ノーマネー ノーゲーム4 |
ノーマネーノーゲーム4
職員室に戻ってきたガモウ君。
圭「ガモウ君、お疲れ」
ガモウ君「・・・圭ちゃん・・・」
テレビ「ククク・・・ごくろう」
何か言いかけたガモウ君だったけど、ジョーのやつが叫び出す。
ジョー「あっ!津川館長の野郎、まだ生きてやがる」
津川館長「やかましい!死ぬのはお前たちだ。
私からの熱い愛をとめることはできんよ!
それでは第2問!」
ガモウ君「何だって?!」
体力を消耗したガモウ君はひざをついて座り込んでしまう。
津川「フハハハハ、女の子座りなんてしている場合じゃないぞ。
この電気回路図に目を転じろ。
ククク、キルヒホッフの法則を使うと枝路に流れる電流を計算できる。」
電源から並列に3つの回路が出ている。そして各枝路には抵抗があり、抵抗にかかる電圧が明示してある。
ガモウ「うーん、これを計算するには連立方程式を立てないといけないんだよな。面倒な計算問題を・・・」
ジョー「何か意味がわからないけど、さすが!天才ガモウ君!」
圭「時間がかかるの?」
津川「静かにしろ!
で、問題だ。制限時間は3分。
解答は声に出してテレビに語りかけるだけでいい。
で、連立方程式などという言葉が出てきたようだが、連立方程式を使わないで計算できる公式があるのだな。
その公式を○○○○○○というんやが、○には何が入る?」
ガモウ「・・・」
津川「ククク、東京都で原子爆弾が炸裂すればどうなるのかな?
実は、我々『死の商人』が密かに期待していたシチュエーションなんだ。
楽しいな♪楽しいな♪」
いつになく厳しい表情になるガモウ君。
圭「大丈夫?ガモウ君・・・」
津川「フフフ、爆発♪爆発♪どかーん♪どかーん♪」
ジョー「うるさいんだよ!おまえは!
ガモウ君、マックス、リラックス♪」
ぼくは怖くなって思わず涙目になってしまった。
ガモウくん「そうだ!ぼく、鹿児島に友達の先輩がいて、高専に通っているんだ。そのレジュメを見れば分かるかもしれない」
ガモウ君はかばんから冊子を取り出す。高専で使っているレジュメのようだ。おやおや、なんか注射器みたいなものも入っているし、ガモウ君のかばんはドラえもんみたいだ。
圭「鹿児島工業高等専門学校?『特別研究の基礎・基本 電気回路』
これって、電気系の学科のレジュメかな?」
ジョー「なにこれ?どこから入手したの?」
ガモウ「インターネットで調べ物していたらたまたまヒットしたんだ。」
圭「もしかして、それにヒントが書いてあるとか?」
ガモウ「うん、答えが喉まででかかっているんだけど、思い出せなかったんだ。」
ガモウ君は10秒くらいで次々とページをめくっていく。
若原先生は天才は30秒くらいでページをめくって読み進み、内容をもしっかりと暗記しているものだ、と言っていた。
ガモウ「あった!『帆立(ほたて)ミルマン』の法則!
答えは『帆立ミルマン』!」
なぜか勝ち誇った表情のガモウ君が印象的だった。だけど、次の瞬間ぼくたちは目の前が明るくなった気がした。
ドカーン!
予想に反して大爆発。原子爆弾は炸裂してしまったんだ。
だけど、その光は強烈だったけど、なんか暖かかった。チャレンジャーさんは灼熱状態になると言っていたんだけど。
しかしムカつくテレビの津川は無事だった。
津川「バーカ!死んでしまえ!フハハハハ!
正解は『帆足(ほあし)ミルマン』だよ!低能どもがー」
ガモウ「そんなバカなっ?!なぜだー!」
圭「うーん、もしかして誤植だったんじゃないかな?」
ぼくたちは黒こげにもなっていないし、生きていた。ちょっと職員室が焦げちゃったけど。
圭「ジョー、生きてる?もしもし?」
ガモウ「えっ?」
ジョーは放心状態になって、Nintendo DSを見つめていた。
DSからまばゆい光が出ている。
ジョー「アミちゃん!」
圭「えっ?何?」
DSのアミティが語りかけてくる
アミティ「あたしはアミティ。リデルもあたしのことは『アミさん』って呼んでいるから、アミちゃんはダメだよ」
ジョー「アミちゃん!今、原子爆弾が炸裂しなかった?」
アミティ「・・・・・・。うん、そうだよ。あたしが『フェアリーフェアー』で君たちをガードしてあげたんだよ」
ガモウ「そうか。まちがいなく死んでいたってことか・・・ありがとう、アミさん」
そうか、あのまばゆいきれいな光は爆発によるものではなく、超必のごほうびだったのか。
アミティ「君、この前あたしを使って『とことんぷよぷよ』で8連鎖組んでくれたもんね。そのお礼だよ。
ところで、この小説のテーマって、『ノーマネーでフィニッシュ』だよね。
だから、今回も「マネーのライオン」スペシャルを見てもらうよ」
圭「再放送の回かな?もう見なくてもいいよ。緊急事態の真っ最中だし」
アミティ「まあまあ、そんなこと言わないで。
君たちは時空を超越してしまったんだよ。」
ジョー「えっ?どういう意味?」
ガモウ「ああ、それは後で僕が説明するよ・・・」
アミティ「今回の収録分は『ワールドカップカタール大会』アジア最終予選の前年のものだよ」
圭「カタール大会の最終予選って、どういうこと?3年後?」
アミティ「ちな、日本は死のA組を2位で通過したんだ。対戦相手はロシア大会に出場した、オーストラリア、イラン、韓国の3カ国にタジキスタン。」
ガモウ「タジキスタン?ウズベキスタンの間違いでは?」
圭「で、タジキスタンは最下位だったわけね」
アミティ「イヤ、1位で通過したのはタジキスタンだよ」
ガモウ「ええっ?!」
圭「でも、本大会に出場した4カ国がA組なんて酷過ぎ!反則じゃないの?」
アミティ「アジアサッカー連盟が、金で転んだみたいだね。中国が本大会に出場できればお金になるらしいから」
ガモウ「B組の面子教えてもらえます?」
アミティ「1位通過のイラク、2位通過の中国。後は、タイ、北朝鮮、
香港だったよ」
ジョー「楽勝じゃん!」
ガモウ「楽勝というか、詐欺だよね。
サウジアラビアとかシリアの選手は3次予選で睡眠薬でもしこまれたんじゃないのかな?」
圭「そんなのあり?」
ガモウ「イヤ、ロシア大会の予選では中東のアウェイで、GKの川縞(かわしま)選手がレーザー光とか顔に照射されていたんだ。アジアサッカー連盟は見て見ぬふりさ。」
圭「やれやれ、マネーの獲得とかパワハラとか世の中お金が全てなのかな?
