PokemonSM CosmosEpic 16:草の試練
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草の試練

 

オハナ牧場でポケモンの卵を貰ったヨウカはポケモン達とともに再び歩き出していた。

目的地はもちろん、第3の試練が行われる場所であるシェードジャングルだ。

 

「カキさんの話じゃあ、確か試練が行われるシェードジャングルがあるはずなんだよね」

「そうだロト」

「んで、ここがそのシェードジャングルかぁ」

 

その木々を見上げてヨウカはこの場所を確認する。

こんなところで行われる試練とはどういうものなのだろうと思い、卵ケースをよいしょと持ち直す。

 

「くさポケモンって話だし・・・ロトムくんとサニちゃんでこれをあたしの代わりに守っててね」

「わかったロト」

「サニー」

 

ロトムとサニちゃんに卵のことをお願いすると、ヨウカは気合いを引き締め直してキャプテンゲートをくぐり、シェードジャングルに入っていった。

 

「おぉー・・・」

 

入ってみるとそこはまさにジャングルとでも言うように湿気に包まれていた。

木々は生い茂り視界の端っこではアマカジやパラスの姿がみえ、真上からはケララッパやドデカバシの鳴き声も聞こえてくる。

自然が多いこの場所で試練があるのかと思っているヨウカに、一人の少女が声をかけてきた。

 

「どっもー!」

「あ、マオちゃんだ」

 

そこに現れたのは少し濃いめの肌に緑髪の少女・・・くさポケモンに精通しているキャプテン、マオだ。

人懐っこい笑みと明るい声で、マオはヨウカと対話する。

 

「ゲートをくぐってここまできたということは、このマオの試練を受けるってことねっ!」

「うん!」

「じゃあ早速試練を開始しようか!

まずはこれを受け取って!」

 

そう言ってマオが手渡したのはなにかの巾着袋であり、それがなんなのかがわからないヨウカは首を傾げる。

 

「これってなんなん?」

「それは材料袋と言って、このシェードジャングルで見つけた材料をそこに集めていくためのものだよ!」

「ざいりょう?」

「そう、あたしの試練はズバリ!

シェードジャングルで集めた食材でお料理を作り、その料理でぬしポケモンを呼び寄せると言うものなんだよっ!」

「お、お料理かぁ・・・」

 

ヨウカはまだ料理がそこまで得意じゃなく、少し引き気味だ。

そんなヨウカにたいし、マオは大丈夫だと言った。

 

「料理はあたしがレクチャーするからそこは心配ご無用!」

「そ、そかな?」

「そーよっ!

さぁまずは材料を探しにレッツゴー、だよっ!」

「は、はい!」

 

今までの試練とはまたひと味違う試練が幕を開けた。

 

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今回の試練は、マオの趣味である料理にちなんだものだった。

彼女の料理を成功させるための食材を探すため、ヨウカはライドポケモンのムーランドの力を借りていた。

 

「ムーランドさーん、どう?」

「バウッ!」

 

何かに気付きその場を掘って、ムーランドがくわえていたのは2種類のキノコ。

ムーランドにはにおいを頼りにものを探し掘り当てる能力があるので、その特性を利用しているのだ。

その特性を生かしてヨウカは材料を次々に採取して集めていく。

 

「確かちいさいキノコを使いたいって言ってたよね。

じゃあこっちが正解!」

「バウ・・・ウッ!?」

「どうし・・・わぁ!」

 

ヨウカがキノコを材料袋に入れたその時、なにかの気配に気付きムーランドが吠えた。

ヨウカもそれに気付いたとき、野生のカリキリが飛び出してきたがタツくんが迎え撃ち追い払ったので事なきを得た。

 

「なんだぁ、野生のカリキリかぁ」

 

そういえばさっきも野生のパラスに襲われたし、材料と思ったら野生のアマカジであり掴んで驚かせたときは必死に謝ったことを思い出した。

そんなハプニングがありながらもヨウカは材料を順調に集めていく。

 

「えっとー、今ある材料は・・・っと」

 

マオが指定した材料メモを見つつ、材料袋に入れた材料を確認するヨウカ。

メモに書いてあるのはマゴの実、ふっかつそう、ちいさなキノコ、きせきのタネ。

材料袋に入っているのはふっかつそう以外の材料。

つまり、あと残っているのはふっかつそうのみだ。

 

「ロトムくーん、ふっかつそうってどこにあると思う?」

「おまかせロト!

