真・恋姫†無双 〜魏〜 終焉後物語9
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風「うー・・・・」

 

うっすらと目を開けて体を起こした。

 

霞「おっ、ようやく目覚ましよった」

 

風「ん〜・・・・・・」

 

身体をひねり部屋を見渡し、

 

風「無事、南陽に着いたわけですね」

 

自分のおかれている状況が最悪な結果で無かったことを確認。

 

霞「まぁ、風っちは丸一日寝とったんやけどな」

 

風「そうだったんですか」

 

寝ていた頭が少しすっきりとしてきたことで、霞の包帯が目に入る。

 

風「霞ちゃん、その肩は・・・・・」

 

霞「んっ、これなぁ敵の一撃もらってもうてん。うちもまだまだやわ」

 

風「・・・・・・」

 

その傷が誰のせいで出来たものなのか、それがわからない風ではない。

 

霞「んっ、どうしたん?」

 

風「いえ、霞ちゃんにはお礼を言わないといけないなと思いまして」

 

霞「なんで?」

 

宝ャ「怪我してまで助けくれたあんたを評してだぜ」

 

風「おぉ、ホウケイにしてはわかりやすい発言ですな」

 

霞「あぁ、そのことか。まぁ、うちが戦ったのは事実やねんけど実際、風っちとうちが助かったんは他に理由があんねん」

 

風「?」

 

霞「まぁ、そんなことより飯食いにいこうや」

 

風「いきなりですねぇ、まだお話は終わってないというのに・・・・」

 

霞「えぇやんえぇやん、それにいけば分かるって」

 

そういうと霞は部屋を飛び出た。

 

風「ふぅ〜・・・」

 

霞に呆れながらも、飛び出ていったそのあとをついていった。

 

 

 

霞「ここやで」

 

と自慢げにお店を指差す。

 

風「ここが何かあるのですか?」

 

霞「いやいや、どう見ても料理屋やん」

 

風「いえ、そういうことを聞いているのでは―――」

 

霞「ごちゃごちゃいわんと、はよ入りーな」

 

風の言葉を遮り、強引にお店の中へと押し込む。

 

風「もう、霞ちゃん」

 

霞「光っち!風っちが目覚ましたから連れてきたで」

 

風「?」

 

賑わう店内に霞のハリのある声が響く。

 

街人「張遼様」

 

子供「あ〜、ちょうりょうさまだぁー」

 

子供の呼びかけに手を振って答える。

 

蒼蓮「あっ、張遼様。こんにちは」

 

店の表の仕事をしていた蒼蓮が声をかけてきた。

 

霞「おっ、れんれんやん。光っちは?」

 

蒼蓮「お店がこの状態ですので、厨房のほうは・・・・」

 

そう言いながら店内を見渡す。

 

霞「あっ、そういうわけか」

 

店内の人の数を見れば厨房の忙しさが頭に浮かぶ。

 

蒼蓮「そういうことですので今―――」

 

一刀「蒼蓮ちゃん!一番席の料理出来上がってるよ!!」

 

厨房の方から声が響いてきた。

 

蒼蓮「は、はい!!すいません、それでは。」

 

そういい残し、足早にカウンターの方に料理を取りにいった。

 

霞「あちゃー、時間まちごうたかな」

 

風「あの、お話がぜんぜん見えてこないのですが」

 

一人蚊帳の外だった風が口を開いた。

 

霞「いやぁ、さすがに人が多いわ。まぁ、そこらへんに座って待つとするか」

 

風「霞ちゃん。そろそろ、お話してくれても・・・・」

 

話しかけていたはずの相手はすでに、奥のほうの席に腰掛け手を振っている。

 

霞「こっちの席があいとるで〜」

 

風「はぁ・・・」

 

奥のほうへと足を進めながら、お店が暇になるのを待つしかないと思う風だった。

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時間もだいぶ過ぎ、お客もほとんどいなくなっている。

 

