真・恋姫†無双〜真田の獅子〜11 |
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第十一章 風の者
長沙の街中で、1人の少女が猫と戯れていた。
周泰「ウフフッ、お猫様お猫様。日向ぼっこですか?気持ちよさそうですねー」
猫「ニャア〜」
猫は日の光を浴びて、今にも眠そうにしている。そんな猫に近付き、アプローチを仕掛けていた。
周泰「ところで〜....そのモフモフ、気持ちよさそうですね〜」
猫「ニャア〜?」
周泰「よければそのモフモフ、触ってもいいですか?」
猫「ニャア」
周泰「お願いします!えっと、ほら!ちゃんとお猫様にお供えを持ってきました!」
彼女の懐から煮干しを出して、それを猫に差し出す。
猫「ニャア!」
周泰「どうでしょうか?これをあげますので、代わりにモフモフさせていただけませんか?」
猫「ニャア!!」
どうやら猫のご機嫌が良くなったようす、それを見た周泰は見逃さなかった。
周泰「あ!いいですか?!モフモフしてもいいですか?!」
猫「ニャア〜」
どうやら良いようだ。
周泰「わぁ〜♪ありがとうございます!そ、それでは...モフモフ、させていただきます!」
彼女の手がゆっくりと猫の尻尾へと近づく、その時.....。
猫「にゃ?」
周泰「お猫様?どうかしました?」
猫「ニャア〜!!」
周泰「あ!お猫様ぁ〜、どちらへ行くのですかぁ〜」
猫は何かの気配に気づいたような様子で、その方向に向かった。
周泰「あ!待ってください!お猫様ぁ〜!」
彼女は猫を追いかけた。そのまま猫の後を追いかけていると、誰も居ない路地へと入る。
周泰「お猫様、何処行ったんだろう?」
辺りを見渡して猫を探していると、ようやく猫の姿を見つけた。
周泰「あ!お猫様!見つけました....って、え?」
彼女が見たものは....。
猫「ニャア〜」
???「.....」
白黒の忍び衣装姿の男が、猫の頭や顎を撫でてやっていた。その人物の姿に周泰は少し警戒してしまう。
周泰「(あの人....一体何者。でもどうしてだろう?あの人....何処か....)」
しかし警戒をしていても、心の何処かでこう思った。
周泰「.....寂しそう」
???「!」
猫「ニャア!」
周泰の存在に気付いた男は彼女に視線を移し、猫はそのまま、男の下から去って何処かへと走って行った。そしてその場の空気が張り詰める。
???「......」
周泰「......」
張り詰めた雰囲気の中、周泰から先に声を掛ける。
周泰「あ...あの!すみません!お邪魔してしまって....私は周泰と申します!」
???「.....」
しかし男から、名乗りは無く、黙ったまま。
???「.....」
周泰「あのう....」
名乗らない代わりに男はそのまま風の様に消えた。
周泰「え!?何処に?!あれ!?何処?!」
彼女は辺りを見渡すが、もう自分以外誰も居ない。
周泰「居ない....誰だったのかなぁ.....」
彼女はその場を後にした。
???「......」
周泰が居なくなったのを見届けた人物.......風魔小太郎は、建物の上から見ていた。
小太郎「......」
風魔小太郎.....北条軍に属する戦忍。その実力は折り紙付きで、彼を知る者たちからは「伝説の忍び」と称され、または「風の悪魔」とも呼ばれる事が絶えぬ程。
日ノ本においてある女忍からは「その名を知っているが、まことに存在しているかは定かではない」っと。しかしその事の内容は「任務中に自身の姿を見た者はほぼ例外なく殺害している」とされ、その姿をハッキリと目撃した者は居ない....なのだが。
小太郎「.....」
周泰が居なくなったを確認した小太郎は、すぐさま風と共に飛び去る。
玉座の間
孫堅「ふぅむ」
孫家の当主、孫堅は唸りながら考えに暮れていた。しかし彼女だけでは無い、孫策らも同じ様子であった。
孫策「はぁ」
周瑜「この文、余りに正気を疑います」
太史慈「てか、これ従う必要ある?」
黄蓋「そうじゃな。ワシらは何も劉表の犬でもないからのう」
程普「おそらく劉表は、以前の黄巾党の戦いで大殿が呉群太守に任じられた事に不満があるのでしょう」
張昭「しかしそれは奴には何の関係が無いじゃろ?単にあ奴が荊州の州牧というだけで偉そうに....」
