ビーストテイマー・ナタ80 |
フォンに呼び出されて、ゲイザーはナタと一緒にフォンの邸を訪れました。
「急に呼び出したりして、すまんな」
「いいえ、ナターシャも連れて来るように言われたのはなぜですか?」
「サラから話を聞いたのだが、アラヴェスタ国王の暴君っぷりは呆れて物も言えなくなる…」
「そうですね…。好色家なので、街で美しい女性を見かけたら、恋人がいようが無理やり別れさせられて、国王の寵愛を受けるように命じられます」
「一人の女を生涯、愛し続けるのが、騎士たる者だろう?」
「私もフォン様と同じ意見です」
「まあ、アラヴェスタ国王は剣は取らずに後ろで見ておるだけだから、騎士と呼べるとは思えんが…」
「美食家でもあり、毎日食っちゃ寝、食っちゃ寝の怠惰な生活を送っておりました。あの体格では鎧も既製品は着用出来ず特注品ですし、剣を振り回すのも困難なのではないかと…」
「騎士の風上にも置けない奴だ」
「フォン様のような国王は逆に珍しいと思います。よその国の国王も大体、あんな感じでしたから…」
「わしはもう国王ではない。ただの一般人の男だ」
「国王の座を退位したとしても、フォン様の功績が消えてなくなるわけではありません」
「わしは腹を立てておるのだ。サラがアラヴェスタ国王から受けた仕打ちに…」
「フォン様のお怒りは察するに余りあります」
「そこで相談なのだが、アラヴェスタ国王を抹殺するのを手伝って欲しい」
「アラヴェスタ国王の暗殺を企てるのですか?どのような計画があるのでしょう?」
「そのナターシャと言う娘にわしをカードに封印させて持ち歩かせる」
「えっ…王様もナタの使い魔になるの?」
「わしはもう王ではない。愛する妻の無念を晴らしたい。手伝ってくれるか?ゲイザー」
「もちろんです!フォン様が仲間になってくださるなら、こんな心強い事はありません」
ナタが呪文の詠唱を始め、侍従関係の契約を結ぶと、フォンはカードに封印されました。
「わーい!やっぱり王様もキラキラのウルトラレアカードだー。ナタが持ってるカードの中で戦闘力、一番高いよ?」
…つづく
説明 | ||
昔、書いていたオリジナル小説の第80話です。 | ||
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