蒼蓮「ありがとうございました」

 

そして、最後のお客が店を出た。

 

霞「いやぁ、ぎょうさん人おったなぁ」

 

蒼蓮「すいません、お待たせしました」

 

霞「なにゆうてんねん。うちが勝手に待ってただけなんやから」

 

風「その通りですよ」

 

蒼蓮「あっ、程c様。もうお体は大丈夫なのですか」

 

宝ャ「おぅ、見ての通りだぜ」

 

風「ホウケイ、聞かれてるのは私ですよ」

 

蒼蓮「???」

 

一刀「蒼蓮ちゃん、まだお客さんがいるの?」

 

厨房にいた一刀は店の表に出てきた。

 

霞「おっ、お疲れさん」

 

一刀「張遼様、来られていたのですか。」

 

霞「そうやで、ほら風っちも気が付いたしな」

 

その言葉とともにはっきりと風の顔が目に映る。

 

一刀「!!ふ・・・・て、程c様お体のほうは大丈夫ですか」

 

風「?はい、別に異常はありませんね」

 

一刀「そうですか、それは良かった」

 

風「いえいえ・・・・それよりも霞ちゃん」

 

霞「んっ?なんや」

 

風「このお店とこの前のことは何が関係してるのですか」

 

霞「あぁ、せやったせやった。あのなお店ゆうよりもこの兄ちゃんが関係すんねん」

 

風「まぁ、それはそうでしょうけど」

 

霞「あんときな、うちも頑張ってたんやけど、敵にやられそうになってん。でもな、光っちがな、間一髪のところで助けに来てくれてん。」

 

風「ほぉ」

 

霞「でもって、敵を一緒に追っ払ってくれたあとに南陽まで風っちを運んでくれたんや」

 

その表情は楽しそうで止まることなく話を進める。

 

霞「それにな、南陽についてからも何かとうちらのこと気にしてくれてな。昨日なんか晩飯までご馳走してくれたんやで。れんれんと光っちと淵と一緒に食べたから賑やかでおもろかった〜。料理もおいしかったし、それに飲んだことのないお酒も出てきてな、それがごっつう美味かったわ」

 

霞とは裏腹に風の顔は真剣になる。

 

霞「あっ、最後にな、なんとこの兄ちゃんが――――」

 

風「では、あなたが魏光なのですね」

 

すでに風は一刀を見ていた。

 

一刀「?・・・はいそうですが」

 

その真剣な目に少しひるんだ。

 

霞「よぉーわかったなぁ、そうやでこの兄ちゃんが魏光やで」

 

霞のことを気にせず風は話を続けた。

 

風「助けていただいたことは感謝します。そこでお一つお聞きしたいことがあるのですが」

 

一刀「えぇ、何なりとどうぞ」

 

風「私たちがここに来た理由というのはおわかりですか」

 

霞「(なっ、風っちそれはまだはやくないんか?)」

 

風のその表情は普段は見られないほど迫力があった。

 

普通の人間なら魏の知将に追い詰められている気分になるはずなのだが、一刀にはそう捉えることができなかった、

 

風が自分を試しているとしか・・・・・。

 

だからこそ、平静ではなくあせりを感じている魏光を“演じなければならなかった”。

 

一刀「えっ、・・・そ、そうですね。・・・・・この前の襲撃事件の調査ではないのでしょうか」

 

風「・・・・・・」

 

一刀「むしろ、それ以外に何も思い浮かばなかったというのも理由にあるのですが、なにしろ、お二方だけで来られたということはそこまで大規模なものではないでしょうから」

 

風「・・・・・・」

 

一刀「あの、程c様?」

 

霞「(風っち、なんでだまってるん!?はよなんか言いや)」

 

一刀「(風・・・・・・)」

 

二人の間には緊迫した雰囲気が流れている。

 

見方をかえれば、魏の将に一刀が問い詰められているようにしか映らない状況。

 

その様子を見ていた、李淵と蒼蓮も心配そうな表情をしている。

 

