PokemonSM CosmosEpic 23:マーマネとマーレイン |
マーマネとマーレイン
「キズ、ダイジョウブロト?」
「うん、このとーりばっちりっ!」
グラジオとのポケモンバトルから数日後、バトルに乱入したスカル団に傷つけられた腕も回復したことでヨウカはマリエシティを再び旅立った。
傷がふさがった腕をみて、次こそ負けないという気持ちを胸に気持ちを持ち直したのだ。
「ウラウラじまのシレンがあるのはホクラニだけのウエ、そしてカプのむらのちかくであるらしいロト!」
「どっちが近いの?」
「ここからだと、ホクラニだけだロト」
「オッケー!
じゃあ次の目的地は決まったね、いこっ!」
ロトムのアドバイスを聞き、次の目的地を決めるヨウカ。
最初は普通にホクラニ岳を越えようとしていたヨウカだったがロトムが必死になってヨウカを止め、直通のバスがあることを教えてそれに乗っていくことを薦める。
「お、ヨウカじゃないか!」
「ククイ博士!」
そのバス停で、ククイ博士と遭遇した。
彼の近くにはまた別の男性がいたが、ククイ博士は気にせずヨウカに話しかけてくる。
「ここで会うってことは、試練に挑もうとしているということか?」
「はいそうです!」
「準備万端、じゅうでんも完璧といったところか・・・試練で一気にほうでんするといいぞ!」
「そのつもりです!」
ククイ博士の言葉にヨウカは元気よく答えていく。
すると、ククイ博士の隣にいた男性が二人の話に割り込んできた。
「ククイくん、その子が試練の挑戦者?」
「ああ、そうだよ」
少しくすんだ黄色い髪にメガネをかけた、ククイ博士と年が近そうなその男性とはヨウカは初対面だ。
そんな初対面の存在に対しヨウカは首を傾げる。
「あれ、その人は?」
「そうそう。
こいつはマーレインといって、僕の古くからの友達さ」
「初めまして、僕は元キャプテンのマーレインだよ」
「こちらこそ初めまして、今試練に挑んでいるヨウカです」
マーレインとヨウカは互いに握手を交わして自己紹介する。
彼は非常に穏和な性格であることは、雰囲気やこの挨拶だけでも十分に伝わってきた。
「彼はこのアローラのポケモン預かりシステムを管理したり、科学の方面で活躍しているんだ。
キャプテン時代も、はがねタイプに精通していて、かなりの実力者だったんだよ」
「そういえばさっき、元キャプテンって・・・。
今はもうキャプテンじゃないんですね」
「ああ・・・キャプテンが務められるのは20歳までってきまってるからね。
卒業してからはIT関係につとめてるよ」
そんな会話をしていると、ホクラニ天文台行きのバスがバス停に到着したので、3人はそのバスに乗ってホクラニ天文台に向かった。
そこが、試練の行われる場所だというのだ。
「とーちゃっく!」
十数分後、バスは無事にホクラニ岳に到着した。
そこにはホクラニ天文台という、アローラの星空を観測しつつ宇宙について研究している施設が存在した。
マーレインがまず天文台の中に入っていくと、ククイ博士はあることを閃きヨウカに呼びかける。
「そうだヨウカ、試練の前にキミにみせておきたいものがあるんだ!」
「なんですか?」
「あれをみてくれ!」
そう言いククイ博士がある方向を指さすと、ヨウカもその指の先の方向をみる。
そこにあったのは、このホクラニ岳とほぼ同じくらいの高さはあろうかと思う山、その山のてっぺんではなにかの工事が行われていた。
「わぁ・・・!」
「あれはラナキラマウンテンといって、あの山の頂上はこのアローラで最も月と太陽に近いといわれている場所なんだ!」
「そんな場所を、工事してるんですね」
「ああ、実はあそこでは僕の夢が進行しているんだ!」
「ククイ博士の・・・夢?」
ヨウカが疑問を持っていると、ククイ博士はそうだと答えて自分の夢を語り始める。
「僕の夢・・・それは、このアローラ地方にポケモンリーグをつくることだよ!」
「ポケモンリーグ・・・!」
「アローラ地方では大きく知れ渡ってないから、ジムもなければジムリーダーも四天王も、そしてチャンピオンも存在していない。
君はほかの地方からきたから、リーグというのがどういうのかはわかるね?」
「まぁ、ちょっとくらいは・・・」
カントー地方では特に、ポケモンリーグの実績が重要視されていた。
それはポケモンリーグでも最高の成績を収めている、とあるポケモントレーナーの影響も響いているらしいが、多くをヨウカも知らない。
だが少なからず、ポケモンリーグというのはどういうものなのかはわかる。
「アローラ地方の今の風習・・・島巡りも悪いとは言わない。
キャプテンの役目を担った子も頑張っているし、今もその勤めも果たしている。
だが・・・変えなければならないところもあると、僕はずっと感じていた。
そして、他の地方のポケモンリーグに挑戦してそれをさらに感じたんだ・・・」
「・・・博士・・・?」
島巡りについてそう語るククイ博士の様子を見て、戸惑いを覚えるヨウカ。
どこか様子がおかしいと感じているヨウカだったが、直感で聞いてはならないと思いなにも言わなかった。
「・・・この地方にポケモンリーグがこれからできる、なんだかワクワクしないか?」
