ビーストテイマー・ナタ122
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ゲイザーは宮廷楽士の控え室で、アークが帰って来るのを待っていました。

 

「アーク殿だけ国王の寝室に呼び出されたようだが、大丈夫だったのか?」

 

「身体検査を受けましたが、私の翼を咎められるのかと思いましたけど、特に何も言われませんでした…」

 

「アーク殿が女性に見えたのかもしれないな」

 

「そのようですね。私が男なので国王様はガッカリしておられました」

 

「テオドールはまだ私の正体に気付いていないのか?謁見の間で話した感じでは国王は私がゲイザーであると気付いていなかった」

 

「テオドール様は純粋にメサイアのファンなのだと思いますよ?悪意を全く感じませんので」

 

「男がメサイアのファンになるとは思えないのだが…」

 

侍女の控え室ではまだメサイアの話題が続いています。

 

「ああ、アーク様…。マジ、天使だわー」

 

「そう言えばアーク様の背中の翼は作り物だと思ってたら本物だったの!」

 

「えっ、じゃあアーク様は本物の天使?」

 

「人間であのクオリティの男はいないわよー」

 

「なんだ、アーク様は本物の天使だったんだ。納得ー」

 

「天使がなんで人間の世界に来てるの?」

 

「修業の為じゃない?」

 

「どっちでも良いわー。眼福、眼福」

 

「王宮にいたら楽しみなんてほとんどないんだから、アーク様のような天使がいてくれたら、それだけで楽しくなるわー」

 

「あなたたち!何、無駄話してるの?仕事をなさい、仕事を…」

 

ミネルヴァがだらけた侍女たちを叱咤激励します。

 

「はーい。侍女長様ー」

 

「侍女長様は寿退職なさるつもりはないのですかー?」

 

「私は仕事が忙しくて男にかまけてる暇などありませんから…」

 

「ここにいたら国王の寵愛を受け続けるだけだから、私も良い人が現れたら、すぐにでも寿退職したいくらいですよー?」

 

「そう簡単にも行かないのです。せっかく婚約が決まっていても、婚約者が首をはねられて破談になった娘もおりましたし…」

 

「ああ、それってサラの事?サラも美人だからモテるのに薄幸な娘だったわよねー」

 

「美人だからって幸せになれるとは限らないのですよ」

 

ミネルヴァは遠い目をしながら言いました。若かりし頃の自分の事を思い出します。

 

…つづく

説明
昔、書いていたオリジナル小説の第122話です。
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