いまの店内は誰であろうと緊張してしまうような雰囲気だった。

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・・・・・・・・・・

 

その場には無言の時間が流れた。

 

少しの無言のあと、その張り詰めた空気を解いたのは一体の人形だった。

 

宝ャ「おぉ、おめぇなかなかやんじゃねぇかよ」

 

一刀「うぇ?!」

 

風「そうですね、宝ャの言う通りです。正解ですよ、お兄さん」

 

霞「(風っち?)」

 

一刀「あっ、そうですか。それはよかった」

 

風「いやぁ、この街に来てからというものみんなが『どうして来たんですか?』って聞いてくるものですからお兄さんもてっきり分かっていないのかと思って聞いてみたのですよ」

 

一刀「それは街のみんながこの前の被害の少なさから襲撃のことを軽視しているからでしょう」

 

風「まさにその通りですね」

 

店内の雰囲気が軽くなり、奥の二人も表情が緩み、霞もそのやり取りを見てようやく安心した。

 

ぐぅ〜

 

しかし、突然、店内にその音が響いた。

 

魏光「??」

 

風「おぉ、昨日から何も食べていないせいでお腹が怒っていますね」

 

霞「おっ、ほな光っち。なんか飯頼むわ!」

 

それを待っていたといわんばかりだった。

 

一刀「はい、わかりました。それでは少し待っていてください」

 

そういって、厨房に戻っていった。

 

一刀「李淵、手伝ってくれ」

 

李淵「あっ、はい」

 

一刀「蒼蓮ちゃんもお願い」

 

蒼蓮「わかりました」

 

厨房に三人が入り、調理を開始した。

 

その様子を確認して、霞が風に小声で話しかけた。

 

霞「いきなり、びっくりするやろ風っち」

 

風「何がですか?」

 

霞「何がですかやあらへんやろ、いきなり過ぎるやん」

 

風「う〜ん、まぁそれもそうかもしれませんが、でもあのお兄さんがただ強いだけではないというのが分かりましたし。あの質問は間違いではなかったのです」

 

霞「えっ?」

 

風「まぁ、お腹もすきましたし、そのお話は後にしましょう」

 

宝ャ「今は聞くだけ野暮ってもんだぜ」

 

風の言葉に疑問を抱きながらも、今はこれ以上聞くことをしなかった。

 

<数十分後>

 

霞「ぷはぁー、うまかったなぁ」

 

風「えぇ、見たことのない料理でしたのでどのような味かと思いましたがおいしかったですよ、お兄さん」

 

目の前にある皿は綺麗に平らげられていた。

 

霞「せやろ!ほんまに光っちの料理は旨いんやで。特に、この酒がいいわ」

 

一刀「そうですか、それは良かった」

 

二人の満足そうな顔にうれしそうな一刀。

 

風「この料理はお兄さんが考えたのですか」

 

一刀「はい、いろいろ試行錯誤を重ねながら自分で考案した料理です(まぁ、嘘だけど)」

 

霞「ほんまに珍しいもんばっかやからなぁ。なんか、今まで食べてたもんと味付けが違うっちゅうか」

 

風「このお酒もおいしいですし、これは何から出来ているのですか?」

 

一刀「それは、門外不出ですのでお教えすることは出来ませんね」

 

霞「なんやぁーそれ、ええやん」

 

一刀「いや、だめです」

 

霞「ん〜、けち」

 

一刀「お店のためですからそれで結構です」

 

霞「風っち、結構頑固やで光っち」

 

風「まぁ、商売をする方から言えば当たり前のことですよ」

 

霞「ん〜、そんなもんなんかな」

 

風「はい、そういうものです」

 

李淵「俺だって、教えてもらえてないんだし仕方ないですよ、張遼様」

 

霞「なんや、淵も知らんのかいな。じゃあれんれんは?」

 

蒼蓮「私も知りませんが、私の場合は聞いていないからというのもあります」

 

