PokemonSM CosmosEpic 29:はちゃめちゃバトル大会!
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実りの遺跡で守り神であるカプ・ブルルに出会うという経験をしたヨウカ達は旅を続けていた。

 

「・・・ていうか・・・おれのスランプ解消にならなかったよねー」

「あ」

 

ハウの口からでた言葉で、あの遺跡に向かっていた本来の目的を思い出すヨウカ。

リーリエとコスモッグが守り神に会うという目的は果たされたが、ハウがスランプを脱出する方法を探したりそのための力を授かるという目的は果たされていなかった。

あわててリーリエは、ハウにフォローを入れる。

 

「だ・・・大丈夫ですよ、ハウさん!

きっとこれからなんですよ、スランプ克服!」

「そうだといいなぁー」

 

あははーとのんきに笑っているが、ハウ自身も内心では焦っているのではないのか。

友人である彼のために何かしてあげられないかな、とヨウカが考えながら歩いていると、遠くから声が聞こえてきた。

 

「やっほー!」

「ほぇ?」

 

声のした方向を向くと、声の主であろう少女が駆け寄ってきた。

ツギハギのようなデザインのワンピースを身につけ、片腕に黄金の腕輪をつけた、紫の髪の少女。

ヨウカは、その少女を記憶していた。

 

「あれ・・・もしかしてアセロラちゃん?」

「はい、アセロラちゃんでーす!」

「お久しぶりです、アセロラさん」

「うん!」

 

彼女はアセロラといい、古代アローラ王朝のことをよく知っているだけでなくこのウラウラじまでキャプテンをしているとのことだ。

彼女と以前に会ったことのあるヨウカとリーリエはアセロラとの再会を喜んでいるが、初対面であるハウは首を傾げた。

 

「ヨウカー、この人しりあいー?」

「そうだよ」

「古代王族のことを知っている方で、どうやらキャプテンをしているみたいですよ」

「へぇー、そこまですごい子なんだー」

 

アセロラはふふん、と腰に手を当てながら笑った。

 

「そりゃあ末裔だし、アセロラはゴーストポケモンととーっても仲良しだもんねっ!」

「ゴーストポケモンを使うのが得意なんだねー」

「そうだよ!

ここで立ち話もなんだし、近くにアセロラの家があるからそっちにいこー!」

「いいの?」

「いいのいいの、みんな一緒の方が楽しいもん!」

「・・・じゃあ、おじゃましますね」

 

そうして3人はアセロラにつられて、彼女の家に向かうのだった。

 

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「・・・!」

「ここが、アセロラちゃんの家?」

「まっしろー」

 

3人がつれてこられたのは、真っ白な建物だった。

綺麗な外壁と窓、そしてその建物の扉にはエーテル財団のマークがあった。

アセロラがいうにはここは、エーテルハウスという、エーテル財団が利用している人やポケモンの養護施設のようなものだという。

 

「今はね、ここで小さな子どもたちと一緒に暮らしてるの。

エーテル財団があたしたちに提供してくれた場所なんだよ」

「えっと、今住んでいるのは、アセロラさんだけ・・・ですか?」

「リーリエー?」

 

ここがエーテル財団の経営している施設と知ったときから、リーリエの様子がおかしい。

今思えば彼女は以前にもエーテルパラダイスに行くことになったとき、彼女は用事があるといって行こうとしなかった。

そのときリーリエからはエーテルパラダイスに行きたいという様子も見えなかった。

そんな彼女の様子が気になりながらも、ハウとヨウカはアセロラの話に耳を傾ける。

 

「週に一回、エーテル財団の人がここにきてチェックしたりとかしてくれるけど、基本的にはあたしと子ども達で生活してるよ。

あたしはね、これでも家事全般がチョー得意なんだよ!」

「せやったんかぁ」

「毎週木曜日に様子を見に来るから・・・次にくるのは5日後だよ」

「そ、そうですか・・・」

 

アセロラの言葉を聞いたリーリエは、安堵したのかほっと一息をついた。

そんなリーリエにもう一度首を傾げていると、アセロラは3人のためにお茶を淹れにいく。

 

「・・・リーリエちゃん、大丈夫?

なんか落ち着いてないみたいだけど・・・」

「そ、そうですか・・・?」

「リーリエってー・・・エーテル財団が嫌いなのー?」

 

ハウの問いに対し、リーリエは顔を曇らせた。

 

「・・・そう、見えますか・・・?」

「うん、見えるー」

「・・・」

 

そのときリーリエは顔をうつむかせた。

自分がなぜエーテル財団とそれに関係する場所を拒むのか、その理由を説明するべきなのか。

それは自分のことを2人に打ち明けることであるのが、それが良い行いであるのか迷ってしまう。

だから、口を開くべきか迷ってしまう。

そんなリーリエの迷いと悩みを感じ取ったヨウカは、ふっと笑みを浮かべつつ彼女に向かっていった。

 

「無理しないでいいよ、リーリエちゃん」

「ヨウカさん・・・」

「内緒にしときたいことって誰にでもあるし、そうしなくちゃって思う理由もあるんでしょ?

