PokemonSM CosmosEpic 26:スカル団ボス・グズマ
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マーマネの試練を終えたヨウカはバスに乗ってホクラニ岳の坂を下り、マリエシティに戻ってきた。

 

「ここで準備しつつ、ククイ博士を捜さなくちゃ」

「マーレインさんのおつかいがあるロトからね〜」

「そゆことや」

 

実はあそこを去る前に、マーレインに頼まれごとをされていたのだ。

その頼まれごとの内容とは、ククイ博士にカラフルな謎の覆面を渡してほしいというもの。

そのときにマーレインはロイヤルマスク、と口走っていたが、そのロイヤルマスクというのがなんなのかわからないヨウカはその発言に対し首を傾げるのみだった。

 

「ロトム、博士捜すの手伝って!」

「リョーカイだロト、ボクはこっちを探すロト!」

 

マリエシティは自分達が思うよりもずっと広いし人も多いので、手分けしてククイ博士を捜すことにした。

一応ロトムだけでは心配だったので、ニャーくんをロトムの護衛につける。

 

「もしかして、庭園にいるのかも?」

 

ヨウカは直感に頼りマリエ庭園に向かう。

マリエ庭園はこの町のメインともいうべき、とにかく広い庭園のことだ。

ジョウト地方をイメージして作られたらしいその場所にヨウカが向かうと人々が野次馬と化している現場に遭遇した。

 

「なんやろ・・・?」

 

その人だかりが気になったヨウカは人々をかき分けて前にでると、そこにいた人物をみて驚く。

 

「えぇ!?

ククイ博士にスカル団!?」

 

そう、そこにいたのはククイ博士と数人のスカル団だった。

一見するとククイ博士がスカル団に絡まれているようだったのでヨウカは焦る。

 

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「ククイ博士!」

「よぉよぉよぉ、ククイ博士さんよぉ。

ポケモンリーグなんて作ろうという真似、やめさせてもらうぜ?」

「やめねぇってなら、二度とポケモンの技を受けられないどころか、ポケモンバトルをできない身体にしてやるぜ!」

 

スカル団はそうククイ博士に喧嘩を売っているが、当のククイ博士は余裕の表情だ。

 

「だったら・・・バトルロイヤル形式で戦おうじゃないか!

いわなだれやスピードスターで、一気にダメージを与えてまとめて倒そう!」

「ひゃぁ〜博士強気ぃ〜!」

「ん、ヨウカいたのか!」

「気付くの遅いです!」

 

ヨウカがそうククイ博士にツッコミを入れたそのときだった。

 

「バトルロイヤルかぁ・・・いいなぁそれもよぉ。

自分の周りにいる連中を、一気にぶっ壊せるからなぁ」

「!?」

 

男の声がして、周囲がざわつく。

特にスカル団の様子がおかしいとヨウカが思った瞬間、大柄で猫背気味で、目つきの悪い男が現れた。

その男の姿を見たスカル団が、その男のことをこう呼んだ。

 

「ボス!」

「ボス?」

 

こいつがスカル団の親玉なのか、とヨウカはボスと呼ばれたその男を凝視した。

周囲の人間もどよめいている。

 

「ぶっ壊してもぶっ壊しても、手加減ができなくて嫌われる。

破壊という言葉がオレ様そのものを表している・・・オレ様こそがグズマだぜ」

 

スカル団のボス、グズマはそう語るとスカル団の下っ端達に道をあけさせ、ククイ博士の前にたち彼とにらみ合う。

 

「なぁククイさんよぉ・・・?

オレ様とお前は、互いにキャプテンになれなかったもの同士・・・この島巡りの風習が良くないと思ってただろうよぉ。

だけど、ポケモンリーグはよくねぇなぁ?」

「僕はキャプテンになれなかったんじゃない・・・ならなかったんだ。

この島にもポケモンリーグを作る・・・という夢のためにね。

キミが反対しようと、そして破壊を繰り返そうと・・・こればかりは譲れない」

 

そう語るククイは笑みを浮かべたままであったが、その眼差しは真剣そのものだ。

 

「まだ未来の可能性がある者たちにその未来を見せてやりたいんだ。

島巡りを通してなにかを感じ、自分の本当にやりたいこととかを見つけさせてやりたい。

例えば、このヨウカのようにな」

 

ヨウカ、という名前に反応したグズマはククイ博士の側にいた少女に気付きそちらを見る。

どうやらこの男は、この少女のことを知っているようだ。

 

「・・・ヨウカ・・・?

