英雄伝説〜灰の軌跡〜 閃V篇 |
〜クロスベル帝国オルディス地方・西ランドック峡谷道〜
「さあ、一気に攻めましょう――――パーフェクトオーダー!!」
エステル達との戦闘を開始したクレア少佐は味方を加速させ、更にそれぞれの攻撃手段がクリティカルヒットになる確率を高めるブレイブオーダーを発動して味方を援護し
「波状攻撃で一気に制圧するぞ!」
「喰らえ!!」
近接戦闘用の武装を得物としている軍人達は瞬時にエステル達に襲い掛かった。
「おおおぉぉぉ……っ!」
「グッ……!?」
「か、身体が……!?」
しかしヨシュアが発動したクラフト―――魔眼によって襲いかかる最中で強制的に動きが封じ込められてその場で動けなくなった。
「ハァァァァ………!」
そこに動けない軍人達に詰め寄ったエステルが棍に力を溜め込んで強烈な一撃を放とうとし
「させません!」
「援護する!」
クレア少佐やクレア少佐のように銃やライフルを武装にして、後衛にいる軍人達が動けない味方を攻撃しようとするエステルを妨害する為に銃口をエステルに向けたが
「吹き飛びなさい!!」
「せーの―――裂甲断!!」
「キャアッ!?」
「グアッ!?」
フェミリンスが槍から発生させた衝撃波を目にも見えぬ速さで放ち、ミントは跳躍と共に力を込めた長剣を叩きつけて衝撃波を発生させて放ち、フェミリンスのクラフト―――ハイロウスピンとミントのクラフト―――裂甲断を受けたクレア少佐達はエステルへの妨害ができなかった。
「剛震撃!!」
「ガーちゃん、守ってあげて!」
「――――――」
そして棒に地属性の魔力を込めたエステルが動けない軍人達に棍を振り下ろしたその時、アガートラムが軍人達の前に出て絶対障壁を展開したが、何とエステルの棍は絶対障壁を易々と破壊してアガートラムごと軍人達に強烈な一撃を叩き込んだ!
「ぐあっ!?」
「がっ!?」
「――――!?」
「ガーちゃん!?」
エステルの攻撃によって軍人達が怯んでいる中自分の近くへとふっ飛ばされたアガートラムを見たミリアムは驚き
「崩れたわ!」
「追撃する!―――――セイッ!!」
エステルとリンクを結んでいるヨシュアはまさに雷光のような速さで広範囲を攻撃するクラフト―――雷光撃で追撃した。
「みんな、一気に攻めよう――――ドラゴンオーダー!――――バーングラウンド!!」
「ぐああああああっ!?」
「熱い、熱い――――ッ!」
ミントは加速効果と一定時間アーツの駆動時間や魔術の詠唱時間をゼロにするブレイブオーダーを発動した後瞬時に魔術を発動し、ミントの魔術によってエステルとヨシュアが攻撃した軍人達の足元から溶岩が発生した後炎が噴出して軍人達を苦しめ
「深緑の吸収!!」
「カルバリーエッジ!!」
更にエステルとヨシュアもミントに続くようにエステルは足元から現れた無数の蔦で敵を絡めた後体力を奪う魔術を、ヨシュアは敵の体力を奪う時の槍を降り注がせるアーツを瞬時に発動させて追撃し
「――――止めですわ!」
「ガッ!?つ、強すぎる………」
「グアッ!?む、無念……」
そこにフェミリンスが軍人達に詰め寄って神槍に更なる聖なる魔力を纏わせて薙ぎ払い、フェミリンスのクラフト―――闘聖の薙ぎ払いによって吹き飛ばされた軍人達は地面に叩き付けられると気を失った。
「クッ、よくも………!アークス駆動――――」
仲間達が無力化された事に銃を持つ軍人はアーツを撃つためにオーブメントを駆動させたが
「行くよ―――空間翔転移!!」
「な―――グアッ!?」
ミントが一瞬で転移して軍人の背後に現れて長剣で斬りつけ
「あっちいけ〜!」
「ガッーーーへぶっ!?………」
