廷画家になるのが夢だったのですが、父に無理やり騎士になれと言われて、好きでもない剣術をやっていたのです」
「ゲイザー様は宮廷画家になりたかったのですか?それなら宮廷画家の地位を与えますよ?」
「いえ、今の私にはそんな実力はありません。昔取った杵柄で、他の人より少し上手く描けると言う程度です」
「私の似顔絵を描いてくださる約束は、覚えていらっしゃいますか?」
「ええ、もちろん。画材を買い集めて置きました」
「今から描いていただけます?」
「久しぶりなので、上手く描ける自信はないですが…」
ゲイザーはイーゼルの三脚を開いて、キャンバスをセットすると木炭で下絵を描きます。
「眼から描くのですね!眼がとても綺麗です」
アークが覗き込んで言いました。
「眼は口程に物を言うと言いますからね。人相書きを描く時も眼が一番重要で、他は適当でも大体、似ているみたいです」
「なるほど…、しかしゲイザー様にこんな才能があったとは思いもしませんでした」
「すみませんが、集中したいのでしばらく私に話しかけないでもらえますか?」
「はっ!失礼しました…。頑張ってください」
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第76話です。 | ||
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