ジツはさっきみつけたロト!」

「いつの間にっ!?」

 

いつそんなことをしていたんだ、とヨウカは心の内でロトムにツッコみつつロトムの案内の元にふっかつそうのある場所へ向かう。

確認のためムーランドににおいを嗅いでもらい、そこに生えていたふっかつそうを引き抜いた。

だがそのとき、またカリキリが飛び出してヨウカ達に攻撃を仕掛けてきたが、再びタツくんが迎え撃って追い払ってくれた。

こうして、なにはともあれ、マオに指定された食材を集めきったヨウカはマオのところに戻ってきた。

 

「マオちゃーん!」

「あ、ヨウカちゃん!」

 

「よう」

「こんにちは」

「あれー、カキさんにスイレンちゃん?」

 

そこにはほかにもカキとスイレンの姿もあった。

この3人が仲がいいことはヨウカも知っていたことであったが、何故ここに2人の姿があるのだろうと疑問を抱いた。

 

「どうして2人がここに?」

「マオさんに頼まれごとをされたのでそれを持ってきたのです。

このゴツゴツメットとおいしいみずを持ってきてほしいって」

「オレはこのふといホネを持ってきたんだ」

「よっし、2人ともお疲れさまーっ!」

「・・・水はともかくヘルメットにホネ・・・?」

 

いったい何に使うんだろうとヨウカが首を傾げてるとマオはスイレンとカキに指示を送り出し料理を開始した。

まずゴツゴツメットをひっくり返しその内側にヨウカがとってきた材料を放り込みカキがふといホネでその材料をすりつぶす。

材料が細かくすりつぶされたあとスイレンがそこにおいしいみずをそそぎ込み、それを火にかける。

準備が整ったところでマオはヨウカにも指示を出す。

 

「よし、ヨウカちゃん!

この骨で思いっきりかき混ぜて!」

「え、う、うん!」

 

マオに言われてヨウカは骨をしっかり握りしめるとそれでスープを思い切りかき混ぜる。

 

「こ、こう!?」

「もっと大胆にいっちゃっていいよっ!」

「は、はい!

とぉぉぉりゃーっ!」

 

ヨウカはすごい声を上げながらスープをかき混ぜるスピードを増した。

そうしていくとやがて、熱によって水と材料が解け合いとろみが増していき独特のにおいを放つ。

スープの色は、濃いめの緑色だ。

 

「ナイスッ!

これで完成だよ、マオスペシャルスープ!」

「ぜぇぜぇ・・・」

「よく頑張ったね、ヨウカちゃん!」

「う、うん」

 

ずれかけたヘアバンドを直しつつ苦笑してうなずくヨウカは、スープを見つめ独特なにおいに鼻をついつまんでしまう。

 

「すっごいにおいだけど・・・これって成功したの?」

「うんうん、この強烈で独特なにおいこそが重要なのよっ!」

「重要って・・・」

 

どこが重要なんだろうか、マオにその意味を問いかけようとしたそのときだった。 

 

「あっ!」

「おっ!」

「まっ!」

「ろっ!」

「へっ?」

 

周囲の全員が驚いたので振り返ると、自分より少し大きいなにかがそこにいた。

今気づいたが、自分にそのポケモンの影もかかっていた。

このサイズや強いオーラを放っていることから、このポケモンの正体に気付く。

 

「この子がぬしポケモン!」

 

