ビーストテイマー・ナタ98
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マルヴェールの自宅に帰るとゲイザーは久々に自分の顔を鏡で眺めました。

 

「耳が前より尖って来ている…」

 

「獣人化を繰り返していると伸びて来ますよ」

 

「そうだったのか…。このままでは変装しても獣人だとバレてしまうな。耳を隠せる良い方法はないものか?」

 

「男性ですと兜をかぶるのが良さそうですが」

 

「兜などかぶっていたら、真っ先に疑われて騎士団の者に職務質問されるだろう。自然に耳を隠す方法を考えている」

 

「ナタの魔法で髪型変えるよー」

 

ゲイザーの黒髪のロングストレートをナタは魔法でパンクさせました。

 

「この前のアーク殿の髪型と同じだな…」

 

「ゲイザー様も私と共にアイドルデビューしませんか?その方が逆に騎士団の者から怪しまれないかもしれませんし」

 

「このような派手なファッションは人目を引くと思うのだが?」

 

「そこが盲点なのです。まさかゲイザー様がそんな派手なファッションをするとは、誰も思いませんからね?」

 

「確かにこんな髪型は私なら絶対にしないからな。私ではないように見える…」

 

ゲイザーは鏡の中の自分を見つめながら言いました。まるで別人のようで、自分には見えず、少し気持ち悪いと感じます。

 

「これだけ爆発していたら耳も隠せるし、良いかもしれない…」

 

「衣装は私の服を買った店で調達しましょう」

 

ゲイザーとアークが奇抜なヘアースタイルで外に出ると、ロレインが通りかかりました。

 

「あらあら、ゲイザー!髪型を変えたの?素敵なヘアースタイルねー」

 

「すぐに私だとバレましたね…。母上の目はごまかせませんか?」

 

「自分がお腹を痛めて産んだ我が子を見間違うわけないでしょ?眼を見ればすぐあなただとわかりますよ」

 

「こんなすぐにバレるようでは危険ですね…」

 

「いえ、ゲイザー様のお母様は心眼の持ち主のようです。人間にもたまにそういうお方がおられるので、悪人をすぐ見抜けるのですよ」

 

「悪人を見抜けるなら、なぜ父上と結婚なさったのか謎ですよ?母上ならばもっと良い男を捕まえられたはずなのに」

 

「いいえ、ゲイザー様のお父様は悪人ではありませんよ?私にも心眼がありますのでわかります」

 

「私から見たら父の顔は犯罪者にしか見えませんよ?」

 

…つづく

説明
昔、書いていたオリジナル小説の第98話です。
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