宝ャ「おぅおぅ、徹底してるな、兄ちゃん」

 

風「ふむ、身内にも教えない徹底ぶりとは・・・・・・お兄さんは変態ですね」

 

一刀「いや、その発想はおかしくないですか!?お酒の造り方を隠しているだけで変態って・・・・」

 

霞「にゃはは、そうかそうか♪光っちは変態やったんやな」

 

一刀「だから、違いますって」

 

蒼蓮「・・・・・魏光さんが変態・・・・・・いや、そんなことは・・・・・・変態・・・・・・」

 

李淵「・・・ぷっ・・・くっくっくっくっ」

 

一刀「いや、だから蒼蓮ちゃん誤解だから・・・・・ていうか、李淵!お前何笑ってるんだよ」

 

霞「あっはっはっはっ」

 

風「ふふっ」

 

一刀「あぁ、もう・・・・・」

 

落ち込んでいる一人を尻目に三人はとても楽しそうだった・・・・・・残りの一人は複雑な心境ではあったが。

 

風「(ふふふ、全くお兄さんはおもしろい方ですね。まるであの人のようです)」

 

そこである違和感に気づく。

 

風「(ん?・・・・あれ、“あの人”とは誰のことでしたかね・・・・・・・どうしてでしょう。なぜか思い出せません)」

 

とても大切な何かを思い出せないことに風は悩んでいた

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霞「はははっ、あっ、せやせや」

 

そんなことも知らず、いきなり霞が話し始めた。

 

一刀「ぐすっ、・・・んっ?どうしたのですか張遼様」

 

霞「あのな、この前うちらが襲われたとき。敵の弓をつこうとった奴を倒したときに、あれはそうできるもんやあらへんってゆうてたやん」

 

一刀「はい、言いました」

 

霞「それってなんでなん?あれはまぐれやったんか」

 

一刀「いや、別にまぐれだったというわけではないのですが・・・・その、何から説明したらいいのやら」

 

李淵「(なぁなぁ蒼蓮、何の話だよ)」

 

蒼蓮「(私にもわかんないよ、でもこの前の襲われたときの話っぽいことは確かだよ)」

 

李淵「(??何か不都合でもあったのかな)」

 

蒼蓮「(さぁ・・・・・)」

 

風「(うー・・・・)」

 

その話が理解できていない二人は、小声で会話をしていた。

 

と一刀はあのときの説明を始めた。

 

一刀「そうですね、まずは私の登場が意外と相手に心理的に衝撃を与えられたことですかね」

 

霞「衝撃?」

 

一刀「はい、たぶんあの部隊は張遼様たちを助けに来る人間はいない、もしくは、いたとしても間に合わないと考えていたのではないかと思います。私自身で言うのもなんですが、だからこそ、私が間に合ったことが相手には想定外で、隙を作ってしまった原因になり、そこで私はその隙を突かせていただいたということです」

 

霞「へぇ」

 

一刀「それに、あの兵士たちはそこまで精錬された部隊ではありませんでしたし」

 

霞「?」

 

と、考え込んでいた風が話に参加してきた。

 

風「その部隊はそんなに弱かったのですか」

 

一刀「いえ、決して弱いわけではないのですが。ただ、三国随一の強さを持っているような部隊ではありませんでしたので、私が相手をするのが容易だったということです」

 

霞「そりゃ、強いって言われとる部隊を相手にするよりかはましやったけど別にそんなに楽じゃなかったで」

 

一刀「それはそうなんですが。まぁ、容易だったのは次のことでお分かりいただけると思うのですが・・・・」

 

風「次とはなんなんですか?」

 

一刀「はい、それは、相手武将と私の相性がとても良かったことです」

 

霞「相性?」

 

一刀「えぇ、あの手の武将は相手を分析してそこから有効な攻撃を仕掛けてくる型の戦い方をします。だから、最初は張遼様に挑んでは来なかったのではないでしょうか」

 