続けて氷の魔力を纏わせた足で軍人の背中を蹴り飛ばし、ミントのクラフト―――アイシクルショットによって蹴り飛ばされた軍人は脚に込められた氷の魔力によって身体の一部が凍結していた為空中で受け身を取る事ができず、そのまま崖にぶつかって気絶した。
「クッ、まさか”黄金の百合”は”転移”による奇襲攻撃までできるなんて……!――――凍てつきなさい……!」
ミントの奇襲によってあっという間に制圧された軍人を見て唇を噛みしめたクレア少佐はミントの動きを封じ込める為にミントの頭上に氷の塊を発生させ、ライフルを取り出して氷の塊に狙撃しようとしたが
「朧!!」
「!」
一瞬で自身の背後に現れて居合斬りを放ってきたヨシュアの奇襲攻撃に即座に気づくとミントへの攻撃を中断してヨシュアの奇襲攻撃を紙一重で回避した。
「クレア!?ガーちゃん、ビーム!」
「―――――」
クレア少佐の危機に驚いたミリアムはアガートラムにヨシュア目がけてレーザーを放たさせたが
「無駄ですわ!」
「わっ!?」
フェミリンスが詠唱無しで放った無数の光の魔力弾によってヨシュアへと放たれたレーザーは消滅させられ、更に光の魔力弾が地面やレーザーに命中した時に発生した衝撃波の余波を受けたミリアムは思わず怯み
「セイッ!」
「わあっ!?」
エステルが棍から衝撃波を放つクラフト―――稔糸棍をアガートラムにガードさせる暇もなくそのまま喰らってダメージを受けた。そしてエステルはフェミリンスと、ヨシュアはミントとリンクを結び直してそれぞれミリアムとクレア少佐と対峙した。
「シャインアロー!!」
「沙綾―――紅燐剣!!」
クレア少佐と対峙したミントは魔術による空に無数の光の矢を発生させてクレア少佐目がけて放ち、ヨシュアは双剣から強力な真空の刃を創り出してそのまま放った。
「勝機!――――モータルミラージュ!!」
クレア少佐はダメージを覚悟して空より襲い掛かる光の矢をヨシュアとミント目がけて突進する事で回避するととjもに、正面から襲い掛かってくる無数の真空の刃の一部を受けながらヨシュアとミントの背後に回った後銃から巨大なエネルギー弾を放った。
「たぁっ!次元斬!!」
襲い掛かる巨大なエネルギー弾を無力化する為にミントは跳躍して巨大な闘気を纏った剣で空中からエネルギー弾を叩き斬り
「そこですっ!」
エネルギー弾を無効化する為に技を放った事でできた隙を逃さないクレア少佐はミントに銃口を向けて追撃しようとしたが
「絶影―――――舞の型!!」
「うっ!?」
ヨシュアが周囲に衝撃波を纏った神速の一撃離脱技を先にクレア少佐に叩き込んだ為、ミントへの追撃は妨害された。
「行くよ――――紅燐舞華斬!!」
「ッ!?」
更にヨシュアが力を溜めた一閃技をクレア少佐に叩き込むとクレア少佐は怯み
「崩したよ!」
「ミントも続くよ〜!――――やああっ!!」
「ああっ!?」
クレア少佐が怯むとヨシュアとリンクを結んでいるミントが追撃に全身に雷を纏って突きの構えで突進するクラフト―――インパルスドライブをクレア少佐に叩き込んだ。
「これで―――決めさせてもらう!ハァァァァ……ッ!」
「凄いの、いっくよ〜!ヤァァァァァァッ!」
そして一気に勝負を決める為にヨシュアは分け身達と共にクレア少佐に突進して斬撃を叩き込み、ミントはクレア少佐に詰め寄って凄まじい技の乱舞をクレア少佐に叩き込み
「究極逆鱗乱舞(ファイナルドラグジェノサイド)―――――ッ!」
「カハッ!?」
ミントは乱舞技の最中に空中へと舞い上がったクレア少佐に止めの蹴りを叩き込んで地面に叩き付け
「秘技――――幻影奇襲(ファントムレイド)!!」
ヨシュアは止めにクレア少佐に突撃してクレア少佐を中心に発生する無数の斬撃をクレア少佐に叩き込んだ!
