PokemonSM CosmosEpic 13:スカル団のプルメリ
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スカル団のプルメリ

 

「みんな、改めて紹介するね!

ニャーくんがニャヒートに進化したよ!」

 

そう言ってヨウカは他のポケモン達に改めて進化した姿のニャーくんを紹介した。

最初は姿の変わったニャーくんに対し驚きはしたものの、それでもすぐにニャーくんのことを受け入れて進化を自分のことのように喜んでくれた。

 

「えへへ、よかったねニャーくん!」

「ヒニャ!」

 

仲間の進化は強くなった証、だから進化するたびに一回ずつ仲間と喜び合おうとヨウカは決めていた。

その思いをポケモン達に伝えたら、ポケモン達は喜んでそれを受け入れてくれた。

そんなポケモン達の気持ちが嬉しいヨウカは、満面の笑みを浮かべる。

その笑顔とそこからでる言葉は、ある決意が宿っていた。

 

「・・・あたしも、あなた達に負けないように成長するよ。

あなた達が強くなっていくように、あたしも強くなる・・・あなた達に見合うトレーナーに絶対になる!

だから、一緒にがんばろっ」

 

ポケモン達は進化して、成長して、強くなっていく。

だがトレーナーはポケモンに比べると成長も遅く、年齢や体格などは簡単にはあがらない。

ポケモンたちばかりが強くなっていても、トレーナーが弱くては彼らに釣り合わない、彼らに申し訳が立たない。

だからヨウカは決めた、せめて気持ち・・・心だけは絶対に強くあろうと。

そのためにポケモン達と正面から、正直な気持ちで向かい合おうと決めた。

そのキッカケを与えてくれたのは、悩みながらも進化を決めて進化を執り行ったニャーくんだった。

対するニャーくんも、ヨウカの言葉がキッカケで進化を決めた。

 

「ニャーくん、タツくん、サニちゃん、カリちゃん。

そしてこれから仲間になるポケモン達・・・。

みんな、あたしときてくれる」

 

大丈夫、とポケモン達の顔を見たヨウカは気持ちを持ち直すとウェストバッグをつけグローブを装着し、ヘアバンドで髪をあげる。

 

「よーし、じゃあみんなでさいしゅっぱーつ!」

 

ヨウカがそう腕を高く突き上げながら言うと、ポケモン達も同意して腕を高く突き上げた。

その様子を、桃色の光がみていた。

 

「・・・」

 

桃色の光の正体は、一匹のポケモンだった。

 

 

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ロイヤルアベニュー。

そこにはバトルロイヤルという方式のポケモンバトルが行われるドームと、安売りで有名なスーパー・メガやすが存在していた。

だがバトルロイヤルはよくわからないからという理由でドームをスルーし、道具にも困ってないからという理由でスーパー・メガやすもスルーする。

そうしてロイヤルアベニューを素通りしようとしたとき、あるポケモンが視界に入った。

 

「わっ」

 

視界にはいったのは、土色の体と黒い体毛を持った馬のようなポケモンだった。

たくましい見た目からこのポケモンがそれなりに重量とパワーを持つことがわかる。

 

「このポケモンは?」

「おまかせロト!」

 

ヨウカのその問いにロトムはすばやく反応して、ヨウカにそのポケモンの詳細を教える。

 

「じめんタイプのバンバドロだロト」

「バンバドロって名前なのかぁ。

・・・でも、ここでなにをしてるんかなぁ?」

「わらわのポケモンに、何か用でもあるか?」

「ほぇ?」

 

じっとそこに立ち尽くしたままのバンバドロに首を傾げていると、幼い少女のような声がヨウカの耳に入ってくる。

そして姿を見せたのはヨウカよりも背の低い一人の少女だった。

 

「えっと・・・」

「わらわはハプウ、このバンバドロとともに旅をしておる」

「あ、あたしはヨウカ!

