縁むすびて |
君の後ろに咲いている花は、なんて名前だろうか。
そんなどうでもいいことが気になっているのは、きっと私が緊張しているからだろう。
ブライダルウエディングの撮影、当日。
美しいドレスに身を包んだ君を前にして、平常心でいられる方がどうかしている。
撮影の相手役、それも一部分しか映らないただの相手役とはいえ、モデルが本業ではない私が隣に立つのはとても不安だ。
私が差し出す手を、君はとってくれるだろうか。
震えを必死に抑え、私はシルクの手袋を嵌めた手を差し出した。
そんな私の様子に気づいたのか、君はふっ……と小さく笑った。
差し伸べた手は、とってくれない。
だが次の瞬間、ドレスの飾り部分に付けられた赤い紐を解く君。
私が君の行動にあっけにとられていると、君は自分の左手の薬指に紐を結んだ。
「そなたもの左手にも、この紐を結びつけましょー」
言われるがまま、私も自分の左手の薬指に赤い紐を結ぶ。
しかし私には君の考えていることが全くわからず、きっとかなり間抜けな顔をしていたに違いない。
そんな私に噛んで含めるように、君は語りだした。
「この赤い紐は、人と人とを結ぶ縁のようなものでしてー。
わたくしは『誰かと誰か』『何かと何か』の縁を結ぶことこそが、私に課せられた使命だとずっと思っておりましたー。
ですがそなたに出会ってから、わたくしにも結ばれるべき縁があったのだとー。
そう、理解したのですー」
左手の薬指に結ばれた赤い紐は、君と私の間を確かに結んでいた。
勿論これは本物の縁の紐ではないことは百も承知だが、それでも君と私の間に確かに何かが結ばれ、繋がったような気がしてとても嬉しかった。
いつの間にか手の震えは止まっていた。
そういえば今日はしっかり君の顔を見ていないことに気付き、艶やかに飾った君を見つめる。
すると、君はまた優しく微笑んだ。
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小説を投稿するというのはどんな感じか知りたくて、出来上がったばかりのイラストから膨らませた小話です。 |
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