「キャアアアアアアアッ!?皆さん……申し訳ございま……せん………」
ミントとヨシュアのSクラフトを受けたクレア少佐は悲鳴を上げて戦闘不能になり、地面に膝をついた。
「ぶっとばせ〜!」
「―――――」
「「!!」」
エステルとフェミリンスと対峙したミリアムはアガートラムにクラフトーーーーバスターアームを放たさせたが二人は左右に跳躍して回避し
「邪を打ち消す光よ!」
「わっ!?」
フェミリンスは反撃に片手から本来は敵に付与されている支援系の魔術や身体能力の強化を打ち消す閃光――――破術の閃光を放ってミリアムにダメージを与えると共にミリアムの目を眩ませ
「瞬散撃!!」
「――――」
エステルが地面を蹴った勢いで一気にミリアムに詰め寄って棍を振り下ろしたがアガートラムがすぐに反応してミリアムの前に現れて振り下ろした棍を自らの身体を張って受け止めた。
「へ〜、アルティナちゃんのクラウ=ソラスみたいに、相方の危機には真っ先に反応する所も一緒みたいね。」
「へ……何でアーちゃんやクーちゃんの事を……って、そう言えば君達もリィン達と一緒に”碧の大樹”を攻略したメンバーだったね〜。君達は知らないかもしれないけど、ボクはリィン達の仲間なんだよ〜?」
アガートラムから一端離れて感心した様子で呟いたエステルの言葉を聞いて不思議に思ったミリアムだったがある事を思い出し、エステルの気をそらせる為にエステルが驚くであろう事実を口にしたが
「”Z組”、だっけ?当然貴女達の事もリィン君達から少しだけ話は聞いているわよ。」
「だったら、もうちょっと手加減するとか、リィンの仲間のボクと戦う事に躊躇いとかないの〜?」
「これでも手加減してあげているわよ?そうよね、フェミリンス。」
「そうですわね。我々が”本気”で貴女達を攻撃すれば、間違いなくその傀儡は今頃木端微塵になっていますわ。」
「え”。」
「―――――!?」
エステルは全く動じずにフェミリンスと共にミリアムの疑問に答え、二人の答えを聞いたミリアムは表情を引き攣らせ、アガートラムは驚いた様子で機械音を出した。
「それとリィン君達の仲間の貴女と戦う事に”躊躇い”なんてない―――ううん、むしろその逆よ。だって、あたし達の仲間のリィン君達にとって大切な仲間である貴女が悪い事をしようとしているんだから、リィン君達の代わりに未然に防いでお仕置きをして、更生させるのがリィン君達の仲間であるあたし達の役目だしね!」
「む、無茶苦茶だよ〜!鬼〜!悪魔〜!ガーちゃん、お願い!」
「――――!」
エステルの理論を聞いて疲れた表情で指摘したミリアムはアガートラムを球体に変化させて上空から奇襲させるクラフト―――メガトンプレスを発動し
「っと!乙女に向かって鬼や悪魔だなんて、失礼な娘ね〜!――――爆裂火球!!」
「そうですわね。まあ、エステルが”人外”のような”人間”である事は否定しませんが。―――――ネメシスアロー!!」
「わわっ!?」
それぞれ大きく後ろに跳躍して回避したエステルは爆裂する火球の魔術を、フェミリンスは雷のエネルギーを放つアーツを発動して反撃し、二人が放った魔術とアーツをミリアムは慌てた様子で紙一重で回避した。
「お返しだ〜!ガーちゃん、ぶっ飛ばせ〜!」
「―――――!」
回避を終えたミリアムは反撃にアガートラムにレーザーをエステルとフェミリンスに向けて放たさせたが
「ハァァァァ……滅!!」
フェミリンスが神槍に上位神聖魔術を込めた一撃で襲い掛かるレーザーを消し飛ばし
「え”。」
「――――!?」
フェミリンスのクラフト―――闘聖の滅燐撃によってレーザーが消し飛ばされる様子を見たミリアムが表情を引き攣らせ、アガートラムが驚いたその時!
「これで終わりよ―――――七耀のみんな、あたしに力を!―――行くわよ!」
Sクラフトを発動したエステルが棍を虹色に輝かせてミリアムに向かって突撃した。
「わわっ、ガーちゃん、何とか耐えて〜!」
「―――――!」
突撃してくるエステルを見たミリアムは慌てた様子でアガートラムに防御の構えで絶対障壁を展開させて自分を守らせたが
「たぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「―――――!?」
「ひゃんっ!?はうっ!?いたいっ!?」
神の力を宿した棍による乱舞攻撃の前には絶対障壁は何の意味もなさず易々と破壊され、エステルはアガートラムごとミリアムに乱舞攻撃を叩き込んだ後止めに突進と共に薙ぎ払いによる一撃を叩きつけてミリアム達の背後へと移動し
「神技!セプトブラスト!!」
エステルが棍を一振りするとミリアム達の中心地で火・水・風・地・時・幻・空の7属性による連鎖爆発が起こった後虹色の大爆発が起こり、更にミリアム達の足元から空に浮かんでいる雲を貫く程の虹色の柱が上がった!