霞「そうやったなぁ。うちが疲れてきたところであいつは後方から出てきたし」

 

一刀「それに対して私も似たような戦い方をしていますので」

 

風「ではお兄さんもその武将のように後方から観察するのですか?」

 

一刀「いえ、私の場合は見ながら戦います」

 

霞「見ながら?」

 

一刀「はい、私の戦い方は力でもなければ技でもなく、張遼様のように速さでもないのです。相手を“見る”こと、簡単に言えば観察することなのです」

 

風「・・・・・その戦い方は武将というよりも軍師に近いことをお兄さんはしているのですね」

 

一刀「私の流派は相手の隙を見つけて、そこから活路を見出していくものです。相手が動き出す前、構える前、武器を振り上げた一瞬、そういったわずかな隙を見つけて有効な攻撃を仕掛けていきます」

 

霞「なんや、難しい戦い方してんなぁ」

 

一刀「いえ、難しいのではありません。現に張遼様たちのような方々はそれを本能的にされているのです」

 

霞「うちが?」

 

一刀「えぇ、ですので私の場合は張遼様のような武将と戦うよりも、千人の兵士と戦う方が数段楽といえば楽なのです」

 

霞「う〜ん、つまりや。あんときの弓野郎はそない強くなかったてことか。」

 

一刀「張遼様に比べたらそうですが、私の場合は、相手よりも私の方が見る力があったということですかね」

 

霞「ふ〜ん」

 

風「なら、おにいさんは霞ちゃんには勝てないのですね」

 

一刀「へっ?」

 

風「単純にそういうことになるのではと思いまして」

 

霞「にゃはは、そうやな。光っちはそない強くないっちゅうことか」

 

一刀「うっ、自分の力がどれほど通用するのかは確かに分かりませんが、“負ける”ことはそんなにないと思います」

 

風「おぉ、言いますね、お兄さん」

 

霞「へぇ、ゆうてくれるやないの。うちにも勝てるっちゅうことやな」

 

一刀「あっ、そういう意味ではなくて私の場合“負ける”ことが少ないだけです」

 

霞「さっき言ったこととなんも変わってへんやん」

 

一刀「いえ、それが大違いなのですよ」

 

霞「?」

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風「単純に、負けない“だけ”ということですか」

 

一刀「えぇ、張遼様とやろうが、その他の名のある武将の方とやろうが勝つことは難しくても負けずに戦い続けるが出来ると思っています」

 

霞「勝てへんけど、負けへん。それって意味あるん?」

 

一刀「たしかにそう思われるかもしれませんが、戦場ではそれで十分なのです」

 

霞「勝てへんことが十分なんか?」

 

一刀「はい」

 

霞「う〜ん・・・ようわからんけど、あんたがそうゆうんやったらそうなんやろな」

 

一刀「まぁ、分かっていただけたのならなによりです。さぁ、こんな話をしていてもなんですから点心でもいただきましょう。調理場に今日作ったものがありますのでお茶と一緒に召し上がってください」

 

霞「え、もらってええん」

 

一刀「えぇ、程c様もよろしかったら」

 

風「ならお言葉に甘えて、風もいただくとしますよ」

 

一刀「李淵と蒼蓮ちゃんも食べる?」

 

李淵「いるいる」

 

蒼蓮「はい、私もいただきます」

 

その後、一刀の作った点心を食べながら、五人(と一体)は楽しいひと時を過ごした。

 

日も暮れてきたところで霞と風はお店から出てきた。

 

霞「いや、おいしいもん食わせてもろうたし、楽しかったし今日は最高やったな」

 

宝ャ「まっ、羽を伸ばしていられるのも今のうちだけだけどな」

 

風「こら、ホウケイ。そういうことは言わないほうがいいのですよ」

 

一刀「ははは、お二方がよろしければまた明日もお越しください。演習のあとでよろしければ私を含めて三人とも店のほうにおりますので」

 

