PokemonSM CosmosEpic 19:しまクイーンのライチ |
しまクイーンのライチ
ポケモンセンターでポケモン達を回復させたヨウカはしまクイーンであるライチに挑むために、彼女が待っているという命の遺跡を目指していた。
彼女に勝利すればアーカラ島の島巡りは完了だ。
そのため今いるのは、コニコシティと命の遺跡を結ぶ道・・・通称、メモリアルヒルだった。
「ロトムくん、こっちでええんよね?」
「そうだロト、ボクのアンナイドオリにいけばまよわずイノチのイセキにいけるロトよー。
リーリエもロト」
「そうですねっ」
実はその途中、命の遺跡に興味があるというリーリエと出会い一緒にそこを目指すことになった。
そうしてロトムの案内の元、彼女達はメモリアルヒルを抜けて無事に命の遺跡に到着した。
そこで待っていたのは、ライチとツキトの姉弟だった。
「よっ」
「あ、ツキトくん」
「待ってたよ」
「ライチさんも、一緒なんですね」
ライチはヨウカの顔を見て頷くと、早速ポケモンバトルを開始するために指定の位置に移動した。
「・・・メレメレ島を巡って、アーカラ島を巡って。
島巡りを通して、あなたがこのアローラを好きになってくれたらいいなって、アタシは思ってたよ」
「うん、あたしはちゃんとアローラ大好きですよ!」
「・・・この段階でそう思ってくれるのは、ずっとこの地方で住んでいたアタシにとっても、嬉しいことだね」
そう言いライチは3個のモンスターボールを手に取ると、真剣な表情をヨウカに向けた。
「ここまでの旅で、アンタが経験したこと・・・そしてそれに対する思い!
いわポケモンの使い手でありしまクイーンであるこのライチが、すべて受け止めて迎え撃つよ!」
「あたしと、あたしのポケモンとで!
打ち破って勝って見せます!」
二人の闘志を受け取り、リーリエもまたポケモンバトルの行方を見守るため安全な場所に行き、二人の姿を見守る。
そしてツキトは審判の役目を果たすため、バトルフィールドの真ん中にたち声を上げる。
「ただいまより、カプ・テテフに捧げる大試練を行う!
双方使用ポケモンは3体、どちらかのポケモンが戦闘不能になったら試合終了と見なす!
それでは、開始!」
「出番だよ、ガントル!」
「お願い、サニちゃん!」
ライチはガントル、ヨウカはサニちゃんを出して勝負を始めた。
「ガントル、ロックブラスト!」
「こっちも、ロックブラスト!」
まずは双方の連続技がぶつかりあい、バトルフィールド全体に土埃が舞い上がり、その光景を目の当たりにしたリーリエは目を丸くする。
「いきなり技がぶつかり合っちゃいました・・・!」
「威力は互角、二人とも気合いはいってんなぁ!」
ツキトが暢気に笑ってそう言っていると試合は激しさを増した。
サニちゃんがパワージェムでガントルを攻撃するとガントルはそれを正面から受け止め、反撃としてロックオンからのストーンエッジを決めてきた。
「バブルこうせん!」
「すなあらしで防いで、いわくだき!」
バブルこうせんをすなあらしで打ち消したガントルはサニちゃんにとびかかりいわくだきでダメージを与える。
すぐさま反撃でもう一発バブルこうせんを放つが、今度はヘビーボンバーを受けてしまう。
「大丈夫、サニちゃん!」
「サゴッ」
「じこさいせいだよ!」
ヨウカが指示した技は自らの体力を回復させるじこさいせい。
それによりサニちゃんは体力を一気に回復させて、元の元気を取り戻した。
ガントルはまたいわくだきいを食らわせるためにサニちゃんにとびかかってきたが、そこでヨウカはサニちゃんにとげキャノンを放つよう指示を出した。
「ガッ」
「ガントル!?」
効果は今一つではあるが、不意打ちで飛んできたためにガントルは驚きねらいをはずしてしまった。
その隙にサニちゃんは懐に飛び込み、そこでバブルこうせんを放ちガントルを攻撃した。
「まさかっ!」
