ビーストテイマー・ナタ82
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ナタが役所に長時間居座って手配書を眺めて見ていると、役所の受付嬢たちがアークの方を見ながら、小声でヒソヒソ話をしています。

 

「どこの国の騎士様かしら?まるで吟遊詩人みたいに綺麗な顔してる」

 

「あの甘いマスクなら、街中で一曲歌えば、お金払う人、絶対にいるわねー!」

 

「それは本当ですか?歌うだけでお金をいただける職業があったとは初耳です」

 

「あっ、すみません!聞こえちゃいましたか」

 

「有名な吟遊詩人はファンが付いてて、別の街まで追い掛けて行ってお金払うらしいですよ」

 

「それはすごいですね!私も歌は得意なのでやってみます」

 

アークはナタと相談して、楽器屋に行く事にしました。

 

「どの楽器に致しましょう?大体なんでもこなせますが…」

 

「これとかアークっぽいかも?」

 

「これは…リュートですね」

 

「なんか似合いそうだよー」

 

「ではこれを購入しましょう!」

 

「まだナタのお小遣い残ってるから、買えるかなー?」

 

ナタはカエルの形の首からかける、ポシェットの中に手を入れました。

 

「残っているのは一万八千…。少し足りませんね」

 

「足りない分はモンスター討伐で稼ぐ?」

 

「そうですね、足りないのは七千程度なので、簡単な討伐で行けそうです」

 

ナタとまた役所に戻ると受付嬢が話しかけてきました。

 

「あれ…また戻って来たんですか?」

 

「楽器を買うお金が少し足りなかったので…」

 

「騎士様ならお給料は良いはずなのに?」

 

「私は騎士団の者ではありません。ただのボディーガードです」

 

「ボディーガード?鎧にアラヴェスタ王国の家紋がないから、別の国の騎士様かと思ってました」

 

「ええ、このお方の護衛をしております」

 

「この子ってもしかして良いところのお嬢様だったんですか?」

 

「それは言えません…。オススメの討伐はどれですか?出来るだけ簡単なのをお願いします」

 

「国内で反乱が起きて亡命中のお姫様なのかしら?オススメはトレントの討伐でしょうか…」

 

「では、それに致します。トレントの討伐の手配書を一枚ください」

 

…つづく

説明
昔、書いていたオリジナル小説の第82話です。
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