陸遜「ですが劉表さんは袁術さん並みに自己中心的で、自分よりも領土が多くない人が目立つのを極度に嫌いますからね〜」
孫権「ですが!これは余りに理不尽極まりないです!母様!これを鵜呑みにしないほうがいいです!!」
孫堅「ううむ」
彼女たちが悩んでいる原因....それは以前、長沙に攻めてきた黄巾党の軍勢を信之と元親の力もあって殲滅出来たことに朝廷が知り、黄巾党殲滅の貢献した曹操に並び、孫堅も厚遇された。その時に孫堅は東の揚州に在る呉群を与えられることとなった。
それを賜った孫堅たちは素直に喜んだが、それを突如異を唱える者が現れた。それが今の会話に出てきた劉表という人物である。彼の者の人物象は、自己中で自分勝手、他人が自分よりも得る利益が高いとガキのように我儘を言い、それを我が物に出来なければ問答無用で武力や謀略などで相手をねじ伏せるという、何とも非常識で身勝手な者である。
そして現に孫堅に送られた文の内容は、呉群太守の任を断り、今後自分に従わなければ武力でねじ伏せるという何ともふざけたモノだった。何故に他人が受ける話にここまで異を唱えるのか。
魯粛「それよりも劉表はともかくとして、配下の黄祖が気になりますよ〜」
呂蒙「はい、主の劉表も警戒すべきですが、その配下である黄祖です」
呂蒙の発言に周瑜も頷く。
周瑜「ああ、確かに警戒すべきは黄祖だ。奴は劉表の配下ではあるが、あ奴の存在無くば劉表が今の地位に居る事は出来なかっただろう。だが奴は劉表を暗殺し、荊州を欲しがってもいる」
孫策「まぁ、劉表よりかは危険な奴ね」
周瑜「ああ」
孫堅「......信之」
信之「ん?」
今まで黙って聞いていた真田信之に、孫堅が意見を求める。
孫堅「お前はどう思う?」
信之「どうとは?」
孫堅「この事態...お前はどう見る?」
信之「そうだな....確かに俺たちは、その劉表という者の配下ではない」
孫堅「ああ」
信之「ならば、素直に呉群に向かえばいい。それに何の憚れる必要があるんだ?」
孫堅「それは....」
信之「俺ならば、先へと進む。その先へと進み続ける」
孫乾「信之様...」
元親「流石は信之だな、確かに悩んでたって何も変わりはしねぇ。なら進むだけだ」
甘寧「元親....」
2人の言葉に皆受けとめ、決まった顔を見せる。
孫堅「なら!決まりだ!我は呉群太守を引き受ける!準備をしろ!引っ越しだぁ!!」
信之「ああ」
元親「応よ!!」
「「「「「応!」」」」」
その中で、周泰はずっと呆けていた。
周泰「......」
おそらく風魔小太郎との出会いの件を気にしている様だ。それを見た甘寧が声を掛ける。
甘寧「おい明命」
周泰「.....」
甘寧「おい!明命!」
周泰「はぅあ!な、なんでしょうか?!思春殿」
甘寧「なんでしょうか、ではない!!お前が呆けているから悪いだろうが」
周泰「あぅ、すみません」
甘寧「まったく、気を付けろ」
周泰「はい...」
孫乾「どうか為されましたか?明命さん」
孫乾も声を掛け、心配してくれている。
周泰「...いえ、大丈夫です」
甘寧「そうか....今後は気を付けろ」
周泰「はい....」
信之「一体、どうした?明命」
元親「そうだぜ、何か悩み事か?」
周泰「それは....」
男2人に聞かれた周泰は何故か喋れなかった。
孫策「もう信之ったら!女の子に問い詰めたら可哀そうでしょ!」
太史慈「そうだよ信之、もう!」
周瑜「明命に構う暇が在るならば、もっと私たちを構って欲しいものだな?」
程普「そうね。もう少し女心を知ってほしいわ」
黄蓋「確かにな」
張昭「こやつら....」
周泰に気にする信之に対して、孫策たちはそれぞれ不満を言う。
信之「....馬鹿か?お前ら」
孫堅「だったらもう少し自分の仕事をしやがれ!お前は天の御使いなんだぞ!」
信之「そう言えば、そんな呼ばれ方だったな?」
元親「信之が天の御使いって、アレを聞いた時は大笑いしちまったぜ!フハハハッ」
甘寧「も!元親!」
元親が笑い、それを諌めようとする甘寧を余所に、信之は不満な顔を見せながら言う。
信之「仕事はちゃんとやっているが?」
孫堅「やってねぇだろうが!お前には“もう一つの仕事”があるだろうが!!孫呉に天の血を入れるという仕事が!!」
信之「......俺はいつ種馬になったんだ?」
