東方天変陽 第ニ話・龍神様の使者(総括版) |
ここは、幻想郷の天(そら)。
幻想郷の上にある天全体を含んで”そら”と読む。
水源郷が出来上がる前の事。変陽と空寝が水源郷に幻想入りする前の事。静玉が龍神様に祈りを捧げている頃。
幻想郷の天では幻想入りが((頻繁|ひんぱん))に起きていた。
その幻想郷の天では、ある((噂|うわさ))話が語られていたのだ。
((舞 瀬|まう せ))と((舞 仁|まう に))は古くからの幻想郷の天の住民。
その((瀬|せ))と((仁|に))は噂話と((洒落|しゃれ))込んでいた。
瀬いわく。
「龍神様はね、とても寂しがり屋だから、東方は今大変な雨になっているらしいわ。」
仁いわく。
「それで、海が出来ちゃうって噂らしいわ。」
これがその噂の内容だが、ものの一時間後には噂では済まなくなっている事だろう。
ここは、水源郷。
水源郷が出来た六日後の事。
ノイ「私は龍神様の使徒であり、”白人 ノイ”という者だ。ここ、水源郷の((主|ぬし))の静玉はいるか?」
白い服を着こんだ肌が異常なまでに白い、黒髪の少女がこう語った。
そのノイと名乗る少女が目で静玉を探す。
静玉「私よ。いかめしすぎる((挨拶|あいさつ))ね。」
静玉が名乗りを上げた。
ノ「これは失礼した。好戦的な連中ばかりの様だ。」
静玉が疑問を投げかける。
静「ところで、((詮索|せんさく))するようで悪いけれど、どこから来た人よ。」
この質問に対してノイは答える。
ノ「幻想郷の((天|そら))から来た者だ。
・・・これでいいか?」
静「・・・ええ。立ち話は何だから空をとびながら話してね?」
水源郷には住居となる家が無いのだ!
だから、風を切って飛ぶ事が一番の安心に((繋|つな))がるのだ。
その他大勢を置いて、静玉とノイの二名は大空を飛びながら停止する。
ノ「龍神様があなたをお呼びだ。
静玉、幻想郷の天まで来て欲しい。」
そのノイの言葉を聞くなり、静玉は息を飲む。
静「龍神様に私の言葉がきっと届いたのね。・・・それでいつ出発するのよ?」
ノ「明日でいいか?」
静「明日で大丈夫よ。」
ノイは承諾を得た後も話を続ける。
ノ「後、((無駄|むだ))話をするが、聞き流して欲しい。
龍神様・・・九〇龍神様すなわち、ましも様は龍体と人間体を使い分けておられる。
だから、お会いするのは人間の姿だ。
ましも様は((?|ほう))という道具を使っておられる。
これは幻想郷と外の世界をつなげる力を持った道具だ。
変陽と空寝もこの?で幻想入りしているようだ。」
静「変陽と空寝を知っている!?」
”変陽””空寝”というキーワードに静玉は反応する。
静「なぜ、変陽と空寝を知っているのよ?」
ノ「ましも様ほどの神格ではないが、私も又、神だからだ。」
ノイの発言に静玉が驚く。
静「あなたは神だったのね。」
ノ「続けてもいいか・・・。
良い様だ。
今回、あなたが呼ばれた理由は?によって大量の幻想入りがあった事も関係する。
まあ、それは良い。
それより、あなたの他にましも様は、変陽をも求めている様だ。」
”求める”という言葉に静玉は恐ろしさすらも感じる。
静「求めるって何よ。」
ノ「要請という事だ。
頼み事がお有りの様だ。」
”頼み事”という言葉に静玉は面食らう。本来ならば、こちらが頼み事をする側だからだ。
静「そんな頼み事なんて・・・。
それで変陽は今その辺りにいるようだけれど、どうするのよ。」
静玉は、妖怪を((掌握|しょうあく))し、((把握|はあく))する程度の能力を持っている。それで、察知したようだ。
ノ「出来れば説得して欲しいが、無理は禁物だ。彼女がいなくても別に良い。」
水源郷にて一人だけ女言葉を使う静玉になぜか気を使うノイの「無理は禁物」という言葉に可笑しさを感じて、ノイを静玉は注視するが、特に表情を変える事が無く、明確に気を使う意思があったかは分からなかった。
そして、ノイを意識するのはとりあえずやめて、その辺りにいる変陽を意識し始める静玉だった。
ここは、水源郷の外。幻想郷のわずかに残った草原地帯だ。
変陽は妖精を相手にポケモンをやっていた。
捕まえた妖精は100体程だ。
静玉が視界に入ると彼女を迎えに行く変陽。
変陽「静玉。我らが軍隊に百体、妖精が入隊したよ。これで水源郷は完全に支配出来そうだよ。」
静「変陽。明日、私は水源郷を離れて幻想郷の((天|そら))に行くけれど、付いて来る?」
二つ返事で、
変「もちろん。」
と回答がある。
静玉への信頼の深さが((窺|うかが))えるやり取りだ。
付いて来たノイが
ノイ「分かった。二名とも明日は朝出発するから、それまで休んで欲しい。
これで話は終わりだ。」
水源郷が出来てから七日後。
ここ、水源郷では静玉と変陽が今旅立とうとしている。
龍神様の招待を受けた静玉と変陽は朝、ノイに連れられて、幻想郷の天へと旅立った。
その際の変陽と空寝のやりとり。
空寝。
「本当に行くのか?
変陽。
静玉だけで十分じゃないのか?」
変陽。
「大丈夫だから。
留守を頼んだよ。」
特に大筋には関係しなかったが。
静玉と変陽が旅立った後、空寝はこう演説する。
空寝「変陽が留守の間、私の下についてもらうぞ。
何しろ、私は静玉と変陽に((篤|あつ))い信頼を得ている。
そして、この水源郷の中で今、随一の実力者でもある。
私に従う者は手を挙げろ。」
結果、その場は満場一致だった。
変陽の軍隊は空寝の軍隊に併合され、吸収された。アラサラウスと妖精の連合軍が生まれた瞬間だ。
そして、水源郷での占領が始まる。
まず、前線基地として水源郷の陸地部分に建物が建設される事になった。
それには、建築士が必要になる事に気づくのに少しかかったが、それは後々の事だ。
次に従わない者を水源郷の外に追い出す事にしたが、何しろ妖精もアラサラウスも全員従うらしいので、とりあえずはその策については放置した。
とりあえず外の世界から、空寝に従っている優秀な部下(一名のみ)を偵察に使う事にしたらしい。
船が((一隻|いっせき))、界面湖に浮かんでいるのは、”流しておけ”という命令で何もせず。
そして水源郷の要所要所に軍隊を派遣し、占領。
とにかく障害物がない安心の占領となった。
武器の確保には、隠し玉の炎天使の三名を使っている。
この三名は、草原郷だった頃の「炎天神社」に従事していた三名が神社がなくなって、姿を隠す方法を失ったために、空寝が従わせた。
名前を「ありか子」・「との華」・「U Mi(うみ)」という。
空寝は、その三名の仕事がゆっくりすぎるので、ノルマを課した。
この三名は「盗み」・「売却」・「買収」の三つを繰り返して、武器を確保している。
説明 | ||
幻想郷の東方。 そこにある草原郷が龍神様によって水没させられてしまった。 その水没した辺りを水源郷と賢者は定めた。 その水没して出来た海のような湖を界面湖と言う。 その界面湖と水源郷を巡る話。 |
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