いやんなっちゃうよ」
アミティ「前置きが長くなっちゃったね。さっそく見てみよ。」
佐藤栄作「今回のチャレンジャーは、中央アジアのタジキスタンからやってきました。
さっそくですが、いくらを希望しますか?」
圭「ふーん、外国人か。社長さんたちって外国人には甘いよね」
ガモウ「タジキスタンだってー?!」
謎のタジキスタン人「ヘーイ!イエローモンキー!
2000万円を希望しまーす!」
いきなり差別用語でケンカを売るチャレンジャー。タジキスタン人だからといって、自信あふれるイケメンという感じではなかったのだが。
ガトー社長「『モンキー』とは僕たちのことですか?失礼な人ですね」
謎のタジキスタン人「私は『エイト』といいまーす、モンキー。」
ボーイ社長「随分な自信じゃないか?ケンカ売っとるのか?」
しかし、自信とは裏腹に両目は義眼だった。介護ロボット『エイト』のような目のパーツを付けている。
ガトー社長「お猿と言われたからには言わせてもらいます。あなた、もしかして目が不自由な方ですか?」
エイト「イヤ、これは自分で目の手術を希望した。ショッカーに拉致されてしまったのだ」
スタジオは笑いに包まれる。一同はとんじき屋のチャレンジャーの登場で、呆れ笑いには慣れてしまったようだ。
ボーイ社長だけは、まじまじと外国からのお客さまを観察している。
ボーイ社長(こいつ、まじで外国人?なんかどこかで見たことのあるような・・・)
ガトー社長「自分で希望したとはどういうことです?」
エイト「タジキスタン料理を極めるためです。」
ガトー社長「なるほど、料理店を出すんですね?
どんな料理を出すんですか?」
エイト「ボルシチ・・・」
ガトー社長「イヤ、それは『ショルボ』のことでしょ。羊の肉を使うんですよね」
ボーイ社長「『ショルボ』って何?」
ガトー社長「タジキスタンの脂っこいスープですよ。ボルシチとはちょっとちがうんだよね」
エイト「ふっ、知ったかぶりのモンキーが・・・」
ガトー社長「え?よく聞こえなかったけど?何か言いました?」
エイト「ふっ、都合の悪いことは聞こえないフリですか?日本人の悪癖でーす。
私はモンキーの中でも日本人が一番嫌いね!ハハン、この対戦予想表を見るね」
ガトー社長とエイトの間に火花が散る。以前この社長は、ボクサーのチャレンジャーと
ガチの殴り合いを演じたのだ。
ボーイ社長(バカか、こいつは?日本に来たのなら、日本の流儀を学べっつーの!
気に入らない奴に手を差し伸べる人間なんていないんだよ!
まずは信頼関係を築くのが先決だ。それまでは謙虚に振舞わないと)
エイトは経営戦略を書き込んであるのだろうか?1枚の紙を取り出す。
ボーイ社長「何これ?サッカーの対戦表じゃないか?」
エイト「そうです。来年のワールドカップアジア最終予選の見込みでーす」
ガトー社長「エイトさんの予想?タジキスタン、日本、イラン、オーストラリア、韓国。
何だよこれー?
組でロシア大会に参加した国が4つもあるじゃん。こんなのありえないって!」
エイト「日本は4位、オーストラリアは5位でーす!
黄色い猿の国と、白クマの国がプレイオフにも進めないのは快感でーす」
ボーイ社長「タジキスタンが最終予選に進出?1位で通過だと?うぬぼれんなよ!」
ガトー社長「また差別用語かよ。とりあえず、白クマというのはやめときな」
エイト「ヘイ!白人勢力が怖いのですか?」
ガトー社長「イヤ、オーストラリアの報復でイヤなのは、オージービーフが値上がりすることです」
一同(そこかよー)
つづく
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ワールドカップ盛り上がりましたね。なお、高専のレジュメの誤植は本当です。修正してください(昔のレジュメで修正済みかもしれないけど) | ||
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