あたし達も、あなたに無理して話させようなんて思ってないから・・・だから、話したくないならそれでいいよ」

「・・・ありがとう、ございます」

 

ヨウカの優しさがうれしくて、リーリエは小さく微笑みながらお礼を言う。

ハウも、そんな2人をみて笑っていた。

穏やかで朗らかな空気が3人の間に流れたとき、小さい子どもの声がした。

 

「え!?」

「なに!?」

「わぁ、ポケモントレーナーだ!」

「しまめぐりしてるのかなー?」

 

自分達に駆け寄ってきたのは、幼い男の子と女の子だった。

そういえばさっきアセロラはここで、子ども達とともに生活しているのだと言っていた。

恐らくこの子達が、アセロラとともに生活している子ども達なのだろう。

 

「えーっと」

「ねぇポケモントレーナーでしょー!」

「しまめぐりしてるんでしょー!」

「そ、そうだけどー」

 

ハウとヨウカがポケモントレーナーであるという確認をとった子ども達はにっと笑うとモンスターボールを突きつけてきた。

 

「ポケモンバトルしよー!」

「やろやろー!」

「えぇ!?」

「ここでー!?」

 

室内でやるのはさすがにまずいのでは、と思っていると彼女達の前に一匹のポケモンが現れた。

それは、ミカルゲだった。

 

「あ、おねーちゃんのミカルゲだ」

「ポケモンバトルは外でやってきなさい!」

 

そのミカルゲとともにアセロラが、ティーカップやポットが乗ったボードを持ちながら姿を見せた。

アセロラは、頬を膨らませて怒っているようだ。

 

「いつも言ってるでしょ、室内でやったら掃除が大変だって!」

「うぅ、ごめんなさーい」

 

アセロラに叱られたことでションボリした子ども達は外に出て行った。

ヨウカとハウも、一緒にエーテルハウスの外にでる。

 

「バトルしてくれる?」

「オッケー、あたしが相手になってあげるよ!」

「やったぁー!」

「やろやろぉ!」

 

ヨウカは男の子と、ハウは女の子とポケモンバトルをすることになる。

 

「いっけー、ツツケラ!」

「あなたの出番だよ、ニャーくん!」

 

相手がツツケラを出してきたので、ヨウカはニャーくんを繰り出す。

 

「ツツケラ、つばめがえし!」

「ニャーくん、ほのおのキバ!」

 

ツツケラとニャーくんの技が激しくぶつかり合う。

このぶつかり合いは互角であり、ニャーくんはひのこをまき散らしてツツケラを攻撃する。

ツツケラはそれを空中を飛び回りながら回避し、上空からみだれづきを食らわしていく。

ニャーくんはそれに耐えてかえんほうしゃを放ち、ツツケラに大きなダメージを与えた。

 

「ニャーくん、そこでもう一度ほのおのキバ!」

 

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ほのおのキバがツツケラにヒットしたことで、勝負は終わった。

この勝負はヨウカの勝ちだ。

 

「やったね!」

「おぉー!」

「さすが、ヨウカさんは強いです・・・!」

 

ヨウカの実力にアセロラは感心し、リーリエは魅入っていた。

そこでハウのことを思い出したリーリエはいけない、と思いながらハウの方を向く。

 

「ハウさん、そちらは・・・」

 

いくらスランプでも、いい勝負ができているはずだ。

そう思ったリーリエだったが、振り返ってすぐに視界にはいったものに対し、目が点になった。

 

「うー・・・なんかすごいかまれてるよぉー」

「えっ?」

 

ヨウカも視線をハウの方に向けると、彼はなんとヤングースに腕をかまれていた。

 

「わぁ、ハウくーんっ!」

「ハウさぁーん!」

 

ヨウカとリーリエは慌ててハウに駆け寄り、ヨウカはハウからヤングースを引き離しリーリエはハウに噛まれた部分を手当し始めた。

どうやら途中までハウはライライを使って女の子のヤングースと勝負していたものの、途中でヤングースは何故かハウに敵意を向けてかみついてきたのだという。

ポケモンバトルが終わったところでアセロラは彼女達にお茶を飲ませつつポケモン達を回復させた。

 

「うーん・・・おれー、ホントにスランプ克服できるかなー?」

「えー、スランプだったの?

勝負をみる限り、そうは見えなかったけど」

「ライライ達ががんばってくれたからねー・・・」

 

ハウはヤングースに噛まれたのは自分が今スランプで、油断を生じていたからだと思っていた。

彼がそういう状態に陥っていることを知ったアセロラはんーと考え込むと、一つの答えを出す。

 

「ねぇ、急ぎの用事がないならここでちょっと休んでいったらいいと思うよ?」

「休むー?」

「そ、休む。

これもまた、スランプの克服にきくって言うしね・・・ここ、かなーり落ち着くし広いから問題ないよっ」

「いいのかなー?」

 

ハウの問いにアセロラはうん、と頷いた。

 

「うん、遠慮はいらないからね!

その間、ヨウカはアセロラの試練に挑めばいいし!」

「アセロラちゃんの?」

 

アセロラは頷くと、キャプテンである自分が担当する試練のことを話した。

彼女の試練が行われるのは、今は潰れてしまった店だという。

そんな試練の話を聞いたヨウカは、今特にやることもないし試練が自分のするべきことであると思い出したので、アセロラの試練を受けることを決めた。

 

「リーリエも、やすんでっていいからね!」

「あ、ありがとうございます。

ヨウカさん、試練がんばってくださいね」

「ファイトー!」

 

リーリエとハウはヨウカに激励を送る。

その激励を受けたヨウカは2人にたいし笑い返した。

 

「うん、がんばるよ!」

「さ、試練の場へいこーっ!」

「おーっ!」

 

そうしてヨウカはアセロラとともに、試練の場へ向かったのだった。

 

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