今島巡りの旅をしているところなんだ、よろしくね」

「うむ」

 

紫色の大きな団栗眼と黒い団子状の髪、大きな軍手が特徴的な少女ハプウはヨウカと挨拶を交わした。

ヨウカは一瞬このハプウも島巡りしているトレーナーかと思ったが、自分も持っている島巡りの証がないことから違うとわかった。

 

「島巡りの証はないから、そのトレーナーじゃないよね?」

「そうじゃ、わらわは個人的な事情があってたくさんの島を旅しておる。

このバンバドロは、わらわの一番のパートナーなのじゃ!」

「そうなんやぁ」

 

島巡りか否かの違いはあれど、互いにアローラの島々を旅しているという共通点に気づきヨウカとハプウは話を盛り上げた。

話の中では自分達が年が近いことやそれぞれどこから来たのかという話題も入っており、ヨウカはメレメレ島、ハプウはポニ島から来たことがわかった。

 

「ブゥルルルル」

「おっと、そうじゃったな」

「?」

 

そこでバンバドロが鼻を鳴らし、ハプウになにかを伝えた。

 

「実は最近旅の荷物が減ってしまってのう、旅を続けるためにここで少し買い物をしようと思ってたんじゃ」

「そうだったんだ。

あたしは次の試練があるヴェラ火山公園って場所を目指してるから、ここでおわかれだね」

「そうじゃな、旅をしてればまた会うこともあろう、そのときが楽しみじゃな」

「うん」

 

ヨウカとハプウはそこで一度別れることになった。

その直後。

 

「アンタが、巽陽花だね」

「え?」

 

ヨウカに声をかける声が一つあった。

ピンクと黄色と2色に染めた髪を二つに分けてまとめ、少し濃いめの肌の少し年上の女性だった。

臍のあたりには紫色のタトゥーがついていて、白いアイラインがひかれている目は鋭い。

 

「っ誰・・・?」

 

突然名乗ってもないし初対面なのに名前を呼ばれて、ヨウカは警戒する。

 

「あたいはプルメリ。

まぁスカル団の姉御といったところさ」

「・・・その姉御さんが、あたしに何か用なの?」

「あんた、島巡りの旅の途中でウチの連中をかわいがってくれたみたいじゃないの」

「えぇ!?」

 

プルメリの言葉にヨウカは驚き、あわてて否定する。

 

「かわいがるって・・・あたしそんな趣味はないからやってないよ!」

「・・・少なくとも、なにか勘違いしてるのはわかったよ」

 

ヨウカのその台詞に対し呆れてツッコミを入れつつ、プルメリはヨウカに接触を図った理由を説明する。

 

「あんたも知っての通り、連中ってのはバカばっかりなんだよねぇ。

だけどさ、バカだからこそかわいいっていうのもあるんじゃない?

だから・・・かわいいあいつらのために、あたいがあんたに仕返ししてやろうかなって・・・思ってね!」

「・・・戦う気なのっ!」

「その通り!」

 

プルメリはモンスターボールを2個構えて、それを投げて2匹のポケモン・・・ヒドイデとヤトウモリを出してきた。

 

「さぁいきな、ヒドイデ、ヤトウモリ!」

「お願い、タツくん、ニャーくん!」

 

プルメリの行動で自分と戦うつもりなんだと気付いたヨウカも、彼女と同じタイミングでモンスターボールを2個手に取り、そこからタツくんとニャーくんの2匹を出した。

 

「ヒドイデ、ベノムショック!」

「ニャーくん、かえんほうしゃで打ち消して!」

 

ベノムショックとかえんほうしゃがぶつかりあい、弾け飛ぶ。

続けてヤトウモリがタツくんに向かってはじけるほのおを繰り出し、さらにかみついて追撃をする。

ニャーくんもヒドイデに向かってめざめるパワーを放つが、ヒドイデはそれをかわしてみずでっぽうで攻撃してダメージを与える。

 

「・・・やっぱりほかのスカル団と比べて、強い・・・!」」

「ヒドイデ、どくばりっ!」

「タツくん、りゅうのいかり!」

 

りゅうのいかりでどくばりを打ち消した後、しねんのずつきでヤトウモリを攻撃して一気にダメージを与える。

直後にニャーくんが飛び出して、ヒドイデにほのおのキバを繰り出した直後に追撃としてひっかく攻撃でダメージを与える。

 

「伊達に出会うたびにスカル団の行動を止めて、撃退してないね・・・。

だけど、あんたはそんな方法で正義の味方を気取ってるつもりじゃないのかい?」

「えっ?」

 

プルメリの突然の問いにヨウカはピクリと反応した。

自分の言葉に動じているヨウカをみて、プルメリはほくそ笑みながら話を続けた。

言葉で責め続ければ、ヨウカにこれ以上スカル団の妨害はできないだろうと踏んだのだ。

 

「あたいらが好き放題にしているのをくい止めて、悪い奴を懲らしめる正義の味方を演じて楽しんでるんじゃないかって・・・あんたの話を聞いたときから思ってたのさ」

「・・・」

「・・・だけど、そうやって相手を叩きのめして正義を証明して、楽しいかい?