霞「ええの?ならまた明日楽しみにしとくわ」

 

風「そうですね、ではまた明日ということで」

 

一刀「はい、それではお気をつけてお帰りください」

 

霞「にゃはは、なんも気い付けることなんてないけどな」

 

そういいながら、足を宿の方へと進めた。

 

しかし、風は宿へと足を進める前に一刀の目の前に来た。

 

一刀「どうなされました?」

 

風「それでは・・・・・・お聞き・・・・・どう・・・・・決めて・・・・・・・・」

 

一刀「!?」

 

風「それでは李淵くん、蒼蓮ちゃん、お兄さんまた明日」

 

一刀に何かを囁いて、お店の前を後にした。

 

李淵「じゃあ、また明日」

 

蒼蓮「張遼様、程c様また明日」

 

一刀「・・・・・・・・」

 

李淵「ん?魏光さんどったの?」

 

一刀「いや・・・なんでもないよ」

 

蒼蓮「?」

 

一刀「(下手な芝居はお見通しってわけか、風)」

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宿に向かう途中、風に魏光への質問の意図を尋ねた。

 

霞「さっきの質問はあれでよかったってどういう意味やの?」

 

風「そのままといえば、そのままの意味なのですが。まぁ、分かりやすく説明すれば私は彼を試したのですよ」

 

霞「そうなん?」

 

風「えぇ、思い出してください。南陽に来る途中、商人のおじさんは襲撃の調査をすることに関して疑問を持っていましたよね」

 

霞「ん〜・・・・・あ、なんかそんなこといっとったな」

 

風「被害の少なかった街へわざわざ魏の中核を担っている武将を行かせるほど、魏は人員を持て余してはいません。仮に襲撃があった街へ行ったとしてもこんな小規模な人員で行かせるわけがありません」

 

霞「なんで?」

 

風「襲撃が起こったということは確実に南陽周辺は治安が悪くなっていたということを意味します。なのに、部隊も引き連れず南陽へ向かうことなど本来ならとても危険なことなのです」

 

霞「まぁ、そりゃそうやな。なら、風っちは最初からそれを知っとったんやな」

 

風「はい、低くはない確率で私たちは襲われるのではと考えてはいました。たぶんそれは華琳様も・・・・ですが、武将の率いた部隊に襲われるとはあまり考えてはいませんでしたけどね」

 

霞「いやぁ、あの人数はさすがにきつかったわ」

 

風「まぁ、あの部隊のことはまた華琳様に報告すればいいので話を戻しますけど。まず調査事態、たった二人で調べ上げようなど効率が悪すぎるのです。ましてや、その一人が軍師や文官ではなく武将ならなおさらのことです」

 

霞「ふむふむ」

 

風「それをあのお兄さんは私の質問にさもそれが正解かのように答えてきました」

 

霞「ん〜、それは光っちが頭が悪かったんとちゃうん」

 

風「商人のおじさんのように普通の人間が調査とは思わなかったことに対して、あのお兄さんは“それ以外に何も思い浮かばなかった”と言っていました。あたかも、それぐらいしか思いつかないと強調したいように」

 

霞「そ、そうなん・・・」

 

風「街の警備隊が負けたというのは洛陽にも届いていますので普通に考えれば戦力の強化なり隊の見直しなりをすると考えるのが妥当なところでしょう」

 

霞「それもそうやな」

 

風「ですが、あのお兄さんはそうは言わなかった。霞ちゃんでも苦戦した相手を一瞬の判断とずば抜けた観察力でいとも簡単に倒すほどの人物だというのに・・・」

 

霞「・・・・・・」

 

風「つまり、あのお兄さんは私たちが自分を目的でこの南陽に来たということを理解しているのです」

 

霞「う〜ん、光っちが頭が切れるのはええとして、自分が目的ってのはさすがに自分を過大評価しすぎとちゃう」

 

風「あっ、それはもう確認済みなのですよ」

 

霞「えっ?」

 