「うわああああああっ!?も、もう無理だよ〜…………」
「!!!!!???――――――………」
遥か昔の先祖である空の女神エイドス直伝の七耀脈の加護を受けた神棍で乱舞攻撃を行う神技――――セプトブラストをその身に受けたミリアムとアガートラムはそれぞれ悲鳴を上げて戦闘不能になったリアムは地面に膝をつき、アガートラムは地面に落下してそのまま動かなくなった!
「…………」
「撃たせるか!」
「魔術は厄介だが、アーツのように発動には時間がかかる事は調査済みだ……!」
一方エステルに協力している異種族達に向かって行った軍人達は魔術の詠唱を開始したパズモを見ると詠唱の最中に攻撃して魔術の発動を中断させる為に近接戦闘用の武装でパズモに襲い掛かったが
(させるか――――疾風牙!)
「ぐがっ!?」
「ガッ!?」
サエラブが電光石火の如く鋭い気迫と共にパズモに襲い掛かった軍人達に突進攻撃を叩き付けて怯ませ
「援護する!」
「獣如きが……!」
苦戦している味方の様子を見た銃を武装にしている軍人達はパズモやサエラブに銃撃をしようとした。
「させません!――――降り注げ、大地の力!大地の制圧射撃!!」
「ぐあっ!?」
「ががっ!?」
しかしテトリが空に向けて放った一本の魔力の矢が矢の雨となり、遠距離からパズモ達を攻撃しようとした軍人達に降り注いだ為、軍人達は支援ができなかった。
「フフ、纏めて落としてあげるわ!」
「しま―――」
「クッ、身体の動きが……!」
ニルは光の魔力を宿らせた連接剣で近接戦闘用の武装の軍人達を纏めて巻き付けた後そのまま連接剣を振り上げて軍人達を宙に浮かせ
「ハアッ!」
「グエッ!?」
「ガアッ!?」
連接剣を地面に向けて思い切り振り下ろして軍人達を叩きつけた!
「吹き荒れよ、怒りの風よ!――――撃滅の大嵐!!」
ニルがクラフト―――縛光武・墜影を終えると詠唱を終えたパズモが魔術を発動すると前衛と後衛の軍人達の真ん中に当たる位置に圧縮した魔力風が爆発させ、前衛と後衛の軍人達を纏めて攻撃すると共に吹き飛ばした!
「舐めるなよ……!」
「この程度で倒れてたまるか……!」
「まずはダメージを回復するぞ……!アークス駆動――――」
「了解……!アークス駆動――――」
4人の攻撃を受けてもなお軍人達はそれぞれ立ち上がり、ダメージを回復する為に回復アーツの駆動を始めた軍人達もいたが
「風よ、走れ!気体連弾!!」
(燃えよ!)
「そこですっ!大地の精密射撃!!」
「さっさと沈みなさい!」
「がっ!?」
「ぐあっ!?」
「く、くそ……」
「む、無念……」
パズモは詠唱無しで空気の塊を2連続で放つ魔術を発動し、サエラブは炸裂する火球を口から放ち、テトリは大地の魔力が宿った矢を放ち、ニルは連接剣を伸長させてそれぞれの攻撃が命中した軍人達はそれぞれ吹き飛ばされて壁に叩き付けられ、気絶した!