それで楽しめているんだったら、あんたはあたいらと、同じ穴の狢だよ」

 

それでとどめを刺したつもりだったプルメリだったが、ヨウカの次の行動にそれが失敗に終わったのを悟る。

 

「・・・!」

「ナイスだよ、ニャーくん、タツくん!」

 

ニャーくんがシャドークローでヒドイデを、タツくんがしねんのずつきでヤトウモリを同時に倒したのだ。

ヨウカは口早に2匹に指示を出して、相手のポケモンを倒したのだ。

 

「あたしは・・・正義とか悪とか、どうでもいいんだよ!」

「なにっ?」

 

ヨウカのその発言にプルメリは驚き、ヨウカは赤い目を尖らせてさらに大声で怒鳴り続ける。

 

「正義とか悪とかそんなもの、あたしは知らないよっ!

あたしはただ、困ってる人やポケモンを助けたいだけ!

なによりも勝負には・・・絶対に負けたくないっ!

それだけなんだよっ!」

 

そう言ってヨウカは、ニャーくんとタツくんを自分の元へ呼び戻してその頭をなでる。

 

「チッ・・・とんでも無いのを相手にしちまったもんだよ」

 

自分のポケモン達がやられたという事実に対し舌打ちし、ヒドイデとヤトウモリをボールに戻すプルメリ。

 

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「さて・・・なんもないが、あいつらはなにをしてやがるんだ?」

「まさか、他のところでなにかしていたの!?」

「ああ・・・」

 

プルメリはある一方を睨み口角をにたりとあげた。

 

「この近くにあるスーパー・メガやすという店でバイトしていたが、クビにされちまった奴がいてね。

その仕返しをしたいと言ってたから力を貸したのさ!」

「じゃあある意味この勝負って、注意をひかせるためってことなん!?」

「まぁ、そうなるね。

今あいつ等はメガやすの中で大暴れしているところさ」

「それはこいつらのことかえ?」

 

その声とともに縛り上げられたスカル団が投げ込まれ、それと同時にハプウが姿を見せた。

 

「なっ・・・」

「ハプウちゃん!」

「店の周辺が騒がしいからでてみれば、この如何にも柄の悪い連中がたむろして店や人々、そして人々のポケモンに嫌がらせをしておってのう。

それでイラっときたから、このわらわが懲らしめてやったわ」

「・・・!」

 

彼女のそばにはあのバンバドロと、さっきスカル団を投げ飛ばしたであろうフライゴンがいた。

改めてみると、バンバドロもフライゴンもよく育てられており、ハプウが並のトレーナーより実力が高いことがわかる。

 

「はようここから立ち去れぃ。

立ち去らぬのであれば、このバンバドロでこいつらを思い切りふんずけるぞ。

バンバドロも、お主等の身勝手な行動でポケモンが迷惑していることに立腹のようじゃしな」

「・・・ッチ!」

 

ハプウの脅し文句にプルメリは舌打ちし、降参だと彼女達に告げる。

 

「そいつらのためにも、ここはこちらから身を引くよ。

アンタらの実力も素直に認めてやる・・・。

最も、これは今回限りだけどね!」

「アネゴォ・・・」

「情けない声を上げるんじゃないよ、さっさと逃げるぞ!」

 

プルメリの言葉に下っ端達はへい、と短い返事を返しつつ従い、彼女の指揮の元ロイヤルアベニューを去っていった。

 

「・・・スカル団、あなどりがたし、だね」

「うむ、だがこれで少しは懲りたであろう。

しっかし、あんなのが野放しにされてて、大丈夫かのう?」

「まぁ、そのたびにあたしがこらしめちゃうよ!」

 

ぐ、と拳を握るヨウカを見て強気じゃのう、とハプウが言葉を漏らす。

 

「もしまたなにかあれば、わらわが助けてやるから安心して旅を続けるといいぞ」

「うん、ありがとうハプウちゃん!

じゃあ、まったねー!」

「うむ!」

 

ヨウカは笑顔で手を振り、ハプウと一旦別れ次の場所へ向かって歩き出した。

 

「わらわも、努力せねばならぬのう・・・。

わらわ達の願いのためにもな、バンバドロよ」

 

彼女の後ろ姿を見送ったハプウは、バンバドロに向かってそう語りかけた。

そのときハプウは口元には笑みを浮かべていたものの、その笑みはどこか曰くありげだった。

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