風「別れ際に“それでは明日、返答の方をお聞きしますのでどうかそれまでに決めておいてくださいね”って言っておきましたから♪」

 

霞「・・・・えぇぇぇぇぇ!?」

 

風「案の定、驚いた顔をしていましたので間違いないでしょう」

 

霞「風っち、あんたいつの間に・・・・・・いつもはほわほわしてるのにやるときはやるんやな」

 

宝ャ「ははは、さすがは俺の弟子だぜ」

 

風「むむ、ホウケイの弟子になったつもりは全くないのですが」

 

霞「やけどな・・・・」

 

風「?」

 

霞「あれは連れて行かれへんで」

 

風「ほぅ、それはまたどうしてですか?」

 

霞は険しい顔をして、南陽についたときから今までのことを話した。

 

風「ふむ・・・」

 

霞「あれは、街のみんなに頼りにされ過ぎやわ」

 

風「でも、それは明日、本人の考えを直接聞いてみないことには何とも言えませんね」

 

霞「えっ、なんで?」

 

風「それは、街の皆さんとお兄さんは全くの別人なのですから」

 

霞「そんなもんなん?」

 

風「はい、霞ちゃんだって周りになんと言われようとも自分の信念を貫くときがあるじゃないですか」

 

霞「まぁ、そりゃぁ、山ほどあるけど」

 

風「それと一緒だと思ってくれればいいのですよ」

 

霞「う〜ん・・・・」

 

納得しきってはいなかったが風はそこでその話を終わらせた。

 

むしろ、風は魏光を魏に連れて帰ることよりも魏光自身のことが気になっていた。

 

誰かに似ているような気がするのだがそれが誰なのかがわからない、

 

むしろ、似ていた人物がいたのかどうかもあやふやな感じになっていた。

 

風「(あの違和感はなんだったのでしょうか・・・・・思い出せないというよりもそのことが考えれないようなあの感覚は・・・・・・)」

 

霞「何してるん風っち?もう着いたで」

 

すでに宿の前に着いたことも気付かずに歩いていた。

 

風「おぉ、風としたことが考え事をしていて自分の世界に入り込んでいました」

 

そのやり取りを見つけたおかみが奥から出てきた。

 

おかみ「二人ともおかえり」

 

霞「おっ、おばちゃん。ただいまや」

 

風「ぐぅ・・・・・」

 

霞「って寝るんかい!?」

 

風「おぉ、立っていたというのにいきなり強烈な睡魔が・・・・」

 

おかみ「ははははっ、おもしろい人たちだねあんたらは。まぁ、そんなとこにいないで早く中に入んな」

 

霞「せや、時間を気にせずに部屋でゆっくり休めるときに休んどかんとな」

 

風「ではお先に」

 

先ほどまで入り口で止まっていた風はいつの間にか霞の先を先行していた。

 

霞「風っち、いつの間に!?」

 

風に続いて霞も中へと続いた。

 

風「(深く考えても答えは出そうにありませんし、またいつか考えるとしましょう)」

 

そう思い、残り少ない日にちを楽しもうと考えた風であった。

 

-7ページ-

・ ・ ・ 雑 談 ・ ・ ・

 

こ〜れはひどい!のharutoです(笑

 

いや、更新遅れました。

 

書くのに何時間も掛かってしまうのは一種の病気みたいなものなのでご勘弁!

 

さてさて、ようやく風&霞と一刀君が接触いたしました。

 

お話を読んでいただいたらお分かりいただけると思いますが、

 

パワーUPした一刀君でも頭においては知将程cを越えることなどできないのです!

 

さすがは風さん!