「サニちゃん、そこでさらにアクアブレイク!」
最近覚えたみずタイプのぶつり技、アクアブレイクを繰り出してガントルの体力をを一気に削り、戦闘不能にした。
「ガントル・・・!」
「ガントル戦闘不能、サニーゴの勝ち!」
「やった!」
「お疲れさまガントル、戻ってお休み。
・・・次はアンタだよ、ノズパスッ!」
ライチは勝負を休めることはなく、ガントルを戻すとノズパスをそこに出した。
このままサニちゃんで勝負を続行することを決めたヨウカは、サニちゃんにバブルこうせんを指示して先手でダメージを与える。
その攻撃がヒットしたあと、今度はロックブラストで追撃を謀るヨウカ。
「マグネットボム!」
そのロックブラストはマグネットボムで相殺され、さらにサニちゃんにダメージを与えてきた。
追撃としてスパークでつっこんできてサニちゃんに大きなダメージを与えてきた。
でんきタイプの技も使えるんだとヨウカが思ったとき、ライチはさらに技を指示してきた。
「とおせんぼうだよ、ノズパス!」
「とおせんぼう・・・!?」
それは、ポケモンの交代を不可能にする技だった。
それによりサニちゃんは下がることができなくなり、自分が戦闘不能になるか相手を倒すかしか道はなくなった。
ヨウカはノズパスを倒すことを決め、サニちゃんにアクアブレイクを指示してノズパスを攻撃する。
それをノズパスはスパークで迎えうち、相打ちとなった。
「でんじほう!」
「サニちゃん、ミラーコートッ!」
ノズパスから飛んできたのは高い威力を持つでんき技、でんじほう。
それにたいしヨウカはサニちゃんにミラーコートを指示し、反射させる。
でんじほうのダメージは倍のものとなってノズパスに襲いかかった。
「ミラーコート成功だよ、やったねサニちゃん!」
「さ・・・ごっ・・・」
「サニちゃん!?」
そのときサニちゃんは動きが鈍くなり、ぎこちなくなった。
なにが起きたと困惑するヨウカをみて戸惑うリーリエに、ツキトはその状況を説明する。
「いくらダメージを倍返ししたとはいえでんじほうが命中したことには変わらないからな。
ダメージは軽減できても麻痺の追加効果は受けちまったということだ」
「そんな・・・」
「おまけに、とおせんぼうの効果で下げられねぇからしぜんかいふくの特性はでねぇぜ」
「ノズパス、いわなだれっ!」
それによる怯みの追い打ちだった。
すぐにじこさいせいで回復させたいがサニちゃんは動けず、ノズパスの10まんボルトを受けて戦闘不能になった。
「サニちゃん!」
「サニーゴ戦闘不能、ノズパスの勝ち!」
目の前で繰り広げられた戦いに、リーリエは困惑の表情を浮かべる。
「こんなことって・・・」
「相性だけじゃ、かてねぇってことさ・・・」
自分もライチと戦ったことがあるツキトはそうつぶやき、審判としての中立を保つため視線をバトルフィールドに戻した。
ヨウカはサニちゃんにねぎらいの言葉をかけてボールに戻すと、すぐに次のポケモンを出した。
「カリちゃん、お願い!」
ヨウカが次に出したのは、くさタイプのカリちゃんだった。
次も相性の有利なポケモンがでたが、ライチもノズパスもひるんだ様子は見せず、さっきまでと同じ姿勢のまま勝負を続行する。
「ノズパス、マグネットボム!」
「カリちゃん、このはだよっ!」
マグネットボムをこのはで打ち消し、そこからはっぱカッターも打ち込んでノズパスを攻撃した。
さっきまでのサニちゃんとの戦いのダメージが残っていることを確信したヨウカはさらにリーフブレードを指示してノズパスを追いつめる。
「動きを止めるよ、でんじほう!」
ライチはでんじほうでダメージを与えつつ麻痺を起こさせる作戦をとろうとしたが、元々でんじほうはねらいを定めにくい技であるため、命中しなかった。
その隙をついたカリちゃんが、リーフブレードでとどめをさし、ノズパスを倒す。
「ふふ、つい最近トレーナーになったばかりとは思えない健闘をみせるじゃないか!
