ビーストテイマー・ナタ131
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ユリアーノは意を決して長年にわたり、秘めて来た想いを告げる事にしました。

 

「ミネルヴァはもう結婚しておるのか?」

 

「いえ、私も未婚です」

 

「そうか、いくらでも求婚する者はおったじゃろう?」

 

「はい、でも私の心を射止めるお方は現れませんでした…」

 

「わしもあと二十五年ほどは生きられるか…。残りの二十五年の人生をわしと共に生きてはくれまいか?」

 

「もう遅過ぎます…。私はもう子供を産む事が出来ない年齢になっております」

 

「わしは獣人になってしまったから、繁殖能力は失っておる。もし三十年前であっても、もう子供を授かる事は出来なかったじゃろう」

 

「獣人は繁殖能力がないのですか?」

 

「うむ、錬金術で産み出された生き物にはなぜか繁殖能力が備わっておらなくてのぉ。錬金術は神の領域に踏み込む危険な術じゃから、神の怒りに触れてしまっておるのかもしれぬ」

 

「ユリアーノ様と一緒に暮らせるなら、これほど嬉しい事はありません。こんな年老いた女でも良いなら私を嫁にもらってください…」

 

「獣人の嫁になる事に抵抗はないのか?」

 

「人間であっても国王陛下のような人間とは一緒にいるだけで虫唾が走ります。ユリアーノ様と一緒に暮らせたら、どんなに幸せな日々が送れる事でしょう」

 

ユリアーノとミネルヴァは店を出ると夜の街の中に消えて行きました。

 

「侍女長様が朝帰りしたのって初めてですね」

 

「ちょっと昔の知り合いと会っていたのです」

 

「侍女が勝手に城の外に出るのは規則違反なのでは?」

 

「そうですね…。私もなぜこんな事をしたのか自分でもわからないのです」

 

「侍女長様、昨夜は男と会ってたんでしょ?」

 

「なぜそう思うんです?女友達と会っていたかもしれないでしょう?」

 

「なんかいつもよりキラキラしてるから」

 

「こんな歳になっても、まだ私は女だったのだと昨夜、気付きました」

 

「やっぱり好きな人に会ってたんだー?」

 

「男に抱かれて、こんなに幸せを感じたのは生まれて初めてでした…」

 

「侍女長様、やっぱり可愛いー」

 

…つづく

説明
昔、書いていたオリジナル小説の第131話です。
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