「ここに・・・カントーと同じように・・・」
「そしてこの地方でもまた、他の地方と同じようにチャンピオンをうみだし、そのチャンピオンを通して世界にアローラのすばらしさを伝える。
それが、僕の夢なんだ」
「・・・でっかい夢ですね・・・!」
ここで初めて聞いた、ククイ博士の夢。
彼の話を聞いた後でもう一度、ラナキラマウンテンを見つめてつぶやく。
「・・・ポケモンリーグ・・・完成したらあたしも挑もうかな・・・?」
カントー地方で何度も聞いたその存在を、今になってヨウカは強く気にし始めていた。
するとホクラニ研究所からマーレインが出てきて、その背後には一人の男の子がいた。
「ふぅ・・・」
「息抜きも必要だよ、マーくん」
「うん、マーさん」
マーレインと一緒に出てきたのは、橙色の髪に円らな瞳を持った、少しぽっちゃりした感じの男の子だった。
背は低いが、ヨウカとは年が近そうだ。
彼の肩には丸いフォルムに大きな瞳と丸い耳を持ったかわいらしいポケモン・・・まるまりポケモンのトゲデマルが乗っている。
おそらくこの少年のポケモンであろう。
「ああ、ヨウカちゃん。
彼がでんきタイプに精通するキャプテンである、マーくんことマーマネだよ」
「えっ・・・」
「マーマネくんっていうんやね。
あたしは巽陽花、ヨウカってよんで!」
ヨウカはにっこり笑ってマーマネに手をさしのべるが、マーマネはすぐに視線を逸らしてしまった。
その手にはいつの間に移動したのだろう、トゲデマルがだっこされていた。
「あれ?」
「マリュー」
「うぅ、人と話すのはやっぱり苦手・・・」
「はは、気にしないでくれ・・・マーくんは人見知りが激しいんだ」
「あららっ」
マーマネの事情を知ったヨウカは思わず苦笑して頭をポリポリとかいた。
これから彼が執り行う試練に挑まなければならないのに、これで普通にできるのだろうかと思っていると、マーレインがヨウカに対してある提案をした。
「そうだヨウカちゃん、僕と一対一のポケモンバトルをしないかい?」
「ポケモンバトルですか?」
それはポケモンバトルの申し込みだった。
「そう、ポケモンバトル。
それで君の実力をみていれば、マーくんも落ち着いて試練を受ける体制に入ってくれるだろうし・・・。
ククイくんが認める君の実力も見てみたいしね。
それでいいかな、マーくん」
マーレインがそう言うと、マーマネもこくりと頷く。
「・・・マーさんが、言うなら・・・見る。
ポケモンバトル、やるのもみるのも、好きだし」
「・・・わかりました、やります」
「決まりだな」
4人はバトルがしやすい、広い場所に移動する。
そこでマーレインとヨウカは向かい合い、一個ずつボールを手に取る。
「では・・・行ってもらうよダグトリオ!」
「あたしはこの子でいきます、サニちゃん!」
マーレインが出したのはアローラのダグトリオ、対するヨウカはサニちゃんだ。
「試合、開始!」
審判をするククイ博士がそう呼びかけると、まずは動きの早いダグトリオが動き出した。
「ダグトリオ、どろばくだん!」
「サニちゃん、かわしてバブルこうせん!」
どろばくだんをかわしたサニちゃんは別の方向からバブルこうせんを打ち込み、先にダメージを与える。
先手ダメージを与えられてもダグトリオもマーレインも焦らず、次に飛んできたみずのはどうをあなをほるを使って回避した。
「どこからくるんやっ・・・」
「さに、ごっ!?」
「サニちゃん!」
相手がどこから出てくるのかわからないでいると、サニちゃんの真下からダグトリオが突き出てきて、サニちゃんを上空へ突き飛ばす。
そして上空にいるサニちゃんに向かってトライアタックを放つ。
「おぉ・・・久々に見るな、あのマーレインの戦い方・・・」
「やっぱりすごい」
その戦いをみたククイ博士とマーマネはそれぞれ、そう感想をつぶやく。
一方のサニちゃんは体勢を立て直しつつとげキャノンを放ちダグトリオに反撃していく。
「あなをほる!」
またダグトリオは地面に潜ったが、ヨウカは今度はあわてたりしなかった。
一度みた技なら、すぐに対策を練ることができる。
「今だよサニちゃん、だいちのちから!」
「サニッゴ!」
そこでヨウカが繰り出したのは、地面にパワーを与えて相手を攻撃する技、だいちのちからだった。
そのだいちのちからで、ダグトリオはダメージを受けて地面に姿を見せざるを得なくなり出現した。
「そこでみずのはどう!」
ヨウカの声にあわせてサニちゃんはみずのはどうを放ちダグトリオを攻撃。
それがとどめとなって、ダグトリオを戦闘不能に追いやった。
「ダグトリオ・・・!」
「やった!」
この勝負を制したのは、ヨウカだった。
勝負に負けたことに驚いたマーレインだったが、すぐにふっと笑みを浮かべてダグトリオにいたわりの言葉をかける。
「お疲れさま、ダグトリオ」
「ダグダグダグ」
「ボールに戻って、ゆっくり休むといいよ」
そう言ってマーレインはダグトリオをボールに戻し、サニちゃんを抱きしめるヨウカと向かい合う。
「君は強いね、まるで昔のククイくんのようだよ」
「いえ、あたしもいい勝負をさせてもらいました!