アタシの本気も増してかなくちゃね!」
ノズパスを戻したライチはうれしそうに笑うと、最後のボールを手に取りそれを投げ、最後のポケモンを出した。
「いきな、ルガルガンッ!」
「ルガルガン・・・」
鋭いたてがみを持ち、鋭い目をもったポケモン・・・ルガルガンだった。
戦いを続行するためにカリちゃんはこのはで攻撃を仕掛けるが、ルガルガンはそれをストーンエッジで相殺しそのままカリちゃんを攻撃する。
「はっぱカッター!」
「かわしてかわらわりっ!」
ルガルガンは素早く動いてはっぱカッターを回避するとカリちゃんにかわらわりを食らわし、さらにかみついて投げ飛ばしてしまう。
そのあまりにも激しすぎる攻撃に、ヨウカは言葉を失いリーリエも思わず目を逸らしそうになる。
「カリちゃん!」
「カッキリ!」
「よし、リーフブレードッ!」
そんな激しい猛攻に耐えたカリちゃんはリーフブレードでルガルガンを攻撃しにかかり、その一撃は相手のルガルガンにヒットした。
「どうだっ・・・」
「カウンターッ!」
「うぇっ!?」
それはぶつり攻撃を倍返しする技、カウンターだった。
先の技の攻撃力が倍になったその一撃がヒットしたことで、カリちゃんは戦闘不能になってしまう。
「ルガルガンは本来、人間の言うことなんてききやしないポケモンなんだ・・・。
だけど姉ちゃんはそいつを従わせたんだ・・・実力を見せつけてな。
あいつも姉ちゃんを認めたから指示を聞いて戦ってる」
「そんなポケモンさんに、言うこと聞かせるって・・・それほどに・・・」
ツキトの話を聞いたリーリエはもう一度視線を試合に向ける。
これからヨウカはどう反撃するのかが気になるのだ、リーリエはヨウカに勝利してほしいと願っているからだ。
ヨウカも、ルガルガンのパワーをみた後でもこの勝負には負けたくないと思っている。
「あのルガルガン・・・強いけど・・・!
でも、負けたくない!
だからお願い、一緒に戦ってタツくん!」
ヨウカが繰り出したのはタツベイのタツくんだった。
出てきて早々にひのこを浴びせて攻撃にでるタツくんにたいしルガルガンは反撃でストーンエッジを飛ばしてきた。
「しねんのずつき!」
そこでヨウカは落下速度を利用したしねんのずつきを繰り出してルガルガンを攻撃するが、そこでルガルガンはまたカウンター攻撃を繰り出してきた。
しねんのずつきの威力が倍になってタツくんに襲いかかり、そこに容赦なくいわくだきで追撃してくるルガルガン。
「もう一度かわらわり!」
「りゅうのいかり!」
かわらわりがヒットするまえにりゅうのいかりを食らわし、かわらわりを回避するタツくん。
直後に今度はりゅうのいぶきを放ち攻撃したが、ルガルガンはストーンエッジを放ち攻撃し、タツくんの体力を大幅に削る。
「た、タツくん・・・!」
「・・・まだ、続ける?」
「ッ・・・」
ライチの言葉にたいし、ヨウカの中に一瞬迷いが生じた。
これ以上戦いポケモン達を回復させに向かうか、それとも勝つためにもまだまだ勝負を続行させるか。
そんな迷いを断ち切ったのはほかでもなく、今戦い続けてるタツくんだった。
「タッベッ!」
「タツくん・・・?」
「タァンベェーッ!」
立ち上がり、傷だらけの体で高く鳴き声をあげて、その体を強く光らせる。
「あ・・・っ」
「おっ!」
「まぁ・・・!」
「ふぅん・・・!」
その場にいた全員が、その光景に見入っていた。
シルエットは徐々に丸く大きくなっていき、光がやんだときにコモルーが姿を現した。
タツくんが、進化したのだ。
「タツベイが、コモルーにシンカしたロトっ!」
「・・・コモルー・・・」
「こっもっ」
「・・・そうだよね、ここで放棄したら・・・みんなの頑張りを無駄にしちゃうよね!」
進化して戦い続ける姿勢を示したタツくんに、ヨウカも笑顔を取り戻しともに戦う。
それで試合を続行させる選択をとったことを知ったライチは口元に笑みを浮かべる。
「進化は見事だけど、勝ちは譲らないよ!
ルガルガン、いわくだき!」
だがそれでコモルーの体制が崩れることはなく、平気な顔で耐えて見せた。
「耐えたかっ・・・!」
「シンカにより、ボウギョリョクはカクダンにあがってるロトッ!」
「よし、そのままりゅうのいぶき!」
至近距離にいる今がチャンスと、ヨウカはその技を指示してダメージを与える。
至近距離の影響もあって、ルガルガンは麻痺を受けてしびれた。
「ルガルガン!」
「決めろタツくんっ!