それはこのシェードジャングルのぬしポケモン、ラランテスだった。

 

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試練の仕上げであるぬしポケモンとの勝負が始まり、ヨウカはいきなりニャーくんを出した。

 

「ヒーニャッ!」

「ニャーくん、最初からとばしていくよ!」

「ニャヒィ!」

 

ニャーくんもやる気満々だ。

そんな二人を正面から迎え撃つためラランテスはまず、にほんばれを使ってこの森を強い日照りで包んだ。

 

「ひざしがつよくなったロトよっ!」

「この日照りだって、利用しちゃうもんね!

ニャーくん、ひのこ!」

 

まずはニャーくんは飛び上がり、ラランテスにひのこを浴びせる。

そのひのこは日差しが強くなった影響で威力を増しており、相性のよさと合わさって抜群に威力を発揮した。

だがそこでラランテスはソーラーブレードという技を放ち、太陽の刃を振り下ろしてニャーくんを攻撃してきた。

 

「ニャーくん!」

「アイテもヒデリをリヨウしたはげしいコウゲキしてきてるロトッ!」

「確かに、そうじゃなきゃこんな戦い方とらないよねっ・・・」

 

そう会話している間にもラランテスは今度はソーラービームを放ってニャーくんを攻撃する。

その一撃に耐えたニャーくんはラランテスに突っ込みほのおのキバ攻撃で大ダメージを与えるが、すぐにしっぺがえしで倍のダメージを受けてしまう。

 

「ニャーくんっ」

「ニャヒィ・・・ッ!」

 

立ち上がろうと体勢を立て直している間に相手のラランテスはこうごうせいで一気に体力を回復させる。

その後の隙をついてかえんほうしゃを放ちラランテスを攻撃すると反撃でソーラーブレードが飛んできた。

 

「ニャーくん、もう一度かえんほうしゃっ!」

 

その技は命中こそして体力を削れたものの、すぐにこうごうせいで回復されまたソーラービームを受けてしまう。

すぐひのこを放つが決定打にかけてしまい、またこうごうせいを使われてしまうかもしれない。

それを阻止して勝つためには、一気に大きなダメージを与えて倒すしかない。

そう思ったヨウカはZリングのつけられた腕を突き出す。

 

「ここでこれ、決めさせてもらっちゃうよ!

準備オッケーかな、ニャーくん!」

「ヒーニャッ!」

 

ヨウカの声に答えたニャーくんはそう吠えて返し、Zワザを放つ体制に入った。

ニャーくんと息を合わせる体制に入ったヨウカは例の炎のZワザのポーズを取り、そのZワザの名前を叫ぶ。

 

「ダイナミック・フル・フレイムッ!」

 

炎のZワザは一直線にラランテスに向かってのびていき、ラランテスに着弾した後、灼熱の爆発を引き起こした。

その熱はラランテスを飲み込み、一気にダメージを与える。

 

「ルァァァ・・・」

「・・・!」

「アイテのラランテスはセントウフノウになったロトよっ・・・!」

 

ラランテスが倒れたことで、ここのぬしポケモンに打ち勝ったことがこの場で証明された。

 

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ヨウカがぬしポケモンと戦う光景を見たマオ達はすぐにヨウカのところに駆け寄ってきた。

倒れたぬしであるラランテスは、突然飛び出したカリキリやアママイコ達に運ばれていった。

 

「すごぉい!

まさかラランテスを倒しちゃうなんて!」

「じゃあやっぱり、あのぬしポケモンも・・・」

「そう、わたしが育てたポケモンだよっ!」

 

じゃあラランテスを運んでいったあのくさポケモン達も、マオのポケモンということか。

マオはスイレンとカキと並んで、ヨウカの実力を評価していた。

 

「でもここまで簡単に突破されちゃうなんて、思わなかったよね」

「ああ、オレの育ててたエンニュートも倒したからな」

「わたしが丹精こめて育てたヨワシも・・・突破されちゃいました」

「そ、そんな・・・あたしはっ・・・」

 

謙遜しようとするヨウカにたいしマオは大丈夫、と声をかけた。

 

「あなたはたくさんの花のつぼみを持ってて、その中から一つずつ花を咲かせているのを感じるわ!