そうかぁ、お前がヨウカかぁ」

「・・・」

「お前・・・島巡りをしてどうするつもりでいるんだよ?」

 

ここでそれを聞いて、なにをするつもりだ。

一瞬そう思ったヨウカだったが、ここで退きたくないと思い、自分の気持ちをそのまま打ち明ける。

 

「まだちゃんと決められてないけど、これから島巡りをしながら決めていくよ」

「・・・えらいこと言うなぁおじょーちゃんよぉ・・・けどな。

こんなことしててもなんも得られないし、得られるもんもねぇよ。

だから・・・」

 

グズマはヨウカの顔をのぞき込み、口角をにったりと上げて睨みつけながら、低い声で言う。

ヨウカはただ、その赤色の大きな瞳でグズマの顔を見返した。

 

「島巡りなんて、やめちまえよ。

その方がずーっとずーっと・・・楽しめるぜぇ?」

「・・・バッカみたい」

「なんだと?」

 

グズマの言葉を聞いたヨウカは少しだけ怒りをその表情と声にしてそう返し、グズマの言葉を跳ね返す。

自分の脅しが効かないことにたいしグズマは眉間にしわを寄せ、ヨウカから離れる。

 

「あんたの場合は島巡りのせいじゃなくて・・・あんたが自分で見つけようとしなかっただけじゃないの?」

「あんだとぉ?」

 

挑発ともとれるヨウカのその言葉に怒りを覚えたらしい、グズマは額に青筋を立てた。

歯ぎしりを立ててボールを一個手に取ると、そこからアリアドスを出した。

ヨウカもそれをみて、タツくんを出す。

 

「・・・だったらオレ様がお前をぶっ壊して、逆らえないようにしてやるよっ!

アリアドス、どくばり!」

「タツくん、りゅうのはどう!」

 

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「タツくん、ドラゴンクローッ!」

「シザークロス!」

 

タツくんとアリアドスの勝負は、タツくんに軍配が下っていた。

グズマのポケモンが一匹やられただけで周囲のスカル団は震え上がり、当のグズマは眉を少し動かす。

一方ククイ博士は、タツくんにうまく技の指示をだして勝利を収めたヨウカに関心を示していた。

そんなとき、グズマは切り札としてコソクムシの進化系であるグソクムシャを出してきた。

 

「グソクムシャ、シェルブレードッ!」

「タツくん!」

 

だがこのグソクムシャはヨウカが想像していたよりも強く、攻撃に対して同じく攻撃技で迎え撃つしかなかった。

先程も相手のアクアブレイクをまもるで防御したものの、次にでたシェルブレードはそのまま受け、タツくんは戦闘不能となってしまった。

まもるは、連続で出すことができないのだ。

 

「どうだ、ここで思い知っただろ・・・このオレ様の恐ろしさを!」

「まだまだだぁ!

まだあたしは、負けてないっ!」

 

そう言ってヨウカはタツくんの代わりのポケモンを出した。

 

「お願い、カリちゃん!」

「かっきり!」

 

ヨウカがここで出したのは、カリちゃんだった。

本当ならニャーくんで迎え撃ちたいところだったが、ニャーくんはロトムと行動をともにしているのでいない。

ここはボールの中ですでにやる気満々だったカリちゃんに勝敗を託すしかない。

 

「カリキリ・・・相性では不利だが、どう戦う?」

 

ヨウカとグズマの勝負を傍観しているククイ博士は、そう呟く。

 

「そんなちっこい奴、ぶっとばしちまえ!

グソクムシャ、シザークロス!」

「こっちもシザークロス!」

 

2匹の同じ技がぶつかりあい、互いに弾け飛んだ。

直後にカリちゃんはこのはでグソクムシャを攪乱しつつ、そのままリーフストームで攻撃する。

だがグソクムシャは倒れず、そのままシザークロスで突っ込んできてカリちゃんを攻撃、そのままアクアブレイクで追撃していく。

 

「カリちゃん!」

「連続でシザークロスだグソクムシャァ!!」

「シィアッ!」

「カキッ!」

「リ、リーフブレードで防いで!」

 

連続のシザークロスはカリちゃんの体力を徐々に削っていく。

何発かはリーフブレードで防げているが、それでも相手の手数の多さと相性にはかなわず、最後に大きな一撃を受けて吹っ飛ばされる。

 

「キィッ・・・!」

 

何とか持ちこたえ、大きな赤い目でグソクムシャを睨みつける。

まだ戦う姿勢を崩していないグソクムシャの奥には、挑発的な表情と態度をみせるグズマの姿がある。

 

「さぁさぁさぁ、このままぶっ壊れろぉ!

島巡りなんてくだらねぇことも、このままやめろぉぉ!」

「あんたにそれを、決められたくない!」

「あぁっ!?」

 

ヨウカのその言葉に再び怒りを見せるグズマ。

そのままヨウカは真剣な表情で大声をだし、己の意志を主張する。

 

「あたしは自分で決めたんだ、この島巡りを達成しようって!

そこに風習とかは関係ないよ!