「アークス駆動――――ラ・クレスト!!」
「アークス駆動――――ラ・フォルテ!!」
一方カファルーやクーに向かって行った軍人達はそれぞれ支援アーツを発動して仲間達の能力を上昇させ
「左右から同時に攻めるぞ!」
「了解!」
仲間達のアーツによって攻撃能力が上昇した軍人達はそれぞれ近接戦闘用の武装で左右から同時にクーとカファルーに襲い掛かったが
「クー。」
「ガッ!?」
「グッ!?」
クーは巨大な尻尾で薙ぎ払って襲い掛かってくる軍人達を吹き飛ばし、吹き飛ばされた軍人達は壁に叩き付けられて気絶し
「グオオオッ!」
「「ギャアアアアアアッ!?」」
カファルーは口から灼熱のブレスを吐きながら首を振って軍人達にダメージを与えると共に怯ませ
「グオッ!」
「ガッ!?」
「グアッ!?」
更に両脚に炎を纏わせた一撃で追撃し、カファルーのクラフト―――爆炎スマッシュによって吹き飛ばされた軍人達は気絶した。
「なっ!?クッ……!」
「クッ……ならばこれはどうだ……!」
「幻獣風情が……!アークス駆動――――クリスタルフラッド!!」
「アークス駆動――――ネメシスアロー!!」
あっさりと反撃された仲間達の様子を見て驚いた後方の軍人達はそれぞれ銃等の遠距離武装による攻撃やスマートミサイル、そしてアーツでそれぞれクーやカファルーに攻撃した。
「ク?」
しかし銃弾どころか、ミサイルに命中しても”万物の長”と恐れられている竜族の中でも高位の竜族であるクーの鱗には傷一つつける事はできず
「グオオオオッ!」
「グアッ!?」
「ガッ!?」
また”魔神”である事から如何なる攻撃も軽減する強靭な肉体を持ち、更に自身が常に凄まじい炎を纏っているカファルーは銃弾は身体に命中する前に自身が覆っている炎で焼き尽くし、更に魔術が命中しても全く怯まずそのまま突進して爪の一振りで自分を攻撃した軍人達を吹き飛ばして壁に叩き付けて気絶させた。
「クー―――――ッ!!」
「しま――――ぐああああああっ!?」
「退避、退避――――うわああああああっ!?」
そしてクーは口から岩どころか鉄すらも易々と砕く程の威力があり、更に逃げ場が見つからない程の広範囲を攻撃する水のブレスを軍人達に叩き込んで、軍人達を戦闘不能にすると共に気絶させた!
「いたた………うわっ!?みんな、気絶しているよ〜!」
「………くっ………ここまで、”力の差”があったなんて……!」
戦闘が終了し、ミリアムは周囲に倒れている軍人達に気づくと驚き、クレア少佐は唇を噛みしめて悔しそうな表情を浮かべた。
「やれやれ……随分と暴れたものね。」
「ったく、そういう事を平気でするから、エレボニア帝国政府の連中に警戒されて、エレボニアの入国を拒否されたんじゃねぇのか?」
するとその時銀髪で褐色肌の女性が呆れた表情をしたトヴァルと共にエステル達の背後から現れた。
「あ、シェラ姉!それにトヴァルさんも。」
「二人ともお疲れ様です。」
銀髪の女性―――――リベールのA級正遊撃士の一人”嵐の銀閃”シェラザード・ハーヴェイとトヴァルの登場にエステルは目を丸くし、ヨシュアは二人に労いの言葉をかけた。
「……っ!」
「ちょっ、ボク達はこれ以上やり合うのは無理なのに、このタイミングで更に援軍って酷くない!?こんなの”イジメ”じゃないか〜!」
二人の登場がエステル達にとって更なる援軍である事を悟ったクレア少佐は唇を噛みしめ、ミリアムは表情を引き攣らせた後疲れた表情で声を上げた。
「アハハ………ミント達はこれ以上貴女達と戦うつもりはないから、安心していいよ?」
「――――その二人は”白兎”の貴女と”氷”の少佐を”保護”して、貴女達の”主”であるかの宰相の所まで同行する為に現れただけですわ。」
ミリアムの指摘に対してミントは苦笑しながら答え、フェミリンスは静かな表情で答えた。
「へ………」
「………何故お二人が私とミリアムちゃんだけ見逃し、宰相閣下の元に………」
フェミリンスの説明を聞いたミリアムは呆け、クレア少佐は困惑の表情を浮かべた。
「ま、遊撃士協会(あたし達)としてはクロスベルとエレボニアの関係を悪化させない為にクロスベルが拘束しようとしていたエレボニア帝国軍でも有名な貴女達を”保護”してエレボニア帝国に帰還してもらう為だけど……あくまでそれは”建前”で、クロスベル――――ヴァイスさん達が貴女達をあたし達が保護して鉄血宰相の元に送還する”本当の理由”はクレア少佐。2年前まだクロスベル警備隊の上層部だった頃のギュランドロス皇帝夫妻と交渉した事のある貴女なら、『2年前の宣戦布告の仕切り直しです』といえば理解すると、ルイーネ皇妃からの伝言よ。」