 

のほほんとしているのは表の顔

 

そして、裏の顔も・・・・・のほほんとしてるんですけどね(笑

 

まぁ、その容姿からは想像できないほどの切れ者っぷりを発揮するのが風さんですので、

 

むしろスペックでも一刀君は圧倒されているわけです。

 

それと、なんかこの話だと霞さんが頭が悪い感じになってしまってるような・・・・・

 

いや、別に悪いとは思っていないのですよ。ただ、あの話にはついていけないだろうという作者の考えからあんな役回りをしていました。

 

ていうか、なんだか最近主人公が一刀君というよりも霞さん&風さんになってきているような・・・

 

まぁ、今後は主人公らしくしよう(笑

 

 

そういえば、作品の内容ではないのですが。

 

ちょっと友人に「会話文多いんだね」って言われました。

 

いやぁ、会話している方がおもしろいじゃないですか^^;

 

別に、文章能力に自信がないから会話文多目にしているわけではないですよ;;

 

単純に会話している方が好きなもんで・・・・・

 

まぁ、いまさら簡単に変えられる気もしないですが気になる方がいらっしゃったらかまわず言ってください。

 

善処はします!!

 

 

てなわけでそんなこんなで今後ともお話を書いていきたいと思います。

 

いつも、支援、コメント、閲覧してくださってる方ありがとうございます!!

(1と5の支援していただいた方が100人を越えていたのがなんだかすごいうれしかったですT▽T )

 

 

それではまた次のお話でお会いしましょう (・ω・)ノシ

 

 

説明
harutoです。
話の進展は少ないような・・・・
まぁ、霞&風&一刀君がようやく実現です

熱読してもらえれば光栄です^^
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コメント
やはり風はすごいですね〜〜〜流石!!(零壱式軽対選手誘導弾)
一刀と魏光が結びつかないんじゃなくて、一刀のこと自体思い出せなくなってるのか。しかし、一刀だってばれた時点でまた消えるとなると、思い出しちゃった人はトラウマになる気がするwww(rikuto)
更新が楽しみですね〜(BASARA)
復活したメルです。これからも応援しているので頑張ってください。(いずむ)
ブックマンさん:宝ャ「さすがは俺が上にいるだけはあるぜ」(haruto)
風はやっぱり鋭すぎますよ。(ブックマン)
jackryさん:お待たせしました!それはドウデショウナ(汗 雑談一行目はミーのことだにゃw(haruto)
ぬこさん:うぉ、そんなに言っていただけるとは・・・・では読み続けていただけるように一刀君に頑張っていただきます(笑(haruto)
Nyaoさん:抜群の安定感を誇るそれが程cクオリティ!!あっ、誤字報告感謝です(haruto)
キラ・リョウさん:作者が考える作中でのNo.1軍師→風(ノリ&キャラを含む) です!(haruto)
ヒトヤさん:なぜに恋姫でそっちの展開!?飛躍というより作品が変わってしまう・・・(笑(haruto)
motomaruさん:種馬とは違うのだよ!種馬とは!!(笑(haruto)
st205gt4さん:ご期待されているとは・・・・・さて、どうしよっかなぁ(笑(haruto)
お寿司さん:情けない誤字だ・・・報告感謝です!(haruto)
ほわちゃーなマリアさん:HAHAHA、それはどうでしょう。誤字報告感謝です(haruto)
TINAMIにある恋姫SSの中で自分が読んでいる数少ないSSなんです…。末永く頑張ってください。(ぬこ)
風ならではの洞察力・・・。後、誤字です。2p:別に以上はありませんね → 異常(Nyao)
さすがは風、恐ろしい子・・・(キラ・リョウ)
前回李淵は一刀に抱きつかれてもいやがらなかった、つまり夜に抱かれてもOKということでは!?(←飛躍しすぎ)(ヒトヤ)
風の洞察力というか人間観察力半端無いからな〜。あぶね〜な〜。(motomaru)
これは、ちときびしいな、このさきも期待いたします(st205gt4)
誤字:いくつか南陽が南洋になってます(お寿司)
おっと、もしかしたら風が一番早く一刀の正体に気づくのだろうか? そして誤字? 3P 「目珍しい」→「珍しい」(ほわちゃーなマリア)
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