ビーストテイマー・ナタ132
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ゲイザーとアークは謁見の間に来ていました。リュートの入っているケースの内側を、ゲイザーはブーツの中に隠し持っていたナイフを突き立てて引き裂きます。中からレイピアが出て来ました。アークが手を天に向かって振り上げると、どこからともなく槍が飛んで来てアークの手にスッと収まります。

 

「な、何をしておる?その武器は何だ!」

 

「国王よ…。私の顔に見覚えはないか?」

 

「もしかして…お前はゲイザーか?」

 

「お前を倒しに来た。覚悟しろ」

 

「おい、誰かッ!誰かおらぬかッ!?ゲイザーが現れたぞ?早く殺せ!!」

 

テオが騎士団の者を連れて現れました。ゲイザーとアークは騎士団の方に構えます。

 

「おお、テオドール!良いところに来たな…。ゲイザーを捕らえよ?」

 

「ゲイザー、久しぶりだな?やっと正体を明かす気になったか…」

 

「やはり私だと見抜いていたのだな?テオドール」

 

「どう言う事だ?ゲイザーをわざわざ城に引き入れて…。テオドール、説明しろ!」

 

「全て私の策だったのだ。まんまと私の策にかかるとは思わなかったが…」

 

「あえて敵の罠に飛び込んでみたのさ?」

 

「フフ、勝算はあったのかな?」

 

「私が死んでも私の仲間がこの城を落とすだろう」

 

「ああ、お前の仲間は強い。我々に勝ち目はないだろう。お前が攻めて来た時、誰も殺さないように指示を出していたのは気付いていたよ」

 

「出来れば誰も死なせたくはなかった…」

 

「甘いな。そんな考えだから、いつまで経ってもこの城を落とせないんだ」

 

「城を落とすだけなら、いつでも出来た」

 

「わかっているさ?あのドラゴンに襲わせれば一発で落ちる。何人死ぬかわからんが…」

 

「私を殺したら、私の仲間は容赦せずこの城を攻めて来るぞ?」

 

「それは脅しのつもりか?」

 

「脅しではない。事実を述べている」

 

「もうこの戦いは終わっていたんだ。随分と前にな…」

 

「いつでも終わりに出来るさ?今、ここで終わりにしよう」

 

…つづく

説明
昔、書いていたオリジナル小説の第132話です。
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