「『2年前の宣戦布告』……ギュランドロス皇帝夫妻との交渉………――――――!!」
テメェら”如き”が俺達”六銃士”をどうにかできると思うな。――――身の程を知れ。
私達が進む道を阻むなら全力でお相手し、叩き潰しましょう。――――”六銃士”の名に賭けて。
シェラザードの話を聞いて少しの間考え込んだクレア少佐はかつての出来事をすぐに思い出して表情を青褪めさせて身体を震わせ
「ク、クレア〜?顔が悪いし、身体が震えているようだけど2年前に一体何があったの〜!?クレアをそこまで怖がらせるなんて、”六銃士”達は一体何をやったの〜!?」
「いや、俺達だってマジで何があったのか、知りたい側なんだがな………エステル、”六銃士”達と親しいお前さん達なら知っているだろう?」
「う〜ん……期待している所悪いけどあたし達が親しいのはヴァイスさんとリセルさんだけだから、他の”六銃士”の人達に関してはあんまり話したことがないから、あたし達も知らないわ。」
「……まあ、2年前のクロスベルとエレボニアの関係や状況、一般的に知られているギュランドロス皇帝の性格を分析すれば当時何があったか大体想像はつきますが………」
「恐らくはオズボーン宰相に対する”釘刺し”でしょうね……」
クレア少佐の様子を見て驚いたミリアムはエステル達に問いかけ、ミリアムの問いかけに苦笑しながら答えたトヴァルはヴァイス達と親しい関係のエステルに答えを促したが、促されたエステルは疲れた表情で答え、フェミリンスとヨシュアは静かな表情で推測を口にした。
「ホントとんでもないわよね、ヴァイスさんを含めた”六銃士”は………」
「アハハ……”自治州”だったクロスベルを”帝国”に成りあがらせた上、大国のとても偉い人に平気で喧嘩を売っているもんね……」
疲れた表情で溜息を吐いたシェラザードの言葉を聞いたミントは苦笑しながら同意し
「ハア……改めて思ったけどヴァイスさんもそうだけど、ギュランドロス皇帝も無茶苦茶過ぎる皇帝達よ………―――まあ、それはともかく。シェラ姉、トヴァルさん。打ち合わせ通り二人を帝都(ヘイムダル)に送る方はよろしくね!」
エステルは溜息を吐いてジト目になって呟いたがすぐに気を取り直してシェラザードとトヴァルに声をかけた。
「ええ、貴女達の方もクロスベル軍・警察が到着するまでの無力化した連中の見張り、頑張りなさい。」
「そんじゃ、二人にとっては不本意かもしれんが、帝都(ヘイムダル)まで俺達と一緒に行ってもらうぞ。」
「………わかりました………よろしくお願いします………」
「あ〜あ………この調子だとレクター達の方もボク達みたいになっているかもしれないね〜。」
そしてクレア少佐とミリアムはシェラザードとトヴァルと共にエレボニア帝国方面へと向かった。
「旧Z組の人達にはちょっと悪い事をしたよね〜。サザ―ラントでアガットさんを手伝ってくれたのに………」
「……そうだね。だけど彼女は旧Z組の中で特に”立ち位置”が微妙でもあるから、今回のような出来事が起こっても仕方なかったと思うよ。」
「――――だからといって、肝心な場面で旧Z組の人達と敵対して、最後はリィン君達を守るためにリィン君達を庇って命を落として、リィン君達を悲しませるなんて事まで、あたし達の世界で起こす訳にはいかないわ!」
複雑そうな表情で呟いたミントの言葉にヨシュアが静かな表情で同意している中エステルは怒りの表情で答えた。
「エステル………そうだね………オリビエさん達の為にも、並行世界の新Z組が教えてくれたオズボーン宰相達の野望は何としても食い止めないとね。」
「うん!みんなで協力すれば、絶対に大丈夫だよ!」
エステルの意見にヨシュアとミントもそれぞれ賛成の答えを口にした。
「フフ…………(例え世界が”終焉”に向かおうとも、どんな闇をも照らし、希望を諦めない貴女のその”光”は変わらないでしょうね………)」
一方エステル達の様子をフェミリンスは微笑ましそうに見守っていた。
その後エステル達は気絶した軍人達を拘束し、エステル達の連絡を受けて峡谷道に到着したクロスベル軍・警察に拘束した軍人達の身柄を引き渡した―――――
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外伝〜想定外(イレギュラー)の戦い〜 前篇 | ||
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