孫乾「そうです!!これではまるで信之様が物扱いではありませんか?!そんなに種馬が欲しいなら、他を探せばいいではないですか?!」
っと、信之に付き従う孫乾が割ってはいる。
孫堅「じゃかわしい!!そういう美花だって、信之に夜這いを掛けようとしただろうが!!」
孫乾「そ、それは///」
的を射ぬかれたように、孫乾は頬を赤く染めてしまった。そんな彼女を放っといて孫堅は信之に詰め寄る。
孫堅「信之!いいか!!お前には必ず孫家に天の血を入れて貰うからな!!いいな!?」
孫策「そうよ!!信之には私たちを孕ませてもらうからね!!」
太史慈「そうだ!そうだ!」
周瑜「フッ、仕事の放棄は許さぬぞ?信之」
程普「そうよ、よろしくね?信之」
黄蓋「フフッ、たのしみじゃわい」
彼女たちがそう言う中、元親が近寄りからかう。
元親「大変だなwww信之www」
信之「.........解せん」
そしてその夜.....。
荊州・江夏城
???「ふふっ、そうか、ご苦労」
小太郎「.....」
小太郎から密偵の報告を受けた者....身体の右側に片マントを纏い、同じく右側に髪を流したワンサイドヘアー、左側に羽の髪飾りを付けた女性、江夏太守黄祖である。
黄祖「よくやってくれたな?小太郎よ」
小太郎「......」
彼女の言葉に、小太郎はただ腕を組み黙っていた。それを黄祖は不敵に笑いながら彼に近付く。
黄祖「いつまでもそう無愛想な態度では困るなぁ。こちらには.......分かっているだろう?」
小太郎「......」
そのまま黄祖はゆっくりと小太郎の周囲を回りながら喋る。
黄祖「お前の風舞う様な美しい技に心を奪われ、油断し殺されかけたが、幸か不幸かお前が連れていたジジイのお陰でお前を我が配下に出来たのだ。まさかこの私が男如きに心を奪われるなど驚いた」
小太郎「......」
黄祖「お前が持って来てくれた情報では、孫堅は未だ呉群太守の件を悩んでいるようだが、恐らくこのまま呉群に向かうだろう」
小太郎「.......」
黄祖「この事、劉表に伝えれば必ず奴は、孫堅を攻めろと命令がくるだろう....まぁ、そのまま油断してくれたままで居てくれると、こちらもやり易い」
小太郎の周りを回っていた黄祖が、小太郎の背中に抱き着く。しかし小太郎は抵抗しなかった。
小太郎「......」
黄祖「にしても初めてだよ....この私が、男如きに心を奪われたのは....」
小太郎「......」
黄祖「フッ、その無心な態度....まぁ、いいか。どの道お前は私に従うしか他にないのだから....なぁ?小太郎?」
小太郎「.....」
黄祖「フフッ?」
黄祖の手が小太郎の頬に触れ、そのまま彼の顔を自分の方へ向ける。
小太郎「......」
黄祖の表情が妖艶になる。
黄祖「今宵は閨を共にして貰うぞ?ずっと風のように逃げていたが、今宵は逃がさぬ...フフッ?」
小太郎「......」
黄祖「断れば.....分かるな?」
小太郎「.......(コクッ)」
黄祖「フフッ?それでいい。では...行こう...小太郎?」
小太郎「......」
あの風の悪魔とも言われた風魔小太郎が何故故黄祖のような者に、こうも言いなりになっているのか?それは.....続く。
お読み頂きありがとうございます。すみません、作りが酷過ぎて.....。
どうかこれからも見限らず、これからも宜しくお願い致します。
それではまた、次回。
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今回も頑張ります!! | ||
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コメント | ||
mokiti1976-2010さん、コメントありがとうございます。これからも宜しくお願い致します。(武者ジバニャン) このまま小太郎が敵となった時、明命はどうなってしまうのかが気になります。(mokiti1976-2010) 劉邦さん、コメントありがとうございます。(武者ジバニャン) 北条のじいちゃん、毎度毎度「風魔小太郎」の足枷になり過ぎだろ(・´з`・)(劉邦柾棟) |
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