ありがとうございました!」
「こちらこそ、ありがとう」
「いやぁ、いい勝負だったぞ2人とも!」
ククイ博士も2人のバトルを見てそう感想を告げたが、すぐに近くで起きている異変に気づきそちらを向く。
ヨウカたちも、異変に気づいた。
「・・・なんか、ザワザワしてます?」
「何の騒ぎだ?」
4人はその騒ぎが起きた場所へ向かうと、そこには真ん中のあたりでポッキリおられたバス停が立っていた。
「あーっ!
バス停がおられてるー!」
「そりゃあ、オレさまのラッタならバス停を折るくらい楽なことでスカらねぇ」
そこには、3匹のラッタをつれたスカル団の男がいた。
「ってまたスカル団!?」
「お前はスカル団のじゃまをすることで有名な小娘じゃないでスカ!」
このバス停を壊したのは、スカル団だった。
またもやスカル団の悪事を知ったヨウカは怒りを露わにして怒鳴る。
「なんでこんなことするのっ!」
「バス停を壊して、バスを利用しにくくしてやるスカ」
「目的ちっちゃっ!!」
「やれやれ・・・」
スカル団の悪事を目の当たりにしたマーレインはため息をついた。
「スカル団、あたしが相手・・・えっ?」
「ここは、僕に任せておくれ」
「ハン・・・なにをするつもりッスカ?」
ボールを構えてスカル団と戦おうとするヨウカを、マーレインは彼女の肩に手をおいて止める。
なにをするつもりなんだろうとヨウカがマーレインを見ると、マーマネが後ろでポツリとつぶやく。
「マーさんの本気、みられる・・・」
「えっ」
「頼んでいいですね、ジバコイル」
「ジバババンッ!」
「えっ?」
さぞ当たり前のようにジバコイルを出すと、マーレインは素早く自分の右の手首にZリングを取り付け、動作をとる。
その動きは、Zワザを繰り出すのと同じものだった。
「まさか、Zワザを・・・!」
「ちょうぜつらせんれんげき!」
マーレインがそう叫ぶと、ジバコイルの体を鋼のように銀色のオーラが包み込みそれがドリル状に回転しはじめた。
ドリル状の鋼のオーラがヒットし、スカル団のポケモンは一気に戦闘不能にされられた。
今のがはがねのZワザである、ちょうぜつらせんれんげきなのだ。
「ぬぁ・・・!」
「・・・まだ、やるかい?」
「や・・・や・・・やるわけないじゃないっスカァァァ!!」
メガネを光らせつつニッコリ笑いながら勝負を続けるかと聞くマーレインに体を震わせたスカル団はポケモンをボールに戻すとそこから走って逃げていった。
「・・・」
「・・・ははは、年甲斐にもなく、やりすぎたかな?」
マーレインがスカル団に容赦なくZワザをうつ姿を目の当たりにしたヨウカは驚き、後ろにいたマーマネとククイ博士は見慣れてるかのように苦笑する。
「ひぇぇ〜〜〜・・・さっきのポケモンバトルで使われなくてよかったぁ〜」
「マーさん、怒ると怖いから」
「ああ、こいつは昔からそうさ」
今のマーレインの行動に対し各がそう言葉を漏らした後、マーマネはトゲデマルに呼びかけると足早に彼女達の前から立ち去ろうとする。
そんなマーマネをヨウカは急いで呼び止めた。
「あ、マーマネくん!」
「・・・じゃあ、待ってる。
試練いどみたいなら・・・奥の部屋、きて」
「・・・わかった!」
マーマネはホクラニ天文台の中に入っていった。
建物の中で試練を行うのかなと思いつつ、マーマネを見送ったヨウカ。
「がんばってくれ」
「はい!」
そのときマーレインにも励ましの言葉を受けて、ヨウカはぐっと握り拳を握った。
「次の試練、気合い入れてこー!」
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