どんな料理でも素材の味を生かしてないとそのおいしさを伝えられないし、愛情もこもってないと誰も笑顔にできないし心から美味しいっていえないもの!

あなたはポケモンのよさを生かしてるし、なによりポケモンに愛情を注いでる子・・・わたしにもよくわかるよっ!

その保証はこのZクリスタルを渡すことで、わたしが証明するからねっ!

さ、受け取って!」

「・・・うん、ありがとうマオちゃん!」

 

マオの言葉に少し照れながらもヨウカは試練達成の証として、くさタイプのZクリスタル、クサZを受け取った。

 

「お、試練を突破したか!」

「あれ、ツキト!」

「ツキトくんっ!?」

 

アーカラ島の3つの試練を突破したと彼女が確認したとき。

そこに姿を現したのは、なんとツキトだった。

予想外の人物の登場に驚く一同。

 

「どうしたんですか?」

「ああ、姉ちゃんが、多分頃合いだろうっていうから様子を見に来たんだよ!

そしたら姉ちゃんの予感が当たって、ヨウカが草の試練を突破した現場を目撃しちゃったというわけさ」

「ああ、確かに今ヨウカは、このアーカラの3つの試練を突破したぞ」

「分かってるぜ」

 

ツキトはヨウカの方を向く。

 

「ヨウカ」

「はいっ!」

「・・・カンタイシティにこい、そうしたらコニコシティまで案内するぜ!

そして、姉ちゃん・・・しまクイーンのライチに挑戦してくれよっ!」

「・・・わかったよっ!」

 

ついにこのアーカラのしまクイーンと直接戦う時がきたのか、とヨウカは気を引き締め直す。

するとマオは彼らに対しある提案を持ちかけてきた。

 

「そうだ、せっかくだしこのマオスペシャルスープ、食べていったら?」

「え、ええの?」

「もちろん!」

 

じゃあ、と言ってカキとスイレンはそのスープをスプーンですくって口に含んだ。

すると2人はボソボソと味に対する感想を漏らしていたと思ったら一気に目を見開き叫ぶ。

 

「み、みずぅぅぅぅぅっ!!!」

「カキ、スイレンちゃーんっ!?」

 

ツキトがそう叫ぶが、2人は走りを止めずその森から去っていってしまった。

 

「え、カキさんにスイレンちゃん、どうしたんだろ?」

「・・・」

 

ツキトは顔をひきつらせながらも無言でそれを口にした、次の瞬間。

 

「ぎぃぃぃやゃぁすぅぅぅぅぅぅっ!!」

「わ、ツキトォーッ!?」

 

ツキトはカキやスイレンとは真逆の方向に走っていってしまった。

3人のリアクションが理解できないマオは首を傾げ、彼らのリアクションでマオスペシャルスープの味が気になったヨウカはそれをみる。

 

「よ、ヨウカ、まさか・・・」

「・・・ヨウカ、いきますっ!」

 

そう言ってヨウカは思い切ってマオスペシャルを口に含んだ。

その数秒後のことだった。

ヨウカが短い悲鳴を上げて倒れたのは。

 

「ひぉうっ!?」

 

彼女が倒れたことに驚いたマオは、必死でヨウカの名前を呼び身体を揺さぶり、起こそうとする。

 

「え、ちょっと、ヨウカちゃん!?

しっかりして、ヨウカちゃーんっ!!」

 

ヨウカはそのまま気絶し、3日間も眠ったまんまだったとか。

 

説明
結局彼女は料理はうまいのかまずいのか、微妙ラインだなぁ
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