ドラゴンクローッ!」
「クォモォォォオ!!」
「ガウッ!」
ドラゴンクローを受けたルガルガンはバトルフィールドから叩き出され、岩にたたきつけられた。
それによりルガルガンは戦闘不能となる。
「ルガルガン・・・」
「ルガルガン戦闘不能、コモルーの勝ち!
これによりヨウカは勝利・・・大試練達成を証明された!」
「やったぁ!」
試合はヨウカの勝ちで終わり、ヨウカは大喜びでタツくんに抱きついた。
「タツくん、進化してくれてありがとーっ!」
「・・・お疲れ様ルガルガン、あとはゆっくり休んでてね。
今日の輝きも、最高だったよ」
そういいライチはルガルガンを戻し、ヨウカに歩み寄る。
「見事だよ、ヨウカ」
「ライチさん」
「お前すげーな、姉ちゃんに勝っちまうなんて!」
「ツキトくん」
同時にツキトも駆け寄ってきて、勝負に負けたにも関わらず笑っている姉の顔を見ながら問いかける。
その問いかけるときのツキトの表情にも、笑みが浮かんでいた。
「こんな気持ちいい勝負をして、おまけに負けるなんて・・・久し振りなこと何じゃねぇの、姉ちゃん?」
「・・・そうだね」
弟に対しそう穏やかな笑みで返しつつも、ヨウカからトレーナーパスを受け取るとスタンプをそこに押し、一個のZクリスタルを添えてヨウカに返した。
「アーカラ島大試練達成の証と、ZクリスタルのイワZだよ」
「ありがとうございます、ライチさんっ!」
トレーナーパスとイワZを受け取り、ヨウカは嬉しそうに笑う。
そのときリーリエも声をかけてきてくれた。
「おめでとうございます、ヨウカさん!」
「ありがと、リーリエちゃん!」
「そうだ、こっちにきてくれるかい?」
「んっ?」
一緒に笑いあっていると、ライチに声をかけられついていくヨウカ達。
遺跡の入り口にあった祭壇のような場所にライチがポケモンのはいったボールをおくと、ヨウカにもそこに置くように言う。
ヨウカがそれに従い、さっきの3匹が入ったボールをそこにおくと、桃色の光が現れ6個のボールを包み込む。
その不思議な光景にヨウカは目を皿にする。
「わぁ・・・これって・・・!」
「この遺跡に住む守り神、カプ・テテフの力さ。
大試練が終わったポケモン達は勝ち負け関係なしに、ここで挑戦者とアタシのポケモン達を回復させて、元気を取り戻させるんだ」
「だから姉ちゃんは、ここで大試練のポケモンバトルをやることにしてるんだよな」
「そうだよ」
ライチは強さと優しさを兼ね備えた人物であることが、改めてわかった。
そういえばメレメレ島のしまキングであるハラもまた、強くもあり優しくもある人だった。
しまキングやしまクイーンになるには、ただポケモンバトルが強い、実力があるだけじゃだめなんだなと感じる瞬間でもあった。
回復していくポケモン達をみて、ツキトはもう大丈夫だなと思いそこを去る体制に入る。
「さてと、オレは町に戻って次の仕事をするぜ。
ついでに、もうすぐ戻るって店の人にも言っておく」
「ああ、任せたよ」
「じゃあな!」
去っていくツキトを見送り、ライチはリーリエと、いつの間にかでていたコスモッグに目を向けた。
「そういえばアナタは、試練に挑まなければ島巡りをするトレーナーというワケでもないよね?」
「は、はい・・・私バトルが苦手で・・・ポケモントレーナーじゃないんです。
でも」
リーリエはバッグからでて遺跡を見つめているコスモッグを見つめて話を続けた。
「この子、色々なものに・・・特に遺跡に強い興味を示していて・・・。
私はずっとこの子を元の・・・本来いるべき場所に返してあげたいと思ってたんです・・・。
それで、その手がかりを探すためにこの命の遺跡を訪れたんです」
「そうだったのかい・・・」
リーリエの話を聞いて、ライチはコスモッグを見る。
「・・・」
「ぴゅい?」
ライチにみられたコスモッグは、あたかも首をかしげるような動作をとる。
「まさか・・・ね」
「ほえ?」
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2番目の大試練です。 | ||
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