だから、ここで負けて自分の気持ちに嘘をつくわけにはいかないんやっ!」

「カキリィィ!」

 

そう叫ぶヨウカの声に答えるかのように、カリちゃんは勢いよく立ち上がり上空ににほんばれを放つ。

次の瞬間、強い日差しを受けたカリちゃんの身体は鮮やかな桜色に輝き出す。

 

「なっ・・・!」

「カリちゃん・・・!」

 

カリちゃんは、強い日差しの元ラランテスに進化したのだ。

ラランテスは腕を大きく振り上げてその腕に太陽の力を集め出す。

その動きに見覚えがあるヨウカは、カリちゃんのだそうとしている技の正体に気付き技の名前を叫ぶ。

 

「いっけぇぇぇ!

ソーラァ・・・ブレェェーイドォォォオ!!」

 

ヨウカのその声とともに、ソーラーブレードはグソクムシャに振り下ろされた。

 

「グシァァァァッ!」

 

ソーラーブレードをまともにうけたグソクムシャは、倒れた。

 

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「ぼ・・・ボスが・・・負けた・・・!?」

 

目の前で自分達のボスがポケモンバトルで負けた姿を目の当たりにした下っ端たちは衝撃を受ける。

 

「やったねカリちゃん、勝負に勝てたよ!」

「ラーラァ」

「進化してくれて、ありがとっ!」

 

一方、この勝負を制したヨウカはラランテスのカリちゃんに抱きつき飛び跳ね、笑顔でほおずりをした。

カリちゃんの方も嬉しそうにしている。

 

「すごく強くなったな、ヨウカ!」

「ククイ博士!」

「僕も触発されて、勝負してきたスカル団をいわなだれで一気に倒しちゃったぜ!」

「いつの間に!?」

 

通りでさっきからスカル団のテンションが低いわけだと、ヨウカはどこか納得していた。

 

「あ・・・あぁぁ・・・」

「なに、まだやるつもり!?」

 

もしやリアルファイトでもやるつもりなのかと思ったヨウカは、目の前で徐々に様子がおかしくなっていくグズマにたいし身構えた。

カリちゃんもヨウカを守ろうとしているらしい、いざとなれば動く体制に入る。

だが、次の瞬間に彼がとった行動はヨウカ達の想像を超えたものだった。

 

「グズマァアアァァア!!

なにやってんだぁぁぁぁ!!!」

「ひぇぇっ!?」

「こんなガキにぃ!

ポケモンバトルで負けるなんて、逆にぶっ壊されてるじゃねぇぇかぁぁ!!」

 

突然叫び声をあげて髪をグシャグシャと掻き回し始めたのだ。

そんな突然の豹変ぶりに、悪人はある意味で怖いと感じたヨウカの前でグズマはさらにしかーし、と叫ぶ。

 

「負けはしたがオレ様はスカル団を解散させねぇし活動は続けるぜ!

そしてお前達をこのアローラ地方ごとぶっ壊して、島巡りなんてなくしてやる!

仕返しだってやってやんぞ!!」

「・・・いい年こいてるクセに、無職が」

「え」

 

自分の怒声の後にボソッでた少女のその呟きをグズマは聞き逃さなかった。

 

「おい今そいつ物騒なこと言ったぞ、オレ達よりやばいんじゃねぇの」

「気のせいでしょ、思いこみ激しすぎだよ破壊衝動人間さん」

「さらっと人を侮辱したよなお前!?」

「聞き間違いだよ、彼女がそんなこという訳ないだろ?」

「てめぇは確実に聞いただろぉぉぉぉ!

つーか聞こえてなくても聞き逃すんじゃねぇよ、一応はてめぇの教え子てきなもんだろぉぉがぁぁ!」

「負けたショックでこんらん状態になってて、そう聞こえただけだろ」

「それとこれは関係ねぇだろぉぉぉ!!」

 

ククイ博士とヨウカに一頻りツッコんだグズマはぜぇぜぇと荒い呼吸を繰り返した後、ここから退く体制に入る。

 

「ボッコボコにしてぇが、こいつのせいでオレ様のポケモンはもう戦えねぇ!

・・・てめぇを直接やっちまってもいいが・・・オレ様も成人してるわけだし、てめぇよりずっと大人だ」

「どこが?」

「・・・とにかく、年上らしくお前に手をあげたりはしねぇよ!!」

 

そういいグズマは不機嫌になり、体を背ける。

 

「きぶんわりぃからもう帰るぜ!

お前等、引き上げっぞおらぁ!」

「へ、へい!」

 

グズマはそう呼びかけるとスカル団は気をつけをし、すたすたと歩いているグズマについていく。

 

「もう2度とマリエシティに入ることは堅く禁ずるよーっ!」

「てめぇは何者だーっ!?」

 

最後にグズマはヨウカに向かってそう叫び、そこを立ち去っていったのだった。

 

「まったく、なんかヘンな人やなぁ!」

「そうだな」

 

説明
なぜか人気の高いあの男があらわれます。
しかしヨウカはその男に対し冷たいです。
つまり扱いはよくありません。
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オリキャラ オリトレ 長編 ポケモンSM ポケモン 

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